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2016年10月 8日 (土)

結局中国の構造改革は先送りの気配

 国慶節の連休期間が終わり、今日(2016年10月8日(土))から中国は「通常モード」に戻ったようです。今日の中国中央電視台の夜7時のニュース「新聞聯播」のトップニュースは「習近平主席がポルトガルの総理と人民大会堂で会見した」、二番目は「習近平総書記の『胡錦濤文選報告会』での重要講話が単行本として出版された」、三番目は「李克強総理が国務院常務会議(定例会議)を開催した」という「いつもと同じようなニュース」でした。習近平主席、李克強総理ともに「特に変わった様子はなくニュースに登場した」ということで、ひとまずは安心しました。

 で、ちょっと気になったのは今日の国務院常務会議の内容でした(通常、国務院常務会議は水曜日開催ですが、今週は国慶節の連休だったため、特例として土曜日の開催となったようです)。規制緩和の一環として投資案件の許可権限を下部に下ろす、という内容なのですが、「国家標準に基づくものであれば」という前提付きですが、投資事業の許可を省クラスの地方政府にゆだねること、中国鉄道総公司は鉄道、橋梁、トンネルの工事を自らの判断で実施できること、を決めた、とのことでした。「これって『規制緩和を進める』という名目の下、国家レベル、党中央レベルのインフラ投資に対するコントロールを放棄する、ってことではないんですかね? この決定を受けて、来年秋の党大会へ向けて、各地方政府や中国鉄道総公司はそれぞれ勝手にインフラ投資のアクセルを強烈にふかすことになるのではないですかね?」と私は思いました。

 中国共産党は「一党独裁」とは言われますが、幹部については地方や企業にいる党の代表による選挙で決めることになっているなど「党内民主」の制度ができています。地方政府や国有企業への締め付けを強め過ぎて各組織の党代表の反発を受けては来年(2017年)秋の党大会を乗り切れないので、党大会が終わるまでは「構造改革は一時お休み」にするのかもしれません。インフラ投資のアクセルがふかされれば、鉄鋼、セメント等の「ゾンビ企業」の国有企業も一時的に息を付くことができ、労働者をリストラせずに済む、というわけです。ただし、これは単なる問題の先送りに過ぎないので、来年の党大会が終わった後、より大きくなったツケが中国経済に回ってくることになるのだろうと思います。

 「選挙が目の前にあるので痛みを伴う構造改革は一時的に『棚上げ』だ」といった話はどこかの国の事情と全く同じじゃないか、とは思いますが、中国の場合、後に先送りされた「ツケ」の大きさは半端じゃないと思うので、来年の党大会が終わった後、中国経済がどうなるか相当に心配です。

 前にも書いたことがありましたが、私が北京に駐在していた前々回の2007年秋の党大会の後、2008年の春節あたりに掛けて、中国経済では、不動産市況や沿岸部の製造業で変調が起きました(当時の上海株は党大会開催中の2007年10月をピークにして急落)。前回の党大会があった2012年の頃はリーマン・ショック後の4兆元の大規模経済対策が打たれた後でしたので党大会後の「バブル崩壊感」はなかったのですが、2013年6月頃には「影の銀行」だの「理財商品」だの、4兆元の経済対策による巨大投資に関連する金融関係の不安感が高まりました。

 今回(2017年秋の党大会の後)は、2007年~2008年の経済変調の規模を巨大化させたものと2013年半ば頃の金融不安が合わさったようなものが中国経済を襲うおそれがあることは今から覚悟しておいた方がよいと私は思っています(もちろん、2017年秋の党大会へ向けての人事抗争が中国共産党内部の権力基盤の不安定化に繋がれば、党大会の前(2017年前半)にも中国経済が不安定化する可能性はあります)。要は、仮に2017年秋まで中国経済の指標が順調に推移したとしても、その後何が起こるかわからない点については最大限の注意を払っておく必要がある、ということです。

(注)世界の多くの企業家は同じような見通しを持っているのかもしれません。だからこそ多くの企業家が「投資をするより中国経済で『とんでもないこと』が起きるかもしれないことに備えて手元に資金を持っておこう」と思っているのだと思います。世界第二位の経済大国である中国の政治システムの透明性が確保されない限り、「中央銀行が大規模な金融緩和をしようと、政府が企業のお尻を叩こうと、企業家は『中国リスク』に備えて資金を貯め込むだけで、投資が伸びず、経済成長率は高まらない」といった状況は続くと思います。

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