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2016年7月16日 (土)

トルコの軍事クーデター事件で思い出すもの

 日本時間今日(2016年7月16日(土))早朝から伝えられているトルコ軍の一部によるクーデターの試みについては、私は朝からCNNでニュースを見ていました(現時点(日本時間7月16日夜の時点)で既に「クーデターは失敗した」と報じられています)。夜の街頭に戦車が展開し、銃と持った兵士と市民が対峙するイスタンブールの光景は、私にはやはり1989年6月4日未明の北京の状況とかぶって見えました。CNNの番組に出ていたキャスターやコメンテーターも同じ印象を持っていたようで、「27年前の天安門事件のときは・・・」と言った話が何回も出てきました。

 CNNは、1980年代から世界中に広がったアメリカのテレビ・ニュース・ネットワークですが、1989年の「六四天安門事件」の当時、私の家にはCNNは入っていませんでしたが、職場には入っていたので、私も職場のテレビで随分CNNの映像を見ました。六四天安門事件の時、CNNのスタッフが北京から生中継をやっている最中に中国側当局の担当者がやってきて中継をやめろと指示したことから、CNNのキャスターと中国側当局の担当者が「中継をやめろ」「やめない」とやりあっていたことがそのまま世界中に生中継されたことが今でも語り草になっています。今回のトルコの事件では、イスタンブールのCNNトルコのスタジオにクーデター派の兵士が入って来たためCNNはスタジオからの放送をやめましたが、キャスターのいないカラのスタジオの様子をずっと生中継で流していました。CNNの関係者もきっと「六四天安門事件」の時のことを思い出していたと思います。

 今回のトルコの事件では、クーデターに反対する圧倒的多数の市民を前にして、クーデター派の兵士は、いかんとすることもできず、最後は投降したようです。イスタンブールでの兵士と市民との対峙の様子の映像を流しながら、CNNのキャスターは、こう言っていました。「天安門事件の時は兵士は市民に向かって発砲しました。イスタンブールでは、北京と違って、兵士は空に向かって威嚇射撃をし、多数の市民は兵士の方に近寄って行っているようです」。今回のトルコの事件に関するCNNの報道を中国当局が検閲でカットした、という話は聞こえてこないので、おそらくは、このCNNの放送は中国国内でも流されたのでしょう。中国では、CNNが見られる受信設備は、当局の許可がないと設置できないので、CNNを見られる中国人民は、ごく一部の限られた人たちですが、この放送を見て、「天安門事件の時は・・・」と話すキャスターの話を聞いて、どう感じたのでしょうか。私は胸が痛みます。

 夜中の街頭に戦車が展開し、兵士と市民が対峙する、という今回のトルコの映像はかなり衝撃的なので、中国でどう報道するのかなぁ、と思っていたのですが、人民日報のホームページではかなり迅速に写真付きの情報を流しており、中国中央電視台の夜のニュース「新聞聯播」では、映像付きで「ふつうに」淡々と報道していました(トルコに滞在する中国人は数多いので、中国の報道機関としても「報道しない」という選択肢はあり得ない)。ただ、私の印象では、中国での報道では、テレビ局に乱入するクーデター派の兵士の様子やクーデターに抗議する市民の様子、クーデターは失敗したとイスタンブールの空港で記者会見で述べるエルドアン大統領の様子などの映像は流しても、「夜中の街頭に戦車が展開し、兵士と市民が対峙している」という天安門事件を直接的に連想させる映像は避けていたように思います。

 トルコでは既に多くの方々が亡くなっているようです。事態はまだ流動的な部分もあるようですが、トルコの事態が一刻も早く収拾され、政治と市民生活が一刻も早く通常に戻るよう祈りたいと思います。

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コメント

日本の進出企業にとっても今回のトルコのクーデター騒ぎはショック。
安定した政情の下でないと、仕事もままならない。

投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2016年7月22日 (金) 22時15分

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