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2015年10月10日 (土)

第18期五中全会の日程がいまだ決まらず

 ペルーのリマで10月8日G20財務大臣・中央銀行総裁会合が開かれましたが、共同声明の発表はありませんでした。引き続いてIMFの国際通貨金融委員会(IMFC)が開かれ共同声明が発表されました。この共同声明では「世界経済見通しのリスクは増大した。」とされました。中国については「中国で進行中の、より持続可能な成長に向けたリバランシングは、生じ得る困難な外的状況には警戒を要するものの、歓迎されるものである。」とされました。

 ネットで見た毎日新聞の報道によれば、会合後の記者会見で、麻生財務大臣は、中国経済について「今(各国が)共同しないといけないほど、中国が悪くなっているという判断はされていない」と述べた、とのことです。

 要するに「世界各国は中国経済が減速しているという認識で一致し、中国経済の減速が世界経済に及ぼす影響について警戒すべきものの、基本的には中国政府の対応に期待し各国はそれを見守ることとした」といったところでしょうか。

 先週(2015年10月5日(月)からの週)、世界の株式市場や商品市場はやや落ち着きを取り戻しました。これも「中国経済の減速は明らかであるが、8月のマーケット暴落時に心配したような『中国経済がハードランディングして、世界経済が奈落の底に突き落とされる』ようなことが起きるほど悪いわけではない」といった認識が一般的になってきたことを示すものと思われます。

 問題は、中国政府が経済減速に対してどのような対応を採るかです。今の時点で気になるのは、次の五カ年計画について議論するとされる第18期五中全会(中国共産党中央委員会第5回総会)の日程がまだ決まっていないことです。前回(第17期五中全会)は、2010年10月15~18日に開催されましたが、この日程は9月28日に発表されました。今回の五中全会も10月に開くことが今年7月20日の中国共産党政治局会議で決定されていますが、具体的な日程は今日(10月10日)時点でまだ発表されていません。通常の感覚から言ったら、10月の重要会議の日程は、国慶節休みの前に発表するのが普通だと思いますので、今回の五中全会の討議内容、即ち、今後5年間の経済運営の基本方針がまだ議論中で決まっていないのかもしれません。もし「五中全会の日程が決まらない=次の5か年計画の内容が決められない」という状態が続くと、それを不安に感じて、上海株がまた下がり出す可能性があるので要注意です。

 今日(2015年10月10日)の中国中央電視台夜7時のニュース「新聞聯播」では、バラック住宅地区改造計画に関する電話会議が開かれ、李克強総理が中央の指示に従って計画通りに改造計画を進めるよう「重要指示」を出した、と報じていました。最近、党中央が進めようとするプロジェクトについて、地方が計画通りに進めないことがいろいろな場面で問題になっているようです。次の五カ年計画についても、党中央が進めるべきと考えていることと、地方の考えが一致せず、まだ調整がついていないのかもしれません。

 去年の10月31日付けのこのブログで「香港雨傘革命:四中全会と黒田日銀ハロウィン・バズーカ砲が与える影響」と題する記事を書きました。

(参考URL)このブログの2014年10月31日付け記事
「香港雨傘革命:四中全会と黒田日銀ハロウィン・バズーカ砲が与える影響」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2014/10/post-8601.html

 この発言の中で、去年の四中全会の決定の内容に触れていますが、ポイントは「県・市級の地方組織の権限を大幅に縮小する」など中央集権を強化する内容でした。これは、プロジェクトの推進に関して各地方に任せると、各地方の中国共産党幹部が自分の利益にとって都合のよいようにプロジェクトを進めてしまうので、中央の関与を強めよう、ということなのだと思います。今、こうした中央集権化が中国共産党の地方幹部の不満を高め、今「中央から指示された仕事をサボる」傾向が強まっているのかもしれません。こうした背景により、次の五カ年計画についても、中央と地方との対立がまだ調整しきれていないのかもしれません。

 どんな立派な計画でも、計画を立てた中央と実施する地方とがチームワークよく取り組まなくてはうまく進みません。中国の中央政府は、経済減速に対する対策をいろいろ考えていて、それを次の五カ年計画に盛り込もうとしているのだと思いますが、中央と地方との関係がギクシャクしたままだと、例え計画を作ったとしても、うまく実施できないことになります。経済減速に対する対応が世界から求められている中国ですが、もしかすると、その対応策は、計画の段階から暗礁に乗り上げている可能性があります。今後の中国経済の回復への道は相当に険しいものになるのかもしれません。

 なお、今、上記の去年の記事「香港雨傘革命:四中全会と黒田日銀ハロウィン・バズーカ砲が与える影響」を改めて読んで気付くのは、去年10月31日の日銀の追加緩和は、急激な円安をもたらし、結果として、ドルにペッグしている人民元との関係では、人民元高・円安をもたらしたという事実です。つまり、2014年10月31日の日銀の追加緩和が結果的に中国経済の減速傾向をさらに強める方向に作用したわけです。それを考えると、現在(2015年秋の時点)の日本を含めた世界経済の減速の原因が中国経済の減速にあるわけですから、現時点での日銀による更なる追加緩和は中国経済に更なるマイナスの圧力を加え、結局は日本経済にマイナスの影響を及ぼすので、日銀は更なる追加緩和策は採れないかもしれない、と私は考えています。

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コメント

自己コメントです。

今日(2015年10月12日)、中国共産党政治局会議が開かれ、第18期五中全会は、10月26~29日に北京で開催することが決まりました。次の第五次五カ年計画について議論がまとまらずに五中全会の開催日程が決まらない、というような状況ではなかったようなので、とりあえずはよかったと思います。

投稿: イヴァン・ウィル | 2015年10月12日 (月) 23時40分

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