カテゴリー「中国(北京)の大気汚染・環境汚染」の記事

2008年11月 2日 (日)

メラミン粉ミルク事件から政治改革を考える

 最近、中国では、食品安全問題や炭坑・鉱山の安全操業問題で、地方政府が不法行為を行ったり環境汚染を続ける企業を十分に管理監督できていない、ひどい時にはそういった企業と地方政府が癒着して問題を覆い隠そうとしている、といった事件が多発して、社会問題になっています。このため、党・中央でも、そういった企業と癒着して企業の不法行為を見逃しているような地方政府の幹部については、解任したり、賄賂などをもらっていた場合には、司法の場で裁くようにすることなどにより、改善を図ろうとしています。こういった社会情勢の中で、先に問題となった河北省の三鹿集団によるメラミン混入粉ミルク事件に関連して、11月3日号の経済専門週刊紙「経済観察報」の「観察家」(オブザーバー)の欄に、長江商学院の王一江教授が「三鹿事件から政治体制改革を考える」と題する評論を書いています。

(参考)「経済観察報」2008年11月3日号(11月1日発売)
「三鹿事件から政治体制改革を考える」
http://www.eeo.com.cn/eeo/jjgcb/2008/11/03/118722.html

 この評論のポイントは以下のとおりです。

○長い間、地方政府の幹部はGDPの増大にのみ神経を使ってきた。GDPの増加により地方政府の財政収入が潤い、雇用も確保されるからである。GDPの増加に成功した地方政府は、往々にして出世が速い。これは「地方政府の企業化」を推進した。こういった考え方は、法律を省みない一部の企業の活動を助長した。こういった体質は、今回の三鹿集団によるメラミン入り粉ミルク事件や無許可で操業する炭坑・レンガ工場など、様々な問題を引き起こした。

○党・中央は、こういった状態を問題視し、「科学的発展観」「正しくかつスピードの速い経済発展(「又好又快」=良くかつ速く)」といったスローガンを掲げて、注意を促してきた。「科学的発展」や「正しくかつスピードの速い経済発展」とは、経済発展の過程において、環境の保護、エネルギー消費の適正化、土地やその他の自然資源の適正な利用、適正な収入の適正な分配、社会保障、医療衛生、教育、社会治安、住宅問題、交通問題、食品安全と人民の満足感・幸福感を大事にすべきだ、ということを主張しているのである。

○しかし、これらの目標はなかなか有効に実現することができていない。今後、地方政府が採るべき道には次の三つがある。

(1)今までと同じ路線:GDP至上主義を続けることであるが、この路線を続ける限り「地方政府の企業化」は今後も進み、「科学的発展」「正しくかつスピードの速い経済発展」という目標は実現できない。

(2)地方政府に経済発展を求めない路線:中国の特徴は、政府が資源をコントロールしていて、法律による支配が不完全なことであるから、地方政府に経済発展を求めなかったら、経済に対する積極性は失われ、雇用を確保し、人民の生活水準を向上させて、貧困問題を解消する、という目標を達成することはできない。

(3)先進国のモデルに見習う路線:日本の汚染米問題など、先進国でも食品安全問題は発生している。しかし、先進国では中国のように人々の健康被害に影響が及ぶほどに拡大することはあまりなく、先進国の食品は基本的に安全である。

○中国で先進国のモデルを導入できないのはなぜか。それは次の点で中国と先進国との間に国情の違いがあるからである。

「司法の独立性」:先進国では、司法の独立により、消費者は食品に対する不安に基づき食品安全に対して問題を起こしている利益集団を明らかにすることができる。違法行為を行っている企業は地方政府の保護を受けることができず、違法行為は結局は企業自身の損失となって跳ね返ってくる。

「資源の分散」:先進国では経済発展の力の源泉は政府ではなく民間企業にある。政府が企業の利益を保護する程度はあまり大きくない。

「定期的な選挙」:これが最も重要なことであるが、先進国の地方政府のトップは、定期的な選挙により、有権者の審判を受けている。有権者による評価が気になるので、地方政府のトップは、環境を保護せず、資源を浪費し、社会利益を損ない、法律を無視してまで、企業によるGDP増加のみを追求するようなことを敢えてしようとは考えない。

○司法の独立性と定期的な選挙による社会監督管理制度が、現在の中国の国情と比べて最も異なる点である。

○中国の国情と符号した形で改善を図る道はないのか? 先進国のシステムのポイントは、権限の分散化である。政府のトップは、有権者による選挙で選ばれているので、自らの地位を失わないためには、有権者がどう考えるか、を真っ先に考えるようになる。企業は、違法行為により短期的な利益が図れるとしても、地方政府からの保護がなく、法律システムに対する怖れがあるのであれば、そう簡単に違法行為に走ろうとは思わなくなる。

○改革開放の30年の間、我々は党と政府の分離、政府と企業の分離を進めてきた。今、職位(ポスト)の点では、確かに党と政府、政府と企業は分離されている。しかし、私は、現在のポスト上の分離は、依然として形式上の分離であり、集体が責任を負うという原則にある以上、異なるポストにいる者が真にそれぞれ担当すべき責任事項について独立して責任を果たしているとは言えない、と認識している。我々の「分離」は、往々にして「有名無実」と言わざるを得ないのである。

○地方政府自らが自分で経済発展を進めざるを得ないのだったら、「科学的発展」や「正しくかつスピードのある経済発展」という要求を実現することはできない。それであれば、市長や県長(行政府)がその地方の経済発展に責任を持ち、市や県の党委員会書記が環境保護や資源の問題・社会の調和の問題に責任を持つ、というふうに責任を分離する以外に方法はない。地方政府における党と政府の責任を分離し、それぞれが担当する責任分野に対して評価を受ける、というシステムこそが、中国の国情に符合し、かつ「科学的発展」「正しく・スピードのある発展」という目標を満たすために今後進むべき道なのである。

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 環境問題、食品安全問題、炭坑などの違法操業問題等に起因する労働安全問題等の様々な問題の根っこが現在の政治体制の問題にある、という点を、現在の中国の法律に違反しないというギリギリの範囲内で(=中国共産党による支配体制を批判しないというギリギリの範囲内で)鋭く指摘した評論だと私は思います。王一江教授は「集体が責任を負うという原則にある以上」という表現を使っていますが、はっきり言えばここの部分は「社会主義という原則を採っている以上」と表現した方がわかりやすいと思います。ただ、そこまではさすがにハッキリとは言えなかったのでしょう。

 「党と政府の分離」「政府と企業との分離」は、30年前に改革開放路線が始まって以来、中国共産党自らが認識して進めてきた方針(注)ですが、それが現在でも「形式的なもの」に留まっており、機能として分離していない(チェック・アンド・バランスの機能を果たしていない)ことを上記の評論の筆者は明確に述べています。筆者は、中国共産党が進めてきている改革開放路線を、その基本理念に基づいてきちっと進めるべきだ、と述べていて中国共産党の現在の路線を応援しているのであって、決してそれを否定しているわけではありません。

(注)1989年までは「党と政府の分離」の方針に基づき、党の総書記と国家主席(政府の代表)と党軍事委員会主席(軍の主導権を握る)は別の人物が就いていました。しかし、1989年の「政治風波」を境としては、1989年には党の総書記と党軍事委員会主席が、1993年からは国家主席も含めて、この三つの職位に同一人物が就任するようになっています。つまり、「党と政府の分離」という改革開放の当初の原則が1989年の「政治風波」を境にして変わったのです。これまでもこのブログで何回も紹介してきましたが、今、多くの新聞の評論で、1980年代の(1989年以前の)改革開放の原点に回帰すべきだ、という論調が多くなってきています。

 一方、上記の評論の最後の部分、政府(行政府)が経済成長に責任を持ち、党の方が環境保全・資源の確保や人民生活の保障に責任を持つべきだ、という考え方は、もっともな考え方ですが、見方を変えると江沢民前総書記が提唱した「三つの代表論」を批判的に見ている考え方だ、と捉えることもできます。「三つの代表論」とは、中国共産党は、(1)中国の先進的な社会生産力の発展に対する要求を代表する、(2)中国の先進文化の方向を代表する、(3)中国の広範な人民の根本的利益を代表する、ことを指しますが、三つのうち(3)がポイントであり、中国共産党は、労働者・農民(プロレタリアート)だけではなく、中小商工業者、企業家(昔の言葉で言えばブルジョアジー)や知識階層なども含めた人々の代表である、という点で、画期的な議論です。

 この「三つの代表論」は、よい意味では、中国共産党がイデオロギーに凝り固まった政党から脱却して中国社会の幅広い分野の人々の意見を結集した現実的な執政党に脱皮した、という言い方もできますし、別の言い方をすれば、労働者だけでなく企業家の意見も聞くようになった、といも言えます。後者の方は、意地悪な言い方をすれば、中国共産党の党員が企業家と癒着関係になっても即座にそれを否定することはできなくなった、とも言えます。上記の評論の筆者・王一江教授は、党の役割を経済成長を進める役割から分離させ、人民の生活を守る役割に特化させるべきだ、と主張しているわけであり、中国共産党の役割を「三つの代表論」で転換した方向から、本来の役割(経済的に力を持たない労働者・農民の権益を守る役割)に戻そうとしている、と考えることもできます。

 いずれにせよ、王一江教授は、「選挙がない」という現在の中国の最も重要なポイントを指摘している点で重要です(中国にも、人民代表を選ぶ選挙はありますが、人民代表選挙は間接選挙であり立候補に一定の制限がある点で「選挙と呼べるようなものではない」ということは、中国の内外の人はみなよくわかっています)。王一江教授が「だから選挙をやるべきだ」と主張していないのは、現在の中国の新聞に掲載できる論評の限界を示していますが、いずれにしても、こういった議論が新聞やネット上で自由に展開されていることは非常に重要です。こういった活発な議論がなされる中で、中国にとって実現可能な、最もよい方法が見つかることになるでしょう。

 世界的経済危機の中で、中国経済も苦しい状況にあります。しかし、中国政府は財政的には大幅な黒字であり、2兆ドルに達しようかという膨大な外貨準備もありますので、いざとなれば苦しい立場に立つ企業に「公的資金の注入」をすることはいつでもできますので、現在の世界の中では、中国の社会は、むしろ「比較的安心して見ていられる社会」と言ってもいいかもしれません。北京オリンピックが終わった後も、心配されていた「急激な経済バブルの崩壊」はありませんでした。こういった比較的安定した社会が続いているうちに、長期的な将来へ向けて、安定した社会を持続させることができるようなフィード・バック・システムが上記のような様々な議論を通して構築されていくことを期待したいと思います。

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2008年10月12日 (日)

北京の新交通規制に異議を述べる社説

 北京で10月11日から来年4月10日までの間、平日の運行車両を5分の1減らす交通規制を始めたことについては、10月7日付けのこのブログで書きました。

(参考1)このブログの2008年10月7日付け記事
「北京で新たな交通規制実施へ」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/10/post-6f7a.html

 ところがこの措置に対して、10月13日号(10月11日発売)の経済専門週刊紙「経済観察報」は、1面の社説で、個人所有の自家用車に対してはこの措置は緩和すべきだ、との主張を掲げています。

(参考2)「経済観察報」2008年10月13日号(10月11日発売)社説
「北京では自家用車に対しての規制はゆるめるべきだ」
http://www.eeo.com.cn/observer/pop_commentary/2008/10/11/116008.html

 この社説の主張のポイントは次の通りです。

○「道路交通安全法」や「大気汚染防止法の実施細則」によって北京市政府が大気汚染防止等のために交通規制を実施できることは規定されているが、それは特殊な緊急事態における措置を想定しているのであって、今回の北京市の交通規制のように恒常的な規制をする権限は北京市にはない。

○自家用車は個人の財産であって、「物権法」に基づき、自動車の所有者が自由に占有し、使用する権利があるのであって、北京市が国の法律に基づき行政権限を行使する場合には、個人の財産権を侵害するようなことがあってはならない。

○今回の措置は立法機関(人民代表大会)で十分に議論されておらず、北京市は立法機関から授権されている範囲を超えて行政権限を行使はできない。

○北京市人民政府に市民に良好な生活環境を提供する責務があることはわかるが、だからと言って、今回のように恣意的に私的財産権に制限を加えるような規制を実施してはならない。

○北京市当局者は、9割以上の北京市民がオリンピック期間中の交通制限により渋滞緩和と大気汚染の改善が図られたと認識していると指摘しているが、これは北京市民と周辺の都市の貢献が大きかったことによるひとつの特殊な例である。北京市当局は、こういった市民の意見でもって、今回の措置の必要性と合理性を説明することはできない。

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 私はこの社説は至極まともな主張だと思います。通常(日本などの場合)、国民の権利を制限したり国民に義務を掛けたりする場合には、必ず立法府(国会)が作った法律に基づかなければなりません。内閣が決める政令や各省が決める省令などもありますが、これらの政令や省令等は、法律を実施するための細目を決めるためのものであって、政令や省令で国民の権利を制限したり国民に義務を掛けたりすることはできません。国会で決める法律の中に法律が定める範囲内で政令や省令に権利制限や義務の「掛け方」を委任している場合はありますが、こういった場合でも「権利を制限する」「義務を掛ける」こと自体は国会での議決が必要な法律にその根拠がなければなりません。

 その点、中国では、人々の権利を制限したり義務を掛けたりする規則が、人民代表大会で決める法律の中に出てくるだけではなく、行政府である国務院が決める国務院令で出てきたり、北京市など地方政府が決める規則に出てきたりします。「紅頭文件」と言って、人民代表大会でも地方政府でもない、その地区の中国共産党委員会が出す通達で、人民の生活を規制することもあります(ありました)。さすがにこの「紅頭文献」によって人々の権利や義務に関する指示を出すことは「法治主義に反する」ということで止めるようになってきています(「全くなくなったわけではない」というのが現状だと思いますが)。

 上記の「経済観察報」の社説は、こういった行政府が人々の権利を制限したり義務を掛けたりする規則を作ることに対して、かなり「ピシャリ」と的を得た指摘をしています。中国の新聞は「党の舌と喉」と言われ、中国共産党の監視と指導を受けていますが、こういうふうに行政府が制定した規則に対して、真正面から異議を唱えているのは、政府の方針から一歩下がった鋭い指摘をすることの多い「経済観察報」ならではのことだと思います。

 「経済観察報」は、週刊の新聞ですが、1部3元(約45円)と中国の新聞の中ではかなり高いほうです。また、その記事の内容は「お金持ち階層」が読むものですから、この新聞の読者には自家用車を持っている人たちが多いのだと思います。今回の社説は、そういった「経済観察報」の読者の意見を代弁する、という意味があると思います。それにしても、政府の措置にこれだけまともに「ビシャッ」と意見を述べる新聞があると、私も胸がスカッとしました(同じ感覚を持った北京市民は多いと思います)。

 さすがに今回の交通規制に関する問題のような政治性のないテーマについての議論で、「政府が決めた規則に異議を唱えるのはけしからん」などと言われて発刊停止処分などが行われるはずはないと思います(「経済観察報」はそう思ったからこそ堂々と社説に書いたのだと思います)。これから、こういった問題について、政府の施策に対して異議を唱える意見であっても、どんどん自由に新聞に意見や主張が書かれるようになると、中国の社会も少しずつ新しいものに変わっていくのではないか、と私は思っています。

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2008年10月 7日 (火)

北京で新たな交通規制実施へ

 北京市人民政府は9月28日、オリンピック期間中のナンバープレートの偶数・奇数による交通規制が大気汚染改善に一定の効果があった、として、10月11日以降、新たな交通規制を行うことした、と発表しました。その内容は以下のとおりです。

(1)平日は5分の1の車の通行を規制する。車のナンバープレートの末尾の番号が、月曜日は1と6、火曜日は2と7、水曜日は3と8、木曜日は4と9、金曜日は5と0の車の通行を禁止する(バスやタクシーなどの公共交通機関、緊急車両や大使館車など特殊な車両は除く)。

(2)気象条件などにより大気汚染がひどくなることが予想される場合には上記の交通規制に代えて、偶数・奇数による緊急交通規制を実施する(この緊急交通規制の実施は48時間前に発表する)。

 これらの規制は2008年10月11日から2009年4月10日までの間実施するとのことです。

(参考1)北京市人民政府ホームページ
「北京市人民政府の交通管理措置に関する通告」(2008年9月28日)
http://zhengwu.beijing.gov.cn/gzdt/gggs/t994741.htm

(参考2)北京市人民政府ホームページ
「極端に不利な気象条件の下では、政府部門は48時間前に偶数・奇数制限に関する情報を発表する予定」(2008年9月28日)
http://zhengwu.beijing.gov.cn/gzdt/bmdt/t994848.htm

 この冬にはオリンピックのようなイベントは予定されていないので、この措置がうまく機能すれば、来年4月以降も定常的にこういった措置が続く可能性があります。オリンピック期間中の規制は、みんな「オリンピックだからしかたがない」と思っていましたが、特別のイベントの予定がないこの冬の規制に規制を行うとは、私には意外でした。オリンピックが終わった後、偶数・奇数による交通規制が大気汚染や渋滞の緩和に効果があったことから、こういった交通規制はもっと続けるべきだ、という議論があったのは確かですが、経済面等への影響が大きいことから、私はホントにやるとは思っていませんでした。

 車を持っていない人はこの規制は歓迎だと思いますが、車を持っている人や会社、商店などでは、困っているところが多いと思います。車をビジネスの道具に使っている人にとっては、これは死活問題です。オリンピック、パラリンピック期間中の規制は、ずっと前からやることが決まっていたし、パラリンピックが終われば規制は終わる、と考えて我慢していた人が多かったと思います。それより、オリンピックのような国家的イベントやるのだから我慢しよう、と思っていた人が多いと思います。しかし、こういった規制が定常的に続いて経済活動に実際的な影響が出てくるようになると、話は違ってくると思います。

 特に(2)の「大気汚染がひどくなりそうな時は、規制を強化して偶数・奇数による制限とし、それを48時間前に発表する」との措置については、直前の発表では代わりの車を用意することができないので、車を使ったビジネス活動に実質的な経済的影響が出る可能性があります。

 今回の措置が発表された9月28日というタイミングも、たぶんこの規制に反対の立場にある人々にとってはかなり不満だと思います。今年は9月27日(土)、28日(日)は出勤日とし、29日(月)、30日(火)を振り替え休日として、10月1日(水)~3日(金)の法定休日と合わせて、10月5日(日)までの7連休にする、というのが、今年初めに出された政府の「お達し」でした。その国慶節の連休前の最終日にこの発表があったわけです。実施まで2週間の期間がある、とは言いながら、営業日としては実質1週間もないわけで、多くの会社などでは代車の確保などが間に合わないのではないかと思います。

 オリンピック期間中は、偶数・奇数の規制がありましたが、車の量は半分にはなりませんでした。おそらく友だち同士で車での貸し借りをやって、普段はあまり使われていない時間帯にも車が街へ出て、全体の車の稼働率が上がった、のではないかと思います。私の感覚では、偶数・奇数の規制で車の量は確かに減りましたが、半分までは減っておらず、7割程度になっただけだと思います。また、オリンピック、パラリンピック期間中に北京の空気がきれいになったことは事実ですが、それは車の交通規制と同時に建設工事の中止や周辺の工場の操業中止などを行ったからだと思います。今回の交通規制は、建設工事や工場の操業中止を伴わないし、規制する量も「半減」ではなく「2割減」の規制ですから、「大気汚染対策」という点ではあまり効果はないと思います(「渋滞の緩和」という点では一定の効果があると思いますが)。

 中国の場合、あまり準備期間をおかずに「おかみ」からドンと規制が降りてくることが多く、多くの中国の人々はそれにかなり慣れていますが、今回の北京市当局の措置については、ちょっとあまりに唐突過ぎる感じがします。また「オリンピックがある」というような特別の理由も存在しないことから、実際、かなり不満の意見も出ているようです。最近は、中国の人々も「権利意識」がだいぶ高くなってきていますから、特に経済活動に直接の影響が出るような会社などからの不満の声が今後高まってくる可能性もあります。

 「環境や渋滞の緩和のために車の通行を制限する」という方策はあってもいいと思いますが、もっといろいろな人の意見を聞いた上で、ある程度の時間的余裕を持って発表して欲しいと北京で生活している私としては思っています。こういう法運用の仕方を続けていると、「中国は突然法律の規定が変わってしまうかもしれない」という「リスク感覚」を外国の企業に与えることも中国にとってマイナスだと思います。

 一方で、もしかすると、この車の交通規制は、これまで「とにかく経済成長を最優先にする」という方針だった中国の政策が「経済成長を少し犠牲にしてもいいから、人々の生活のしやすさを優先させる」という方向へ転換した、ということを意味するのかもしれません。もし、そうなのだったら、少々生活や仕事の面では不便になりますが、それはそれで仕方がないかなぁ、という気もします。でも、もしそうなのだったら、「政策全体の変更である」とちゃんと説明して欲しいと思います。今回の新しい交通規制の発表では、そういった説明がなく、いきなり規制の追加だけが発表されたので、私の素直な感覚で言わせてもらえれば、規則やルールがしょっちゅう変わって、中国はやはり生活する上ではストレスの掛かるところだなぁ、と改めて感じてしまったのでした。

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2008年10月 4日 (土)

元に戻りつつある北京

 北京の大気汚染指数は9月30日~10月3日の4日連続で100を超える「軽微汚染」でした。オリンピック、パラリンピックが終わり、ナンバープレートの偶数・奇数による自動車の通行規制が9月20日を最後に終了し、工場の運転や各地の工事現場でも作業を開始したことが効いているようです。

 これに対して、今日の北京の新聞「新京報」は「『オリンピック大気』を保つには、まだ共同努力が必要だ」と題する社説を掲げています。

(参考)「新京報」2008年10月4日付け社説
「『オリンピック大気』を保つには、まだ共同努力が必要だ」
http://www.thebeijingnews.com/comment/shelun/2008/10-04/008@020548.htm

 中国では、明日(10月5日)までは国慶節の連休なのですが、今年は、国慶節の連休期間中も工事現場での作業などが行われています。オリンピック、パラリンピックの期間中、約2か月、作業を中断せざるを得なかったので、施工主にとっても、働く労働者にとっても、「休みは既に繰り上げて取ってしまった」ということなのでしょう。そういった活動が大気汚染指数にすぐに反映されたことを考えると、やはり北京の大気汚染は人為的な原因の寄与度が大きいと考えられます。

 建設現場の工事も元に戻りましたし、残念なことですが、今日あたり街を歩くと、地下道にこどもの乞食(こじき)も戻ってきていました。アメリカや日本にもホームレスの人々はたくさんいるので、経済発展を遂げる中国であれば、そういった貧しい人々がいるのは仕方がない、と言えばそれまでですが、私の知る限り、少なくとも日本にはこどもの乞食はいないと思います。1980年代の中国にもこどもの乞食はいませんでした。1980年代の中国には、大人の「よくない人たち」はいましたが、こどもの乞食はいませんでした。今、中国にいるこどもの乞食は、大人が組織的に「やらせている」のだ、と言われています。オリンピックの期間中、取り締まりでそういう人たちを北京からなくすことができたのだとするならば、オリンピック期間が終わっても、そういう人たちをなくすことはできるのではないか、と私は思います。

 北京オリンピックは、中国に「やればできる」という自信を付けたと思います。ですから、オリンピックが終わったとしても、「やる」必要がある部分については「やればできる」と思います。このことは中国の人々も同じように考えていると思います。メラミン入り粉ミルク事件に見られるように「やれるのにやらない」ことについては、中国の人々は「物を言う」ようになってきています。「新京報」の大気汚染に関する社説もその一環ですが、この社説が言っているようにオリンピックが終わっても続けるべき「一つの世界の一つの夢」はまだまだあると思います。

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2008年9月21日 (日)

中国の乳製品パニック

 日本でも報道されているとおり、中国の粉ミルクに有害物質メラミンが混入していた事件で、18日夜に放送された中国中央電視台の7時のニュース「新聞聯播」で、液体の牛乳、しかも大手メーカーが販売している牛乳の一部からもメラミンが検出された、との発表がありました。概要は以下のとおりです。

蒙乳:121サンプルのうち11サンプルからメラミンを検出。検出値は1kgあたり0.7~8ミリグラム

伊利:81サンプルのうち7サンプルからメラミンを検出。検出値は1kgあたり0.7~8.4ミリグラム

光明:93サンプルのうち6サンプルからメラミンを検出。検出値は1kgあたり0.6~8.6ミリグラム

三元:53サンプルのうちメラミンを検出したサンプルはなし。

雀巣(ネスレ):7サンプルのうちメラミンを検出したサンプルはなし。

※雀巣(ネスレ)は、スイスのネスレ社のブランドですが、中国国内で生産されている牛乳です。

(参考1)「人民日報」2008年9月19日付け記事
「全国液体牛乳に対するメラミン検査の結果が発表」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-09/19/content_105492.htm

(参考2)中国国家品質監督検査検疫総局ホームページ2008年9月19日発表
「全国液体牛乳に対するメラミン検査の結果発表」
http://www.aqsiq.gov.cn/zjxw/zjxw/zjftpxw/200809/t20080919_90325.htm

 最初に問題になった三鹿集団の粉ミルクで検出されたメラミンの最高濃度は最高1kgあたり2,563ミリグラムですから、それに比べれば上記の牛乳での検出値はだいぶ低いと言えます。報道では、体重60kgの大人ならば毎日2リットル以上飲まなければ大丈夫、と伝えられています。しかし、メラミンが検出された、ということは、チェックをしていない、ということですから、やはりショックです。私も上記のメーカーの牛乳を毎日飲んでいましたから。

(注)粉ミルクの場合、水に溶いて飲むので、液体の牛乳と比較する場合には粉ミルクの検出値は10分の1くらいなると考えた上で比較する必要があります。

 上記に掲げた5つのメーカーは中国は最大手の乳業メーカーで、毎日、テレビでのコマーシャルをやったりしています。伊利は、北京オリンピックの食品提供メーカーでしたが、北京オリンピック、パラリンピックで提供された乳製品では、メラミンは検出されなかった、と報道されています。

 昨日(9月19日)時点で、私が行ったスーパーでは、蒙乳、伊利、光明の製品は牛乳、ヨーグルト、チーズも含めて全ての乳製品が撤去され、三元、雀巣と外国から輸入された乳製品だけが売られていました。少なくとも私が行ったスーパーでは、三元、雀巣と輸入ものは売られており品切れ状態にはなっていなかったので、乳製品が手に入らない、という状況にはなっていません。中国では、放牧などが盛んな地方を除いて、一般には、多くの人が乳製品を消費するようになったのは、最近、経済レベルが向上してからのことであって、中国の食生活は「乳製品がないと成り立たない」というわけではないので、乳製品全体の消費量が一時的に落ち込んでいるのだと思います。豆乳など代用になりうる商品もあるので、普通の大人の場合は、そんなに「パニック」にはなっていません。しかし、ミルクを与えなければならない赤ちゃんがいる家庭は大変だろうと思います。

 ニュージーランドの牛乳やヨーロッパから輸入したチーズは、中国産のものに比べて2倍~3倍程度の値段するので、普通の人が簡単に「輸入品に切り替える」というわけにはいきません。

 中国は食材が豊富なので、乳製品がなくても、しばらくは都会の消費者も我慢できると思いますが、牛乳生産農家はかなりパニック状態になっているのではないかと思います。日本の乳製品を原料として扱っている食品メーカーも問題となった中国の乳製品メーカーの製品を使っていないかどうかの確認に追われている、と報道されています。

 今回の調査結果を見ると、多くのメーカーの数多くの種類の製品からメラミンが検出されていることから、乳製品製造メーカーではなく、源乳納入業者のレベルでメラミンが混入された可能性が高いと思います。しかも、乳製品製造メーカーが多岐にわたり、地域的にも全国に散らばっているので、おそらくは、ひとつふたつの源乳納入業者がメラミンを混入したのではなく、中国全土に渡って、源乳量の「水増し」を図るために、幅広くメラミンの混入が日常的に行われていた可能性があります。その点で、日本で問題になった農薬入りギョーザ事件とは異なり、今回の乳製品へのメラミンの混入事件は、中国の食品産業の構造的問題に立脚した、相当に根が深い問題である可能性があります。

 もし今回の問題が、業者のモラルの欠如、行政による安全検査体制の不備(もう一歩突っ込んで言えば地方の業者と取り締まる立場の地方政府との癒着)など中国の食品産業の構造的問題に根ざしているのだとしたら、単に特定のメーカーの乳製品という特定分野に限った問題ではなくなります。特にメラミンについては、昨年、アメリカ等へ輸出されたペットフードへの混入が問題となりましたから、それを全く教訓としておらず、問題に真剣に取り組んで来なかった、という点で、中国国内でも行政当局への批判も高まっています。今回の乳製品へのメラミン混入事件については、中国政府も相当深刻に受け止めているようで、連日のように対策会議を開き、迅速な検査と結果の発表、問題のある製品の撤去を徹底しています。

 今日、9月21日から、北京では、オリンピック、パラリンピック期間中に続けられていた車のナンバー・プレートの偶数・奇数による通行制限がなくなりました。そのせいかどうかしりませんが、今日(21日)の北京には、また以前のようなひどい大気汚染が戻ってきています。国際的な経済環境も厳しさを増す中、オリンピック、パラリンピックで目立たなかった多くの問題がこれから次々に出てくる可能性があります。これから中国政府にとって正念場が続くと思います(今月25日には、中国で3回目の有人宇宙飛行(今回は中国で初めての宇宙遊泳の実施が予定されている)が予定され、テレビや新聞でもそのことが盛んに報道されているのですが、一般に生活している感覚からすると「それどころじゃない」という雰囲気です)。

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2008年9月 7日 (日)

偶数・奇数ナンバー規制続行論争

 北京では、現在、パラリンピックが終わった後の9月20日まで、自動車のナンバープレートの末尾番号が偶数か奇数かで北京市内での通行を制限する規制が続行中です(始まったのは7月20日)。この交通規制は、オリンピックとパラリンピック期間中の北京市内の交通渋滞の緩和と大気汚染の緩和のために行われている措置です。オリンピック期間の後半(特に8月15日)以降、大気汚染の状況が格段に改善されていることと、実際に北京市内の交通渋滞がかなり改善されていることから、この偶数・奇数制限をパラリンピックが終了した後も長期的に継続してもよいのではないか、との意見が多くの北京市民から出されています。新聞紙上でも、交通渋滞と大気汚染の緩和に効果があったのだから制限を継続すべし、という意見と、オリンピック・パラリンピックという国家的イベントがあったから特別に実施された措置であって、これを継続することは、社会生活や経済活動に影響があるから反対だ、という意見と両方が出されています。

 北京市当局は、9月5日の記者会見で、パラリンピック終了後の交通規制のあり方については、まもなく発表するが、9月20日以降にも偶数・奇数制限を延長するかどうかは現時点では未定である、と発表しました。

(参考)「新京報」2008年9月6日付け記事
「オリンピック後の交通規制緩和については、まもなく発表」
~北京市交通委員会によれば、9月20日以降の偶数・奇数制限をどうするかは未確定~
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2008/09-06/008@015534.htm

 当然ですが、これは自家用車を持っている人と持っていない人では、全く意見が異なります。自家用車を持っている人の中には、2か月間の限定だから、ということで、無理をして車を1台余計に借りて通勤している人もいます。会社などでは、余分な出費をして、業務用の車を調達しているところもあると思います。車を持っていない人は、交通渋滞もないし、大気汚染も改善したのだから、偶数・奇数制限は続けるべき、と主張しています。

