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2016年10月15日 (土)

またまた李克強総理が欠席のままで重要会議開催

 中国共産党の習近平総書記は、10月11日(火)、「全国国有企業における党建設に関する工作会議」を開催し、国有企業における中国共産党の指導を強化することについて議論しました。また、習近平総書記は、同日、「中央全面深化改革指導小組28回会議」を開催し、減災・防災、高齢者介護サービス産業の推進方策、産業安全の推進等について議論しました。この日、中国共産党ナンバー2で国務院総理の李克強氏はマカオ出張中だったので、これらの会議は欠席しました。中国共産党ナンバー3で全国人民代表大会常務委員長の張徳江氏もこれらの会議には欠席でした。

 もはや中国共産党の重要会議に李克強総理が欠席する状況に「慣れっこ」になってしまいましたが、やはりこれはおかしいです。もし仮に、李克強氏が来年(2017年)秋の党大会で党内で人事異動することが決まるのだとしても、国務院総理の交代が決まるのは党大会の次の全人代、つまり2018年3月になりますから、それまでの間のあと一年半、党の重要会議に国務院総理が参加しないような状況が続くのであれば、中国政府の行政執行はスムーズに行かなくなると思います。もし李克強氏を中国共産党の意志決定の中心からはずす方針なのであれば、今すぐにでも国務院総理を別の人に替えるべきでしょう。現在の任期中(2018年3月まで)は李克強氏に国務院総理をやらせるつもりなのであれば、李克強氏をはずしたままで党の重要会議を開催することは国の内外に「中国政府はレイムダック化している」と宣伝しているのと同じですので、中国自身にとって大きなマイナスだと思います。

 一方、10月12日(水)の産経新聞9面に「香港で権力闘争『場外戦』」という記事が出ていました。この記事では、香港の親中紙「成報」が全人代常務委員長の張徳江氏や香港の梁振英行政長官ら4人を「四人組」として批判するキャンペーンを張っている、と伝えています。「四人組」と銘打った批判が権力闘争を意味しているは誰の目にも明らかなのですが、この記事によれば、批判されている張徳江氏は、江沢民元国家主席に近く、梁振英行政長官は張徳江氏に近いのだそうです。だとすると、最近、習近平総書記が李克強氏(党のナンバー2)と張徳江氏(党のナンバー3)が欠席のままで党の重要会議を開いているのは、習近平氏が党内の有力グループを排除して自分に近い人たちだけで権力の集中化を図ろうとしていることを意味しているのかもしれません。

 また、習近平総書記が李克強氏と張徳江氏が欠席のまま二つの重要会議を開催した10月11日、北京市内の国防部の前で迷彩服を着た約千人の退役軍人が抗議デモを行いました。国防部は、北京のど真ん中を東西に通る長安街に面した場所(天安門から約6km西)にありますので、そこで迷彩服を着た人が千人も集まれば相当に目立ちます。実際、日本を含め多くの外国のメデイアがその様子を報道しました。

(注)国防部の建物周辺は「軍事禁区」となっており写真撮影等は禁止されています。観光旅行者や留学生・現地駐在員の方々などは興味本位でスマホ等で撮影したりしないようにしましょう。もっとも「軍事禁区」である国防部は地図には掲載されていないし、国防部の建物には「看板」がないので、知らない人にはどの建物が国防部であるのかわからないのですけどね。

 そもそも中国では許可されないデモは禁止ですが、近年、化学工場反対など環境問題に関連して周辺住民等が行う「集団散歩」は時々ありますし、理不尽な土地収用に反対する住民が地方政府の回りに集まる、といったことはしょっちゅう報道されます。しかし、北京の中心部にある国防部の前(当然、警備は厳しい)に迷彩服着用という目立つ格好で千人規模の人が集まるなんて、少なくとも私は聞いたことがありません。10月13日にBS日テレ等で放送された「深層NEWS」の中でも指摘されていたのですが、軍の中に今回の抗議デモを動員した人、あるいは積極的に動員したわけではないにしても黙認した者がいるのはたぶん間違いないと思います。中国の場合、公安当局の側に「デモは許さない」という考え方があれば、千人規模の人が参加するデモは、ネット等でデモへの参加を呼び掛けた段階で当局の手が入って、そういったデモは事前に事前に抑圧されるだろうと考えられるからです。

 この退役軍人の抗議デモについては、中国のメディアは報じていないようですが、今はネット社会ですので、中国人民も、外国メディアが伝える迷彩服の退役軍人のデモの様子を目にする機会はあったと思います。

 上に書いた、産経新聞が報じている香港の親中紙「成報」の「四人組」批判キャンペーンも、たぶん現在の北京の「相当に変な状況」を表しているのだと思います。「親中紙」であるはずの「成報」が中国共産党中央の序列ナンバー3の張徳江氏や党中央が任命した梁振英行政長官を批判することは、中国共産党中央の内部がバラバラ状態であることを示している可能性があるからです。

 「中国共産党は、最初から『内部はバラバラな状態が続いている党』だったのであり、毛沢東やトウ小平がいた頃はそれがオモテに見えなかっただけなのだ。今は、毛沢東やトウ小平のようなカリスマ的な指導者がいないので、党内の『バラバラ状態』が素直に外に見えてしまうのだ」という見方が正しいのかもしれません。しかし、中国共産党は外部からはタテマエ上「党中央に一致団結している」と見えていたからこそ中国人民はガマンして「中国共産党の指導」に従って来たのです。ですから「党内がバラバラであることが外からよく見える中国共産党」では中国人民は「ガマンして付いていく(付いていくふりをする)」ことをやめてしまうのではないか、と心配になります。

 今日(2016年10月15日)の中国中央電視台の夜7時のニュース「新聞聯播」では、「習近平主席は第120回中国輸出入商品交易会の開幕を祝するメッセージを寄せた」というニュースと「李克強総理は第120回中国輸出入商品交易会の開幕を祝賀する指示を出した」というニュースを並列して報じています。交易会の関係者には失礼ですが、国家指導者のトップ2のお二人が「この程度のこと」で張り合うのはいかがなものかと私は思います(というか、たぶん、多くの中国人民も「いい加減にして」と感じていると思います)。

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