« 「影の銀行行為」と薄煕来裁判との共通項 | トップページ | もしかして習近平総書記は「改革派」なのか? »

2013年8月27日 (火)

薄煕来裁判が結審

 山東省の済南市中級人民法院で2013年8月22日から5日間にわたって行われてきた薄煕来元重慶市党書記に対する裁判(第一審)が8月26日に結審しました。8月26日の夜7時から放送された中国中央電視台のニュース「新聞聯播」では、審理が始まってから初めてこの薄煕来裁判について触れ、かなり長い時間にわたって映像入りで裁判の様子を伝えました。薄煕来元書記が賄賂としてもらったという別荘の内部の写真や妻の谷開来受刑者、部下で元重慶市副市長の王立軍受刑者が証言しているところの映像も流されました(王立軍受刑者は裁判所での証言、谷開来受刑者については法廷内に証言映像が流された場面の映像)。

 中国中央電視台では、夜10時のニュースなどでは8月22日の裁判初日から薄煕来裁判について報じていましたし、「人民日報」では、毎日、その日の裁判の様子を報じていました。夜7時のニュース「新聞聯播」だけが、結審した後に初めてこの裁判を報じたのですが、その理由は不明です。薄煕来被告が徹底的に公訴事実を否定したため、どのような形で結審するか予想できなかったので、結審してから報じたのかもしれません。同じ中央電視台のニュースの中でも夜7時からの「新聞聯播」は、みんな当局の「公式発表」だと思って視ていますから、結果が出てから報じたのかもしれません。いずれにせよ、薄煕来被告は多くの人々が顔を知っている(しかも元副首相の薄一波氏の息子の)「有名人」ですから、その人が豪華な別荘の映像とともにテレビに出たことは、中国人民に対して「腐敗は許さない」という中国共産党中央の意志を示したと言えるでしょう。

 今日(2013年8月27日)付けの「人民日報」では、この裁判の結審を受けて、1面に「法治の思想をもって、法治のやり方を用いて、腐敗に反対する」というタイトルの「人民日報」の評論員の解説を載せていました。この解説では「この法廷の過程は公開され、透明であり、法に基づいており、プロセスにおいては、全て事実と証拠と法律に基づいて審査された。このことは、我が党と我が国の『法治の思想をもって、法治のやり方を用いて、腐敗に反対する』という鮮明な態度と硬い決意を表したものである。」と述べています。この評論の文章は、逆に、今までのこの種の汚職裁判は、公開ではなく、透明でもなく、法に基づかず、事実と証拠と法律に基づいて審査されていなかった、と自ら認めているようなものなんですけどね。

 日本でもいろいろ報道されていますが、審理に5日間も掛かったのは、おそらくは当局の「想定外」だったと思います。その意味では、微博(ウェイボー=ミニブログ:中国版ツィッター)の「文字実録」として公開されることを知った上で徹底的に公訴事実を否認した薄煕来被告の作戦勝ちだったのかもしれません。

 判決の言い渡される日は未定です。しかも、今回審理が行われたのは「中級法院」なので、薄煕来被告は判決後も控訴する可能性があります(中国は二審制)。賄賂をもらったり妻が殺人を犯したりしたことは糾弾されるべきことなのでしょうが、「強権を振るって『黒社会』の撲滅を図った」ことに対して、多くの人民から支持を受けているようであり、この裁判が続く限り、習近平指導部にとっては、腫れ物に触るような微妙な取り扱いを続けざるを得ない事態が続きそうです。

|

« 「影の銀行行為」と薄煕来裁判との共通項 | トップページ | もしかして習近平総書記は「改革派」なのか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「影の銀行行為」と薄煕来裁判との共通項 | トップページ | もしかして習近平総書記は「改革派」なのか? »