 9月6日に発売された「経済観察報」では、中国では自家用車は高い買い物であり、その自家用車を1日おきにしか使えない、というのは、一種の財産権の侵害なのだから、これを継続するなどということはあり得ない、例えば家を買った人に「自分の家に泊まるのは1日おきに」などと言えるわけがないのと同じことだ、といった主張の投書が載っていました。「経済観察報」は、お金持ち層が買う新聞ですので、そういった主張の投書が載るのは、ある意味では当然のことだと思います。

 いろいろ論争をするのは結構なことですが、北京で経済活動をしている企業にとっては、9月20日まで、という期間限定という前提で対応してきた車の偶数・奇数制限が、もしかすると延長されるかもしれない、期限が切れる2週間前の9月5日の段階になっても、「その先どうなるか未定」としか発表されない、というのは困ったことだと思います。中国では、常に、こういった規則や規定が時間的余裕なく突然に決まったり変更したりすることが多いので、中国で経済活動を行う企業は、常にそうった「リスク」を頭に入れなければならないのです。これは一種の「チャイナ・リスク」のひとつであり、外国企業による中国投資にとってはマイナス要因のひとつなのですが、中国側はこういったことをあまり「マイナスだ」とは考えていないようです。本来ならば、9月20日まで、という期間限定の約束で始めた偶数・奇数規制は、ちゃんと9月20日に終了すべきなのが本来の姿だと思います。

 昨日、パラリンピックが始まったばかりで、少なくとも9月20日までは「スペシャル期間」が続きますが、それが終わった後、「オリンピック・パラリンピックのスペシャル期間」の最中にいろいろと我慢をしてきた人たちが活動を再開しますので、あちこちでいろんな意見が出てきそうです。ここのところ株価も不動産価格も低迷状態が続いているので、特に経済活動の中心を担っている「お金持ち層」の不満は結構溜まっていると思います。車の偶数・奇数制限をどうするかの判断も、そういった「お金持ち層」の不満と、「お金持ちでない層」の多くの市民の希望との間で、政府にとっては、ひとつの試金石的な判断になると思います。

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2008年8月31日 (日)

「素晴らしい青空が残った」ならいいなぁ

 昨日(8月30日)、東京から北京に戻りました。北京空港は、パラリンピック選手団の入国ラッシュで、各国の選手団でごった返していました。北京の街中でも、車イスに乗った外国人を見掛けます。パラリンピック選手村も昨日開村したそうです。

(参考)「新京報」2008年8月31日付け記事
「パラリンピック村、開村」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/08-31/011@072719.htm

 今日(8月31日)の北京は、抜けるような素晴らしい青空です。オリンピック閉会式翌日の8月25日は、午前中から大気汚染が戻ってきた感じで、「オリンピックが終わったらやっぱり元に戻るのか」とがっかりしたのですが、先週は後半に雨が降ったこともあり、「北京秋天」の名の通り、素晴らしい青空が戻ってきました。閉会式翌日の汚染は、私は、雨を降らせないように打ち込んだ「消雨ロケット」でばらまいたヨウ化銀が大気中を漂って汚染状態を引き起こしたのではないかと疑っています(開会式の翌日も大気汚染の状態は悪かったですから)。私は個人的には、自然をコントロールしようとする中国の考え方には、あんまり賛成しません。

 オリンピックは終わったけれども、今度はパラリンピックが始まるので、まだ「お祭り気分」は続いているようです。街のボランティア・ステーションも活動を続けています。ボランティアは、今までと同じように青いユニフォームを着ているのですが、よく見ると、オリンピックとパラリンピックではユニフォームのデザインがちょっと違います。オリンピックのボランティアが着ているユニフォームは、青を基調にして、肩のところにちょっと黄色と赤が入ったデザインなのでしたが、パラリンピックのボランティアのユニフォームは基調となっている青のほかは黄色や赤のアクセントが入っていません。染め抜きになっているマークも当然違っています。よく見ると街に掲げられている看板もオリンピック用のものからパラリンピック用のものに取り替えられています。パラリンピックが終わるまでは、北京の街は「特別イベント・モード」が続きそうです。

 ただ、パラリンピックの場合は、「国の威信を掛けてメダルを取る」といった「ギスギスした感じ」がないことと、まさかパラリンピックを狙ったテロなどは起きないだろう、といった安心感があることで、多くの人がリラックスして、やさしい気持ちで臨むことができるのではないかと思っています。

 今日の北京の青空は、北京市民に「オリンピックとパラリンピックで、やはり何かが変わったのだ」という実感を与えたと思います。逆に、パラリンピックが終わった後に大気汚染が戻ってきたら、「やればできるのだから、青空を返せ」と思うようになると思います。

 今のところ、オリンピックをきっかけにかなりオープンになったインターネット規制はオリンピック期間中の状態を維持し続けています(一時アクセス可能になったBBCホームページ中国語版の中にある掲示板は、オリンピック期間中にアクセス禁止になり、禁止の状態が今でも続いていますが)。そういったこともあり、現在の時点では、「オリンピック前とは変わった」という雰囲気は続いています。パラリンピックが終わっても、この状態が続いて、「オリンピックとパラリンピックは、北京に青空を残した」というふうになればいいなぁ、と思っています。

 なお、昨日(8月30日)の成田-北京便の飛行機もかなり空席が多く、乗客の占有率は5割~6割程度でした。日本側の不景気のせいなのか、中国国内の経済活動が不活発になっているからなのか、燃料費の高騰で観光客が減ったからなのか、原因はよくわかりません。「青空を残すこと」と「経済活動を依然と同じように活発なまま維持すること」を同時に達成するのは難しい課題です。「オリンピック、パラリンピック後の中国」を見るためには、まだしばらく状況を見守る必要がありそうです。

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2008年8月24日 (日)

北京オリンピックが教えてくれたもの

 あと3時間半もすると北京オリンピックの閉会式が始まります。大気汚染やテロなど心配な事項もあったのですが、問題なく無事にオリンピックは終了しそうです。競技そのものや競技と関係ないところで、今回の北京オリンピックは、いろいろなことを教えてくれたように思います。最終日の今日の時点で「北京オリンピックが教えてくれたもの」を思いつくまま、順不同で書いてみたいと思います。

○北京の大気汚染はコントロール可能だ、ということ。逆にいうと、やはり北京の視界の悪さ(太陽が白く見えることなど)は人為的な行為が原因であること。

 開会式の前までは、かなり蒸し暑く、湿度も高くて、大気汚染指数も100に近い日が続いたのですが、開会式の後、大気汚染指数はだんだんと下がり、数日おきに雨が降ったことも幸いして、後半(特に8月15日以降)は、北京の大気汚染はほとんど問題のないレベルにまで好転しました。心配された男女のマラソンも大気汚染は全く気になりませんでした。やはり市内を通行する自動車のナンバープレートの偶数・奇数による制限と周辺の工場の排出制限が効いたようです。もう1週間くらい規制の開始を早めれば、開会式当日から青空が見えていたかもしれません。

 別の言い方をすれば、日頃、北京で、空が晴れていても、青空にならず、空が白くなって、太陽が丸く白く肉眼で凝視できるような状態になっているのは、やはり人為的な汚染物質の排出による大気汚染が原因であったことが逆に証明されたと言えます。

 今日(8月24日)付けの「新京報」によると、自動車の奇数・偶数規制が大気汚染の改善に効果があり、渋滞の緩和にも繋がったことから、現在の規制の期限であるパラリンピック終了後の9月20日の以降も自動車の運用規制は継続すべきではないか、との議論が出ているとのことです。

(参考)「新京報」2008年8月24日付け記事
「奇数・偶数規制の長期的実行については、まだ結論が出ず」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/08-24/008@032613.htm

 しかし、多くの北京市民は2か月間という限定付きであり、オリンピック・パラリンピックの開催という国家的イベントだからこそ我慢したのであり、これを長期的に続けることには賛成しないでしょう。そもそも多くの企業が経済的負担を我慢してこの奇数・偶数規制に協力しているのですから、これを長期的に続けることには無理があると思います。

○インターネット規制は、やはり当局が意図的に行っているものであり、当局のさじ加減で、いかようにもなるということ。

 7月最終週以降のインターネット規制の大幅緩和にはびっくりしました。BBCホームページの中国語版は、規制解除するだろうとは思っていたのですが、ウィキペディアの中国語版や中国国民党のホームページまで見られるようになったのには驚きました(ただし、BBCホームページ中国語版の特定の話題に関する掲示板の部分や中国国民党ホームページの一部の項目については、現在でもアクセスできないように規制が掛けられたままです)。いずれにせよ、当局側がインターネット規制を行っていることを公式に認めたことと、当局のさじ加減により、この規制がいかようにも厳しくも緩くもできる、ということが世界中に知れ渡っただけでも、北京オリンピック開催の意義はあった、と私は思っています。

 この後、また規制が強化されるかもしれませんが、少なくとも、中国の人々の多くは、今まで自分たちが見られなかった中国語のページが世界にはたくさん存在していたのだ、ということをこのオリンピック期間中知ることができたと思います。

○「中国のニセモノはケシカラン」といつも言っている外国人が喜んで「ニセモノ市場」で買い物をしていたこと。

 北京でも「ニセモノ市場」として有名な「秀水街」はオリンピック期間中たくさんの外国人客が入り、相当儲かったそうです。「秀水街」は、もともとは露天の衣類・雑貨商が並んでいた街で、あまりに有名ブランド品のニセモノ類の販売が多かったことから、当局が露天商を追い出して、大きなビルを建てたところです。ビルが建った後、追い出された露天商が今度はビルのテナントとして戻ってきて、相変わらずニセモノの販売が行われるようになりました。当局ももともと「ニセモノ販売をなくそう」などとは当初から考えていなかったのではないかと思います。

 ということで、「秀水街」は今でも「ニセモノ市場」として有名で、北京の観光スポットのひとつになっています。時々「ニセモノ販売テナント追放」の取り締まりがあるのですが、取り締まりが行われた後で行ってみると、取り締まりの前にニセモノを販売していたテナントが同じようにニセモノを売っており、「当局はいったい何を取り締まったのだろう」と思わせる不思議な場所です。

 ニセ・ブランド品や海賊版DVDなどは海外から厳しく批判されているのですが、買っている客の多くは外国人観光客です。今回オリンピックのために北京に来た外国人も多くここを訪れているようです。報道によれば、ブッシュ元大統領(父親の方)もここを訪れたとのことです。これだけ外国人のお客が多く集まってきて儲かるのだったら、ニセモノ作りはやめられないよなぁ、と思いました(なお「秀水街」は、ニセモノ市場として有名ですが、絹製品や工芸品など、普通の中国のおみやげ物もたくさん売っているところですので、誤解なきように)。

○メダルを獲得する国々が広く拡散したこと。

 今回、インドやモンゴルなど初めて金メダルを取った国が多く出ました(今までインドがオリンピックで金メダルを取ったことがなかった、ということ自体驚きでしたが)。陸上短距離でのジャマイカ勢の活躍は度肝を抜かれましたし、陸上長距離でのアフリカ勢の活躍も目に付きました。以前は、多くの発展途上国は経済的にスポーツをやる余裕がなく、優秀なスポーツ選手はアメリカに移住して、アメリカにメダルをもたらしていたのが、最近では各国とも自国内でスポーツ選手の育成を図るようになり、そのために多くに国々にメダルが拡散した(その分、アメリカのメダル数が伸びなかった)と言われています。発展途上国では、オリンピックでメダルを取ることは、それぞれの国民の励みになりますので、これはよい傾向だと思います。

○日本人が日本以外のメダルに貢献していることを知ったこと。

 井村雅代コーチの指導により日本を押さえて銅メダルを獲得したシンクロナイズド・スイミング中国チームや、高校・実業団と日本でトレーニングして男子マラソンでケニアに初の金メダルをもたらしたワンジル選手など、日本人が他国のメダル獲得に貢献した例がこのオリンピックでは目立ちました。他国でスポーツのコーチをしたり、若い外国人が日本でトレーニングしたりすることは今までも多くあったと思いますが、今回の北京オリンピックは、そういう形で果たしている日本の役割を再認識させてくれました。日本人がメダルを取ることも大事なのでしょうが、他の国のスポーツの向上に貢献するという面で日本が役割を果たすのも悪くないことだと思いました。

○観客の声援は選手の力になるということ。

 それにしても、率直に言って、北京オリンピックにおける中国選手の活躍は見事でした。メダル総数ではアメリカの方が多いのに、金メダル数では中国の方が圧倒的に多いのは、大勢の観客の「加油!」(がんばれ)という声援が選手に最後に振り絞る「一押し」を与えたからだと思います。私は、多くの中国の人々の期待が大きい分だけ、選手にプレッシャーが掛かり、中国選手は意外に成績が上がらないのではないか、と心配していたのですが、(日本に負けた女子サッカーなど期待が重圧になっていた種目もありましたが)多くの種目では、選手は中国の人々の期待をうまく自分の力に加えることができたように思います。プレッシャーを力に変える、という精神面での調整もうまく行ったのでしょう。中国の選手の中には、東京オリンピックで銅メダルを取ったマラソンの円谷選手(後に次のメキシコ・オリンピックを前に成績が振るわないことを苦にして自殺した)のような悲壮感を漂わせたような選手はいなかったように思います。

 開会式翌日の8月9日、中国最初の金メダルを獲得した女子重量挙げ48kg級の陳燮霞選手が鬼のような形相でウォーと声を上げて気合いを入れて試技を行い、それが成功だとわかり、バーベルを降ろした途端に「普通の女の子の顔」に戻ってワーと声を上げながらコーチの首根っこに抱きついてきたシーンが今でも私の目に焼き付いています(日本のテレビでは、6位に入賞した三宅宏美選手の試技が終わった時点で中継を終了したので、このシーンは日本では放映されていないはずです)。圧倒的な強さで平然と金メダルを獲得しているように見える中国の選手も、相当なプレッシャーと戦っていたのだと思います。

 また、これまで中国は個人技で獲得するメダルが多かったのですが、女子バレーボールの銅メダル、女子ホッケーの銀メダルなど団体で行う球技でのメダル獲得が相次いだのは、中国にとっては大きな収穫だったと思います。

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 私は結局は試合会場へは行かずにテレビ観戦に終始しましたが、競技の時間帯が午前中と夕方以降に集中していたので、テレビでかなり見ることができました。欧米で行われるオリンピックと違って、時差がないのはやはり助かりました。中国のテレビを見たり、NHK-BS1またはNHK-BSハイビジョンで見ていたのですが、NHKの北京オリンピックのテーマ曲、Mr. Children の「GIFT」という曲はよかったですね。「白でも黒でもない」「日差しでも日陰でもない」ところに美しい色がある、という趣旨の歌詞が感動的でした。日本はアテネに比べてメダルの数が少なかった、という批判もあるようですが、スポーツには勝つこともあれば負けることもあります。勝敗を超えた大きなたくさんのものをこの北京オリンピックは残してくれたと思います。

 そして一番大事なのは「国家的イベント」として国の威信を掛けて行われたこの北京オリンピックが「なんとしても成功させる」と意気込む指導者たちの思惑とは全く関係なく、多くのものを中国の人々の中に残したことでしょう。中国にとって「オリンピック後」をどう乗り切っていくかが大変だと思いますが、北京オリンピックが中国の人々の中に残した財産は大きいと私は思います。

 北京オリンピックに参加した全ての選手と北京オリンピックの運営に参加した全ての人たちに感謝の意を表したいと思います。

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2008年8月22日 (金)

このまま「夢」が現実として続いて欲しい

 つい先ほど、北京オリンピック陸上男子400mリレーで、日本チームが銅メダルを獲得しました。NHKの放送の解説者は、日本がトラック競技でメダルを獲得したのは80年振りだ、と言っておられました。今回は金メダルはジャマイカ・チームでしたが、このジャマイカ・チームの活躍は歴史に残るでしょう。競泳の最終日にあった400mメドレーリレーでも、8冠のフェルペスを擁するアメリカ・チームの横で日本チームは銅メダルを取ったわけですが、この二つのレースは、金メダルが歴史的なものであるだけに、このレースのシーンは、これから何回も歴史の一シーンとして繰り返し映し出されることになるでしょう。それとともに日本の銅メダルも今後長い間語り継がれることになるでしょう。

 今日の北京の天気は素晴らしい快晴でした。夕方の夕日もまぶしく輝いていました。東京では普通のことなのでしょうが、北京の夕方のまぶしい夕日は、とても新鮮に感じます。今日(8月22日)の北京の大気汚染指数は36の「優」でした。ここのところずっと「優」の日が続いていますが、これは近年にない汚染の少ない8月です。オリンピック期間は、開会式前後は、かなり大気汚染があったのですが、その後徐々によくなり、後半はほとんど大気汚染は気にならなくなりました。オリンピックが終わっても、このような青空とまぶしい太陽が「夢」ではなく現実のものとして続いて欲しいと思います。

 オリンピック前に大幅に解禁されたインターネット規制ですが、今日、試しにアクセスしてみたら、なんと北京から中国国民党のホームページにアクセスできました。

(参考)中国国民党のホームページ
http://www.kmt.org.tw/

 上記のURLを見ておわかりのように、当然ですが、上記のページは台湾にあるサーバー上にあります。この中国国民党のホームページは、英語版、中国語版、日本語版がありますが、中国語版では、今日(8月22日)現在、「馬英九総統」の就任記者会見の動画を見ることができます。当然中国語ですから、ここにアクセスした中国大陸の人は「馬英九総統」の話を直接聞くことができるのです。これは、画期的というより革命的なことだと私は思います。(インターネットは自由に世界を結ぶものなのですから、外の世界と繋がって「革命的だ」と感激すること自体、本来はおかしいんですけどね)。これは「オリンピック・スペシャル」の一時的なものなのでしょうか。それともオリンピックが終わってもずっと続くのでしょうか。

 今回の北京オリンピックでは、日本は、メダルの「数」の点では物足りないところがあるのでしょうが、上に書いた男子陸上400mリレーの銅メダルとか、ソフト・ボールの金メダルとか、フェンシングの太田選手の銀メダルとか、歴史的なメダルが多かったように思います。もし、北京オリンピックが「歴史的なオリンピック」となるのであれば、大気汚染の改善とかインターネット規制の緩和とか、「夢」のように変わった北京の現状の一部分が、オリンピックが終わった後も「夢」ではなく、現実のものとして、ずっと続いて欲しいと切に願いたいと思います。

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2008年8月17日 (日)

女子マラソン・北京でのテレビ観戦記

 今日(8月17日)、北京時間朝の7:40スタートの北京オリンピック女子マラソンを中国中央電視台第2チャンネルで見ました。マラソンは、チケットがなくても沿道で応援することは可能なんですが、コースのどのあたりが見やすいスポットなのかよくわからなかったし、そもそも日曜日の朝7:40スタートいうのは起きるのがなかなかつらいので、テレビ観戦にしました。今日は大気汚染もほとんど気にならず、気温もかなり低めでした。ちょっと小雨が降りましたが、マラソンにとっては直射日光が差すよりはコンディションとしては良かったのではないでしょうか。

 日本選手のメダルはなりませんでしたが、土佐礼子選手は故障があったようですし、中村友梨花選手は初めてのオリンピックのマラソンでの13位は収穫があったのでないかと思います。トップはルーマニアのトメスク選手のぶっちぎりの優勝でしたが、2位争いは中国の2人とケニアの2人のしのぎあいが、まるで「チーム戦」のような迫力がありました。

 テレビの中継放送は、基本的に国際映像として撮影ものが中継されていますので、日本で放映された映像と北京で私が見た映像とに違いはないと思います。午後にNHK-BS1でも録画放送をやっていたのも一部見ましたが、違いとして感じたことを書いておきたいと思います(演出として、選手の走る姿のスローモーション映像が多用されていましたが、これは中国国内で放送されたものと、外国へ送信されたものとは、たぶん同じものだったろうと思います)。

○中央電視台ではスタートから最初の30分間程度が中継されなかった。

 今朝7時代の中国中央電視台第2チャンネルでは、「今日の試合の見どころ」などをスタジオから放送していました。その中で、女子マラソンの中継は7:30から開始します、と予告がありました。7:30になると、過去のオリンピック・マラソンの勝者の紹介が始まり、続いて期待される中国選手の紹介があり、その後コマーシャルに入りました(中国中央電視台は国営のテレビ局ですがコマーシャルが入ります)。そのコマーシャルが長々と続き、7:40を過ぎてもコマーシャルをやっていました。おかしいなぁ、何かの都合でスタートが遅れているのかなぁ、と思って見ていたら、7:50頃になって、またカメラはスタジオに戻ってしまいました。で、「それではここで昨日の競泳の様子を見てみましょう」とアナウンサーが言って、昨日の競泳の試合のビデオが流れ始めました。女子マラソンの中継がどうなったのか、何か説明したのかも知れませんが、私の中国語ヒアリング能力はからきしダメなので、そういった説明が何かあったようには聞こえませんでした。

 8:00を過ぎても昨日の競泳のビデオが流れ続けているので、「何か不測の事態でも起きたのかもしれない」と思ってパソコンを立ち上げて見たら、日本のネットのニュースの速報では「女子マラソン・スタート」と出ていました。レースはスタートしていたのに、中央電視台の中継が始まっていなかったのです。おかしいなぁ、と思ってほかのチャンネルに切り替えたりしていたのですが、8:10頃に中央電視台第2チャンネルに戻ってみたら、前門から天安門前広場あたりを走っている選手団の映像が映っていました。それから後は、おそらく日本の皆さんが御覧になったのと同じような正常なマラソン中継でした。

 私は、どこかマラソン・コースの沿道で、観客が中国としては認められない旗や横断幕などを掲げる、といったトラブルがあったのかなぁ、と思いました。もしそういう「事件」があっても、中国のメディアでは報道しませんが、もし何かあったら、外国のメディアはすぐに報道するはずです。それで、CNNやBBCを見たり、ネットで日本のニュースを見たりしましたが、そういった「事件」があったとはどこも報じていません。日本で中継を見ていた人に電話で聞いてみたら、特段そういった「好ましくない」状況はなかった、とのことでした。

 そもそもスタート地点の天安門前広場は、一般観客は立ち入り禁止にしていたはずで、スタート時点では、旗や横断幕を掲げるような「事件」や「トラブル」は起こりようがなかったはずです。そういった状況を考えると、中央電視台の中継機器関連で何らかの技術的なトラブルがあったのかもしれません。それにしても、日本への国際映像の送信は問題なく行われていたわけですので、なぜ中央電視台で最初の30分間の中継がなかったのかは、今のところナゾです。明日の新聞に何か情報が載るかもしれません。

○中央電視台の中継では小さくBGMが入っている

 中央電視台の中継では、周囲の観客が応援する声も聞こえているのですが、それに重ねて「雰囲気を盛り上げるような」音楽が音量は小さいですけれども流れていました。このBGMは、NHK-BS1では流れていなかったので、中央電視台の方で入れたのだと思います。BGMを入れた意図は不明です。沿道から「好ましくない声援」が聞こえた時にそれを打ち消すため入れた、などと「勘ぐる」のは「勘ぐり過ぎ」なんでしょうね。

○コマーシャルがちょっと多過ぎ

 女子マラソンは2時間半ちょっとの中継なので、途中でのコマーシャルはなしで中継するのだろうなぁ、と思っていたのですが、中間点をちょっと過ぎたあたりと、30キロを少し過ぎたところでコマーシャルが入りました。また、ゴールまであと数キロというところで、スポンサーのロゴが入った「各国メダル獲得数速報」が入りました。中央電視台は国営テレビなのですから、オリンピックのマラソン中継くらいコマーシャルなしで放送して欲しかったと思います(中国のネットの掲示板でも、この点の不満を感じた人の書き込みがありました)。

○やっぱりマラソン選手は速い

 今回のコースは、天安門前→天壇公園→天安門前→西単→中関村→北京大学キャンパス→清華大学キャンパス→国家スタジアム(鳥の巣)というコースでした。ほとんど知っているところばかりだったのですが、改めてマラソン選手の速さに驚きました。天安門は北京市街地のど真ん中、北京大学・清華大学は北京市街地の北西のはずれで、車で移動する場合でも「相当に遠い」と感じる場所です。平日の夕方だったら、同じコースを車で移動したとすると(もっとも天壇公園の中には車は入れませんが)、2時間半以上掛かる可能性が高いと思います。

○思ったより選手の近くで一般観客が選手を見られた、と感じた

 天安門前広場あたりにいた人たちは、限られた「選ばれた者」であって「一般観客」ではないと思いますが、天壇公園から永定門へ向かうまでの間や中関村あたりでは、明らかに「一般観客」と思える人たちが、私の予想よりは近くまで来て、選手を応援していました。警備担当者が10メートル間隔に1人程度いる、といったことは、私としては「想定の範囲内」でしたので気にはなりませんでした。私は沿道もかなり遠くのところまで警備担当者によって立ち入り制限がなされ、テレビの画面に「一般観客」が映らないくらいなのじゃないか、と思っていました。天安門前広場などは、その予想通りでしたが、中関村あたりでは、白い柵やテープで観客が飛び出さないように仕切られてはいましたが、選手の走るコースの割と近くに「一般観客」が近寄れる場所があったなぁ、というのが私の感想です。テレビの画面にも「一般観客」が随分たくさん映りました。

 天安門前広場周辺にいたのは「選ばれた人たち」(別の言い方をすれば「サクラの観客」)だと思いますが、中関村あたりにいたのは、サクラじゃないと私は思います。

 なお、北京大学と清華大学のキャンパスの中にもたくさんの応援団がいましたが、キャンパスの中にいたのは学生や大学関係者で「一般観客」ではないと思います(たぶん大学のキャンパス内には大学と関係のない「一般客」は入れなかったと思うので)。

○あんまり「北京観光案内」にはならなかった

 北京市内の観光スポットをつなげたようなマラソンのコースを見て「これはテレビ中継は、選手を撮す、というよりは『北京観光案内』になるのじゃないかなぁ。」と思っていましたが、そうはなりませんでした。極めてまじめなマラソンの試合の中継でした。

 ポイント、ポイントで有名な建物などの紹介映像はありましたが、中南海(中国共産党本部)の前などは、ほとんど知らないうちに過ぎてしまった感じですし、北京大学、清華大学に入る時も、大学名の入った門を撮したり、由緒ある建物を撮したり、といった工夫はあまりやっていませんでした。上に書いたように中央電視台では最初の30分間は中継をやっていなかったので、天壇公園の中でどういうアングルで映像を撮っていたのか、私は見られなかったのが残念です(天安門や故宮もそうですが、天壇公園もユネスコの「世界遺産」の一部です)。

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 なお、今日の女子マラソンの試合の際は、大気汚染は心配したほどではなかったと私は思うのですが、国家環境保護部のホームページの「重点都市大気汚染指数」のページには、今日(8月17日)はデータが載っていません。基本的には、毎日午後には、その日の大気汚染指数がこのホームページ上で公開されるのですが、時々、ページにデータが載らなかったり、最新のデータに更新されなかったりすることが起きます。オリンピック期間中は確実に毎日ホームページ上のデータは更新されるだろう、と思っていたのですが、今日はダメでした。普通、何日かすると、過去の分も含めて一括してデータが更新されるので、数日たてば今日の大気汚染指数も見られるようになると思います。私の感覚では、今日の大気汚染指数は40台~50台程度だったのではないかと思います

※私の感覚では、視界は問題なかったのですが、ちょっと自動車の排ガスのようなにおいがあったので、少ないけれども一定の汚染はあったと思います。

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2008年8月15日 (金)

夏休みの時期の不動産屋さんの必死の営業

 今日(8月15日)の北京は抜けるような青空でした。昨日の雷雨で大気汚染がすっかり洗い流された上に、今日は湿度が低かったので、遠くの方までスッキリと見えました。空も青々としており、「北京でもこういう青い空が見られるんだ!」と感激しました。太陽も夕方になってかなり傾いているのにギラギラとまぶしく、真っ直ぐな強い光を放っています。「太陽ってこんなにまぶしいんだ!」という感覚は日本に帰るたんびに感じるのですが、それを今日は北京で感じることができました。今日の北京の大気汚染指数は17、即ち最もよいランクの「優」でした。多くの中国の人が「オリンピックの開会式があと1週間遅かったら、世界中の人々に北京の大気汚染についてどうのこうのと言われることはなかったのに」と思っているでしょう。あさって日曜日の朝は女子マラソンがありますが、この調子ならば、女子マラソンの時に大気汚染について心配する必要はなさそうです。

 昨日の大雨で、ボート競技やテニス、野球の試合の一部などが順延になりましたが、北京市街地の道路の水没等の影響はなかったようです。

 さて、日本でも報道されていますが、中国国内の観光地のホテルや国内航空賃、それに北京市内のホテルや短期貸し付け住宅などが、予想よりお客が大幅に少なくなっているようです。

 先週から今週に掛けて、日本企業の駐在員等を相手にしている複数の北京の不動産屋さんから営業の電話がありました。お話がしたい、として営業の方がわざわざ来て、物件リストなどを置いて行ったところもあります。普通、日本企業の多くは8月中旬はお盆の時期で休んでいる人もいるし、人事異動の季節でもないので、通常の年なら8月中旬は日本人駐在員の住居などを世話する不動産屋さんはあまり活発に商売をする時期ではありません。

 去年の後半から今年の前半に掛けて、多くのアパートメントで「8月のオリンピック期間を含む期間の賃貸契約を結びたいなら、価格はこれだけ上げさせてもらう」という大家さん側の強気の賃貸料値上げ要求があった、と聞きました。引っ越しをしたくなくて高めに設定された賃貸料を飲んだ人もいますし、「そんなの理不尽だ」と反発して別のアパートメントに引っ越しした人もいます。大家さんの方では、大幅賃貸料引き上げを要求して、店子が出て行った場合には、その部屋をオリンピック期間中の観光客目当てに短期貸しをしようともくろんでいたものと思われます。しかし、実際は、マンションの短期貸し出しはおろか、普通のホテルさえガラガラの状況で、賃貸料値上げ要求をした大家さんは、空き室を抱えて困っているのだろうと思います。そこで、多くの不動産屋さんが、多くの人がオリンピックに夢中になっている普通なら夏休みの真っ最中のこの時期に、必死の営業活動をやっているのだと思います。

 中国国内での観光客が意外に少なかったり、北京でのホテルの予約が埋まらなかったり、短期借り上げマンションにお客が付かなかったりする理由はいろいろあるでしょうが、考えられるのは以下の点です。

・原油価格の高騰により、国際航空運賃にかなりの額のサーチャージが掛かるようになったために、外国から来るオリンピック観戦客が予想外に少なかったこと(中国国内から北京に来る客に関しては中国の国内航空賃は暴落していますから、この理由は当たらないと思います)。

・四川大地震により中国全体に「観光をする雰囲気ではない」という心理が働き、中国各地から北京にオリンピック観戦をしに来る人が少なくなったこと。

・チベット騒乱、新疆ウィグル自治区でのテロの動きなどにより、外国人に対するビザの審査が厳しくなり、外国人観戦客が予想外に少なくなったこと。

(注)日本人は2週間以内ならばビザなしで中国に入れますが、現在、中国へのビザなし短期渡航が認められているのは、日本とブルネイだけです。従来、シンガポールからは短期滞在はビザなしでもよかったのですが、この7月からビザが必要になりました。中国の当局がビザの発給をどのくらい抑制しているのかわかりませんが、安全確保や中国国内でのデモなどを防ぐため、いつもより厳しくビザの発給がチェックされている可能性があります。ただし、ビザなしで入国できる日本人の観戦客も予想よりだいぶ少ないので、これはメインの理由ではないかもしれません。

・チベット騒乱、四川大地震、新疆ウィグル自治区でのテロ等で、中国国内の有数の観光地に行きづらくなり、オリンピック観戦をからめた観光旅行ツアーが組みにくくなったこと。

・北京のホテル代や短期貸し出しマンションの価格がべらぼうに高く設定されていたため、それを伝え聞いて、北京に来るのをあきらめた外国人や中国国内の人が多かったこと。

・オリンピック委員会関係者やスポンサーがチケットのかなりの部分を押さえてしまったため、一般に売り出されるチケットの枚数が少なくなり、チケットを入手できなくて北京での観戦をあきらめた人が多かったこと(オリンピックが始まってから今まで、多くの会場で空席が目立っていることを見ると、この理由はかなり大きいのではないかと思います)。

・世界的な不況で中国旅行をする余裕のある外国人が少なくなったこと。また、中国国内でも株や不動産の価格の低迷、輸出産業の不振などで経済的に余裕のある人も財布のヒモを締めてしまい、多くの人が北京での観戦はあきらめてテレビ観戦に回ったこと。

 四川大地震や原油の高騰がオリンピック直前に起きたことは中国にとって極めて不運だったと言えます。世界的な不況やそれを受けて中国国内経済にもブレーキが掛かりつつある現状も、タイミングとしては中国にとって「不運」と言えるかもしれません(ただし、オリンピック後、中国経済の中のバブル的な部分ははじけるだろうことは多くの人が予測していましたから、この程度の中国国内の経済の減速は「想定の範囲内」と言えるのかもしれません)。

 チベット騒乱や新疆ウィグル自治区でのテロは、むしろオリンピックの機会を捉えて世界の世論を喚起しようという考えに基づいて意図的に起こされたものなので、「不運」という言葉で表現するのは不適切ですし、この問題は根が深い問題で、何か措置を講ずれば事前に防げたはず、といった性質のものではないと思います。

 北京のホテルや短期貸し出しマンションの価格設定を高くし過ぎたこと、チケットを関係者やスポンサーが多く押さえ過ぎたこと、の二つは、私はちょっと「やり過ぎ」だったのだと思います。特にチケットについては、日本などでは「あんなに空席があるのだったら、観戦に行きたかった」と思った人が多いと思います。

 中国政府は、北京オリンピックを安全かつ円滑に運営し、その中で中国の選手が活躍してくれることを最大限の目標にしていますので、中国政府にとっては、オリンピックを機会に「ひと儲けしよう」と思っていた人たちの当てが外れたとしても、「そんなこと知ったこっちゃない」ということなのでしょう。

 オリンピックの時期に楽しく観戦できずに必死に営業活動をしている不動産屋さんは、ちょっと気の毒だとは思いますが、私に言わせれば、オリンピック時期のホテル価格や短期貸し出しマンションの価格の設定の仕方があまりに非常識だったので、ある程度「自業自得」の部分があると思います。オリンピック終了後、こういったホテル業界や観光業界、不動産業界の「当てがはずれた」部分をきっかけとして、中国経済全体が急激に縮小することにならないよう願っています。中国政府には、オリンピックの成功ももちろん重要なことですが、オリンピック後の中国経済がおかしくならないよう、経済運営の方もうまくコントロールして欲しいと思います。

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2008年8月11日 (月)

キッシンジャー氏の北京の休日

 今日(8月11日:北京オリンピック第4日)の北京の大気汚染指数は37でした。今日は曇りでしたが、昨夜雷雨が降ったので、汚染がきれいに洗い流されて、空気はスッキリしていました。

 今日(8月11日)昼間、北京市内でアメリカのブッシュ大統領一行の車列を見掛けました。前後の交通を完全に遮断して、パトカー先導で長い車列が続きました。ブッシュ大統領は、7日夜に北京に入った後、8日の開会式に出席し、10日に胡錦濤主席や温家宝総理と会見しましたが、その他の時間は、いろんな試合の観戦をしていたようです。昨日(8月10日)夜は、バスケットボールの中国対アメリカの試合を観戦していました。今日(11日)北京を離れたようですが、北京に4泊したわけです。8日の午前中に北京に入り、首脳会談を行った後、開会式(日本時間9日午前2時過ぎまで掛かった)に出席して、北京に1泊もしないでそのまま夜中に北京から長崎に移動して9日11時(日本時間)に行われた長崎の原爆祈念式典に出席した日本の福田総理の忙しさとは比べものにならないほどの優雅な北京の旅でした。今は、まぁ、夏休みの時期ですけれども、来年1月の任期切れを前にして「そろそろ営業終了の時刻」の感じがミエミエのブッシュ大統領の日程でした。

 8月11日付けの新聞ではブッシュ大統領の隣に中国の楊潔外交部長、その隣に父親のブッシュ元大統領、ブッシュ大統領の後にニクソン大統領(共和党)時代の大統領特別補佐官・国務長官のキッシンジャー氏という超大物が揃ってバスケット観戦に興ずる姿の写真が報じられました。その写真の中で、キッシンジャー氏は、手にミネラルウォーターのペットボトルを持って、リラックスした感じで試合を見ていました。

 キッシンジャー氏は、1971年7月、東南アジア歴訪の最後に訪れたパキスタンで「体調を崩してカーン大統領の別荘で休養する」と称して報道陣の前から姿を消し、そのままパキスタンの空軍機で隠密裡に北京へ入って当時の周恩来総理と極秘会談を行うという「忍者外交」を行ったその人です。極秘会談終了後、ニクソン大統領は「来年5月までに自分が北京を訪問する」という演説を行い、世界を驚愕させたのでした。翌年、1972年2月、ニクソン大統領は北京を訪問しました。それはちょうど日本の札幌で冬季オリンピックが行われた直後のことでした。

 ニクソン大統領が北京空港で大統領専用機を降りた時、周恩来総理は非常に硬い緊張した表情で出迎えニクソン大統領と握手した時のニュース映像を私はよく覚えています。当時、アメリカはベトナム戦争で苦しんでいました。中国は中ソ対立でソ連からの圧迫に脅威を感じていました。「敵の敵は味方」の論理で、アメリカと中国との利害が一致した結果のニクソン大統領訪中でした。その時、私は中学生でしたが、「世界は変わる」とニクソン訪中のニュースを見て感じていました。その年の9月、日本の田中角栄総理が訪中して日中国交正常化がなりましたが、北京空港で田中総理を出迎えたときの周恩来総理は、非常ににこやかでリラックスした感じでした。まさにニクソン訪中こそが「のるかそるか」の歴史の転換点であり、田中総理の訪中は、ニクソン訪中により転換した時代の流れに乗った自然の出来事だった、ということを印象付けるような周恩来総理の表情でした。

 あれから36年。ブッシュ大統領は、北京入りする日の午前中、中国に入る前の訪問国タイのバンコクで、中国の人権政策の是正を希望する旨の演説を行いました。その中で、父親の元ブッシュ大統領に同行して1975年に最初に中国を訪問したときの印象を語り、既に世界に大きな影響力を持つに至った中国は、自らの行く道を自ら判断すべきだ、と強調していました。この演説は、今回の訪問で父親のブッシュ元大統領やキッシンジャー氏を同行していることを意識したものだったと思います。今回、1972年のニクソン訪中を思い起こさせるような人物を同行させ、またそれを意識させるような演説をして北京入りしたブッシュ大統領には、アメリカ国内に「共和党政権の中国政策の勝利」を印象づけて、秋の大統領選挙にプラスにしよう、という意図があることは明らかでした。

 ただ、そういった政治的な「駆け引き」を差し引いても、私は、個人的には、リラックスしてオリンピック観戦をするキッシンジャー氏の姿が非常に印象に残りました。この36年間、中国の歴史は決して平坦ではなかったけれども、確かに前へ進んだのは事実だ、と感じたからです。中国を巡る現在の諸般の事情を踏まえれば、アメリカの大統領一行がそんなにリラックスして北京オリンピックを観戦していていいのか、という批判もあると思いますが、「打倒米帝(アメリカ帝国主義)!」と大きな声でスローガンを叫んでいた文革時代に比べれば、中国の歴史が前に進んでいることは事実です。

 私は20年前にも北京に駐在していましたが、今回の北京オリンピックの運営その他の様々な対応状況を見て、中国は、20年前にできなかったことを今きちんとこなしている、と実感しています。20年前の中国には、これだけ大きな国際イベントをホストする余裕はとてもありませんでした。それだけに、社会の状況がそれだけ進歩しているのに、政治の状況が20年前と全く変わっていない(というより1989年の時点でむしろ逆転してしまった)のが残念でなりません。社会の状況も変化しているし、人々の感覚も明らかに進歩しています。北京オリンピックをうまくやり遂げることで、その「人々の感覚」は「自信」へと繋がるでしょう。社会や人々の感覚と政治システムのアンバランスは、もうこれ以上乖離(かいり)できないような臨界点に達していると思います。

 北京オリンピックをうまくやり遂げた自信を持って、ブッシュ大統領がバンコクで演説したように、中国が自らの判断で自ら歩む道を選択し、そういった「アンバランス」の是正へ向けて少しでも前進するよう私は願っています。

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2008年8月10日 (日)

テレビ・新聞はオリンピック一色

 中国中央電視台は、普段は経済ニュースをやっている経済チャンネルもオリンピック中継をやっているので、テレビはオリンピック一色という感じです。新聞もほとんどオリンピックの話題一色です。開会式の直後は、人民日報が「号外」を出しましたが、人民日報が「号外」を出したなんて、史上初じゃないかと思います。いずれにせよ、新聞を一杯にするほど、実際、中国の選手が活躍しているので、うらやましい限りです。テレビを見ていても、やっぱり観客の応援というのは選手にパワーを与えるようで、あまり期待されていなかった種目や選手でも、力を発揮している中国の選手は多いように見受けられます。

 大気汚染の方は相変わらずで、8月10日の北京の大気汚染指数は82でした。自転車のロードレースもやったけれども、大気汚染に文句を言う選手や大会関係者もいなかったようなので、「なんとかなった」ということなのでしょう。もっとも「空気の状況がどうの」とか「蒸し暑い」とか何とか文句を言うような人はオリンピックでは勝てないんでしょうね。今日(8月10日)は、夕方から夜に掛けて雷雨が降っているので、明日以降は大気汚染は改善される可能性があります。

 街を歩くと、公安の車がやたらと多いし、とにかく腕に紅い腕章を着けた治安ボランティアが大勢います。大通りだと100メートルにこういったボランティアの人たちが一人立っている感じです。学生さんとか居民委員会(町内会のようなもの)の人なのでしょうが、こういう形で「自分も北京オリンピックの運営に参加した」と実感するのも悪くない、と思っているのではないでしょうか。8月9日に北京の鼓楼で起きたアメリカ人観光客(バレーボール・チームのコーチの親族)殺害事件、8月10日未明に新疆ウィグル自治区クチャで起きた爆弾襲撃事件は、新華社などで伝えられていますが、オリンピック関係記事が圧倒的に多いので、完全に埋没してしまっている感じです。少なくとも、現在、北京にいる人たちは、オリンピックのお祭り気分に酔っている感じなので、北京で治安上の大きな事件が起きるような雰囲気はありません。

 試合の運営も大きなトラブルはなくうまく行っているようです(小さなトラブルはあるのでしょうが、そういうのはあまり報じられないだけかもしれませんけど)。開会式終了後の観客の帰宅輸送も問題なく行われたようで、今日(8月10日)付けの「新京報」によると、開会式に参加した、観客、出演者、ボランティアなど合わせて16万人も、終了後1時間15分で、混乱なく解散したとのことです。

(参考)「新京報」2008年8月10付け記事
「開会式、観衆は75分で解散」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/08-10/008@032103.htm

 こういう記事が載ること自体、開会式が終わった後の観衆の輸送がひとつの「課題」として認識されていたのでしょう。

 上記の記事によると、開会式に参加した16万人のうち7万人がVIP、来賓、選手、メディア及び開会式出演者などの関係者で、これらは専用車で移動し、その他の9万人のうち、観客は4万人、作業担当者とボランティアが5万人で、彼らは公共交通(バスと地下鉄)で移動した、とのことです(8月8日深夜は地下鉄は終夜運転をしていました)。日本のメディアでも報道されていますが、開会式の晩は蒸し暑かったので、570人が暑さのために体調不良を訴えたとのことです(ただし、これは想定の範囲内で、そういう人が出たときのために救急車などが最初から配備さていた)。

 地下鉄の駅に連なる地下街にある「露天」のようなお店は今日は営業していました。開会式のあった8月8日だけ休んでいたようです。外国人観光客らしきお客もたくさんいました。もう立秋も過ぎましたので、北京の暑さもだんだん和らぐ方向へ向かうでしょう。「盛り上がらない」と言われた北京オリンピックですが、少なくとも北京にいる限り、あと2週間は「オリンピック一色」状態が続きそうです。

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2008年8月 9日 (土)

北京のテレビで見たオリンピック開会式

 昨夜(2008年8月8日夜)の北京オリンピック開会式は、北京で中国中央電視台とNHK-BS1をチャンネルを切り替えながら見ていました。感想や気が付いた点を書いてみます。

○人文字カウントダウン:

 人文字ライトアップによるカウントダウンはなかなか良かったですね。漢数字のわかる日本人としては、漢数字とアラビア数字によるカウントダウンは面白かったと思います。最初は、8月8日午後8時8分に開始なのかと思っていたのですが、8:00ちょうどの開始だったのですね。

○北京市内を走った花火:

 開会式の行われた国家運動場(通称「鳥の巣」)は、天安門と故宮を結ぶ南北の線(北京の中心線)の延長線上の北の方(第四環状路の少し北側)にあります。開会式の始まりを告げる花火は、この北京市を南北に連ねる中心線上に沿って、まず天安門の南にある永定門から始まり、前門、天安門、故宮の中にある神武門、景山公園、その北にある城市公園、第三環状路の北にある科学技術館で打ち上げられた後、オリンピック公園で打ち上げられました。これを空撮ヘリコプターで撮影していました。足跡の形をした花火だったのだそうですが、テレビを見ていた時は「足跡の形」だとは気が付きませんでした。巨大な足跡が南からオリンピック・スタジアムへやってくる、というストーリーだったようです。街全体をキャンバスにしてしまう、という発想には恐れ入りました。

 普段は警備が厳しい北京市のど真ん中の上空を空撮用のヘリコプターが飛び、そこから生中継で映像が送られる、など前代未聞のことです。それに天安門や故宮の周辺はそれなりに広い場所があるとは言え、国宝級の建物の上空や街のど真ん中の公園の上空に花火を打ち上げる、というのは、これまた日本的感覚から言ったら、ちょっと乱暴な感じがしました(不発弾の落下や火の付いた破片の落下を想定して、日本ならば普通は花火は海や川、湖など水の上で花火を打ち上げますよね)。これもオリンピック・スペシャルなんでしょう。

○中国国旗(五星紅旗)の掲揚:

 中国国旗が入場して掲揚塔のところまで運ばれる際に流れていた歌は「歌唱祖国」で、中国では「第二の国歌」とも呼ばれる曲です。中華人民共和国の成立直後に作られた曲で、勇ましい行進曲ふうの曲です。「我らの指導者・毛沢東は、我々の進むべき道を導く」といった歌詞が出てくる革命歌です。国旗を運ぶ場面でのこの曲を使うのは中国では不思議ではないのですが、今回の演出では、この曲を幼い女の子に歌わせていたので、非常に軟らかいイメージの曲に聞こえたと思います。毎日、この局は中央人民ラジオ局のニュースの時間のオープニングに流れますが、いつものような勇ましい行進曲ふうの演奏の仕方だったら、世界中に人に相当にまるで軍事国家のような印象を与えてしまうところでしたからね。小さな女の子に歌わせたのは正解だったと思い思います。

 その後、国旗の掲揚は(最後の方で出てくるオリンピック旗の掲揚の時も同じでしたが)人民解放軍の兵士の手によって行われました。これは、毎日、天安門前広場で日の出時の国旗掲揚と日没時の国旗降旗で行われている中国ではごく一般的な儀式なんですが、見慣れない人には、相当にお堅い「社会主義国中国」らしいイメージを与えたかもしれません。

 国旗を様々な少数民族の民族衣装を着たこどもたちが運んできましたが、多くの少数民族の衣装をまとった人々を登場させて民族間の融和を強調するのは、こういったイベントでは必ずやる趣向です。別に最近チベットやウィグル自治区で事件が起きたから、あえてこういう趣向にしたわけではありません。

○歴史絵巻の巻物:

 「歴史絵巻」を光の投射で表現する、というのが、今回の開会式の演出のひとつの「機軸」でした。「漢字」「印刷術」「羅針盤」といった中国の発明が文化を創った歴史を表現していました。「漢字」の表現のところで「和」という字の歴史的移り変わりを表現していましたが、これは「平和」という意味と、現在の胡錦濤政権が掲げる「和諧社会」との両方をイメージさせるものだったと思います。

 活字をイメージしたマスゲームがありましたが、最後に「活字」に入っていた若者たちが顔を出して手を振ったのはよかったですね。「顔の見える演出」だったと思います。

 そのほか、太極拳とか中国古来の伝統的なものが次々に出てきましたが、中国に住んでいる私にとっては、そんなに珍しいものでもなかったので、若干「長いな」という印象を持ちました。最初の30分くらいはテンポがよく引き込まれる感じがあったのですが、後半は蒸し暑さのせいもあり、ちょっと見ていても「疲れ気味」でした。

 でも、全体的には圧巻だったと思います。

○夢:

 宇宙服を着た宇宙飛行士が天井から降りてきましたが、これは今年10月に打ち上げられる予定の中国としては3回目の有人宇宙飛行を意識していたと思います。今度の有人宇宙飛行では宇宙飛行士が宇宙遊泳をすることが計画されています。

○主題歌:

 中国の男性歌手・劉歓とイギリスのソプラノ歌手サブ・ブライトマンが「You and I」という主題歌を歌いました。なぜ女性歌手が中国人じゃないのかなぁ、と思っていたのですが、この主題歌を歌う場面は、中国が世界と手を携えていく、という流れの中だったので、外国人の歌手の方がピッタリだったのですね。これは納得でした。

○選手の入場行進:

 東京オリンピックの頃は、行進曲に乗って各国選手団が整然と入場行進する、というのがオリンピック開会式のお決まりのパターンだったのですが、デジタルカメラが普及して以降、選手自身がカメラを持って撮影しながら行進するようになったので、最近は、オリンピック開会式の入場行進は、悪くいえばダラダラ、よく言えばリラックスした雰囲気の入場行進になっていますね。選手の入場行進は、選手団はのんびり歩いていたので、式を企画した人の想定より、時間が掛かってしまったようでしたね(そのため、今回の開会式は約3時間半掛かる、と言われていたのですが、実際は4時間10分掛かりました)。

 入場行進をする選手たちの歩く道筋を整理するために人垣を作って踊りながら立っていた若い女性の皆様方は、2時間以上続いた選手の入場行進の間ずっと踊っていたようなので(たぶん途中で交代していたと思いますが)、あの蒸し暑さの中、御苦労様でした。

 今回の入場行進は、最初のギリシャと最後の中国は別として、中国語の漢字(簡体字)で表記した際の総画数順というのはユニークでした。日本の「日」は4画なので比較的前の方の登場でした。中国語をご存じない方には全く順番が予想できなかったと思いますが、「智利(チリ)」「墨西哥(メキシコ)」「徳国(ドイツ)」「澳大利亜(オーストラリア)」などは最初の文字の画数が多いので順番が後ろの方になってしまうのですね。

 参加国・地域が204と「史上最多」と言われますが、昔に比べれば、ソ連や旧ユーゴスラビアが解体して国の数は増えていますから、昔と比較するのはあまり意味がないと思います。それにオリンピック委員会ごとの入場なので、「中華台北」「中国香港」と中国は別々ですし、グアムやプエルトリコのような自治領はアメリカとは別、といったふうに、この際「国」はあんまり関係ない、という印象を強く受けました。それにしても、私自身、アフリカやカリブ海に浮かぶ島国など、全然知らない国が意外に多かったのはお恥ずかしい限りでした。

 日本選手団が入場したとき、会場からウォーという声が上がりましたが、歓声なのかブーイングなのかは、よくわかりませんでした。フランスに対しても明らかなブーイングのようなものはなく、開会式に関する限り、観衆は非常にお行儀が良かったと思います。台湾(中華台北)選手団の入場に対して大きな拍手が沸き上がったのはよかったと思います。

○北京オリンピック委員会と国際オリンピック委員会の挨拶:

 今回のオリンピックでは「中国百年の夢」ということがいろいろなところで言われました。清朝末期の1908年、列強各国による半植民地化された当時の中国において、ある雑誌が「中国はいつオリンピックを開催できるのだろうか」という問題提起を掲げてから今年でちょうど100年になるからです。北京オリンピック委員会の劉淇会長は、そのことを強調していました。

 このオリンピック開会式では、5月に起きた四川大地震に配慮して、少し派手さを抑えた演出になるのかなぁ、という観測もありましたが、四川大地震の件は影響していなかったようです。ただ、中国選手団の旗手を務めたバスケットボールの姚明選手は、傍らに林浩という震災の時に友だちを助けた「震災英雄少年」を伴っていました。国際オリンピック委員会のロゲ会長は、その挨拶で5月に起きた四川大地震に言及し、中国の人々の団結を讃えました。

 いつも言う言葉なのでしょうが、ロゲ会長は、選手たちに対して「国籍、人種、性別、信じる宗教、政治システムの違いを超えて、試合をし、交流をすることを求めました。「政治システムの違い」という部分は、いつものオリンピックでも言っていることだとは思いますが、これは国際オリンピック委員会の北京オリンピックにおけるひとつのメッセージだと私は思いました。

○聖火台への点火:

 聖火ランナーは、歴代の中国のメダリストが受け継いだ後、最後は1984年、中国が最初にオリンピックに参加したロサンゼルス大会で金メダルを獲得した李寧氏でした。その意味ではそれほどの「サプライズ人選」ではなかったのですが、後で報道で知ったところによれば、李寧氏は漢族ではなく、チュワン族なのだそうで、そういったところにも民族融和を印象付けたいという企画側の意図があったように思います。

 なお、開会式の進行が予定より遅れたため、胡錦濤主席の開会宣言は8月8日のうちに行われましたが、成果への点火は24時を回っており8月9日になってからでした(聖火台に点火されたのは8月9日0時05分)。

(参考)「新京報」2008年8月9日付け記事
「開会式の時系列」
http://www.thebeijingnews.com/news/xatk/2008/08-09/008@101746.htm

○開会式終了時の花火:

 開会式終了時には一斉に花火が打ち上げられました。天安門前広場でも花火が打ち上げられた、とのことです。私が住んでいるところは、オリンピック・スタジアムからも天安門前広場からもかなり離れているのですが、この最後の花火の音は相当大きく聞こえました。花火の音が聞こえただけで、リアルタイムで北京にいたことを実感できて、私としてはよかったと思っています。

 今終わって考えれば、北京市の中心部に花火という大量の火薬が持ち込まれていたわけです。これは考えようによっては、相当なリスクを背負っての演出だったと思います。日本だったら演出家がそういう提案をしても、消防署や警備担当の警察が許可を出さなかった可能性があります。いろいろな演出で天井から人をぶる下げる演出が多かったり、「中国では安全についてはそれほど気にしない。少しぐらいのリスクならば怖がらずに挑戦する。」という傾向がよく現れていたと思います。

○蒸し暑さと長さ:

 「鳥の巣」に行ったことのある人に聞くと、鳥の巣はすり鉢状で風が通り抜けないため、相当に暑いのだそうです。昨晩は、湿度がかなり高く「熱帯夜状態」だったので、特にきちんとした服を着ていた選手団の皆さんは相当に扱ったのではないかと思います。外国要人の方々には記念品として、大きな「扇」がプレゼントされたようで、皆さんそれで扇いで涼をとっていました。それでも開会式は4時間を超えたので、各国指導者や中国の国家指導者の皆様も、最後の方はちょっとぐったり気味の感じでした。

○テレビが生放送だったかどうかについて:

 一部日本の報道では中国中央電視台の放送が「生放送」より10秒程度遅れていた、と報じていますが、私が見ていた限り、中国中央電視台とNHK-BS1とは同時の画面を放送していました。NHK-BS1は静止軌道上にある放送衛星まで電波が行って帰ってくるまでの時間(約0.24秒)遅れるのですが、最近の放送はデジタル化しているので、デジタル化処理に数秒掛かることを考えると、中国中央電視台の放送はほぼ「生放送」であったと考えて良いと思います。検閲を入れるためには普通最低20秒程度は「遅れ」を入れますので、今回のオリンピック中継については、中国側は「検閲」することはあきらめていると思います。

○政治指導者の映像への登場について:

 中国中央電視台が中国選手団を多く撮し、NHK-BS1が日本選手団の映像を多く選んで放送していたのは当然として、それ以外の部分では、中国中央電視台とNHK-BS1はほとんど(95%以上)同じ映像を使っていました。ただし、中国中央電視台では、中国共産党政治局常務委員ら国家指導者の映像を何回も撮していましたが、同じ時、NHK-BS1では選手団や観客の映像など別の映像を放映していました。中国国家指導者の映像については、中国国内向けのスペシャルだったようです。

 なお、今回の開会式の席順は、国際オリンピック委員会のロゲ会長の隣に胡錦濤国家主席、その隣に現在は何の役職についていない江沢民前国家主席が夫人とともに座り、その隣が呉邦国全国人民代表大会常務委員会委員長(政治局常務委員会ナンバー2)、温家宝国務院総理(政治局常務委員会ナンバー3)・・というふうに「通常の序列順」に着席していました。つまり、江沢民氏がナンバー1の胡錦濤主席とナンバー2の呉邦国氏の間に割って入った形で着席していました。江沢民氏は、北京にオリンピックを誘致した時の国家主席ですので、胡錦濤主席の隣に座っていても不自然ではない、と言えばそれまでですが、江沢民氏が今でもまだ政治的影響力を持っていることを示す席順でした(なお、北京オリンピック誘致時の国務院総理の朱鎔基氏や元総理の李鵬氏は、私が見る限り画面では登場しませんでした)。

 選手団に拍手を送る胡錦濤主席の映像はNHK-BS1でも放送していましたが、中国中央電視台が江沢民氏を撮している時はNHK-BS1では別の場面を放送しており、私が見た限り、NHKの映像には江沢民氏は登場しなかったと思われます。このあたり、どの指導者の映像を国内へ流すのか、国際映像として海外に流すのか、については、中国の放送局はものすごく神経を使っていたと思います。

 各国選手団が入場すると、それぞれの国の首脳クラスは立ち上がって拍手をしますが、今回の開会式では、ブッシュ・アメリカ大統領、日本の福田総理、韓国のイ・ミョンバウ大統領、ロシアのプーチン首相、フランスのサルコジ大統領、イスラエルのシモン・ペレス大統領、アフガニスタンのカルザイ大統領、オーストラリアのケビン・ラッド首相などそうそうたる顔ぶれが画面に登場しました(これらの各国指導者の映像はNHK-BS1でも流れていました)。

○人工消雨について

 一部日本の報道では、開会式で雨が降らなかったのは中国側がヨウ化銀ロケットを1,000発以上打ち込んだ成果だ、として人工消雨に成功したとの報道がなされていますが、私が中国気象局のレーダーを見ていた限り、ヨウ化銀ロケットを打たなくても開会式の時間帯に北京に雨雲が掛かる可能性はあまりなかったと思われますので、あまり科学的根拠もなく「人工消雨」に「成功した」と報じるのはいかがなものかと思います。ヨウ化銀ロケットは、上空に湿った大気がある時、雨が降る確率をいくぶん高める、あるいは、雨が降る場合でも降る量をいくぶん大目にする効果があるとされていますが、全く湿気のないところで雨を降らせたり、大雨が降りそうな気象状況で雨を降らないようにすることはできません。

 ヨウ化銀は人間や動物には無害だとされていますが、降雨効果とヨウ化銀という自然界にない化学物質が環境中にばらまかれることに対する懸念とを天秤に掛けて、日本ではこの方法はあまり実施されていません。これは科学の問題というより、環境に自然界にない化学物質をばらまくことがいいかどうか、という環境に対する発想の問題だと私は思っています。

 8月9日に発表された北京の大気汚染指数(8月8日正午から8月9日正午までの観測値の平均値)は78でした。ヨウ化銀を空気中にばらまく、ということは、大気汚染の原因になる微粒子物質をばらまくことになるので、消雨ロケット作戦は大気汚染指数に悪い影響が出るのではないかと思ったのですが、それほどの影響はなかったようです。

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 いずれにしても開会式が今回のオリンピックのひとつの大きな「ヤマ」だったので、それが無事に終了して、ちょっとホッとした気分です。後は、選手の皆さんの伸び伸びとした活躍を楽しみにしたいと思います。

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2008年8月 8日 (金)

「中国の歴史が変わる日」になるのか

 今、2008年8月8日18:30(北京時間)です。オリンピックの開会式開始まであと1時間半に迫りました。今日はかなり湿度が高くて視界が悪かったのですが、日中、気温が上がるに連れて、視界は少しよくなりました。大気汚染と視界とは1対1には対応しませんが、「開会式当日はスカッと青空」というわけには結局はいきませんでした。8月8日発表の北京の大気汚染指数は94でした。100以下が「良」ですので、ギリギリ合格点、というところでしょうか。こんな感じだと、オリンピック期間中にも100を超える日が何日かあるかもしれません。

 開会式の雨がどうなるのか、と思ってインターネットで中国の国家気象局のレーダー画面を見てみました。このサイトでは、だいたい1時間前までの最新のレーダー画面を見ることができます。

(参考1)中国気象局全国レーダー図
http://www.cma.gov.cn/tqyb/tqyb/radar/rindex.htm
※このサイトから「華北レーダー」を選び、その中の「一小時降水」(1時間降水量)を選ぶと雨が降っている状況がわかるので最もわかりやすいと思います。

 このレーダー画面によると、今日(8月8日)は、北京の北西方向、河北省と内モンゴル自治区との境界あたりを中心に雨雲が発達していましたが、午後になってその雲は小さくなっているようです。また、夏ですから、局地的に雨雲が発達することがあるのですが、最新画面(8月8日北京時間17:20現在)では北京の西の方でちょっと発達していた雲が消滅しつつあるので、どうやら開会式が終わるまでは雨は降らずに済みそうです。私が肉眼で空を見た感じでも、今晩中は雨が降らずに持ちそうな空模様です。

 今日、8月8日は、さすがに街の警戒はかなり厳しいものがありました。いつもは衣服や靴、カバンなどを安く売っている地下鉄の駅に連なる地下道の両脇に並んだ露天も今日は全て店を閉めていました。代わりに警備に当たる係員が地下道を通る人々に目を光らせていました。一方、街を歩く外国人らしき人の数は、いつもより格段に増えており、街角にあるボランティア・ステーションでも、道を聞く外国人らしき姿もありました。

 私が歩いたのは、オリンピック会場とは相当に離れた場所なのですが、それでも街行く人々はウキウキとした雰囲気でした。何となく「お祭り」気分が街中に漂っている感じでした。

 この北京オリンピックは、中国が変わる歴史的な出来事になるのか、それともオリンピックを経ても中国は今までと同じで全く変わらないのか、それはよくわかりません。少なくとも北京の大気汚染については、私はオリンピック期間中だけは「劇的によくなり、オリンピックのために北京に来た世界の人々が『北京の大気汚染は大したことないじゃないか』と誤解して帰る」と想像していたのですが、実際は、確かにいつもよりは改善しましたが、それほど「劇的」には改善されず、オリンピックに来た人は、だいたい普段通りの北京の大気汚染の状況を経験していると思います。一方、インターネット規制については、本当に中国にとってセンシティブなサイトへのアクセスはいまだにアクセス禁止になっていますが、BBC中国語サイトの掲示板やウィキペディア中国語版など、中国の人々が中国語で書き込みもできるサイトへのアクセスはできるようになりました。

(参考2)このブログの2008年8月1日付け記事
「BBC中国語版サイトへのアクセス規制解除」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/08/post_fc0a.html

 このインターネット規制の緩和措置がオリンピック後も続くのかどうかわかりませんが、これはオリンピックによって「劇的」に変わった面のひとつです。

 これらと同じで「オリンピックで中国は劇的に変わる」という予想と「劇的には変わらない」という予想と両方があります。「劇的に変わる部分もあるし、変わらない部分もある」というのが正しい答えになるのでしょう。そういったことはオリンピックが終わった後でじっくりと検証することにして、まずはオリンピック期間中は、街行く中国の人々の「ウキウキお祭り気分」と同じような気持ちでオリンピック自体を楽しみたいと思います。

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開会式当日の北京の朝は視界300メートル

 今、2008年8月8日の朝7:30過ぎ(北京時間)です。オリンピック開会式が12時間後に迫っていますが、朝は最近にない濃い霧に包まれています。視界は300メートルといったところでしょうか。空を見上げると太陽は白く見えています。ここまで視界が悪いと、その原因が全て大気汚染であるはずはないので、湿度の高さが影響しているのは明らかですが、水蒸気の「核」となる微粒子が空気中に浮遊していることは間違いないと思います。

 湿度が高いので、夜8時8分開始の開会式までの間に「ひと雨」ある可能性もあります。ちょっと心配なのは、ここまで視界が悪いと飛行機の運航に影響しないか、ということです。北京首都空港には電子誘導装置がありますので、相当に視界が悪くても飛行機の離発着は可能ですが、過去に濃霧による視界不良のため飛行機便が欠航になったこともあります。「ひと雨」降れば視界も晴れるでしょうが、この8月の時期の「ひと雨」は普通は「雷雨」になりますが、「雷雨」も激しくなると飛行機の運航に影響します。今日は日本の福田総理ほか、開会式に出席する各国首脳の北京到着も相次ぎます(アメリカのブッシュ大統領は既に昨晩のうちに北京に到着しています)。天候がこれら各国首脳や開会式を楽しみにしている一般の観客の皆様が北京に来ることに影響しないことを祈りたいと思います。

 また、あまり視界が悪いと開会式のせっかくの演出が見えにくい、という事態にもなりかねませんので、あと12時間ちょっとの間にこの視界の悪さがなんとか改善してくれればいいなぁ、と思っています。

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2008年8月 7日 (木)

開会式前日の天安門前広場はいたって平和

 オリンピック開会式前日の今日(8月7日)は、開会式に出席する各国首脳の北京到着がピークになり、北京市内に大幅な交通規制が敷かれる可能性があったため、夏休みを取りました。明日の開会式当日は、天安門前広場周辺には大幅な立ち入り制限が敷かれるので、開会式当日に天安門前広場の様子を見に行くことは難しいと考えられたので、開会式前日の今日、地下鉄で天安門前広場の近くまで行って、広場の周囲を歩いてみました。地下鉄の駅では手荷物検査をやっていましたが、私が行ったのは昼間の時間帯だったので、お客で混雑するというようなことはありませんでした。地下鉄自体も普通通りの混み具合で、ギュウギュウ詰めということはありませんでした。

 天安門前広場の約1km東にある北京飯店は、オリンピック関係者が宿泊しているらしく、周囲の歩道に柵が設けられて立ち入り禁止になっていました。しかし、北京飯店の東側にある大通り・王府井大街は、立ち入り禁止になっている部分より北側では、いつもの通りの「歩行者天国」で、大勢の観光客が散策していました。

 北京飯店(長安街の北側にあります)の前の歩道が歩行禁止なので、長安街の南側の歩道を使って天安門前広場まで歩きました。明らかに警官の数はいつもより多いのですが、緊張した雰囲気はなく、たくさんの観光客がのんびりと歩いていました。天安門前広場に入るには地下道を通るのですが、その地下道でまた手荷物検査がありました。私は近くのスタンドで買った中国の新聞を持っていたのですが、係員の人に「何新聞かを見せるように」と言われました。中国で売っている普通の新聞だとわかると、すぐに通してくれました。危険物をチェックする、というよりも、政治的に問題のあるビラなどを持っていないかどうか、がチェックポイントのようでした。

 天安門広場は、真ん中に大きな北京オリンピックのシンボルマークが立っており、東側と西側には、「同一個世界、同一個夢想」というオリンピックのスローガンを表現した飾り付けがされていました。人民英雄記念碑の前には「五洲四海喜慶奥運盛会」(世界中の人々がオリンピックの盛会を喜んでいる)、「改革開放共譜和諧篇章」(改革開放政策によりみんなだ和諧社会(ハーモニーのある社会)の新たなページを書き加えよう)というスローガンが掲げられていました。ただ、こうした「オリンピック用の飾り付け」は広場の面積の一部を使っているだけで、天安門前広場の広さはいつもと同じでした。オリンピック期間中は、この天安門前広場の広いスペースを利用していろいろなイベントが行われるはずなのですが、イベントのための「舞台装置」は「備え付け」ではなく、イベントが行われるたびごとに据え付けられるようです。

 今日は、オリンピック開会式前日ということもあり、確実にいつもより外国人観光客が多いように思えました。メーデー休みや国慶節の連休の時には、天安門前広場は、中国各地からの「お上りさん」で満杯になり外国人観光客はあまり目立たないのですが、今日は、逆に、中国各地から北京に出てきた「お上りさん」ふうの人はほとんど見掛けませんでした。地方の人はあまり経済的に豊かではないので、服装などを見ると都会の住人と大体区別が付くのですが、今日見た限り、天安門前広場にいる中国人らしき人々は、結構経済的に豊かな人ばかりのように見えました。北京市内の建設現場での工事がオリンピックのために停止している関係もあり、地方から北京に働きに来ている人々(いわゆる「農民工」と呼ばれる人々)が北京からだいぶいなくなっているからかもしれません。

 警備の警察官は確かに多いですが、ほとんどギスギスした緊張感はなく、思ったよりも平和なムードが漂っていました。

 今日の北京は「薄曇り」ですが、もやが掛かったような感じでした。雲間から太陽が顔を出すと、正視できないくらいまぶしく感じるのですが、「もや」があるので「ジリジリ照りつける」感じがなく、暑さはそれほど感じませんでした。気温は30度をちょっと超える程度だったと思います。視界は3kmくらいでしょうか。下に、今日、天安門前広場で私が撮影した写真を掲げておきます。約1km程度離れた北京飯店の建物が少しもやって見えるのがわかると思います。今日の北京の大気汚染指数は95だとのことで、車の規制をやっている割りには汚染係数が大きかったと思います。マラソンや自転車競技だと、ちょっと気にする人がいるかもしれません。

(参考1)オリンピック開会式前日の天安門前広場
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/tenanmonmaekankokyaku.jpg

(参考2)北京オリンピックのシンボルと天安門
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/symbolandtenanmon.jpg

(参考3)天安門前広場西端から見た北京飯店(ややかすんで見える)
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/beijinghotel.jpg

 雲南省昆明でのバス爆破事件や新疆ウィグル自治区カシュガルでの武装警察国境支部隊襲撃事件など、凶悪な事件が続いていますが、少なくとも今の北京ではオリンピックの運営に支障が出るような雰囲気は全くありません。街にボランティアの青い制服を着た人たちもたくさん歩いていますし、みんなそれなりに一生懸命に準備しているので、オリンピックの運営には問題は出ないと思います。

 ただ残念なのは、3月のチベットの騒乱、四川省大地震、カシュガルでの襲撃事件などで、オリンピック観戦のために外国から中国へ来た観光客が、この機会に中国各地の観光地へ回る、という雰囲気がなかなか盛り上がらないことです。大地震があった四川省でも、例えば世界自然遺産の九寨溝では観光客の受け入れを再開する、など受け入れ体制は整っているのですが、気分的に大地震の被災地の近くへは観光に行きにくい、と思う人が多いのではないかと思います。本当は、現地では観光で生計を立てている人も多いので、多くの人が観光に行くことが地震からの復興に役立つ面はあるのですが、観光は「楽しむ」ものなので、「気分的に乗らない」というのはいかんともしがたいところです。

 今日(2008年8月7日)現在、日本の外務省の海外安全ホームページにある「危険情報」では、中国については次のような渡航情報(危険情報)が出ています。

・チベット自治区=「渡航の延期をお勧めします」
・青海省、甘粛省、四川省、アフガニスタンとの国境付近=「渡航の是非を検討してください」
・新疆ウィグル自治区=「十分注意してください」

(参考4)日本の外務省の海外安全ホームページ
http://www.pubanzen.mofa.go.jp/

 新疆ウィグル自治区の場合、カシュガルでの襲撃事件によって新たに上記の情報が出されたのですが、テロによって上記のような渡航情報が出で外国人の旅行が抑制されることは、テロリストの「思うつぼ」になってしまうので残念です。でも、日本の外務省としても、実際にテロが起きてしまった以上、日本人の安全の確保のためには上記のような情報を出さざるを得ないのでしょう。

 今日の天安門前広場のような「平和な雰囲気」がオリンピックの期間とパラリンピックの期間ずっと継続され、これらのイベントが滞りなく終わることを祈りたいと思います。

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2008年8月 6日 (水)

開会式当日は国家機関等は休みと突然の発表

 いよいよ北京オリンピックの開会式まであと2日。今日の夜から既に女子サッカーは試合が始まっています。今日の北京は、曇りで時々太陽が覗く、という天気でしたが、雲間から太陽が出てきたときには、今日も「肉眼で凝視できる白い太陽」でした。大気汚染の状況については、たぶん、もうこれ以上はよくはならないのでしょう。これでも、いつもよりはかなり改善されているのは事実であり、中国側の努力の成果は現れていると思います。大気汚染はないとは言えませんが、スポーツをやる上では、まぁ、我慢できる範囲内だと思います。今日は北京市内での聖火リレーもあったし、これからは北京の映像は日本でも流れるようになるので、テレビを通じて北京の空の様子なども見ることができるようになるでしょう。今日(8月6日)の北京の大気汚染指数は85でした。100以下は定義上は「青空」なのですが、実際は今日は「言われて見れば青いような気もする白い空」でした。

 明日7日と明後日の8日は、開会式に出席する各国首脳等が北京に集まるので、あちこちで交通規制が敷かれそうです。そういうこともあり、北京市当局は昨日(8月5日)、国務院の許可を経た上で、「オリンピック業務に関係のない中央及び国家の機関、企業、事業単位、社会団体、北京市の機関、企業、事業単位、社会団体は開会式のある8月8日は朝から休みにする。」と発表しました。この発表は今日(8月6日)の各新聞に掲載されました。

(参考)「新京報」2008年8月6日付け記事
「北京市内の企業・事業単位は8日は休み」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/08-06/021@071129.htm

 これは北京市政府が出した「公告」ですが、休みにするのはいいのですが、3日前の発表じゃ急すぎる、もっと前もって発表してくれればいいのになぁ、と正直思いました。まぁ、開会式当日はあまり仕事の予定を入れていた人はいなかったと思いますが、北京は人口1,700万人のビジネス都市でもあるのですから、3日前の発表というのは、「国際的な常識」から言ったらちょっと急過ぎると思います。

 どうしてこうも中国のこの手の「お達し」というのは急に出るのでしょうか。昨年8月に行われた車のナンバープレート偶数奇数制限のテスト運用も実施の1週間前に急に発表になり、実施されました。たぶん「お上のお達し」に対しては一般市民は文句を言わない(言えない)ので、こういう急な「お達し」がいつまで経ってもなくならないのでしょう。

 今回の北京市の公告では「機関、企業、事業単位、社会団体は休み」とあり、私営企業は対象になるのかどうか、パッと見ただけではよくわかりませんでした。そこで「日系企業も中国においては、中国の政府機関が出す『お達し』はきちんと守るべし」との考え方に基づき、この「公告」を受けて、日系企業の団体である中国日本商会では、日系企業は休みにすべきかどうか、北京市当局に問い合わせて確認をしたそうです。その結果、民営企業はこの「公告」の対象にはならないので、日系企業は各社の自主的な判断で休みにするかどうかは決めてよい、との返事だったそうです。あまり大きな声では言えないですが、問い合わせしなければわからないようなわかりにくい「公告」は出さないで欲しいと思います。

 これまでもそうですが、これからオリンピック期間中、突然「公告」などという形で「お達し」が出ることがあり得るので、北京に住んでいる以上は、そういう「お達し」が出ても困らないように心構えをしておく必要があると思います。

 中国の人々はこういう「急なお達し」に結構慣れていますが、外国から来た選手や報道陣などは慣れていないと思います。このオリンピック期間中にも、オリンピックの運営に関して、様々なイベントのスケジュール等や取材の仕方などに関する規則などについての「急なお達し」が出る可能性がありますが、あまり中国式に「急なお達し」を連発すると外国の選手や報道陣の間では混乱や不満の声が上がると思います。そういった混乱や不満が出ないようにできるか、も、小さなところですが、今回のオリンピック運営がスムーズに行くかどうかの分かれ目だと思います。

 たぶん、オリンピックなど国際競技大会で強い選手は、多少の「急なお達し」が出たとしても冷静に対処して自分のコンディションには影響させない、といった対応能力を持っていると思います。出場する選手たちは、少々急な状況変化があったとしても、「よくあること」と受け流して、どんな場面に遭遇しても実力を100%発揮して欲しいと思います。

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2008年8月 5日 (火)

新疆・カシュガルでの武装警察襲撃事件

 昨日(8月4日(月))と今日(8月5日(火))、所用で上海の西の郊外へ行っていました。昨日の午前中、北京から上海へ行くときは、晴れているけれども大気汚染のため「肉眼で日食観測ができる」という、北京ではよくある「白い太陽が見える」状況でした。今日は、大気汚染は明らかにありましたが、かなり程度はよくなっていて、この程度ならばオリンピックに差し支えないと思われる程度でした。北京の大気汚染指数は、昨日(8月4日)は83、今日(8月5日)は88でいずれも「良」でした。たぶん、オリンピック期間中はこんな感じが続いて、雨が降った翌日はスカッとしてもっときれいになる(大気汚染指数が50以下の「優」になる)、という感じになるのだと思います。

 ところで、上海は昨日はちょっと大気汚染がある感じでしたが、今日はスカッと晴れて、2週間前に私が日本で見たような青空でした。上海は海に近いので海から風が吹けば汚染が拡散することと、周辺が水郷地帯で水が多く、周辺の農村地帯は水田地帯なので、地理条件としては日本と似ているのだと思います。今回は、上海市の市街地の中心部へは行かなかったので今日の上海中心部の大気汚染がどの程度だったのかはよくわからないのですが、上海と北京とを比べると、北京は内陸部にあり周囲からの汚染が流れ込んでしまうこと、北京の周辺は上海の周辺のような水田地帯ではなく畑作地帯なので周囲の農地が乾燥していて農地から巻上がる「砂塵」の影響があること、という点で、大気汚染については北京は上海よりかなり不利であると感じました。

 上海郊外の水田地帯の緑を見ていると、やはり植物による空気の浄化機能は、私たち人間が考えているよりも大きいのだろうとということも実感しました。植物は、二酸化炭素を吸って、酸素を吐き出しているいるわけですので、その過程で、大気中の汚れもフィルターしてくれるのだと思います。気分的な問題だけでなく、緑の植物の大事さを改めて感じました。

 今日、飛行機が降下してくる時に、機内でサービスで提供されているフライト・データと窓の外を見比べていたのですが、北京でも高度1,000mより上では空気はきれいです。大気汚染によって空気に「かすみ」が入ってくるのは、高度1,000mを切ったあたり以下まで飛行機が降りてきてからです。それを見ても北京における今の時期の「かすみ」の原因は地表面の活動や地表から舞い上がる粉塵であることは間違いないと思います。

 さて、日本でも大きく報道されていますが、昨日(8月4日)北京時間朝8時頃、新疆ウィグル自治区の西の端にある都市・カシュガルで、朝の訓練のために行進していた武装警察国境警備分隊の一群に2人組が載ったトラックが突っ込み、刃物で武装警察官を襲撃するとともに、爆発物を爆発させて、武装警察官16名が死亡、16名が負傷する、という事件がありました。2人組はすぐに逮捕されたとのことです。報道によれば、この二人はウィグル族の男だとのことです。

 このニュースは新華社がすぐに報道し、それを元に外国へも伝えられましたが、中国国内での報道のされ方は極めて限定的でした。昨日泊まったホテルは、中国系のチャンネルのテレビしか放送しなかったので、インターネットで日本のニュースを見るまで、この事件があったことは知りませんでした。

 昨日(8月4日)夜7時からの中国中央電視台の全国放送のニュース「新聞聯播」ではこのニュースは報道しませんでした。私は、昨日は、夜中少し前に香港発のフェニックス・テレビのニュースで見ました。このフェニックス・テレビのニュースでも、映像はなく、現地の記者からの電話レポートでした。

 昨日の「新聞聯播」のトップは、「科学発展の旗を高く掲げて~夏期の食糧は五年連続で増収~我が国の食糧生産は安定的に伸びてきている」というものでした。いくつかの「ニュース」(こういうのを日本の感覚で「ニュース」と呼んでいいのかどうかわかりませんが)のあと、オリンピック特集でオリンピック関係のニュースをやりましたが、カシュガルの事件については全く触れませんでした。武装警察国境分隊が襲撃され、しかも30名以上死傷した、という国家としての大事件だと思うのに、こうした事件に全く触れないで「食糧生産が順調に伸びている」という「ニュース」をトップに持ってくるという中央電視台の感覚は、私が20年前、北京に駐在していたころと全く変わっていません。オリンピック取材のために中国に初めて来た外国の記者たちは、相当の違和感を感じたと思います。

 今朝(8月5日朝)の中国の新聞の扱いも非常に小さいものでした。人民日報では、2面の下の方に6行、事実関係を簡単に伝えるだけの記事が載っていました。

(参考1)「人民日報」2008年6月5日付け2面記事
「新疆ウィグル自治区カシュガルで、重大な警察に対する暴力襲撃事件が発生」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-08/05/content_73450.htm

 「新京報」では、1面にこの事件についての「見出し」は載っているのですが、記事自体は、事実関係のみを伝える120字程度の簡単な新華社電が載っているだけでした。

 テレビの方の中央電視台の「新聞聯播」では、今日(8月5日)は、この事件は取り上げましたが、30分のニュースの終わりの方で、ごく簡単に事実関係を述べた内容をアナウンサーが読み上げただけでした。映像や写真は全くありませんでした。

(参考2)中国中央電視台「新聞聯播」2008年8月5日放送
「新疆ウィグル自治区公安庁、メディアに対してカシュガルの暴力襲撃事件の調査の進展状況について説明」
http://news.cctv.com/xwlb/20080805/129633.shtml

 この「新聞聯播」のニュースでは、現場で見つかった手作りの爆破装置や手作りの銃は、2007年1月に警察に摘発された「東トルキスタン」テロリスト・グループが訓練に使っていた装置と似ていること、押収されたものの中に「聖戦」を掲げる宣伝物があったこと、などが伝えられています。

 この中央電視台のニュースの内容は、下記の新華社が伝えるニュースと全く同じ内容です。

(参考3)「新華社」ホームページ2008年8月5日13:21アップ記事
「新疆ウィグル自治区警察、カシュガルの暴力襲撃事件の最新の進捗状況について説明」
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-08/05/content_8967136.htm

 7月21日に起きた雲南省昆明での路線バス連続爆破事件の時は、新華社は次々の新しい情報や現場の写真をネット上に掲載したのですが、今回のカシュガルの事件では、わかった事実を淡々と事実だけをごく簡単に伝えていますが、現場の写真等については、新華社のホームページでは見ることができません。昆明のバス爆破事件の時とは、明らかに扱いが違います。「隠さずに事実を迅速に伝える」という最低限のことはやっていますが、昆明の事件に比べると、このカシュガルの事件は相当に慎重に扱っている感じを受けます。オリンピックの開幕直前で「あまりコトを荒立てたくない」という気持ちもあるのだと思います。襲撃されたのが武装警察の部隊で、新華社といえども、自由に取材し報道できる相手ではなかった、というのも原因かもしません。

 この事件については、今日(8月5日)のNHKテレビでは、事件直後に旅行客が映した写真を報じるとともに、現場に入ったNHKのカメラマンによる映像を流していました。つまり、中国国内にいても、中国のメディアでは全く伝えられていない映像をNHKで見ることができる、という状況です。

 なお、この事件を取材していた日本などの記者が現地の武装警察から暴行を受け、一時身柄を拘束された、とのことですが、この点に関して、現地の武装警察は今日(8月5日)、暴行を受けた日本の記者らに謝罪した、とのことです。この記者に対する暴行や拘束は「突発事件の発生等にあたっても外国の記者には自由に取材させよ」という中央の指示が、現場の末端まで行き届いていなかったことによるできごとだと思います。NHKの番組「激流中国」でも何回か出てきましたが、地元の警察の意向に逆らって報道陣が取材することは、中国では本当の意味での「身の危険」を感じるのが普通です。そういった中国において、オリンピックを契機にして最近急に中央が言い出した「突発事件では外国メディアに自由に取材させよ」という方針は、たぶん現場には、とまどいと反発をもたらしていると思います。

 日本などの記者が武装警察から暴行を受けて一時身柄を拘束されたこと、それに対して武装警察側が謝罪したことについては、中国のメディアは報道していません。ただし、先日、アクセス規制が解除されて見られるようになったBBCの中国語サイトには載っていますので、インターネットを見られる中国の人ならば、この情報は今は誰でも見られるようになっています。

 こういった状況が続くと、多くの中国の人は「なぜBBCのサイトにはこれだけ情報が載っているのに、中国の新聞やテレビや新華社のネットには詳しい情報が載らないのか。」といった不満や不信感がますます強くなると思います。

 3月、4月のオリンピック聖火リレーが諸外国でいろいろ妨害を受けていた頃は、中国のメディアが「西側メディアは偏向している」というキャンペーンを張ってそれが一定の効果を上げました(一部、フランス系スーパーマーケット「カルフール」に対する不買運動など「行き過ぎ」の行為も産みましたが)。しかし、オリンピックが始まり様々な情報が飛び交うようになると、「西側のメディアが不自然に事実を歪曲しているのか」「中国のメディアが不自然に情報をコントロールしているのか」のどちらなのかについては、中国の人々もわかってくると思います。(その兆しが見えたのが、6月28日に起きた貴州甕安県の群衆による暴動事件に関する新華社などの公式報道に対する掲示板でのネットワーカーたちの批判でした)。

(参考4)このブログの2008年7月3日付け記事
「貴州省甕安県の暴動事件の真相」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/07/post_ef2a.html

 カシュガルで起きた武装警察に対する襲撃事件は、明らかにオリンピックで世界の注目が中国に集まった時期を狙った意図的な反社会的行為だと思います。これについては、中国の人々はもちろん、世界の人々が非難の声を上げています。これをきちんと報道することによって、中国の人々も世界の人々も、みんな声を揃えて「反テロリズム」「テロに負けずにオリンピックを成功させよう」という気持ちになると思います。それであれば、今回のカシュガルの事件について中国は報道をコントロールする理由は全くないはずです(むしろ情報をコントロールすることは中国にとって全くのマイナス効果しかもたらさない)。

 新疆ウィグル自治区の公安当局としては、「事件を起こしてはならない時期に事件を起こしてしまった」ということで自分たちの「失点」だと思っているのかもしれませんが、そういう「失点」を隠そうとする態度は、昔から「官僚主義」として批判されてきました。(例えば、1987年に起きた中国東北地方の大興安嶺の森林火災では、火災発生当初、地元当局が自力で消火しようとして中央に報告せず、大火災に発展させてしまったことがありました。この時の地元当局の対応は「官僚主義」として激しく批判されました)。オリンピックを機会に、こうした長年にわたって改善されないできた「失点を隠そうとする各地方の風潮」が少しでも改善できればよいと思います。そう思うのだったら、新華社や人民日報など、中国をリードする報道機関は、もっと積極的にこのカシュガルの事件についても積極的に報道すべきだと私は思います。

 このカシュガルの事件をきっかけに、北京などでは警備体制がまた一段と強化されたようですが、こういったテロ活動をきちんと報道することにより、市民も「テロ防止のためならば警備の強化は当然である。むしろ自分たちも積極的に協力したい。」と思うようになると思います。

 今日(8月4日)、上海の西郊外→上海空港→北京空港→北京市内と移動しましたが、上海の西郊外から上海市内へ向かう時には高速道路に入るところでに警察官に車を止められてチェックされましたし、上海空港でも、空港に入る時と、飛行機に乗る時の2回チェックがありました。飛行機に乗るときの保安検査はいつもありますが、今日は特にチェックが厳しかったように思います。パソコンは開いて見せなければならないし、バックの中も開けられて、何回もレントゲン装置を通されました。北京市内でも、主要な道路には、数十メートルおきに警官が立っている、という感じで、警備の厳しさを感じました。

 何はともあれ、これ以上、何事もなく、無事にオリンピックが終わればよいなぁ、と思います。

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2008年8月 3日 (日)

「張りボテ」の街

 今日(2008年8月3日:オリンピック開幕まであと5日)の北京は、朝から雲ひとつない快晴でした。今日(8月3日)の北京の大気汚染指数は35で、3日連続で50以下の「優」となりました。ただ、午後になってだんだんと汚染が戻ってきた感じで、ややかすんだ感じが強くなってきたので、明日(8月4日)の大気汚染係数はたぶん60~70程度になるでしょう。それでもまだ昼間は太陽を見ると「まぶしくて正視できない」という状況なので、「昼間、肉眼で日食観測ができる」状態の日が多いいつもに比べれば、大気汚染はかなり改善されているのは間違いないと思います。ただ、雨が降らないと大気中の汚染が蓄積されていってしまうので、開会式の8月8日に空気が澄んだ感じになるためには、もう一回くらい雨が降って汚染を洗い流してもらった方がいいと思います。

 昨日(8月2日)、開会式の2回目の「ドレス・リハーサル」がありました。8月1日には、北京-天津間の高速鉄道(最高時速350km)も開業しました。オリンピックの準備は万端整った、という感じです。北京の街の上空をヘリコプターなどが飛ぶことは普段は滅多にないのですが、ここ数日間は、結構、上空を飛んでいるヘリコプターの音を聞きます。上空からの警戒も強めている模様です。

 この週末から、街に「ボランティア・ステーション」が店開きし、学生らしい若いボランティアの人たちが、道順を教えたり、簡単な通訳サービスをしたりする活動を始めています。今日行ったホテルでは、ホテルに入る際に、金属探知器でボディチェックを受け、荷物の中身をチェックされたりしました。ただ、オリンピック取材のための外国人報道陣らしき人々もちらほら見掛けるようになりましたが、外国人観光客が増えた、という感じは、少なくとも私が見た感じではほとんどありません。街のボランティア・ステーションも、私が見ていた限り、利用する人はなく、ボランティアの人たちは手持ち無沙汰の様子でした。中国各地から中国人観光客が北京に集まっている、という雰囲気もありません。

 「新京報」の報道によると、このオリンピックで働くボランティアは総勢170万人なのだそうです。オリンピックを見に来る外国人客は約50万人と見積もられていますので、それに比べたら、圧倒的な数のボランティアです。ボランティアも「関係者」としてカウントすれば、この北京オリンピックは、観客よりも「関係者」の方が数が多い、ということになるのかもしれません。

(参考1)「新京報」2008年8月2日付け記事
「170万人のボランティアが各人それぞれの持ち場に就いた」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/08-02/011@084201.htm

 オリンピックのための準備として、大きな通りの歩道の脇の緑地帯のところには、たくさんの花が植えられたりして、かなりきれいです。大きな通りの街灯にはオリンピックの旗がはためき、多くの店では紅灯(赤いちょうちんのようなもの)をぶらさげたり、国旗(五星紅旗)を掲げたりして、雰囲気を盛り上げています。

 北京市内の建設工事は、粉塵を巻き上げないように、ということで、7月1日以降、中止されています。一部、工事が間に合わなかったところでは、7月になっても工事を続けていたところがありましたが、8月に入ったら、建設工事は完全に停止状態になっているようです。基本的に、作業を停止した工事現場では、工事中のゴミゴミしたところが道路から見えないように、オリンピックのスローガンなどが書かれた大きな「目隠しの覆い」で覆われています。ビル自体、工事の途中であっても、できるだけ「外壁」だけは完成させるように、との「指示」が出ていたようで、多くのビルでは、骨組みができたところで、内部の工事をやる前に外壁だけ先に設置するという工事をやっていました。

 ただ、それでもオリンピックが近づいて工事停止期間になるまでに外壁設置工事が間に合わず、現時点でも外壁が完成していないビルがいくつかあります。下記の写真はいずれも昨日(2008年8月2日)に撮影したものです。これらのビルは、パラリンピックが終わるまで、基本的にこのままの状態が保持されることになるのだと思います。

(参考2)外壁が一部しか完成していないビル
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/ichibukansei.jpg

(参考3)外壁はほとんど完成しているが、最上部だけが未完成のビル
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/saijoubu.jpg

(参考4)外壁設置がほぼ完了した中国中央電視台の新しい本社ビル
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/cctvshinhonsha.jpg

※中国中央電視台の新しい本社ビルは、斜めに傾いた四角柱がねじれた位置でくっつている、という非常に奇抜な格好をしています。内部も含めたビルの完成は2009年になるとのことですが、このオリンピック期間中、この新しいビルの一部を早くも使い始めるとのことです。

 中身がまだ完成していなくても、外面だけきれいにして、見た目を美しくしてお客様をお迎えする、というのが中国的美学なのだそうです。これを「メンツにこだわる」と見る人もいますが、「文化の違いの問題」なので、あまり批判はできないと思います。しかし、建設途中のビルについては、外壁だけくっつけた「張りボテ」なのがミエミエです。私の個人的な感覚からすると、こういった「張りボテ」がいくつかあると、本当は中身がきちんとしているものについても、「どうせ張りボテだろう」と軽く見られてしまい返ってイメージを損なうのではないか、と思ってしまいます。

 中国は、今回のオリンピックを迎えるにあたっての北京の街並みに限らず、いろいろな面に関して、「(中身はともかく)表面に見えるところをきちんとする」という傾向があります。これについては、その表面を見て中身もきちんとしていると思ってしまう人は中国の能力について過大評価してしまうし、表面を見て「どうせ表面だけで中身はないのだろう」と思ってしまう人は中国の能力について過小評価してしまうと思います。いずれにせよ、中国は、外部から正しく理解されない、という結果になってしまいます。

 オリンピックを控えて、外国メディアが中国についていろいろ報道していますが、普通の国のメディアは「まず疑ってかかる」ところから始まりますので、外国の報道陣には、上記の分類でいうと後者の見方をする人の方が多いと思います。そのため、本当は中国はきちんとやっているのに「きちんとやっていないのではないか」という疑いの目で見た報道がなされることが多いと思います。これは中国にとって損だと思います。街のビルを「張りボテ」状態にして、いかにも「完成した」かのように見せるよりも、普段着のそのままの北京を見てもらった方が、「世界に中国を理解してもらう」という観点では、得だと私は思います。

 上記(参考1)の「新京報」の記事によると、ボランティア170万人のうち20万人は「応援団」(中国語で「拉拉隊」)なのだそうなのです。彼らのことを「ボランティアの応援団」と呼ぶか、「会場を盛り上げるためのサクラ」と呼ぶかは人によってマチマチだと思いますが、これも一種のオリンピック会場における「張りボテ」の一種と言えるかもしれません。

 これからオリンピックが始まって、北京と中国のいろいろな面が世界に報じられると思いますが、そうした中国報道を受け取る世界の人々の側にも、それが「張りボテの表面」なのか、本当に中国の真の姿なのか、を見極める「目」が要求されることになると思います。

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2008年8月 2日 (土)

「彼ら」は喜びと同時に忍耐が必要

 今日(2008年8月2日:オリンピック開幕まであと6日)の北京は、朝から「スカッとした快晴」で、正真正銘の青空でした。東京の青空に比べると、ややかすんだ感じがあり、明らかに汚染があることがわかるのですが、これくらいならばマラソンをやっても大丈夫でしょう。雨が降ったのが一昨日の夜ですから、汚染が戻ってくるスピードは確かにいつもよりは遅くなっていると思います。こうした感じで、時々雨が降って汚染を流してくれれて、汚染が戻ってくるのが遅ければ、オリンピック期間は大気汚染を気にせずに済みそうです(ただ、こういうふうに「スカッと晴れる」と、やはり8月ですので、太陽の日差しが強く、日中はかなり気温が高くなるので、屋外競技の場合、むしろ「暑さ対策」が課題になりそうです)。今日(8月2日)の北京の大気汚染指数は34で、昨日に引き続き「優」でした。

 さて、広州で発行されている週刊新聞「南方周末」(北京でも買えます)(日本語表記は「南方週末」)の7月31日号の1面トップは「北京人のオリンピック・カウントダウン」という記事でした。

(参考)「南方周末」2008年7月31日号記事(ネット上では8月1日11:22アップ)
「北京人のオリンピック・カウントダウン」
http://www.nanfangdaily.com.cn/nfzm/200807310063.asp

 この記事では「全てはオリンピックのために、北京人は犠牲と日常生活とを調和させようとしている。彼らは喜びとともに忍耐も必要とされている;それに同意することを求められているのである。」という書き出しで始まり、北京で起きている様々な現象をレポートしています。内容的には、日本などでも報道されていることと同じような話です。笑えるようで笑えない話もあります。ポイントを書くと以下のとおりです。

・ある青年は「オリンピックのためには一生懸命やらなくちゃいけない」と思った。インターネット掲示板で、車のナンバープレートの偶数奇数制限に対応するための呼びかけがあったので、それに参加した。たまたま自宅近くの「妙齢の」女性と職場方向が一致していることがわかった。7月23日からこの青年はその女性と相乗りをするようになったが、6回目の相乗りの後「何も批判されることなどやっていないのに、その女性のお母さんに怒られてしまった。」

・ある人は普段は奇数番号の車で通勤しているが、偶数番号の日は使えないので、近くに住む同僚と相乗りを計画していた。しかし、当日になったら、その同僚の奥さんが急に車を使う必要が生じて、「相乗り出勤計画」は破綻してしまった。

・ある人は、普段は車で約1時間掛けて出勤していたが、バスを使うと通勤に2時間掛かってしまうので、職場近くに住む人と相談して、規制期間中だけ、住む家を「取り代えっこ」した。

・ある不動産屋によると、マンションの大家さんの90%は、部屋をオリンピック期間中の短期貸し出しを計画しているとのことである。中には自分が住んでいるマンションを貸し出そうとしている人もいるとのことである。オリンピック・スタジアム(鳥の巣)の近くのマンションでは、2部屋138平方メートルの部屋を月額7万元(約105万円)で貸し出すところもあるとのことである。

・金属、建築材料、石油化学等の重点企業においては、オリンピック期間中の一時的な生産停止と排出削減案が提示されている。北京市の人材紹介所もオリンピック期間中は全て停止される。ある服飾ショッピング・センターでは、オリンピックの柔道とテコンドウの試合会場に近いことから、9月まで営業を停止することになった。ある地方から来た関係者は「オリンピック期間中は帰省して両親と会うのも悪くはないけれども、1~2か月してからお客が戻ってきてくれるかどうか心配だ」と話していた。

・ある美容室では、人気のあるエステ・サービスを停止することにした。このエステ・サービスに必要な液体材料が日本から輸入できなくなってしまったからだ。

 この記事で印象に残ったのは「北京人のカウント・ダウン」という見出しと、「『彼ら』は喜びとともに忍耐も必要とされている」という表現振りです。この「南方周末」は、広東省の広州で発行されている新聞ですが、自分の国でオリンピックが行われようとしているのに、まるで「他人ごと」のように報じているからです。これは、オリンピックの試合が行われる都市以外に住む中国の多くの人の気持ちを代弁しているのかもしれません。

(注)オリンピックの試合が行われるのは、北京のほか、セーリングが行われる青島、馬術が行われる香港、サッカーが行われる天津、秦皇島、瀋陽、上海の合計7都市です。広州では何も行われません。中国で普通「3大都市」と言えば、北京、上海、広州ですから、広州で何もオリンピック競技が行われないことは広州の人にとっては面白くないのかもしれません。

 ただ、救いなのは、こういった「広州の人々のなんとはない不満」が見え隠れする新聞が広州で発行され、それが北京の新聞スタンドで簡単に買える、という事実です。現在の中国では「締めるべきところは締めて」いるのですが、それ以外のところでは意外にルーズなところ(抜け穴)があり、「ギズギスした締め付け」が必ずしも徹底していないところがあります。これが適当な社会の「安全弁」になっているような気がしています。今、社会のいろいろな階層で不満がうっ積していると思います。1989年には、そういった不満をうまく「ガス抜き」することができずに「爆発」するところまで言ってしまったのですが、今の中国では、最後の最後は、適当なところで「安全弁」が働くのないかという気がしています。

 最近、今度の北京オリンピックを通じて、その「安全弁」の数が増えてきているのではないか、そんな期待を私は持ち始めています。

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2008年8月 1日 (金)

BBC中国語版サイトへのアクセス規制解除

 今日(2008年8月1日:オリンピック開幕まであと7日)の北京は、天気は曇りでしたが、朝から空気がスッキリして、遠くのビルまでハッキリと見えました。昨日の夕方から夜に掛けて、かなり強い雨が降ったので、汚染が洗い流されたようです。このスッキリした空気は夕方まで続き、時々雲間から差してくる太陽の日差しには「ここは北京か」と思わせるほどの輝きがありました。この状態を維持することができれば、大気汚染に関しては、オリンピックは全く問題なく運営できると思います。問題は、明日以降、汚染が戻ってくるかどうかです。今日(8月1日)の北京の大気汚染指数は27の「優」でした。昨年(2007年)は大気汚染指数が30以下の日は8日しかなかったのですから、この状態がもし続くようだとすると、それは素晴らしいことです。交通規制などの対策が功を奏したということになると思います。

 さて、昨日(7月31日)夜、イギリスBBCのホームページを見ていて、今まではアクセス制限によって見ることができなかった中国語版のサイトが見られるようになっていることに気が付きました。

(参考1)BBCホームページ中国語サイト(簡体字版)
http://news.bbc.co.uk/chinese/simp/hi/default.stm

 多くの方が御存じのように、中国大陸部(注)では、中国にとって「好ましくない」と思われるサイトへのアクセス規制を行っています。俗に「金盾」とか「防火長城」とか「グレイト・ファイアーウォール・オブ・チャイナ」とか言われるシステムです(最後のものは「万里の長城」を英語で「グレイト・ウォール・オブ・チャイナ」ということに引っかけた一種の「シャレ言葉」です)。このインターネット規制システムにより、中国大陸部からは、イギリスBBCのサイトは、長い間、トップページは開けるけれども、項目をクリックしても中の記事は読めない状態が続いていました。ところが、今年(2008年)3月中旬、チベット騒乱に関する中国にとってあまり「好ましくない」報道が続いていたにもかかわらず、BBCのサイトはトップページだけでなく、個々の記事も読めるようになりました。しかし、BBCのページにある中国語のサイトへはその後もアクセスできない状態が続いていました。

(注)1997年7月に中国に返還された香港は、今でも、この「ファイアーウォール」の外側にあり、香港では日本と同じように、好きなところへアクセスすることが可能です。今年4月、私は1日のうちに広東省深セン-香港-北京と移動したことがあるのですが、その際に実際にネットにアクセスして確認しました。その経験によると、香港では日本と同じように自由にアクセスできるのですが、数キロしか離れていない深セン市では、北京と全く同じような規制が掛かっていました。深セン市と香港との間に、この「ファイアーウォール」が設置されているのは明らかでした。

 ところが昨晩BBCページの中国語サイトへアクセスしたら内容を見ることができたのです。このアクセス規制解除はごく最近に行われたもののようです。このページには「網上互動」という名前の掲示板があるのですが、この掲示板にもアクセスできます。掲示板の発言者が自分で書いているところによれば、発言者のいる場所はイギリス、大陸、香港、台湾など様々です。大陸と台湾の人が中国語で同じ掲示板に書き込みができる、というのは、これは非常に画期的なことです。

 また、中国語ウィキペディアも長らくアクセスできませんでしたが、今、確認したら、北京から中国語ウィキペディアへもアクセスできます(今見た中国語ウィキペディアの記述を見ると、今日(8月1日)、中国語ウィキペディアへのアクセス規制が解除になったようです)。日本にいた頃に見たことのある中国語ウィキペディアの記述に、次のようなものがありました。「このウィキペディアは、多くのネットワーカーからの書き込み・編集により知識が蓄積されていく。世界の多くの言語の人々がこうして知識を高め合っているのに、中国語ウィキペディアに関してだけは、大陸からのアクセス制限により、台湾等大陸外からの書き込み・編集しかできず、大陸側からの見方が書き込まれないので、中立な立場での知識の集積ができない。中国語を用いる全ての人々の英知を結集できないことは非常に残念である」。私もこの記述を書いた人に大きな共感を覚えました。

 今回、オリンピックを機会にして、こうしたアクセス規制の解除が広がったことにより、インターネットの世界での情報交流が進み、中国大陸の中の人が外の情報を知ることができると同時に、大陸の外の人が大陸の人の声をネットを通じて知ることができるようになるのは素晴らしいことだと思います。

 なお、日本語ウィキペディアについては、アクセス規制が掛かったり解除されたりしています。理由は不明です。昨年(2007年)4月、私が北京に来たときには日本語ウィキペディアにはアクセスできませんでした。しかし、昨年6月中旬~9月中旬の約3か月間、このアクセス規制は解除されました。ところが昨年9月中旬にまたアクセス規制が掛かりました。その後、今年(2008年)4月上旬、再びアクセス規制が解除され、記事が見られるようになって今に至っています。ただし、日本語ウィキペディアでも中国にとって非常にセンシティブな単語については、その単語の記事についてだけアクセスできません(アクセスしようとすると、ウィキペディア自体へのアクセスが制限されてしまい、数分間、ウィキペディアの全てのページを見ることができなくなります。数分経つと、センシティブではない単語については、見ることができるようになります)。

 北京の中心部にある有名な毛沢東主席の肖像が架かっている門の前の広場で起こった事件には、1976年に起こった事件と1989年に起こった事件の2つがありますが、1976年の事件についてはアクセスできるのに、1989年に起こった事件についてはアクセスできない、という状況が現在でも続いています。

 アクセス規制が解除された中国語ウィキペディアでも、そういったセンシティブな単語については、アクセスが規制され見ることができないようです。

 なお、現在、中国国民党のウェブサイトは、台湾にありますが、これだけ中国共産党と中国国民党との融和ムードが高まっている現在でも、北京からはアクセスできません。

(参考2)中国国民党のホームページ
http://www.kmt.org.tw/

 一部のウェブサイトに対するアクセス制限は残っているとは言え、ウィキペディアや大陸の外にサーバーを置いてある掲示板系へのアクセスが解禁になったことは画期的です。そういった大陸の外にあるサーバーを通じて、大陸の人々が大陸の外の人々と「議論」ができるようになったからです。中国国内にあるサーバーにある掲示板では、一定の枠を超えた意見(端的に言えば中国共産党に対する批判的な意見)は管理人によって削除されてしまうので、一定の枠を超えた議論はできません。中国では「中国共産党による指導」が憲法で規定されており、その憲法に違反するような言論は「法律違反」となってしまうからです。大陸の外にサーバーを置く掲示板を使えば「枠を超えた議論」ができてしまうわけなので、これは結構影響が大きいのではないかと思います。

 なおCRI(中国国際ラジオ局)のホームページによれば、昨日(7月31日)、北京オリンピック組織委員会の孫偉徳氏は、外国メディアによるインターネット利用の便宜を図る、とした説明の中で「わずかだがアクセスできないサイトがある。それはそのサイトが中国の法律に違反しているからだ。各国のメディアは中国の法律を尊重することを願う。」と語ったとこのとです。

(参考3)中国国際ラジオ局(日本語版)2008年7月31日記事
「北京五輪、海外メディアのネット利用に便宜」
http://jp1.chinabroadcast.cn/151/2008/07/31/1s123112.htm

 これは、中国がインターネットのアクセス規制を行っていることを公式に認めた発言として注目されます。

 このように世界が注目し、世界のメディアが集まるオリンピックにおいては、中国としても「ハッキリさせるべきところはハッキリ言わなければ通らない」状況になっているからだと思います。私は、ハッキリいうべきことはハッキリ言って、例えばインターネットのアクセス規制をやっているのはきちんとした理由があるのだ、と説明して、むしろ中国の状況を世界の人々に知ってもらうことも重要だと思います。この北京オリンピックの開催を通じて、中国が、世界の人々と共通の基盤に立たなければ世界に中国のことを理解してもらえないのだ、ということを痛感し、世界の共感を得られるような行動に出るのだとしたら、それだけでもう北京オリンピックは成功したと言えると思います。

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2008年7月31日 (木)

開会式リハーサルと緊急追加規制の発表

 今日(2008年7月31日:オリンピック開幕まであと8日)の北京は、朝のうち霧で視界が悪かったのですが、お昼頃には薄日が差し、夕方から夜に掛けては雨が降る、という不安定な一日でした。気温が30度に届かず、気温的には過ごしやすい1日でした。今日(7月31日)の北京の大気汚染指数は69で、昨日予想したよりは若干よかったようです。朝は視界が悪かったのですが、「真っ白い視界の悪さ」だったので、これは汚染ではなく霧だったのでしょう(スモッグの場合は「真っ白」ではなく、やや茶色がかった感じがするので、何となくわかります)。

 昨夜、かなり強い雨が降り、今朝はやや気温が低かったので、たぶん昨晩寒冷前線が通過したのではないかと思います。「たぶん」と書いたのは、中国では、新聞やテレビの天気予報に高気圧や低気圧、前線などの天気図が登場しないので、「想像」するしかないのです。詳しくはよく知りませんが、気圧配置も気象情報のひとつなので、「国家機密」扱いになっており、基本的には公表しない、という方針なのだろうと私は思っています。

 昨日(7月30日)夜、オリンピック・スタジアム(通称「鳥の巣」)で、開会式のリハーサルがあったそうです。リハーサルをやる、という話を私は知りませんでした。今朝の新聞を見て始めて知りました。開会式のプログラムの秘密を保持するため、リハーサルをやるスケジュール等は公表していないようです。

 新聞では「彩排」とありましたので、いわゆる「ドレス・リハーサル(本番と同じ衣裳を付けて行う最終的なリハーサル)」だったようです。このリハーサルは開会式の入場券を持っている人やボランティアなど7万人が「観客」として参加しました。この参加人数で、「鳥の巣」の観客席は8割方埋まったのだそうです。大勢の人が参加するために、開会式の演目の内容が漏れる恐れがありましたが、撮影ができる機器は持ち込み禁止、見た内容は知人に対しても口外禁止、漏らした者は法律に基づき措置される、という「おふれ」が出ていたのだそうです。新聞記事によると、秘密を口外しない、といった契約のようなものは交わしていなかったのだそうで、いったい何の法律に基づいて「措置」されるのかは、よくわかりませんでした。開会式のプログラムの内容は、商業秘密でもないし、漏洩を処罰する法律などはないと思います。まさか「国家秘密保護法」を適用するわけにはいかないと思うのですが。

 このリハーサルについては、一部の外国メディアがリハーサルの内容を撮影して報道して、オリンピック委員会や中国国内の多くの人から非難を浴びているとのことです。興味本位の報道合戦もいいですが、興醒めなことはやらないで欲しいと思います。

 このリハーサルで、演目に関する秘密漏洩の恐れがあったにもかかわらず、大勢の観客を入れたのは、やはり観客の誘導等について「ぶっつけ本番」でやるわけにはいかない、と考えたからでしょう。私は、イベントが終わった後にお客を帰す足の確保が一番問題ではないかと心配していました。その点は、担当当局もわかっていたようで、昨日のリハーサルではバスをフル回転させて、約40分間で7万人以上の観客をスムーズに帰宅させることができた、とのことでした。

(参考1)「新京報」2008年7月31日付け記事
「オリンピック開会式ドレス・リハーサル、7万人が『人より先に見られて嬉しい』」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/07-31/018@073238.htm

 こういったリハーサルは結構入念に行っているようですので、観客の移動などでは問題は起きなさそうです。後はダフ屋とか「黒車」(無許可タクシー)とか「不法のやから」がどれだけ暗躍するかだと思います。オリンピック・スタジアム周辺は、相当に警備が厳重なので、こいった「不法のやから」も出現する余地はないのかもしれません。

 それより今日(7月31日)の新聞を見てびっくりしたのは、今後48時間以内に大気汚染の悪化が予想される場合には、これまで北京市内で実施している偶数・奇数のナンバープレート制限に加えて、緊急追加規制措置を講ずることとする、との発表があったことです。「緊急追加規制措置」の内容は以下のとおりです。

・北京市内では、偶数・奇数制限に加えて、ナンバープレートの下1桁の数字がその日の下1桁の数字と同じ車は通行を禁止する。

・天津市(北京市の南東側に隣接している)でも偶数奇数番号制限を実施する。天津市内の56の石炭火力発電所、石炭火力熱供給ステーション、建築材料、化学、機械電気のうち揮発性有機物や微粒子などの汚染物を放出する生産工程をストップさせる。

・河北省(北京の隣の省)では4つの都市(石家庄、保定、廊坊、唐山)において7時から22時まで奇数偶数交通規制を実施する。その上、これら4都市の61の揮発性有機物や微粒子、悪臭などを放出する企業を一時的に操業停止にする。また、張家口、承徳、石家庄、唐山等の小規模鉄鋼工場において大幅な減産を行う。大型鉄鋼工場においては、状況を見て減産を行う。

(参考2)「新京報」2008年7月31日付け記事
「今後2日間大気汚染指数が基準を超えそうになったら、自動車の運行をさらに10%制限」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/07-31/018@072119.htm

 北京市以外で車の偶数奇数規制を行う、という話は私は始めて聞いた話です。天津市や河北省の人たちはこういうことがあり得る、ということは知っていたのでしょうか。おそらく北京市における車の規制による大気汚染の改善が思っていたほどに効果が上がらないので、「奥の手」を出してきたのでしょう。天津市や河北省の人にとっては「寝耳に水」の話だと思います。オリンピック開始の一週間前になって、こういう措置をやる、と急に発表する、というのは、いくら中国だとは言っても、ちょっと乱暴な気がします。一昨日の記者会見では、北京市環境保護局の担当副局長は「汚染物質は確実に減少しており、追加的措置は必要ない。」と言っていたばっかりでした。この緊急措置の発表は、たぶん、北京市の責任範囲を超えた国レベルの「上の方」からの指示なのでしょう。

 汚染を出す工場を一時的に停止する、とひとことで言っていますが、これは社会的影響はかなり大きいと思います。発電所や鉄鋼工場は、経済を支える部門ですから、経済活動全般に影響を与える可能性もあります。かなり市場経済化が進んで来たとは言え、中国ではまだまだ国有企業が多いので、こういった「中央政府の指示で工場を停止する」ことが、法律の根拠がなくてもできてしまうのだな、と改めて感じました。こういうふうに、市場原理とは全く別の世界で、政府の命令でコストを背負い込まされることがあり得ることが、国有企業になかなかコスト意識が育たない原因なのだと思います。

 これらの措置を講じて、北京の大気汚染がどれだけ改善するのかはわかりません。オリンピックのためにあまり無理なことを強制すると反発が出るのではないかと心配になります。北京の交通規制だけで、既に相当に無理をしているのですから、これ以上の無理はせずに、ある程度の大気汚染があったらあったなりで、オリンピックを運営した方がよいのではないかと思います。「無理」を重ねるごとに中国の人々自身が「オリンピックを楽しむ」という気分からは遠のいていってしまうように思えるからです。

 北京に来る外国人の数が以前に予想したほどには多くないようですので、少なくとも中国の人たちにとっては楽しめるオリンピックであって欲しいと思います。

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2008年7月30日 (水)

北京オリンピック会場では横断幕は禁止

 ここのところ夏休みの宿題の日記のように、毎日「今日の北京の天気は・・・」と書いていますので、今日もそこからスタートしましょう。今日(2008年7月30日:オリンピック開幕まであと9日)の北京は、曇りで、朝方は空気が比較的きれいだったのですが、午前10時頃からだんだんかすんだ感じが強くなり、午後には視界が2km程度の「いつもの白い空気」に戻りました。昨日の午前中の雨で空気がきれいになりましたが、雨による空気の清浄効果は24時間は保たないようです。車の数は確かに偶数奇数規制により数割程度は減っていると思うし、工場の操業停止などもやっていると思うので、雨が降っても復活してしまうこの大気汚染の元は、いったいどこから来るのでしょうか。天津市や河北省から流れてくるのでしょうか。

 今日(7月30日)の北京の大気汚染指数は43の「優」でした。大気汚染指数は前日のお昼の12時から当日のお昼の12時までの24時間の観測値の平均値なので、確かに昨日(29日)の午前中に降った雨の影響で、昨日の午後から夜に掛けてと、今日(30日)の明け方までは空気はきれいだったので、今日の汚染指数が43だったのはそれなりに納得できます。今日(30日)は午後から汚染が戻ってきたので、明日(31日)の大気汚染指数は(夜の間と明日の午前中の状況次第ですが)70~80といった程度になるのではないかと思います。「基準」では「100以下は青空」と定義されていますが、汚染係数が80程度の日は「スッキリ晴れた」というイメージではありません。どうやら、こんな状態のまま、オリンピックが始まりそうです。オリンピックが始まれば、毎日北京からの中継を日本の方も見ることになると思うので、どんな感じかは日本の方々も毎日テレビの画面で確認できることになるでしょう。

 さて、既に日本でも報道されているとおり、今回の北京オリンピックでは、ただ観戦するだけでもいろいろな規制があって結構やっかいです。警備上の都合や安全の確保のためのものもあるのですが、政治的な「もめごと」を避けるための規制もあります。観戦会場にビンや缶類を持って入ってはいけない、といった類のものは、安全上の配慮から納得できますが、「横断幕は一切禁止」というのは、ちょっと違和感があります。

 「新京報」などでは、この観戦ルールが発表された時、「中国がんばれ!」(中国語で「中国、加油!」)といった横断幕もダメだそうです、などと表現して、暗に「規制のし過ぎ」について批判したように読める文章の記事を掲載していました。観戦ルールを作った担当者によると「オリンピックは国際大会なので『中国、加油!』などと横断幕に書いても世界の人にはわからず『世界は一つの大家族だ』という雰囲気を壊してしまうので、ダメなのだ。」といったわかったようなわからないような理屈で、横断幕がダメな理由を説明していました。

(参考1)「新京報」2008年7月23日付け記事
「『中国がんばれ!』の横断幕も試合会場には持ち込み禁止」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/07-23/039@073857.htm

 要するに、外国語で政治的なスローガンの横断幕を掲げる人が出た場合、それを取り締まることが難しいため、一律に何が書いてあっても横断幕は禁止、ということにしたのだと思います。「環境を保護しよう」とか「動物愛護!」とかいう横断幕もダメなのだそうです。素直に応援したいと思っている観客とそれを認めない管理者との間でもめごとが起きないとよいがなぁ、と私は思っています。一般の中国の人の感覚からすると、応援したい中国の選手の名前を書いた横断幕や「中国がんばれ!」と書いた「愛国的な」横断幕がなぜダメなんだ、と感じるだろうと思うからです。

 一方で、当局から、市内の3つの公園(世界公園、紫竹院公園、日壇公園)を「デモ許可区域」として指定し、そこではデモをやってもよろしい、という発表がありました。この発表の真意についてはいろいろな憶測が流れているようです。法律に基づき「デモ許可区域」の公園でもデモをやるためには事前許可が必要ですので、「デモ許可公園の設置」は、むしろ「これらの公園以外ではデモは一切禁止である」ことを明示するためのものだ、という解釈をする人もいます。限定された公園の中だけで、それなりに批判的なデモも認めて、外国メディアに対して「ほら、こういったデモも認められていますよ。」とアピールするためのものだ、と考える人もいます。

(参考2)「財経網」2008年7月23日16:07アップ記事
「オリンピック期間中、北京で三か所のデモ地点を開設」
http://magazine.caijing.com.cn/20080723/76050.shtml

 いずれにせよ、「デモ行進」というものは、「街行く人に自分たちの主張をアピールするためのも」ですから、閉じられた公園の中でデモをやっても、デモを主催する側としては単なる自己満足にしかなりません。「閉じられた公園の中でデモをやりたい」と思う人がいるのかどうかわかりません。「これだけのデモを許可している」ことを外国の報道陣に見せるための官製の「やらせデモ」があるのではないか、と見る人もいますが、どうなるかはわかりません。いずれにせよ、この「デモ許可公園」をした当局側の意図は、私にはよくわかりません。

 いろいろな面で、今回の北京オリンピックは、「世界標準」と違うところがあるので、それが原因でもめごとが起こらなければよいなぁ、と思っています。特に、私としては、オリンピック期間中、中国の法律をよく知らない外国の人が、許可なくプラカードや横断幕や旗を持って街を歩いて、中国の公安当局とトラブルを起こさないとよいがなぁ、とちょっと心配しています。

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2008年7月29日 (火)

北京の大気汚染指数は「作って」はいない

 今日(2008年7月29日:オリンピック開幕まであと10日)の北京は、午前中に雷雨があり、午後から晴れてきましたので、空気がだいぶきれいになりました。午後、太陽が出てきた時には、太陽がまぶしくて肉眼では直視できない程度にはなっていました。(とは言え、雨が降った後でも、何となくぼんやりかすんだ感じで、私が先週、東京で見たスカッとした夏の青空とはやはり違う感じでした)。

 ここ数日間スモッグがかなりひどかったことについては、多くの北京市民も「交通規制については、オリンピックだからしかたがない、と思って不便な思いを我慢しているのに、どうなっているんだ」という不満が募っていたようです。今朝の中央電視台の朝のニュース「新聞天下」では、こういった一般市民の不満をなだめるように、気象の専門家は、オリンピック期間中は「サウナ・スモッグ」が持続するようなことはないと言っている、というニュースを伝えていました(「サウナ」は中国語では「桑拿」(音訳))。

(参考1)中国中央電視台ホームページ2008年7月29日「新聞天下」のニュース
「北京ではオリンピック期間中に『サウナ・スモッグ』が持続することはあり得ない」
http://news.cctv.com/china/20080729/100279.shtml

 ただ、逆に言うと、このテレビのニュースは、多くの人が、ここ数日間の北京の天気を「サウナ・スモッグ」だと思っていた、ということを表していると思います。オリンピック期間になったら「サウナ・スモッグ」が持続しない理由として、このニュースでは、8月7日が立秋であり、北京では立秋以降は毎年爽快な日が多くなるから、という説明をしていました(あんまり説得力のある説明ではないと思いますが)。

 また、今日の「新京報」では、こういった一般市民の気持ちを代弁してだと思うのですが、北京市環境保護局副局長で同局スポークスマンの杜少中氏への単独インタビュー記事を載せていました。

(参考2)「新京報」2008年7月29日付け記事
紙面上の見出し「北京の大気汚染指数は『作られた』ということはない」
ネット上での見出し「大気汚染は健康に影響を与えるものではない」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/07-29/039@073737.htm

 杜少中副局長が言っていることの中心は「今年の7月は去年の7月よりは北京の大気汚染の状態は良くなっている」「7月下旬はたまたま汚染物質が拡散しにくい不利な気象条件になっているだけ」「大気汚染の程度は視界が悪いことだけではなく科学的データに基づいて判断して欲しい」といった今まで何回も記者会見で述べてきたことの繰り返しでした。ただ、新しい点として、次の二つを言っていました。

・7月28日は汚染指数が96で100を下回っており、29日は雨が降る予報が出ているので、改善の兆しがある(実際、29日には雨が降って、大気汚染はかなり改善しました)。

・(「新京報」の記者が「一部の外国メディアが、大気汚染指数100前後の日では、100という境界線をちょっと下回る日が不自然に多く、汚染指数が一定の値を越えた日の数が『修正』されているのではないか、と疑問を投げかけているが、これについてどう考えているのか、と問うたのに対し)北京では科学的事実をもって大気汚染問題に対処しているのであり、「虚偽をもてあそぶ」といった不誠実な言葉を使うことは、自分で自分のボロを出すのと同じである。

 日本のメディアの報道によると、杜少中副局長は7月10日の記者会見で「汚染指数が100を越えそうな日は、観測点周辺で(工場を停止するなどの)応急措置を取る」と答えています。確かにデータをねつ造しているわけではないのですが、この発言を捉えて日本のメディアは「大気汚染指数が基準内だった日の日数を人為的に操作」といった表現で報じたわけです。上記の「新京報」の記事の紙面上での見出しは「汚染指数は作られたわけではない」(中国語で「北京空気汚染指数不存在作假」)となっています。汚染指数が基準値を超えそうな時は、観測点周辺の工場の操業を停止するなどの措置は、「ニセのデータを作る」ことではないので、杜少中副局長の発言は確かに「ウソ」ではありませんが、中国語独特の修辞術を使った「ごまかし」であると言われても仕方がないと思います。紙面で使われた「不存在作假」という見出しがネット記事の報では削除されてしまったのは、こういった「ごまかし」があからさまにならにように、との配慮によるものと思われます。

 通常、中国のスポークスマンは「ウソ」は言いませんが、外国メディアに対する時と中国のメディアに対する時とで微妙に言い回しを変えることがあります。中国のメディアは「党の舌と喉」ですから、スポークスマンが言わんとすること(あるいは言いたくないこと)を忖度(そんたく)して、ウソにならない範囲で記事を作ります。そのため、同じスポークスマンの発言でも、外国メディアと中国のメディアとでは、ほとんど正反対の印象を読者に与えることがあります。「新京報」の記者は、中国の他のメディアでは取り上げていない「大気汚染指数を操作しているのではないかとの疑惑」をあえて取り上げ、そこを突っ込んで質問した、という点で評価されるべきなのでしょう。「新京報」の記者に「汚染が基準を超えそうになったときに、緊急に観測点周辺の工場の操業を停止させるのは『大気汚染指数の基準を超える日の数を操作している』と言われても仕方がないのではないのか。」と質問することまで期待することは、今の中国では無理なのでしょう。

 中国側がオリンピックのために一生懸命大気汚染改善のために努力をしているのに、西側のメディア(私のこのブログも含めてですが)が盛んに北京の大気汚染がオリンピックに影響を与えるのではないか、との憂慮を表す記事を書くので、新華社通信は相当頭に来たらしく、以下のような論評を配信しました。
 
(参考3)「新華社」ホームページ2008年7月28日13:02アップ論評
「マスクをしてオリンピックに参加する、というのは誇張のし過ぎ」(言立侖)
http://news.xinhuanet.com/comments/2008-07/28/content_8834302.htm

 この論評では、北京の大気汚染は10年前より相当に改善しており、今回のオリンピックに対しては北京市民が交通規制など大変な犠牲を払いながら大気汚染の改善を図っているのに、西側メディアは意図的に事実を歪曲して報道している、「選手はマスクをしてオリンピック競技に参加した方がよい」といった表現は誇張のし過ぎ、と指摘しています。北京の大気汚染が昔より改善していることも、多くの北京市民が犠牲を強いられていることも事実ですが、「西側メディアが歪曲報道をしている」という表現は相当に刺激的な論評です。まるで、外国で聖火リレーをやっていた時の「西側報道タタキ」を連想させるような言い回しです。中国のメディアではこういうような報道しかしないので、多くの中国の人々は「西側メディアは中国のことを正しく伝えていない」「世界は中国のことを間違って理解している」と思ってしまうのです。

 北京市環境保護局の「大気汚染指数が基準値を超える日の日数を少なくしようとして行った人為的操作」についての報道を「虚偽をもてあそぶ」と表現することが「正しい報道」であり、実際に肉眼で太陽が凝視できてしまうような白い空気の中でマラソンをすることが心配だ、と報じるのは「事実を歪曲した報道」である、といった認識を、もし中国の関係者の多くが持っているのだとしたら、私はいつまでたっても中国は世界の仲間には入れないと思います。

 北京の大気汚染指数は、昨日(7月28日)は96、今日(29日)は90でしたが、国家環境保護部のホームページでは、昨日の分の指数がずっと発表になりませんでした。普通は、毎日午後2時頃には発表になるのですが、今日の午後になって今日の分が発表になるまで、昨日の大気汚染指数は国家環境保護部のホームページでは見ることができませんでした。このホームページでは過去の大気汚染指数も検索できるので、今日の指数が発表になった後で、昨日の分を検索したら96だということがわかりました。システムのトラブルで昨日の時点でアップできかなかったのか、それとも意図的にアップしなかったのか、については不明です。

 中国では、大気汚染データの測定をはじめ、気象観測データの測定を行うには関係当局の許可が要りますので、外国の報道機関や研究者が勝手に大気汚染の観測を行うことは認められていません(気象観測データは「国家秘密」の扱いになっているためです)。ですから、国家環境保護部の観測データ自体が正しいのかどうか、誰もクロスチェックできないのも、外国の人からすると、何となく「ふに落ちない」ところです。せめてオリンピック期間中だけでも、外国の研究者は大気汚染観測を自由にやってよい、といったような措置を採ってくれれば、かなり信用の回復には効果があったと思うんですけどね。

 北京オリンピックは、こうした中国で現実に行われている様々なこと世界の面前にさらけ出した、という意味では、非常に意味のあるイベントだと思います。

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2008年7月27日 (日)

北京で追加的な交通規制を実施

 今日(7月27日)、オリンピック村の開村式がありました。まず中国選手団が入村し、日本選手団の一部も既にオリンピック村へ入ったとのことです。といったふうに、そろそろ「オリンピック直前」になりつつあるのですが、今日(7月27日)も北京は白い「かすみ」が掛かったような状態で、曇ってはいないのですが空が白い状態です。視界は700~800メートルといったところでしょうか。国家環境保護部の発表によると、今日の北京の大気汚染指数は113で、これで4日連続で「軽微汚染」になってしましいました。

 一昨日、このブログに車の偶数・奇数制限が始まったのに、車の量はあまり減っていないし、大気汚染もあまり良くなっていない、と書きました。

(参考1)このブログの2008年7月25日付け記事
「変わっていない!車の数も大気汚染も」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/07/post_5363.html

 こういった私の印象は、北京の一般市民も持っているようで、今日(7月27日)付けの北京の大衆紙「新京報」には、当局関係者の「言い訳」のようなものが載っていました。特に「車の量があまり減っていない」ことに関しては、北京市当局もさらなる対策を講じるとのことです。北京市内の交通規制は、大気汚染対策と観光客が渋滞に巻き込まれないようにするための対策だったのですが、市内の幹線道路のひとつである第二環状路(片道3車線)では、1車線の「オリンピック関係者用専用レーン」を設けたところ、先週(7月21日(月)からの週)、ナンバープレート偶数奇数の規制を始めたのに、今までと同じような渋滞が起きてしまいました。このため、北京市交通管理局では、第二環状路については、偶数奇数制限に加えて、随時、入り口を閉鎖して、車を入れない措置を新たに講ずることになった、とのことです。

(参考2)「新京報」2008年7月27日付け記事(1面トップ記事)
「第二環状路、渋滞したときは入り口を閉鎖」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2008/07-27/011@072344.htm

 北京市交通管理局の当局者は、7月20日からナンバープレートの偶数・奇数の規制を始めたのに交通量があまり減らず第二環状路で相変わらず渋滞が起きていることについて、以下の4つの原因があるのではないか、と推測しています。

(1) オリンピック車両専用レーンを設けたことにより一車線少なくなったこと。

(2) 過去にも国際イベントで交通規制を行ったことがあるが、多くは週末であったが、今回は平日の通常勤務時間帯も規制を行っていること。

(3) 偶数・奇数制限の期間が長い(2か月間)ことから、普段は2日に分けて行う業務を1日で済ませてしまおうと考える人が多く、結果的に1台の車が街へ出る回数が通常より多くなってしまったと考えられること。

(4) 第二環状路は、沿線にいろいろな機能を持った機関が集まっていて便利なことから、規制を始める前よりもかえって、あまり移動せずにいろいろな用が足せる第二環状路周辺地区に車が集まってしまったこと。

 渋滞が発生しそうな時には第二環状路への乗り入れ制限が行われる、となると、今度は第三環状路など、別の場所で渋滞が発生しそうです。渋滞が発生すると、それだけ自動車の排ガスの量は増えますので、結局のところ、オリンピックのための大気汚染対策として実施した車の偶数・奇数制限は、予想していたほどには効果が上がらないのかもしれません。

 車の数が減らないことと直接的に関係しているのかどうかはわかりませんが、ここ数日間、大気汚染係数が101以上の「軽微汚染」の日が続いています。北京のビル群を遠くから眺めれば、大気がかすんで視界が悪くなっているのは誰の目にも明らかです。このブログの昨日の記事にも載せましたが、7月25日に撮影した下の写真などを見ていただければ、雰囲気がわかると思います。

(参考3)北京地下鉄空港線から見た空港高速道路料金所(2008年7月25日撮影)
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/kosokuryoukinjo.jpg

 これについて、北京市環境保護局副局長で同局スポークスマンの杜少中氏が説明をしています。

(参考4)「新京報」2008年7月27日付け記事
「景色がぼやけて見えるのは、大気汚染の状態が良くないことを表しているわけではない」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/07-27/011@075458.htm

 杜少中氏は「浴室の中では近くものでもよく見えないが、だからといって浴室の空気が汚染されているわけではない。」という例示を示して、視界を左右しているのは水蒸気であって、汚染物質そのものではないことを強調しています。核となる微粒子が空気中に存在し、そこで湿度が高くなると微粒子の回りに水分が凝集することによって視界が悪くなるのであって、大気汚染物質があっても湿度があまり高くなければ視界は悪くならないし、汚染物質が少なくても、湿度が過度に高いと視界が悪くなることは事実です(実際、大気中に汚染物質がなくても自然現象としての霧は発生します)。ただ、大気中に汚染物質がなければ、空気中の湿度が高くても水蒸気として凝集する可能性が少なくなるので、大気中の汚染物質の量が多い方が視界が悪くなる確率が高くなることは間違いないと思います。

 杜少中氏は、ここ数日の北京は、気温が高い、湿度が高い、風が弱くて汚染物質が拡散しにくい、という大気汚染にとって不利な気象条件が重なっているが、汚染の原因となる物質は明らかに減少してきている、と指摘しています。ただ、北京市環境保護局のスポークスマンが記者会見でこういう「言い訳」のような説明をしているということ自体、北京市民の間に「交通規制により自分たちは不便な思いをしているが、大気汚染は全然改善していないじゃないか。」という不満があることを示していると思います。

 この北京市環境保護局の杜少中副局長は、7月10日の記者会見で、過去の北京の大気汚染指数のデータをグラフにすると「軽微汚染」か「良」かの境目となる100より少し汚染指数が高い日の数が極端に少ないことについて質問された際、「汚染指数が基準をわずかに上回りそうな時は、観測点周辺で応急措置を取る」と答え、「軽微汚染」になる日を少なくするための「操作」をしていることを認めた人です。従って、私としては、杜少中副局長の説明を聞いても、素直には納得できない気持ちです。

(参考5)このブログの2008年7月11日付け記事
「2008年上半期の北京の大気汚染指数」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/07/2008_d352.html

 なお、北京の大気汚染指数を減らすために「操作」が行われていることを杜少中副局長が認めた、という件については、日本では報道されていましたが、中国の新聞等で報道されているのは、少なくとも私は見ていません。

 今日(7月27日)、一部の日本選手団が北京へ来てオリンピック村に入りましたので、その日本選手団が今日の北京の空気を見てどのような感想を言うのか、については、日本でも報道されると思います。「視界が悪いのは水蒸気のせいであって必ずしも大気汚染がひどいことを表しているわけではない」というのは、間違いではないと思うのですが、日本では、この北京のような「晴れているけれども視界が悪い」という天候はあまりないので、日本選手団は、おそらくは「やはり空気が悪いなぁ」という印象を持ったと思います(今日、北京入りした競泳選手団は29日に韓国へ移動して最後の調整を行うとのことです)。

 天気予報では、明日(7月28日)夕方には雷雨が降るかもしれない、と言っていますので、雷雨によって汚染物質が流されて、北京でもスッキリとした青空が広がることを期待したいと思います。

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2008年7月26日 (土)

北京地下鉄空港線に乗ってみました

 昨日(7月25日)、北京空港から市内まで、7月19日に開通したばかりの北京地下鉄空港線(北京首都空港鉄道)に乗ってみました。

 北京地下鉄空港線は、通常の鉄の線路の上を走り、電源は第三軌道から取ります(パンタグラフからではなく軌道脇の第三のレールから電源を取る方式:東京の地下鉄でいうと東京メトロの銀座線と丸ノ内線と同じ形式)。車輪で車体を支えていますが、2本のレールの真ん中に金属板が設置されているリニア・モーターカーです(この方式は東京の地下鉄でいうと都営地下鉄の大江戸線と同じ形式)。4両編成で、車内は向かい合わせの座席が着いているモダンなデザインです。運転士のいない自動運転で運行を行っています。

 北京首都空港は、北京市市街地の北東にありますが、この空港線の路線は、北京市内の第二環状路の下を通っている地下鉄2号線の東北部にある「東直門駅」を乗り換え駅としてこの駅を出発点とし、第三環状路付近を通っているこれも7月19日に開通したばかりの地下鉄10号線との乗換駅である「三元橋駅」に停車し、その後は地上に出て北京空港へ向かいます。まず、国際線や一部国内線が発着する世界最大級といわれる巨大な「第3ターミナル駅」(これは地上にあります)に到着します。その後、進行方向を変えて(後ろ向きに出発し)、「第1・第2ターミナル駅」(これは地下にあります)へ向かいます。第1ターミナルは最も古いターミナルで一部の国内線が運航しています。第2ターミナルは、この3月まで国際線などが使っていたターミナルです(今は一部の国内線のみが使っています)。第1ターミナルと第2ターミナルは比較的近いので、地下鉄空港線の駅は共通でひとつの駅を使っています。

※第3ターミナルはほとんどの国際線(日本航空と全日空を含む)と一部の国内線が利用しています。

 「第1・第2ターミナル駅」でのお客の乗降が終わると、今度は再び進行方向を変えて(後ろ向きに出発し)市内へ向かい「三元橋駅」「東直門駅」の順に止まります。運行の順序は「東直門駅」→「三元橋駅」→「第3ターミナル駅」→「第1・第2ターミナル駅」→「三元橋駅」→「東直門駅」の順番で、「第1・第2ターミナル駅」から「第3ターミナル」へ向かう便はありません。従って、国際線で第3ターミナルに到着し、第1または第2ターミナル発の国内線に乗り換える時は便利ですが、逆に国内線で第1または第2ターミナルに到着し、第3ターミナルから国際線に乗り換えて外国へ出る場合には、この地下鉄空港線は使えません。別途、ターミナル間を運行しているシャトルバスを使う必要があります。地下鉄空港線の空港←→市内(三元橋駅または東直門駅)間は統一料金で25元(約375円)です。

 飛行機を降りてから、まず、第3ターミナルを出てターミナル前の道路の上を通っている橋を渡ると、巨大な亀の甲羅上の半透明な屋根の付いた「第3ターミナル駅」に出ます(この第3ターミナル駅の地下が巨大な駐車場になっているので、車を止めている人は、ここからエスカレーターで地下へ降ります)。屋根が半透明なので、自然光が入って明るいのですが、今のような夏の時期は「巨大な温室」になってしまい、空調は入れているのでしょうがほとんど効いておらず、非常に蒸し暑く感じました。

 切符の自動販売機は2台ありましたが、1台は停止中でした。稼働中の1台も、100元札を入れたら「現在、お取り扱いしておりません」の表示(中国語)が出ました。20元札を入れたら、また「現在、お取り扱いしておりません」の表示が出ました。10元札と5元札は受け付けたので、10元札1枚と5元札3枚で切符を買いました。100元札の場合は「おつりがない」場合には「お取り扱いできない」のはわかるのですが、おつりを必要としない20元札も受け付けなかった理由は不明です。外国から来たお客さんは、普通は細かいお金は持っていないと思うので、100元札、20元札が使えないと不便だと思いました。ただし、自動販売機のすぐ隣に係員のいる窓口があるので、窓口に行けば切符を買えます(ただし、窓口ではお客が並んでいるので、少し時間が掛かります)。

 切符は名刺大のICカードタイプで、記念に持って帰りたかったのですが、降りた駅で自動改札機に回収されてしまい、手元に残りませんでした。改札は自動改札機で、切符を挿入するか、感知部分に切符をタッチすることで中に入れます。

 ホームと列車はホームドアと列車ドアの2重ドア方式です(東京の地下鉄でいうと東京メトロ南北線と同じ形式)。列車が入線して右側が降車専用ホーム、右側が乗車専用ホームとなっています。右側からお客の降車が終わると乗車側のドアが開きます。

 ドアが閉まって、列車が発車すると「第1・第2ターミナル駅」へ向かいます。途中で地下に潜ります。「第1・第2ターミナル駅」は地下にあります。「第3ターミナル駅」から「第1・第2ターミナル駅」までは、8分程度かかります。同じ北京空港ですが、第3ターミナルは第1・第2ターミナルからかなり離れていますので、国際線と国内線を乗り換える際には、自分の乗る国内線航空会社がどこのターミナルを使っているか注意する必要があります。航空会社によって、第1・第2ターミナルと第3ターミナルとで乗り換える必要がある場合には、移動のために十分な時間的余裕を持った便を予約しておく必要があります。

 「第1・第2ターミナル駅」で乗客の乗降が終わると、列車は来た方向に後戻りして、今度は市内へ向かう路線に入ります。途中で地上に出て、空港へ向かう高速道路とほぼ並行して走ります。途中、ほぼ中間点の第五環状路と交差するあたりで、上り線と下り線を入れ替えるポイントがあります(中国の鉄道は基本的に日本と逆の右側通行です)。第四環状路を越え、第三環状路が近づくと、列車は再び地下に潜ります。そして「三元橋駅」に付きます。「第1・第2ターミナル駅」から「三元橋駅」までは20分です(「第3ターミナル駅」を出発してからは約30分です)。

 「三元橋駅」も列車ドアとホームドアの二重ドア方式です。「三元橋駅」のホームから1階上がると改札口で、一度改札を出ます。連絡通路を100メートルくらい歩くと、地下鉄10号線「三元橋駅」に出ます。改札を入って階段を下りると地下鉄10号線のホームです。地下鉄10号線も空港線と同じようにホームドアがあります。乗り換えは階段の脇に上りエスカレーターがあるので、荷物を持っていても楽です。空港線も10号線もホームと改札階との間にはエレベーターもありますが、身障者マークが付いていたので私は使うのは遠慮しました。地下鉄10号線の駅の切符自動販売機では北京地下鉄共用ICカード「イーカートン」のチャージができましたので、次に載るときのためにチャージをしました(「イーカートン」は新たに買うときは窓口で買う必要があります。いくらかディポジットを取られます)。市内の地下鉄は、何回乗り換えても2元(約30円)単一料金です。

 空港の「第3ターミナル駅」は「温室効果」で非常に暑かったのですが、空港線、地下鉄10号線とも車両の中は冷房が効いており、快適でした。混雑が心配されたのですが、空港線は座席の数に対して乗車率が80%程度でした。地下鉄10号線も「立っている人がちらほら」という程度で全く問題ありませんでした(私が乗ったのが平日の昼間だったからだと思います。地下鉄10号線は6両編成なので朝夕のラッシュ時はもっと混むと思います)。

 ということで、空港から市内へ地下鉄を乗り継ぎましたが、「第3ターミナル駅」が暑かったことを除いては、非常に快適でした。心配された保安検査ですが、空港で飛行機を降りて荷物を受け取って出るところで、荷物をレントゲン検査機に通すように言われましたが、地下鉄空港線への乗車、10号線への乗り換えについては、保安検査はありませんでした(ただし、レントゲン検査装置は置いてありましたので、必要に応じ、随時、地下鉄の乗り換え時点でも保安検査が実施される可能性があります)。

 下記の「新京報」の記事によると、7月19日の開業当日には、いろいろトラブルがあったようですが、少なくとも私が乗った7月25日は、トラブルもなく順調に運行されていました。「新京報」の記事では、7月19日の開業当日に記者が乗った時には、空港線では加速・減速時にかなりの揺れがあった、とされていますが、私が乗ったときは、空港線も10号線も揺れについては全く問題ありませんでした(日本の地下鉄と同じ程度です)。

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(参考)「新京報」2008年7月20日付け記事
「地下鉄空港線、初日から故障」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2008/07-20/018@075421.htm

 上記の「新京報」の試乗体験記事のポイントは以下の通りです(運転開始は7月19日14:00でした)。

○14:50、3番列車が出発した。列車や240人ほどの乗客で満員だった。列車が第三ターミナルに入り、乗客が乗ってドアが閉まったが、列車は動かない。約15分後、「ブレーキ系統に故障が生じたたため、乗客の皆様、下車をお願いします」とのアナウンス。ホームの反対側に乗り換え用の列車が入ってきて、乗客はそちらに乗り換えた。故障した列車は車庫へ回送された。

○地下鉄10号線との乗り換え駅「三元橋駅」に着いた時と、地下鉄2号線との乗り換え駅(=空港線の終着駅)「東直門駅」に着いた時、短い臨時停車があった。列車は、急停車した後、1~2秒してからゆっくり動き出した。地下鉄会社の担当者によると、1回は信号系統の故障で、1回は車両の連結器の故障、とのことだった。安全の観点から列車を停止させてから、調整を行った、とのことだった。

○地下鉄空港線では、設計の段階から、車両故障対策が施してある。車両故障が起きても運行に支障が出ないように、予備の軌道を作ってある。例え1台車両が故障して立ち往生しても、予備用軌道を使うことにより、他の列車に遅延を来さないようにしている。

○北京市地下鉄運営公司のスポークスマンの話:「開通当初は、どうしても不具合が出てしまう。これはある意味で正常な現象である。我々は正式開通前に、お客を乗せない試運転を3か月間実施したが、やはりお客を乗せると試運転とは異なるので、どうしても初期の段階では故障が出てしまう。オリンピック開始までには調整可能なので、オリンピック期間の正常な運行は保証できる。」

○記者が感じた問題点は以下のとおり。

【問題点1】空港線はかなり揺れる。加速時、減速時は立っている客は「あっちによろめき、こっちによろめき状態」だった。イスに座っている必要がある。地下鉄会社の人は「最初の段階は『摺り合わせ』が必要ですから」と言っていた。

【問題点2】待ってる場所が狭い。東直門駅では1列に並ぶのがやっとの場所がある。ある女性は「開通初日でこんなに混んでるのだったら、今後お客が増えたらどうなるのかしら。」と言っていた。

【問題点3】第3ターミナルの待合い場所が暑過ぎ。亀の甲羅のようなガラス張りの屋根の下、ほとんど風が通らないので「悶熱的温室」になっている。ある客は「太陽の光を遮るとか、空調を強くしなくちゃダメだよ。設計思想がよくわからん。エネルギーの無駄だ。」と言っていた(筆者注:北京オリンピックのために作った世界に誇る第三ターミナルについて、中国の新聞がここまで書くとはちょっと驚きです)。

【問題点4】7月20日から空港施設内に入る時に保安検査を実施することになるが、地下鉄空港線では地下鉄に乗るときにまた保安検査がある。これは無駄ではないか。

○北京大学で中国を勉強しているアメリカ人のマイクは「ニューヨークにも飛行場から市街地へ一本で行ける地下鉄はないよ」と地下鉄空港線を絶賛していた(筆者注:「新京報」としても、ひとことぐらい「お褒めの言葉」を入れないとまずい、と思ったのでしょう)。
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 上記のように運行初日はいろいろトラブルがあったようですが、少なくとも私が乗った時は何の問題もありませんでした。

 ただ、「新京報」の記事の中で地下鉄会社の担当者が言っていた「車両故障が起きても運行に支障が出ないように、予備の軌道を作ってある。」という部分は不可解です。「予備の軌道」なんてありませんでしたから。もしかしたら、「中間の地点で上り下りの軌道の相互乗り入れができるようになっており、片方の軌道で故障して立ち往生しても、もう一方の軌道に乗り入れることにより正常運行が続けられるようになっている」という意味なのかもしれません。もしそうだとすると、運転士のいない自動運転で、上り下りを同じ軌道で運行する、というような事態を想定しているのだとしたら、ちょっと「怖い」ような気もします。

 また、「新京報」の記事の【問題点4】で指摘している「保安検査が多すぎ」という点については、地下鉄会社の方も気にしているようで、少なくとも私が乗った時には、空港での保安検査はありましたが、地下鉄の乗り降り時の検査はありませんでした(保安検査は、必要な時に随時やるのだと思います)。

 なお、意外にお客が少なかったことについては、日本的感覚だと、空港線の25元(約375円)は非常に安いのですが、ほぼ同じ路線も走っている空港シャトルバス(リムジンバス)は16元(約240円)、市内の地下鉄は乗り換え自由で2元(約30円)なので、中国の多くの人にとっては「地下鉄空港線は高い」と思っているのでしょう。バスはターミナルの入り口まで乗り付けてくれるので、大きな荷物を持った人はバスの方が便利かもしれません。

 御参考までに私が撮した写真が見られるように下記にリンクを張っておきます。

北京地下鉄空港線・第3ターミナル駅
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/daisanterminaleki.jpg

北京地下鉄空港線・第3ターミナル駅に入る列車
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/ekinihairuressha.jpg

北京地下鉄空港線・車内の様子
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/shanainoyousu.jpg

北京地下鉄空港線・軌道の様子
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/kidounoyousu.jpg

北京地下鉄空港線から見た空港高速道路料金所
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/kosokuryoukinjo.jpg
※このあたりの写真では、北京の大気の雰囲気がわかると思います

北京地下鉄空港線の車両基地
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/sharyoukichi.jpg

北京地下鉄空港線・三元橋駅のホーム
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/sangenkyouhomu.jpg

北京地下鉄10号線・三元橋駅改札口
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/jugousenkaisatu.jpg

 いずれにせよ、私が「新京報」の記事を見て想像していたよりも、地下鉄空港線は格段に快適でした(これはお世辞ではありません。実感です)。これからも、安全で快適な運行が続くことを願いたいと思います。

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2008年7月25日 (金)

変わっていない!車の数も大気汚染も

 今日、久しぶりに日本から北京に戻ってきました。飛行機が上空を飛んでいる時、機内のアナウンスでは「北京の天気は薄曇り」と言っていました。飛行機は、北京空港へ向けて徐々に高度を下げていきましたが、なかなか地面が見えてきません。雲がある高度より低くなっているはずなのに、あたりは真っ白で何も見えないのです。飛行機はさらに高度を下げて翼のフラップを下ろしましたが、まだ地面が見えません。「ガタン」と車輪が降りる音がしてもまだ外は真っ白のままです。ようやく事情の建物が見えてきたのは高度100メートルくらいになってからでした。

 窓際の席ではなかったので、ちょっと外が見にくかったのは事実ですが、今日の昼間の北京の視界は確実に500メートル以下でした。例によって雲はなく、太陽は空に白く見えており、肉眼で日食観測ができる状況でした。空の状態は天津市上空あたりからずっと同じだったので、天津と河北省に囲まれている北京市だけでは、北京市(岩手県より少し広く四国より少し狭いくらいの面積がある)だけで大気汚染対策をやってもムリだ、ということが、飛行機の上から見てよくわかりました。

 今日は湿度が相当高かったので、視界が悪いのはそのせいだと思われます。大気汚染だけでは、さすがにこれだけ視界が悪くなることはないのですが、たまたま空気中に微粒子の浮遊物が多い時に湿度が高くなる気象条件が重なると、今日の北京のように「晴れだけれども視界が効かない」状態になるようです。国家環境保護部の発表によると、今日(7月25日)の大気汚染指数は109で、昨日に引き続き「軽微汚染」でした。

 夕方6時頃、市内を車で通りましたが、夕方のラッシュはいつもとほとんど同じでした。心持ち車の数は少ないかなぁ、という感じはしましたが、パッと見で、いつもの金曜日の夕方の9割くらいの車の量だったと思います。回りの車のナンバープレートは、タクシーやバスを除くと確かに奇数です(今日は7月25日なので奇数ナンバー車しか走れない)。ごくたまに特別許可を受けた偶数番号車もいましたが、それはほんの一部で、バス・タクシー以外はほんと奇数ナンバーばかりです。偶数奇数で制限し、政府機関の車も減らすので、車の数は4割程度に減るはず、と当局は見ていたようですが、実際にはそれほど減っていないのは明らかでした。

 「上に政策あれば下に対策あり」と言われるのが中国の社会ですから、みんな「なんとか」したのでしょうか。この交通規制の一環として、北京ナンバー以外の車はそもそも特別な許可がなければ北京市に入れないようになっているので、北京以外から奇数番号車を借りてきた、というわけではありません。お金持ちの中には、奇数偶数規制に備えて、事前にいつも使っている車に加えて車を買ったという人もいる、とのことです。でもそういった人はそんなに多くいるとは思えないので、この車の数の多さはどうやって説明すればよいのでしょうか。さすがに車のナンバープレートでは「ニセモノ」が出回っているとは思えないのですが。

 7月20日(日)に車の奇数偶数規制が始まったのに大気汚染指数は24日、25日と連続で「軽微汚染」になってしまいました。大気汚染指数は、風の強さなどが影響するので、車の数だけが原因ではありませんが、今のところ大気汚染の劇的な改善は見られていないのは事実です。もしかすると、このような状況のままオリンピック期間に突入するのかもしれません。私は何回も「さすがに、本番のオリンピックになれば、きれいな青空になると思う」と書いてきましたが、自信がなくなってしまいました。既に車の規制は実施され、汚染を出す工場は停止され、建物の建設・解体工事は中断状態にする、など打つべき手は打っているからです。はっきり言って、今日の北京の空気の状態では、マラソンはちょっとムリだと思いました。

 今、夏ですから、夕立(雷雨)が一度降るとだいぶ空気もきれいになると思います。8月8日のオリンピック開幕まで、まだ2週間ありますので、それまでの間に何回か雨に降ってもらって、もうちょっときれいな空気になればいいなぁ、と思います。今日、すっきり青空の東京から北京に来たので、改めて、この落差にショックを受けて、昨日と同じようなことを書いてしまいました。

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2008年7月24日 (木)

青空はすばらしい

 夏休みで、今、一時的に日本にいます。今日は、長野県から東京へ移動しました。「梅雨明け十日」ですばらしい青空でした。長野から東京へ移動しても、青空はほとんど変化しませんでした。北京だと、こういう青空は1年に3日あるかどうか、という感じです。北京は降水量が少ないので、雲のない日は多いのですが、「空が白い日」が多いのです。北京では空気汚染係数が100以下の日を「青空の日」としていますが、実際は50以下にならないと「すっきり青空」という感じにはなりません。

 北京で「空が白い日」が多いのは、もちろん大気汚染が大きな原因であるのは間違いないのですが、そのほかに自然条件も大きいと思います。日本は島国であるところが非常に有利に働いています。海の上は人間活動による汚染や砂ぼこりがありませんから、日本の場合、日本列島である程度汚染が生じても、どちらかの方向から少し風が吹けば、海の上のきれいな空気が日本列島の上空を「掃除」してくれるのです。北京の場合、西から風が吹けば河北省や山西省の汚染が、南東から風が吹けば天津の汚染が北京に流れてきますから、少しくらい風が吹いても北京の空はきれいになりません(北京でも、雨が降ると次の日はかなりすっきりとした空気になります)。

 それから地表面の状況もだいぶ違います。今日、長野県へ行って改めて思いましたが、日本は山々はびっしりと緑に覆われ、平地には水田の緑が広がっています。この日本の夏の緑と青空のコントラストは非常にすばらしいです。北京から来た私は「白黒テレビの世界からカラーテレビの世界に入った」ような気がしました。日本にいる人たちは、そういった日本の美しさに気が付いていないのです。

 一方、中国大陸の自然はそんなに甘くありません。北京周辺の地方は、降水量が少ないので、山々は緑の少ない岩山がほとんどです。平地の農業地帯も冬小麦が栽培されている地域は6月の刈り取りが終わると、乾いた地面がむき出しになります。そもそも河北省あたりの小麦の大穀倉地帯は、小麦の生長に必要な水のうち、降水でまかなわれるのは3割程度で、後は地下水を汲み上げることによるかんがいに頼っています。従って、作物が栽培されていない時期の畑は表面は常に乾燥しており、風が吹けば砂塵が舞い上がりやすい状態です。水を張った状態の期間の長い水田が主体となっている日本では、農村部では砂塵がほとんど舞い上がらないのです。

 北京地方の場合は、さらに北西方向には砂漠地帯があり、気象条件によっては、砂漠地帯で舞い上がった砂塵が運ばれてくることがあります(春の黄砂は日本まで飛んできます)。このように人工的な大気汚染がなくても、中国の大気は日本の大気に比べると、ただでさえ浮遊微粒子が多い状態なのです。

 北京の大気汚染の主要原因は「可吸入顆粒物」ですが、この「可吸入顆粒物」を構成しているのが何なのか(自然に発生する砂塵の類なのか、自動車から発生する「スス」の類なのか、建物解体作業等に伴うコンクリートの粉塵なのか)は分析すればすぐわかると思うのですが、こうった分析結果が発表されたのは見たことがありません。北京オリンピックのために、汚染物質を多く出す工場を停止させ、建設・解体工事も停止させ、車の運行もナンバープレート偶数奇数規制で減らす、ということをやっているわけですから、当局としては、大気汚染の原因となっている「可吸入顆粒物」が何なのかはわかっているのでしょう。

 国家環境保護部のホームページによると今日(7月24日)の北京の大気汚染指数は113で「軽微汚染」だそうです。

(参考)国家環境保護部ホームページ
「重点都市大気汚染指数日報」
http://www.mep.gov.cn/quality/air.php3

 7月20日から「オリンピック・モード」に入って、工場の操業停止や建設・解体工事の停止、車の運行制限も始まったのに、まだそれほど「劇的」には改善していないようです。たぶん、一度雨が降って空気中に舞い上がっている汚染物質が一度地面に落ちれば、あとはいろいろな規制により汚染物質の「発生」は押さえられているので、たぶん、オリンピック期間中は、北京でも「青空」が見られると思います。

 それにしても、いくら島国とは言え、降水量が多く都市部以外はほとんど緑で覆われているという好条件があるとは言え、日本の青空は掛け値なしにすばらしいと思います。日本に住んでいる人たちは、1970年代の「公害列島」と言われた時代をいかにして克服してきたか、を忘れずに、現在の日本の青空の大事さを再認識し、しっかり守っていって欲しいと思います。

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2008年7月11日 (金)

2008年上半期の北京の大気汚染指数

 今までにもこのブログで何回か国家環境保護部(今年3月の全人代の決定により「部」に昇格する前は国家環境保護総局)が発表する北京の大気汚染指数について書いてきました。

 大気汚染指数の定義等については、下記の記事を御覧ください。

(参考1)このブログの2007年6月19日付け記事
「北京の今日の大気汚染度はIII(1)級(軽微汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/iii1_5bc5.html

 2006年の北京の大気汚染指数の度数分布については、下記の記事を御覧ください。

(参考2)このブログの2007年8月22日付け記事
「北京の自動車交通制限と大気汚染指数」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/08/post_284f.html

 2007年の北京の大気汚染指数の度数分布については、下記の記事を御覧ください。

(参考3)このブログの2008年1月3日付け記事
「2007年の北京の大気汚染指数」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/01/2007_7776.html

 今年(2008年)も上半期が終わりましたので、2008年1月~6月の北京の大気汚染指数を度数分布にしてみたら下記のようになりました。

【2008年1月~6月の北京の大気汚染指数の度数分布】(■=1日)

000-020:■1
021-030:■1
031-040:■■■■■■■7
041-050:■■■■■■■■■9
051-060:■■■■■■■■■■■■■■■■■17
061-070:■■■■■■■■■■■■■■■■■■18
071-080:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■25
081-090:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■24
091-100:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■21
101-110:■■■■4
111-120:■■■■■■■■■9
121-130:■■■■■■■■■■10
131-140:■■■■■■■■8
141-150:■■■■■■6
151-160:■■■■■■6
161-170:■■■3
171-180:■■■■4
181-190:■■2
191-200:0
201-210:0
211-220:0
221-230:0
231-240:■1
241-250:0
251-260:■1
261-270:0
271-280:0
281-290:■1
291-300:0
301以上:■■■■4
合計=182日

 今までの傾向と同じように100以下と101以上のところで、明らかに不自然な「くびれ」が出ています。100以下は「良」、101以上は「軽微汚染」で、100以下を「青空」として、「青空」になる日を多くする、というのがオリンピックを控えての目標でした。確かに以前のデータに比べると、総体的には改善傾向は見られていると思います。ただ、以前にも書きましたが、上記の度数分布の形は、「青空」の日を多くする、という目標を達成するために数字の操作が行われている可能性を示している、と私には見えていました。

 今日、日本からの報道を見ていたら、北京市環境保護局の担当副局長は、7月10日に行われた記者会見で、記者から100以上のところの件数がへこんでいる現象について質問されてた際、「汚染指数が基準をわずかに上回りそうな時は、観測点周辺で応急措置を取る」と答えた、とのことです。

(参考4)アサヒ・コム(朝日新聞社)2008年7月11日1:56アップ記事
「『青空』増は人為的? 北京市『汚染ひどいと改善措置』」
http://www.asahi.com/international/update/0711/TKY200807100396.html

(参考5)「MSN産経ニュース」に載っている「共同通信」の記事(2008年7月10日21:44アップ)
「北京の青空に疑惑浮上 観測点で『応急措置』」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/160199

(注)これらのネット上の記事は時間が経過すると削除されます。おそらくこれらの記事は7月11日付けの紙面で記事になっていると思いますので、時間が経過してからこのブログを御覧になっている方は、新聞の紙面の記事の方を参照してください。

 北京市環境保護局の担当副局長が記者の質問に答えて「数字合わせ」のための操作をしていることをあっさり認める、というのも、素直と言えば素直、「あっけらかん」としていると言えば「あっけらかん」としているのですが、この北京市環境保護局副局長の発言を問題視するような中国の新聞の記事は私が見る限り見つかりませんでした。中国の新聞記者は「そういった『数字合わせ』はよくあることでニュース性がない」と判断したのでしょうか。それとも「当局の御指導」で記事にできなかったのでしょうか。

 いずれにしても北京市内の環境保護について「取り締まる側」の立場にいる北京市環境保護局がこのような「数字合わせの操作」をしている、という状態では、誰もまじめに環境基準を守ろうとしないのではないか、と私には思えてしまいます。それとも、こういった観測データが簡単にネット上で入手でき、記者会見で記者の質問に答えて北京市当局の担当者が正直に答えるようになった、ということに「中国の進歩」を見るべきなのだ、今の中国ではそれが限界なのだ、とあきらめるしかないのでしょうか。

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2008年6月20日 (金)

オリンピック期間前後の北京の交通規制

 「近日中に正式発表」と言われながら、なかなか発表されなかったオリンピック前後における北京市内の交通規制が6月19日に正式に発表されました。

(参考)北京市人民政府ホームページに掲載された2つの通告

「2008年オリンピック及びパラリンピック期間中における自動車の臨時交通管理に関する通告」
http://zhengwu.beijing.gov.cn/gzdt/gggs/t975714.htm

「2008年オリンピック及びパラリンピック期間中における北京ナンバー以外の車両の臨時交通管理に関する通告」
http://zhengwu.beijing.gov.cn/gzdt/gggs/t975716.htm

 正確な内容は上記のページ(中国語)を見ていただきたいと思いますが、私なりに簡単に解説すると、この交通規制の主な内容のポイントは以下のとおりです。

○規制期間:7月20日(日)0時~9月20日(土)24時(パラリンピック終了後まで)

○北京市内の交通規制の内容:
偶数日はナンバープレートが偶数の車だけ通行可
奇数日はナンバープレートが奇数の車だけ通行可

○上記のほか、中国の政府関係機関では、さらに70%の公用車の使用を削減する(奇数・偶数規制で減った車のさらに30%しか使えない)

○規制対象から除外される車:
警察車両、救急車等、バス、タクシー(ただし借り上げハイヤーは規制対象となる)、オリンピック関係車両、大使館車など

○対象区域
7月20日(日)~8月27日(水)24時:北京市の行政区域全域
(注)「北京市の行政区域」とは市街地とその周辺の郊外地区を含み、その面積は岩手県より広く四国より少し狭い程度のかなり広い面積のエリアです。

8月28(木)日0時~9月20日(土)24時:北京市の第5環状路より内側の市街地(第5環状路を含む)及び首都空港高速道路、八達嶺高速道路等

○上記のほか7月1日~9月20日の期間、北京ナンバーではない車両については、トラック等(生鮮食料品を運ぶため等のために特別に許可された車を除く)は北京市の行政区域全域に進入禁止、排ガス規制合格証のない車は乗り入れ禁止。その上で上記の偶数・奇数の規制に従う、などの規制が掛かる。

 現在、北京市内には、地下鉄1号線とその東の延長線上にある八通線、地下鉄2号線、地下鉄13号線、地下鉄5号線が開通しており、地下鉄10号線、北京首都空港線がオリンピックまでに開通予定です(開通予定日は未発表)。北京市の人口は、常住人口約1,700万人、戸籍人口約1,200万人ですが、そのうち「市街地」に当たる部分に住んでいるのがどれくらいか正確な数字はわかりません(北京市人民政府のホームページを見てもイマイチよくわからない)。たぶん、市街地に当たる部分に住む戸籍人口は約800万人程度と思われます。その人口からすれば、地下鉄の本数はまだ足りないので、バスやタクシーも含めた自動車は北京では重要な交通手段です(最近は、北京では、自転車の数はかなり減ってきています。自家用車族が増えたためです)。

 北京のタクシーの台数は非常に多く、普段は、どこでも気軽に「流し」のタクシーをつかまえることができるし、初乗り(2kmまで)料金が10元(約150円)と私たち外国人にとっては比較的安いので、結構気楽にタクシーを使っています。しかし、交通規制期間中は、タクシー自体は奇数・偶数番号制限の対象にはなりませんが、普段自家用車や会社の車を使っている人の半分がみんな一斉にタクシーを使うことになるので、タクシーをつかまえることが非常に難しくなるのではないか、と心配です。普段でも雨が降り出すと、いつもは自転車に乗っている人が一斉にタクシーをつかまえようとするので、タクシーがつかまらなくなるので、そういった状態が2か月間続くのではないか、と思われるからです。

 その上、オリンピック期間中は、中国全土や外国からオリンピック競技を見に来るお客さんが増えるので、オリンピック期間中は、地下鉄で行けない場所に自由に移動しようとするのには、相当苦労しそうです。もちろん網の目のような路線を走っているバスは使えますが、交通規制期間中はバスも混みそうだし、路線がかなり複雑なので、慣れない人にはバスは使いにくいのではないかと思います。

 7月~9月の3か月間は、北京市内の建築工事は中止になり、そこで働いている農民工の人たちは故郷に帰される、と言われているし、8月末までは大学は夏休み期間中だし、多くの企業や工場も休むと思われるので、交通規制期間中は、意外に北京市内を移動する人の数は多くないのかもしれません。

 ということで、7月20日~9月20日までの間、北京市内の交通事情がどういう状況になるのか、今からはほとんど想像ができません。

 なお、大幅な交通規制により、多くの企業の活動に影響が出るわけですが、そういった企業活動への影響に対する政府からの補償はありません。ただ、交通規制に違反しない限り、7月~9月の3か月間は、自動車を持っている人に掛かる車両船舶税と道路補修税が免税になるのだそうです。これによる政府の減収は13億元(約200億円)の見通し、とのことです。ラジオでは、実質的な規制は1か月(2か月間、奇数・偶数規制が続くので、実質的に車を使えないのは1か月間だけ、という意味)なのだが、免税期間は3か月ある、と盛んに宣伝しています。つまりは、それで我慢しろ、ということなのでしょう。

 ちょっと心配なのは、一般のトラックも奇数・偶数規制の対象になることで、物流に影響が出るのではないか、ということです。食料品などについては、特別に許可を受けたトラックが運ぶので市民生活には影響は出ない、ということのようですが、2か月間という期間はかなり長いので、市民生活にどういう影響が出るのか、ちょっと心配です。

 いずれにせよ、この交通規制は「オリンピックとパラリンピックの期間中の交通の順調な運行と大気の状況を良好に保つため」に行うものだ、とのことです。中国では、多くのイベントで、「こんなんでうまくやれるのだろうか」というような準備状況であっても、実際にやってみると、終わってみればそれなりにきちんとできた、というケースが多いので、オリンピックやパラリンピックもうまく行くだろうと私は思っています。ただ、そのウラで、市民の間に日常生活の上での不満が溜まることのないようにして欲しいなぁ、と願っています。

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2008年6月15日 (日)

北京市内のオリンピック準備の進み具合

 北京オリンピック開幕まで2か月を切りました。大気汚染防止のため7月20日~9月20日(パラリンピック終了後)まで、ナンバープレートの奇数・偶数で北京市内の車の交通規制をするという方針については「その方向で検討中。正式発表は近日中に行う。」という話になっているのですが、今日(6月15日)時点では、まだ正式発表にはなっていません。7月~9月の3か月間は、粉塵が舞い上がるのを防ぐため、建物の解体工事やビルの建設工事は中断するらしい、と言われていますが、これもまだ正式発表はありません。この間、建設工事で働く労働者(多くが地方から出稼ぎに出てきているいわゆる「農民工」)は北京に留まれるのか、この間の彼らの賃金は誰が払うのか、といった話は、新聞に載らないので私は知りません(直接の関係者は知っているのかもしれませんが)

 最近は、オリンピックの開催期間中(開会式のある8月8日から閉会式のある8月24日まで)は、一般の工場・会社も含めて全て休業にすべし、という通知が出る、という「ウワサ」もあるのですが、それも定かではありません。

 工場や会社を休業にすることになった場合、その間の営業補償は誰がするのか、そもそも車の交通規制をやっている間に仕事のできない運送会社、車の運転手の収入補償は誰がするのか、という問題には誰も答えてくれません(政府は補償はしないらしい)。

 オリンピック・スタジアムまでつながる地下鉄10号線や北京首都空港につながる地下鉄が何月何日に開業するのか、についても、まだ発表がありません。地下鉄10号線は、以前から「6月中に開業」とのウワサが流れていました。地下鉄10号線の新しい地下鉄の駅は、歩道の上にほぼできあがっています。ただ、見ている様子だと、地下鉄駅周辺の工事はまだまだ続いており、6月中の開業には間に合いそうにないので、開業は7月上旬になるのではないか、と言われています(公式発表がないので、こういったことについては、常に「ウワサ」が流れるだけです)。

(注)北京の地下鉄は、現在までに開通しているのが、1号線、2号線、13号線、5号線です。10号線と空港へ行く路線は現在建設中ですが、オリンピックまでに開通することになっています。計画路線のうち、番号の順番に開通してきているわけではないので、現在既に13号線が開通しているからといって、北京に地下鉄が13路線既に存在している、というわけではありません。

 7月以降、9月いっぱいは建築現場での工事ができなくなる、ということで、工事中の各ビルでは、工事が急ピッチで行われています。しかも、完成していないビルについても「外壁だけはきれいに整えろ」という「お達し」が出ているらしく、骨組みができただけで、ビルの中の方の工事を全然やっていないビルについても、外壁だけを先に貼り付ける工事が急ピッチで進んでいます。多くのビルは、中身が全然できていないのに外壁だけきれいになった「張りぼて」の状態でオリンピックを迎えることになりそうです。

 ビルの解体工事現場では、6月中に解体工事を終わらせるため、作業を急いでいます。あるビルの解体現場では、解体作業を急がせるため、9階建てのビルの上に2台の小型パワーショベルを載せて、どんどん解体工事を進めていました。そうしたら、関係当局から2台のパワーショベルを同時に解体するビルの上に載せるのは安全上問題がある、とのクレームが付き、当局からの安全検査を受けることになった、とのことです。

(参考1)「新京報」2008年6月14日付け記事
「安全監督局、高層ビルの解体工事現場の上に掘削機を上げて工事を行っていることについて調査を実施」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2008/06-14/021@074042.htm

※上記のページの写真を見れば様子がわかると思います。

 今日(6月15日)もこの解体工事現場の前を通りましたが、2台のパワーショベルがビルの上に乗ったまま解体工事をやっていましたので、安全監督局は調査はしたけれども、結局は「問題なし」という結論を出したようです(記事にある「最牛」とは「最も速い」という意味です。「牛」は最近のはやり言葉「ブル・マーケット」(急騰する相場)の「ブル」から来た新語ですので、中国語の辞書には載っていないかもしれません)。

 また、昨年8月の集中豪雨の際に、道路の排水設備が十分ではなくて、複数回にわたって道路が冠水してしまった事態に対しても、まだ十分対策ができてはいないようです。一昨日(6月13日)の夕方、北京では毎年夏になるとよくある雷を伴う集中豪雨があったのですが、この集中豪雨で北京市北西部の中関村地区にある地下鉄13号線と知春路の立体交差路(地下鉄13号線が地上を走り、知春路の道路がその下をくぐるために掘り下げて作った立体橋)で、道路部分が最大2.5mの深さに冠水してしまったそうです。こうなると、当然、自動車は通れなくなるので、大渋滞が発生します。

(参考2)「新京報」2008年6月14日付け記事
「昨晩、集中豪雨が突然北京市街地を襲う」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2008/06-14/021@072503.htm

※上記の記事にも写真がふんだんに載っているので様子がわかると思います。

 オリンピックが行われる8月は、毎年、雷雨などが多い時期ですので、オリンピック期間中は、雨が降っても道路が冠水して車が通れなくてひどい渋滞、などということが起きなければよいなぁ、と思っています。

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2008年1月 6日 (日)

首都鉄鋼4号炉停止・経済損失26億元

 今日(1月6日)付けの「新京報」によると、北京にある首都鉄鋼の4号高炉が昨日(1月5日)、35年2か月に及ぶ連続生産の役割を終え、停止した、とのことです。

(参考)「新京報」2007年1月6日付け記事
「4号高炉にお別れ、首都鉄鋼400万トン減産へ」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2008/01-06/018@075422.htm

 これは2005年から始まった北京にある首都鉄鋼製鉄所の停止計画の一環で、この後も段階的に溶鉱炉を停止して、2010年には完全に操業を停止する予定です。首都鉄鋼は、河北省などにある別の製鉄所での生産を続け、北京の製鉄所で働いていた労働者は、これらの別の製鉄所に移らせるか、早期希望退職を募って退職させる予定とのことです。

 この首都鉄鋼製鉄所の停止は、北京オリンピックへ向けた排出ガス対策の一環で、オリンピック期間中には首都製鉄の北京の製鉄所は、排出ガス量を通常より70%以上削減する予定である、とのことです。

 この北京の製鉄所の操業停止は、古いエネルギー効率の悪い製鉄所を効率のよい新しいものに代える、その機会に北京に集中した工場を別の場所に展開する、といった意味もありますので、オリンピックのためだけに行われているわけではありませんが、北京オリンピックの開催のための大気汚染改善を大きな目的にして行われていることは間違いありません。首都鉄鋼は、歴史のある国有企業ですから、オリンピックという国家的事業を前にしてその役割を果たすことも使命のひとつなのでしょう。ただ、生産停止による経済損失が26億元(約390億円)あることを考えると、こういうことができるのは首都鉄鋼が国有企業だからであって、私営企業や外資系企業では、いくら国家的行事のための政府の指令とは言っても、こういった大胆な政策的指示は受け入れないと思います。ある意味で、この件は、中国の基幹産業においては、まだまだ社会主義的要素が色濃く残っていることを現していると思います。

 この首都鉄鋼の件も含めて「北京オリンピック成功のため」という名目の下で、いささか無理強い的な政策が進められつつあるようなのが、ちょっと私は気になっています。オリンピックは国民みんなが喜んで迎える行事であるはずです。あまり「オリンピックのために」という名目で強引な政策を進めることにより、「オリンピックさえなければ」という反発心が人々の間に芽生えるようなことがなければよいが、と私は願っています。
 

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2008年1月 3日 (木)

2007年の北京の大気汚染指数

 今年2008年は北京オリンピックがあるので、北京の大気汚染については、世界中の関心を集めると思います。中国国家環境保護総局は、毎日、主要な都市の大気汚染を指数として測定して発表しています。大気汚染指数(API:Air Pollution Index)は、100以下が「優」「良」、101を超えるとレベルによって「軽微汚染」「軽度汚染」「中度汚染」「中度重汚染」「重汚染」というふうに分類されます。大気汚染指数の定義及び大気汚染指数による汚染度合いの分類の仕方は、下記のこのブログの2007年6月19日付け記事を御覧下さい。

(参考1)このブログの2007年6月19日付け記事
「北京の今日の大気汚染度はIII(1)級(軽微汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/iii1_5bc5.html

 2006年1年間の北京の大気汚染指数の度数分布は、このブログの2007年8月22日付けの記事に書きました。

(参考2)このブログの2007年8月22日付け記事
「北京の自動車交通制限と大気汚染指数」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/08/post_284f.html

 年が明けましたので、これと同じ方法で2007年1年間の北京の大気汚染指数の度数分布をグラフにしてみました。

※データの出典:中国国家環境保護総局の重点都市大気汚染日報のページ
http://www.sepa.gov.cn/quality/air.php3
の下の方にある検索機能を使って「北京」の「2007年1月1日~2007年12月31日」の大気汚染指数を表示させて大気汚染指数を10ごとに分類してその指数を示した日数が何日あったかを数えたものが下記のグラフです。なお、車のナンバーの偶数・奇数による市内への乗り入れ制限を行った試験期間(4日間)の最終日の8月20日は「欠測」となっておりデータがありません。自動車の乗り入れ規制の最終日、という「最も大気汚染の状況が知りたい日」が「欠測」になっている理由は不明ですが、いずれにせよこの日だけデータがないので、2007年1年間のデータがある日は364日間となっています。

【2007年の北京の大気汚染指数の度数分布】(■=3日)

000-020:■1
021-030:■■■7
031-040:■■■9
041-050:■■■■■15
051-060:■■■■■■■■■■■31
061-070:■■■■■■■21
071-080:■■■■■■■■■■■■■■■■48
081-090:■■■■■■■■■■■■36
091-100:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■77
101-110:■■■■■14
111-120:■■■■■■■■24
121-130:■■■■10
131-140:■■■■■14
141-150:■■■■12
151-160:■■■■12
161-170:■■■7
171-180:■■■7
181-190:■■4
191-200:■■4
201-210:■2
211-220:0
221-230:0
231-240:■1
241-250:■1
251-260:■1
261-270:■2
271-280:■1
281-290:0
291-300:0
301以上:■3
合計=364日(欠測1日)

 2008年1月1日付けの「新京報」では、北京市環境保護局の副局長は、2007年の北京の「青空」(大気汚染指数が100以下の日)は、目標の245日を1日オーバーした246日となり、目標を達成した、と述べた、と伝えています(上記のグラフでは「欠測」扱いにしている8月20日を大気汚染指数100以下として数えると100以下の日は246日になります)。

 確かに数字の上では大気汚染指数が100以下の日は246日間で目標を達成していますが、上記のグラフを見れば、90-100の日数が異様に多く、101-110の日数が異様に少ないことがわかります。この傾向は上記(参考2)に掲げた2006年のデータでも同じです。統計学的に言えば、大気汚染指数が100を超えるか超えないか境界線にある日の測定値に関して、何らかのデータの操作が行われた疑いが大きい、と言って差し支えないと思います(もちろん「何らかのデータの操作が行われた」と言い切ることはできませんが)。

 全体的に見れば、2007年は2006年より汚染指数が明らかに下がっているので、当局の大気汚染対策の努力はそれなりに効いているのだと思います。また、私の感覚的な感じから言っても、20年前に比べれば、冬の間、スモッグのない青空の日数は増えたような気がします(夏の間の汚染はひどくなったように感じましたが)。このように全体的には改善の傾向があるのですから、「目標を達成できた」ことを強調するために測定データをいじくるような姑息なことはせずに、正々堂々と正しいデータを発表すべきだと思います。

 中国国家環境保護総局は、測定されたデータをそのまま公表しているだけであり、「データの操作が行われた疑いが大きい」などと言うのはケシカラン、と言うかもしれません。しかし、上記のような度数分布グラフを見れば明らかです((参考2)に掲げた2006年のデータの方がさらに顕著です))。これらのグラフを見れば「このデータはそのまま信用することはできないな」と思う人の方が多いと思います。

 どうも中国では、「鉄鋼生産量○○トン、自動車生産台数△△台」という国家計画のノルマを達成したかどうか、で業績が評価される古い社会主義体制のトラウマが今でも消えていないようです。古い社会主義体制下では、粗悪な鉄鋼でも、すぐ故障するような車でも、とにかく目標のトン数や台数をクリアすれば、それでOKだったので、昔は無理をして鉄鋼の生産トン数や車の生産台数を上げる努力が行われました。今でも、無理をしてでも「目標達成!」と言いたい、という風潮はまだ残っているのだと思います。

 国民の目を意識すると数字をいじりたくなるのでしょうが、最も恐いのは、政策決定者が操作された統計数字を基にしてい政策判断をしているのではないか、と思われることです。

 中国の新聞は、地方政府の問題点はかなり厳しく指摘するようになっていますが、中央政府に対する厳しい指摘は全くと言ってよいほどありません。こういった環境測定データについては、公表データをグラフ化すれば誰でもわかることなのですから、中国の新聞はもっとしっかり書くべきだと私は思います。

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2007年12月27日 (木)

大気汚染V級「重汚染」が「熱烈歓迎」

 今日(2007年12月27日)夕方、福田総理が北京に到着しました。日中両国の首脳が直接話をして、意見を交換し合う、ということは、何にしてもいいことだと思います。

 ところで今日の北京は朝からスモッグがすごく、300メートル先も見えないという状況でした。発表された国家環境保護総局の今日の北京の「空気質量」(大気汚染の状況)は、汚染指数(API)が421で、7つある等級のうち最も汚染がひどい「V級(重汚染)」でした。

(参考1)国家環境保護総局のホームページ
「重点都市大気汚染状況」
http://www.sepa.gov.cn/quality/air.php3

※下の方の欄で「都市」(中国語で「城市」)を選択し、希望の日付を入れて「査詢」というボタンをクリックすると希望する期間の過去の大気汚染の状況が検索できます。

 「重汚染」(汚染級数V級)は「健康な人々に対しても運動に対する抵抗力を弱める。強い症状を発現させたり、何らかの疾病の発現を促進する可能性がある。老人及び病人は室内に留まり、体力の消耗を避ける必要がある。一般人も戸外での活動を避ける必要がある。」とされています。しかも、汚染指数(API)が251~300がIV(2)級の「中度重汚染」ですから、今日の汚染指数421はとんでもなく高い値であることがわかります(たぶん今年最悪の値です)。少なくとも、今日のような大気の状況では、マラソンをやることは無理だと思います。もっとも、来年の北京オリンピックは8月なので、暖房用燃料の煙などが加わる冬のスモッグと同じような状態にはならないと思いますが。

※「汚染指数」(API)や汚染級数についてはこのブログの下記の記事を参照。

(参考2)このブログの2007年6月19日付け記事
「北京の今日の大気汚染度はIII(1)級(軽微汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/iii1_5bc5.html

 最悪の大気汚染の日に北京に来た福田総理は「運が悪かった」と言うべきなのでしょうか、それとも総理に同行してきた日本の報道関係者がこの大気汚染を実感して日本に報道してくれる、という意味では「運がよかった」と言うべきなのでしょうか。

 私は20年前にも2回北京の冬を経験していますが、当時は暖房の主体が練炭だったので、冬の間の大気汚染にはかなりひどいものがありました。しかし、今年12月までを経験したところでは、思っていたよりは、すっきりと晴れた青空の日が多かった、という印象でした。去年から都心部での練炭の使用が制限され、暖房用の燃料には天然ガスが使われるようになったこともあり、20年前に比べれば、暖房用燃料による北京の大気汚染はだいぶ改善されたようです(その代わり自動車の台数が増えたので、自動車の排ガスによる汚染は増えましたが)。少なくとも、中国でも、大気汚染対策の努力はしているし、その効果が上がりつつあることは確かだと思います。でもやっぱり気象条件によっては、今日のようなひどいスモッグの日が出現するのが現実です。

 天気予報によれば、明日(12月28日)は、気温が下がって少し雪が降り、風も吹くようなので、汚染は少しは改善されるでしょう。今回の総理訪中に同行した日本の報道関係者が、この北京の大気汚染についてどのように報道するか、注目したいと思います(今日の夜のNHKのニュースなどを見ると、北京特派員が北京の夜景を背景にリポートしていましたので、特派員がレポートする背景に映っている街の様子を見ればテレビの画面からも、大気汚染の状況はある程度は伝わると思います)。

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2007年11月25日 (日)

スモッグの季節:今日の北京は「中度重汚染」

 10月は比較的青空の日も多かった北京ですが、11月15日から一般の建物でもスチームによる地域暖房が始まったせいか、日によって、スモッグがひどい日も多くなりました。一昨日(11月23日(金))は、強い風が吹いて汚染が吹き飛ばされたせいか、感激的に素晴らしい青い空だったのですが、昨日(24日(土))と今日(25日(日))は、相当にひどい大気汚染です。太陽や月は見えているので雲があるわけではないのですが、空全体が白くもやっている感じです。「この大気汚染の原因がスモッグだ」とわかるのは、外に出ると実際にかすかに煙のにおいがするのを鼻で感じることができるからです。

 国家環境保護総局のホームページによると、今日(25日)の北京の空気汚染指数(API)は269で、分類としてはIV(2)級の「中度重汚染」だとのことです。昨日(24日)の方がひどかった気がするのですが、なぜか昨日は国家環境保護総局の空気汚染指数の観測データが欠測になっていて数値が発表になっていません。

(参考)空気汚染指数については、このブログの下記の記事を参照
2007年6月19日付け記事
「北京の今日の大気汚染度はIII(1)級(軽微汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/iii1_5bc5.html
「6月19日の大気汚染度はIV(1)級(中度汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/619iv1_d1e6.html

 地域暖房のために石炭を焚くので、中国の北方地方の冬の時期の大気汚染は昔からのもので、ある程度、致し方のないところがあります。ずっと北京に住んでいる人に聞くと、大気汚染は、1990年代後半が一番ひどく、最近は少しは「まし」になってきているのだそうです。それでも、これだけ空気が白く、明確に「煙のにおい」を鼻で感じることができると、屋外でスポーツをしようという気にはなれません。

 北京オリンピックは夏なので、暖房用に焚く石炭の煙はないし、大掛かりな交通制限で北京市内に乗り入れる自動車の数も減らすなど、一定の大気汚染対策はなされるようですので、たぶん問題はないでしょう。しかし、オリンピックがどうのこうのという前に、一般市民の健康のことを考えたら、この大気汚染については、真剣に考える必要があると思います。やはり根本の問題は「この大気汚染を何とかしろ」という一般市民の声が政治に反映されるシステムになっていないことだと思います。

 昨日、オーストラリアの総選挙で野党が勝ち、11年振りに政権交代が実現するようです。古今東西の例を見れば、結局は、一般市民にソッポを向かれたら政権を失う、という危機感がなければ、政府というものは、一般市民の要望を本気で実現しようとは思わないものです。中国政府が「オリンピックを無事に乗り切れさえすればよい」とだけ考えているのではないことを切に願いたいと覆います。

 何十年後か、一般市民の声が政治に反映されるシステムができあがって、北京でも「ジョギングでもしようか」と思えるような空が戻ってくることを期待したいと思います。

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2007年10月11日 (木)

明るさと安心の心理的影響

 私が、8月18日、夏休み期間中に日本に帰国している間に

http://folomy.jp/heart/

の「テレビフォーラム」にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

 folomyは、かつての@ニフティのフォーラムを運営していた人たちが集まって運営しているサイトで、メールアドレスを持っている方ならば誰でも無料で登録できます。私がfolomyに書いたものの再アップは、折りを見て時間のあるときに行います。従って、例えばfolomyに掲げた文章のアップは1か月程度遅れると思います。最新の文章を御覧になりたい方は、ぜひ、御自分で上記のアドレスからfolomyに登録して、御覧いただくよう御願いします。

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アップ場所:
http://folomy.jp/heart/
「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年8月18日

【明るさと安心の心理的影響】

 今、夏休みのため駐在先の北京から日本に一時帰国しています。正直に言うと、今、北京に駐在している間は、「チャンスがあれば短期間でもいいから日本に帰りたい」といつも思っています。日本は、東京でも晴れれば青空になるので気持ちがいいからです。

 私は、20年前にも北京に駐在していましたが、あの頃はあんまり「日本に帰りたい」とは思いませんでした。20年前の北京は、冬は暖房用石炭の煙によるスモッグがひどかったのですが、夏は乾燥した青空の気持ちのよい日が多くありました。食べ物は、衛生管理が悪くてお腹を壊すことはあったし、残留農薬には気を付ける必要もありましたが、口に入れる物に有害な化学物質が入っているかもしれない、などとは心配しませんでした。

 20年前は、改革開放政策が軌道に乗り始めたばかりの頃で、「これからだんだんに良くなっていくんだ」という期待感を多くの人が持っていて、世の中に何となく明るさがあったように思います。今の中国は、経済発展が速いのはいいのですが、その経済発展のスピードについて多くの人がバブル的だと感じていて、「いつかはハジける」という何とはない不安感があって、世の中に「安心できる明るさ」がないのです。

 私の場合は、それに加えて「何を食わされているのかわからない」という心理的プレッシャーがあります。実際にはそれほど心配することはないのだろうと思いますが、日本の場合、何かあったら内部告発によってすぐに表沙汰になりテレビや新聞で大騒ぎになるので、「騒ぎになっていないから大丈夫だろう」と変な形で安心できるのに比べて、中国では、食品に問題があっても表沙汰にならないケースが多いので、消費者側に「これだから安心だろう」と判断できる材料がなく、それが心理的には負担になっているのです。

 今、中国では、留学のために外国に出国した学生のうち4分の1しか帰国していない、という現状が問題になっています。最近は、中国国内も経済発展し、中国で起業してお金持ちになることも可能になったので、帰国する人も増えていますが、根本的な原因は、海外留学組にとって魅力的な就職口が中国国内にはまだ数としては少ないからのようです。帰国する海外留学組が少ない問題と、大気汚染や食品の安全の問題は、基本的には別の問題ですが、心理的影響としてはある程度関係しているのではないかと私は思っています。

 私の個人的感触としては、中国は、経済発展はしましたが、この20年間で「住みたいと思う魅力」を失ったように思います。中国人の中にも私と同じような感覚を持っている人がいるのではないでしょうか。夏のきれいな青空と「今はまだ苦しいけれども、これからどんどんよくなっていくはずだ」という期待感から来る明るさ、そういった20年前にあったものを、中国にはぜひ取り戻して欲しいと思います。

(2007年8月18日、日本にて記す)

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2007年8月22日 (水)

北京の自動車交通制限と大気汚染指数

 8月17日(金)~20日(月)の4日間、北京では自動車のナンバープレートの奇数・偶数で市内の走行を規制する交通制限を実施しました。来年の北京オリンピックの開催へ向けて、交通制限をした場合、公共交通機関でどの程度カバーできるのか、大気汚染の改善にどの程度効果があるのかについて「実験」を行ったのです。結果としては、市内を走行する車の台数は大幅に減少し、普段車を使って移動している人が公共交通機関を利用したためいつもよりタクシーがつかまりにくかった、という状況はあったにせよ、大きな混乱はありませんでした。また、大気汚染への影響についても、規制を行う前日の8月16日は、大気汚染指数が115(汚染等級でよい方から数えて3段階目である「軽微汚染」)だったのが、規制実施期間の4日間は「良」であり、規制が終わった21日には116の「軽微汚染」に戻りました。北京市当局は「測定結果は成功だった」と分析しています。

 ただ、大気汚染指数は、雨が降った翌日や風の強い日には低くなるので、これが全て自動車の交通制限の影響であったかどうかは、確定的なことは言えないと思います。また、21日(火)の日中は非常に青い美しい空が広がったので、私は「今日は汚染指数は低いだろう」と思ったのですが、発表された大気汚染指数は116(軽微汚染)でした。北京市当局は、この数字をもって「交通規制が終われば汚染は元に戻る」ということを言ったのだと思いますが、私の感覚では、21日(火)の116という数字は高すぎるように思いました。「交通規制が大気汚染改善に効果があった」ということを言いたいがために、交通規制が終わった翌日の大気汚染指数を高めに出したのではないか、とすら勘ぐってしまいました。

 この「見た目の感覚と発表された大気汚染指数の違い」については、人民日報は下記の記事を掲載しています。

(参考1)「人民日報」2007年8月22日付け記事
「大気汚染の測量はデータの根拠を使って結論を出す必要がある」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2007-08/22/content_17222801.htm

 この記事が言いたいのは、「空が青い」とか「遠くまでスッキリ見える」とかいう目で見た感覚は、水中の水蒸気の割合も関係するので、人工的な汚染物の濃度とは必ずしも一致しないので、大気汚染については、測定されたデータの根拠に基づいて判断すべきである、ということなんだと思います。この記事によれば、中国国家環境保護総局が発表する大気汚染指数とは、前日のお昼の12時から当日12時までの24時間の測定値の平均値を発表しているのであって、21日は確かにお昼過ぎからきれいに晴れたが、朝方のラッシュ時には結構汚染があったので、24時間の平均値で出すと高い数字が出るのだ、と北京市環境保護局副局長は説明している、とのことでした。

 「人が空を見た目で受ける印象と実際の大気汚染の度合いは異なる。きちんとした測定データに基づいて判断する必要がある」というのはその通りだと私も思いますが、人民日報にわざわざこういう記事が載っているのを見ると、「見た目の空の様子と大気汚染指数が一致しない。大気汚染指数は、本当に汚染の実態を表しているのか疑わしい。」といった一般庶民の感覚に対する「言い訳」を言っているようにも見えます。

 この北京市環境保護局副局長に説明については、「新京報」も記事を書いています。

(参考2)「新京報」2007年8月22日付け記事
「交通制限の終了した後の初日は『軽微汚染』」
http://news.thebeijingnews.com/0553/2007/08-22/014@285315.htm

 この記事の見出しを見ると、4日間の交通制限が終わった途端に前と同じような汚染になった、つまり交通制限が効いたのだ、というふうに読めますが、実際の数字を見ると、そうは簡単には判断できません。

 国家環境保護総局が発表している北京の大気汚染係数は、8月13日~22日までの10日間は順に以下の通りになっています。
【交通規制実施前】56、76、86、115、
【交通規制実施中】91、93、95、(欠測)、
【交通規制実施後】116、88
となっています。8月20日(月)がなぜ「欠測」なのか理由は不明です(今まで「欠測」の日なんてなかったのですが)。これを見ても、交通規制を行っていた4日間だけ特別に汚染が低かった、とはこのデータだけでは言えないと思います。確かに北京市当局は「測定結果は成功だった」と言っており、これは「必要なデータは取れた」という意味であって、車を制限することが即大気汚染の改善につながることが実証された、とまでは言っていないので、間違ったことを言っているのではないのですが、「交通制限の終了した後の初日は『軽微汚染』」という新京報の見出しは、多くの読者に「交通制限によって大気汚染が改善されたことが確認された」という必ずしも科学的には正しくない結論のイメージを与えたのではないかと思います。

 実は、交通規制実施期間中に出ていた90台という大気汚染指数の数字は、発表される大気汚染指数の数字としてはよく見る数字です。実際に国家環境保護総局が測定した北京の2006年1年間の大気汚染指数を10単位でグラフにしてみると以下のとおりになります。

※データの出典:中国国家環境保護総局の重点都市大気汚染日報のページ
http://www.sepa.gov.cn/quality/air.php3
の下の方にある検索機能を使って「北京」の「2006年1月1日~2006年12月31日」の大気汚染指数を表示させて10単位にその指数を示した日数が何日あったかを数えたもの。

【2006年の北京の大気汚染指数の度数分布】(■=3日)

000-020:0
021-030:■2
031-040:■■■7
041-050:■■■■■■17
051-060:■■■■■■17
061-070:■■■■■■■■■■■■■■42
071-080:■■■■■■■■■■■■36
081-090:■■■■■■■■■■■■■■41
091-100:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■79
101-110:■■■■12
111-120:■■■■■15
121-130:■■■■■14
131-140:■■■■■■■20
141-150:■■■■11
151-160:■■■■11
161-170:■■6
171-180:■■4
181-190:■■5
191-200:■2
201-210:■3
211-220:■1
221-230:■2
231-240:0
241-250:■2
251-260:■3
261-270:0
271-280:■1
281-290:0
291-300:0
301以上:■■■■12
合計=365日

 普通、この手のバラツキのあるデータの測定値を度数分布のグラフにすると、なだらかな山型のカーブを描くのですが、上記のグラフでは、91-100のところが不自然に多く、101~130のあたりが不自然に少ないように感じます。汚染等級としては、0-50が「優」、51-100が「良」、101-150が「軽微汚染」、151-200が「軽度汚染」、201-250が「中汚染」、250-300が「中度重汚染」、301以上が「重汚染」に分類されます。従って、100以下なら「良」、101以上ならば「軽微汚染」に分類されるので、ここの境目が非常に重要なのです。上のグラフを見ると実際は100をちょっと超えた程度だった日の部分を91-100の日として寄せ集めたように見えます。

 この傾向は2007年のデータでも見ることができます。例え測定されたデータを正確に記録していたのだとしても、例えば10回測定して、その測定値の中から「適切なもの」を観測値として選ぶ、といった「測定データの意図的な選択」をやれば、データをねつ造しなくとも、測定値の操作はある程度可能です。しかし、そのように一定の意図の下に選択されたデータは科学的には意味を持ちません。そもそも科学的にデータ測定をする場合には、そのような「意図的なデータの選択」を行ってはならないのです。

 測定には必ず測定誤差が出ますので、実際にたまたま上記のような測定結果が出たのだ、と言われればそれを否定することはできません。ただ、統計学的に考えれば、上のグラフはかなりの高い確率で意図的な測定値の操作あるいは選択が行われた可能性を示しています。

 環境汚染対策は、まず実情がどうであるのかを科学的に正確に測定するところから出発します。北京でナンバーの奇数・偶数による自動車の通行制限が行われていた4日間の大気汚染指数が3日は90台、1日は欠測だった、という結果を見て、この数字を本当に素直に受け取っていいのだろうか、という疑問を私はぬぐい去ることができませんでした。

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2007年8月10日 (金)

北京で自動車使用規制の「実験」

 昨日(8月9日)、北京市関係当局は、市内を流れる自動車の数を減らすことがオリンピック期間中の大気汚染軽減にどの程度効果があるのかを測定するため、8月17日(金)から8月20日(月)までの4日間、ナンバープレートの番号による車両通行規制を実施することを発表しました。17日と19日はナンバープレート番号の下一桁が奇数の車のみ、18日と20日は偶数の車のみが市内での通行を認められます。救急車、消防車、警察などの緊急車両、バス、タクシーなどの公共車両、各国大使館車などの特別な車両は規制の対象からはずされます。北京市当局によれば、番号による車の制限を行う一方、政府関係機関の業務時間を通常より1時間前倒しにしたり、大型商店の閉店時間を遅らせたりして、出勤時、退勤時のピークをできるだけ小さくすようにするほか、バスや地下鉄の運行本数の増加などを行い、市民の足にはできるだけ影響が出ないようにする、とのことです。

 当然のことながら、このニュースは、今日(8月10日)付けの北京の地元新聞の1面トップのニュースでした。

(参考1)「北京晨報」2007年8月10日付け記事
「自動車、番号の奇数偶数によって使用を規制」
http://www.morningpost.com.cn/article.asp?articleid=120570

(参考2)「新京報」2007年8月10日付け記事
「17日から20日まで自動車はプレートの奇数偶数によって使用を規制」
http://news.thebeijingnews.com/0546/2007/0810/018@282592.htm

 中国の普通の企業などは、学校や大学の関係のところを除けば、「夏休み」の習慣はあまりないので、8月17日(金)~20日(月)も「普通の週末」のひとつです。従って今回の車の使用規制の「実験」の影響はかなり大きいと思います。北京の車のうち通勤に使われている「マイカー」がどのくらいの割合なのか私はよく知りませんが、上記の北京晨報の記事では、現在登録されている305万台の車のうち約130万台が止まることになる、と予測しています。北京の場合、地下鉄は、東西に走る1号線と八通線、第二環状路の下を走る2号線、北の郊外を逆U字型に走る13号線しかまだ開通していませんので、地下鉄で行ける場所は限られます。従って、番号による車両制限が行われると、いつもは車で通勤している人の半数のうちかなりの部分の人がバスやタクシーで通勤することになるわけですので、バスがどの程度混むことになるのか、タクシーがどの程度つかまらなくなるのか、ちょっと予想がつきません。

 こういった「実験」は、8月にやることになるだろう、とは前々から言われていたのですが、具体的な日程や、どういう制限の仕方にするのかなどは、全く決まっていませんでした。実施の約一週間前の昨日、突然に発表になったので、私も予定を再調整するためにちょっとあわてました。会議や打ち合わせの予定を変更した人もいたと思います。北京で働く日本人の中には、今、お盆休みで日本に帰ったりしている人も多いので、このニュースを知らない人も多いかもしれません。いつも奇数番号の車を使っている人は、お盆明け直後の20日の月曜日には車が使えないことになるので、ちょっと対処が大変だと思います。大気汚染軽減のためならばこういった「実験」も仕方がないと思いますが、私としては、1か月くらい前から予告して欲しかったなぁ、と思いました。

 屋根に会社名などが入った北京のタクシーは、メーター制で基本的に安心して乗れるので、タクシーが使えるのならば問題ないのですが、もし6.6万台あると言われる北京のタクシーよりも利用客が大幅に多くなった場合は、タクシーがつかまりにくくなるので、不許可タクシー行為(日本で言う「白タク」、中国語でいう「黒車」)が横行するのではないかとちょっと心配です。普段でも、雨が降り出した直後は、みんなが一斉にタクシーを拾うので、一時的にタクシーを捕まえるのが非常に難しくなることがあります。ですから、もし仮に車両規制の期間中の朝夕のラッシュ時に雨が降ったりすると、徒歩や自転車で通勤しようと思っていた人もタクシーを拾う可能性があるので、ちょっとした混乱も予想されます。8月17日~8月20日の期間中に観光旅行などで北京訪問を計画されている方は、お気を付けくださいませ。

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2007年8月 8日 (水)

大気汚染と北京オリンピック

 今日(2007年8月8日)は、北京オリンピック開会式1年前の日です。今日は、北京ではオリンピック開始1年前の様々なイベントが行われました。テレビでその関連のニュースを御覧になった方は気が付いたかもしれませんが、今日も北京は晴れていたのですが、白くもやっていて何となく空気がかすんだ感じのする1日でした。もやのきつい時間帯では晴れているのに影ができなていないのがテレビの画面でもわかったと思います。私は8月8日は工場などを休みにして大気汚染をその日だけでもよくするのかなぁ、と思っていましたが、だいたいいつもと同じでしたね。今日の中国国家環境保護総局の「各都市の空気汚染日報」によると、空気汚染指数は88で、汚染等級はIIでした(101以上が「軽微汚染」なので、88だと「良」になります)。

 オリンピックの開会式は2008年8月8日夜8時8分からなのだそうで、これは「末広がり」の8が並んで縁起がいいからなのだそうです。でも、私のような「ひねくれ人間」は、8月8日の夜8時過ぎだと、周りはもう暗くなっているので、大気汚染が目立たなくて済むのでそれを狙ったのかなぁ、などと思ってしまいます。私には1964年10月10日の東京オリンピック開会式の時の青空が印象に残っているので、やっぱりオリンピックは青空の下でやって欲しいなぁ、と思っています。

 最近、中国国家環境保護総局の「各都市の空気汚染日報」のページ

http://www.sepa.gov.cn/quality/air.php3

では、の下の方に都市名と期間を入れると任意の都市のこれまでの任意の時期の大気汚染の状況が見られるようになりました。北京は8月に入って毎日のように雷雨が降っているのですが、大気汚染はあまりよくなっていないことがわかります。この環境保護総局のページは、中国の大気汚染をモニターするのには非常に便利だと思います(こういうふうにインターネット上で情報が公開されるようになってきていることは評価すべきなんでしょうね)。

 私はオリンピックをやる8月には少しは大気汚染は改善すると思ったのですが、あまり改善されていないようです。そういった意味もあり、北京の大気汚染に関連して、私が、

http://folomy.jp/heart/

の「テレビフォーラム」に6月25日にアップした文章を今日のこちらのココログにも掲載します。

 folomyは、かつての@ニフティのフォーラムを運営していた人たちが集まって運営しているサイトで、メールアドレスを持っている方ならば誰でも無料で登録できます。私がfolomyに書いたものの再アップは、折りを見て時間のあるときに行います。従って、例えばfolomyに掲げた文章のアップは1か月程度遅れると思います。最新の文章を御覧になりたい方は、ぜひ、御自分で上記のアドレスからfolomyに登録して、御覧いただくよう御願いします。

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アップ場所: http://folomy.jp/heart/

「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年6月25日

【大気汚染と北京オリンピック】

 日本のテレビではあまり紹介されていないと思いますが、先週の北京に青空はありませんでした。空を見上げると太陽がまるで満月のように透けて見えます。雲はないのですが、空がうっすら茶色がかった白い色をしているのです。国家環境保護総局の発表によると、先週の北京の大気汚染の主要原因は「可吸入顆粒物」だ、とのことです。

 私は20年前にも北京に住んでいたことがありましたが、その当時も冬や早春にはそういう日も結構ありました。原因は、暖房用の石炭を焚く煙と黄砂でした。でも、20年前は、5月、6月は、基本的にスカッと晴れてきれいな青空が広がっていた日が多かったと記憶しています。四合院風の昔のお屋敷を改造したホテルなどでは、昼間は、中庭の庭園にテーブルを出して、太陽の光に輝く新緑の下で食事を楽しんだりしたものでした。

 大気汚染の原因は、暖房や火力発電で石炭を焚いた煙、工場のばい煙、自動車の排ガス、工事現場で巻上がるほこり、などが考えられています。日本の高度経済成長期の公害もひどかったですが、今の中国ほどひどくはなかったと思います。三井物産戦略研究所中国経済センター長の瀋才彬氏は、今の中国の経済を「爆食経済」と形容しています。エネルギーや自然環境をばくばく食べて、経済成長している、という意味です。自然環境も食い尽くして行ったら、どこかで限界が来ます。先週火曜日のような視界500mの汚染度IV(1)(中度汚染)の日を経験すると、その限界が結構近くまで来ているような気がします。

 問題は、来年のオリンピックの時に、この大気汚染がどうなっているか、です。オリンピックが開催されるのは8月ですので、少しは湿度が高いので、大気汚染も少しはマシになるだろう、とか、交通渋滞緩和のため、政府がオリンピック開催期間中は工場などの操業を休止させるだろうから大丈夫だ、という楽観論もありますが、どうなるかよくわかりません。もし、先週のような大気の状態の中でオリンピックをやったとしたら、マラソンはかなりキツイと思うし、激しい運動を伴うサッカーなども大変だと思います。

 日本の国立環境研究所が中国側と共同で実施した研究によると、中国の大気汚染は、ごく小さな浮遊微粒子が原因なので、室外も室内もそれほど違いがない、という結果が出ています。従って、この大気汚染は、水泳やバスケットボールなどのなどの激しい呼吸を伴う室内競技にも影響が出る可能性があります。

 瀋才彬氏が言う「爆食経済」、即ち、自然環境が持っている余裕を食いつぶしながら成長していく経済は、タコが自分の足を食べているようなものです。韓国や日本への越境汚染も問題になっていますが、オリンピックを契機にして、この汚染を本気で何とかしないと、中国は結局は自分でそのツケを払わされることになると思います。

※瀋才彬氏の名前は、時折誤って「沈才彬」と表記されることがあります。「沈」は「瀋」という字の中国式の簡体字です。従って、日本語の表記の中で書く場合には「瀋才彬氏」と書くのが正しいのです。「瀋」氏は、英語表記は Shen であり、日本式に発音するとすると「シン」であって「チン」ではありません。

(参考1)イヴァン・ウィルのブログ(ココログ)
2007年6月19日付け記事
「北京の今日の大気汚染度はIII(1)級(軽微汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/iii1_5bc5.html
「6月19日の大気汚染度はIV(1)級(中度汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/619iv1_d1e6.html

(参考2)国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」No.21:2006年7月号
「中国の都市大気汚染と健康影響」
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/21/21.pdf

(注)6月25日にfolomyに掲載したときは以下の2つの新聞記事も参考としてリンク先を掲げたのですが、既にリンクが切れているので、ここでは見出しだけを記載しておきます。

○スポーツニッポン2007年6月7日付け記事
「前が見えない! 浦和 敵は大気汚染」

○スポーツニッポン2007年6月8日付け記事
「辰也奮闘も・・・浦和 大気汚染に負けた」

(2007年6月25日、北京にて記す)

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2007年7月26日 (木)

この大気汚染の中で野球はできるのか

 今日(7月26日)の北京は視界約500メートルでした。空気汚染指数(API)は151で、汚染の等級はIII(2)級「軽度汚染」だった、とのことです。

※中国国家環境保護総局が毎日出す「空気質量日報」及び空気汚染指数(API)の定義などについては、私のこのブログの6月19日付けの記事

「北京の今日の大気汚染度はIII(1)級(軽微汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/iii1_5bc5.html

を御覧下さい。

 今日も、晴れてはいるのですが、空全体が真っ白で、上を見上げると、太陽が満月のように透けて見えました。気温は33度程度で、かなり湿度も高かったようです。5月のメーデー連休に青空があった以降は、この7月末まで、空が青かった日は、合計して3~4日しかなかったように記憶しています。

 今日の昼間、「鳥巣」と呼ばれるオリンピック・メインスタジアムのすぐそばの北四環路を通りましたが、鋼鉄製の灰色の巨大な「鳥巣」は全体がかすんで見えました。この巨大な構造物は、灰色の汚染空気の中では全然映えません。やっぱりバックはすっきりした青空じゃないといけないなぁ、と思いました。

 今日は汚染による「もや」が相当に濃かったので、今日のような状態の中でサッカーをやったら観客は相当ボールが見えにくいだろうと思います。野球をやった場合には、フライが上がると外野手がボールを見失うのではないか、と思うほどでした。もし、今日のような大気汚染と33度の気温の中でマラソンをやったら、選手は相当に健康を害すると思います。

 ただ、北京オリンピックは来年の8月8日からで、マラソンをやる8月の後半になれば、だいぶ朝晩は涼しくなるはずだ、という見込みもあります。また、そもそもオリンピック開催期間中は、ちょうど夏休みシーズンでもあり、政府が統一的に指導して、多くの工場を休業にするだろうし、自動車の乗り入れ制限も相当強力にやると思うので、今日のような大気汚染は、オリンピック期間中には出現しないのではないか、と言われています。きっと北京オリンピックは青空の下で競技が行われることになるのでしょう。ただ、もしそうだとすると、世界中の人に、「それが北京の普段の姿なのだ」と思って欲しくないなぁ、と私は思います。何千万人の人が、いつもは、この真っ白い汚染された大気の下で暮らしていることを、もっと世界の多くの人に知ってもらいたいと私は思っています。

 もっとも、そんな他人のことを言うより前に、来年の夏のオリンピックの時期まで、この大気汚染の中で、そもそも私の健康が維持できるのかどうか、そちらの方が最近は心配になってきました。

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2007年7月 4日 (水)

中国国家環境保護総局が操業停止等の行政命令を発出

 環境汚染は中国の大きな問題になっていますが、国家環境保護総局は7月3日、特に汚染がひどい地域の地方政府や経済開発区に対する新規プロジェクトの許可停止、悪質な工場に対する操業の停止などを求める法律に基づく行政命令を発しました。その範囲は広く、兵器関連企業による環境汚染事件などを理由にした地方政府に対する許可停止処分も含まれているなど、国家環境保護総局の相当の決意に基づくものと思われます。(先週来、6月25日に発表された「党の基本方針は微動だにしない」との趣旨の胡錦濤総書記の「重要講話」を真剣に学習しよう、という一連のキャンペーンの中で、党の執政能力に対する危機感を共有すべき、と主張している評論が人民日報に掲載されていることなどを考えると、今回の国家環境保護総局の「強権発動」とも言える行政命令の発出も、胡錦濤国家主席=共産党総書記によるリーダーシップに基づくもの、と考えてよいと思います)。

 国家環境保護総局の行政命令の全文、対象となる市、県、経済開発区、工場等のリストは、国家環境保護総局のホームページ上にある下記のプレス発表文に記されています。

国家環境保護総局のホームページ2007年7月3日付けプレス発表
「長江、黄河、淮河、海河の汚染水域に『流域許可制限』を掛け、統一的な治水と新しい環境経済政策を確立する必要がある」
http://www.zhb.gov.cn/xcjy/zwhb/200707/t20070703_106035.htm

 この行政命令の内容は以下のとおりです。

○6つの市と2つの県及び5つの工業開発区に対して「流域許可制限」を掛ける。対象は以下のとおり。下記の地区では、環境保護総局では、本日(7月3日)から、汚染防止とリサイクル経済に関するもの以外の建設プロジェクトの審査及び許可を停止する。

★長江流域:安徽省巣湖市、蕪湖経済技術開発区
★黄河流域:甘粛省白銀市、蘭州高技術(ハイテク)産業開発区、内モンゴル自治区バヤナオル(Bayannaoer)市、セン西省渭南市、山西省河津市(市ではあるが県クラス)及び襄汾県(センは「こざとへん」に「狭」のつくり)
★淮河流域:河南省周口市、安徽省蝉埠市
★海河流域:河北省邯鄲経済技術開発区、河南省濮陽経済開発区、山東省シン県工業園区(シンは「くさかんむり」に「辛」)

○不正常な運転を行っている石家庄深沢県東区汚水処理場など6つの汚水処理場及び悪質な法律違反を犯している32の企業に対して「事業監視」を開始する(汚水処理場と工場のリストがあり、それぞれに対する行政命令の内容が記されている)。

☆事業監視の具体的内容の例:
6つの汚水処理場に対して:3か月以内の事業改善、未処理汚水の処理、追加除染費用の拠出など。
32の工場に対して:期限付き操業停止、無期操業停止、工場閉鎖、除染費用の拠出、現状回復など。

-------------------------
 業務停止命令を受けた工場の中には、内蒙古蒙牛乳業の子会社や攀枝花鋼鉄(集団)公司傘下の企業などの有名企業関連の工場も含まれています。今回の行政命令は、

○広い地域にわたっていること

○多くの工場に対して同時に操業停止などの厳しい命令が出されていること

○個別具体的な地方政府や工業開発区を名指しして新規プロジェクトを許可しないことを明言していること

などの点で、かなりのインパクトがあるものと思われます。

 本件については、昨日(7月3日(火))夕方19:30過ぎから中央電視台第一チャンネルで放映された「焦点訪談」でも取り上げられていました。インターネットからも視聴できますので、通信環境のよい方は御覧になってはいかがでしょうか。

http://www.cctv.com/video/jiaodianfangtan/2007/07/jiaodianfangtan_300_20070703_1.shtml

環境保護総局環境監察局副局長がこの番組に登場しています。番組の中頃で放映される汚染された湖や川の映像は、日本の皆様には、かなり衝撃的だと思います。また副局長がこの番組の中で「私たちが調査している時、地方政府の人間から監視されたり、尾行されたりした。だから、これは体制上の問題だと思っている。地方政府が汚染企業を保護したり、一部の利益を重視したりしている。」と言っているくだりがあり、言っている内容としても、かなり刺激的だと思います(ホームページ上では、発言を文字で起こしたものも見られるので、中国語のわかる方は御覧ください)。

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2007年6月19日 (火)

6月19日の大気汚染度はIV(1)級(中度汚染)

 6月19日(火)の北京は、昨日よりも大気汚染がひどく、国家環境保護総局が発表している空気汚染日報では、空気汚染指数(API)が202、汚染等級が7段階の悪い方から3番目のIV(1)(中度汚染)にまで達しました。

 20年前に私が北京にいたときには、暖房のために石炭や練炭を大量に燃す冬や、黄砂が飛来する早春の時期には、北京の大気が汚染された感じの時はありましたが、5月、6月は基本的に晴天で、スカッと晴れた日が多く、緑の街路樹が青空にまぶしく映えて、暑いことは暑いのですが、それなりに気持ちがよかった時期であったように記憶しています。今日のような、雲がなく、太陽が透けて見えているのに、青空がない、という北京にいると、北京は1年のうちで一番美しい時期を失って、それでいったい何を得たのだろうか、と思ってしまいます。

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北京の今日の大気汚染度はIII(1)級(軽微汚染)

 中国国家環境保護総局では、毎日、主要86都市の大気汚染日報を発表しています。

中国国家環境保護総局「重点城市空気質量日報」
http://www.sepa.gov.cn/quality/air.php3

各都市における二酸化硫黄、二酸化窒素、空気中浮遊物質、一酸化炭素、オゾンの量から「空気汚染指数」(API=Air Pollution Index)を計算しているものです。APIの定義は下記に掲載されています。

中国国家環境保護総局のホームページ「背景資料」にある「空気汚染指数」(API)の定義
http://www.sepa.gov.cn/quality/background.php

 上記の中国国家環境保護総局による「大気汚染日報」では、APIを基にして下記の7階級の汚染等級を示しています。定義及び等級の内容は、下記の新華社の2006年1月20日付けの報道を見ると、わかりやすいと思います。

新華社(天津チャンネル)2006年1月20日付け「空気汚染指数の定義と等級分類」
http://www.tj.xinhuanet.com/fuwu/2006-01/20/content_6096035.htm

 上記の報道によると、大気汚染の等級は下記の通りです。

I級(優):API=0~50
大気汚染の問題なし。公衆の健康に何らの影響を与えない。正常な活動が可能。

II級(良):API=51~100
大気汚染により何らかの影響を受ける可能性がある。ごく少数の汚染に特別に敏感は人以外は、公衆の健康に影響を与えない。正常な活動が可能。

III(1)級(軽微汚染):API=101~150
III(2)級(軽度汚染):API=151~200
敏感な人たちは持っている症状が若干悪化する可能性がある。健康な人でも刺激症状が出現することがある。心臓病、呼吸器系疾患の患者は体力を消耗する戸外活動を減らす必要がある。

IV(1)級(中度汚染):API=201~250
IV(2)級(中度重汚染):API=251~300
心臓病及び肺病患者に対しては症状を顕著に悪化させ、運動に対する抵抗力を弱める。健康な人たちの中にも広く症状が出現する。老人及び心臓病、肺病患者は室内に留まり、かつ体力を使う活動を減らす必要がある。

V級(重度汚染):API=301~
健康な人々に対しても運動に対する抵抗力を弱める。強い症状を発現させたり、何らかの疾病の発現を促進する可能性がある。老人及び病人は室内に留まり、体力の消耗を避ける必要がある。一般人も戸外での活動を避ける必要がある。

 ちなみに、今日(2007年6月18日(月))の北京の「大気汚染日報」は、API=138、汚染等級はIII(1)(軽微汚染)、APIを高めた主要な原因は「空気中浮遊物質」(中国語で「可吸入顆粒物」=直径10ミクロン以下の浮遊微粒物質)でした。

(「可吸入顆粒物」の定義については下記を参照)
中国国家標準「環境大気汚染標準」GB3095-1996
(1996年1月18日:国家環境保護局・国家技術監督局発布)
http://www.sepa.gov.cn/image20010518/5298.pdf

 今日(6月18日(月))の北京は、どんよりした霞のようなものが掛かった状態で、視界は1kmあるか、ないか、といった程度でした。空を見上げると、真っ白い空の中に太陽が透けて見えました。太陽が見えているので、曇りではないはずなのですが、空は真っ白です。なんとなく、喉のところに、コホコホと咳をしたくなるような刺激を感じます。たぶん、この空気の中でマラソンをやったら、マラソン・ランナーはちょっとツライと思います。雨が降らない、風の弱い日は、汚染の度合いが高まるようです。

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