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2013年8月 6日 (火)

現時点での「思想の解放」

 今日(2013年8月6日)付けの「人民日報」は1面に「思想を解放させるとともに、事実に基づいて真理を追究すべき(実事求是)である」と題する評論員による論評を掲載しました。「実事求是」は毛沢東の言葉ですが、トウ小平氏が改革開放路線を始める時に盛んに用いた言葉です。

 ポイントは以下のとおりです。

○思想が硬直して、迷信が盛んであっては、前進できず、党と国家と民族の生命力を停止させ、党と国家を滅ぼすことになる。

○改革開放は中国における第二次革命であり、思想の解放こそがこの革命の第一声だった。

○思想を大解放しなければダメで、改革による大突破を行うことはできない。全面的な改革の深化を進める途上において、今日の中国においても依然として思想の解放を先導とする必要があり、旧きを守り、欠陥を残し、現状に満足し、歩みを止めてはならない。

○思想を解放するにあたっては、国情から離脱して奇想天外なことをしてはならず、現実を見ないで物事を進める主観的な想像に基づくものであったり、手順を無視して無鉄砲に向こう見ずなことをやってはならない。

○経済の転機、社会の転機に直面し、いろいろな利益主体が利害を追究している現実を直視し、利益の協調のバランスを取るシステムを打ち立てなければならない。

○思想を解放することと事実に基づき真理を追究すること(実事求是)との関係をうまく処理しなければならない。実際の状況を理解しなければ正確な解決策を立てることはできない。いかにして実のある改革策を立案できるのか? 中小企業の融資難の問題を深く理解し、彼らの就業の問題を解決し、中小企業の活力を引き出すためには、思想の解放の中にこそ問題解決の策があるのである。民生向上の難しさを真剣に知り、貧富の格差の拡大を憂慮してこそ、人民の利益を守るための制度をうまく組み立てることができるのである。

 上記の主張は、要するに改革に抵抗する頑迷な守旧派の考え方を打破しなければならないことを主張しているわけです。おそらくは、具体的には金融機関の金利の自由化に反対する勢力などを批判しているものと思われます。

 一方、「思想を解放するにあたっては、国情から離脱して奇想天外なことをしてはならず、現実を見ないで物事を進める主観的な想像に基づくものであったり、手順を無視して無鉄砲に向こう見ずなことをやってはならない。」の部分は、中国の現状を無視して、早急に政治的民主化を求めるようなことをしてはならない、という意味に取ることができ、「思想を解放する」と言っても政治的な民主化を求めることはダメだ、と主張していると理解できます。

 この評論文は、現在の中国共産党中央のスタンスを端的に表現した評論だと言えるでしょう。政治的民主化を求めることについてはクギを刺しているとは言え、「思想を解放しよう」という党中央による呼び掛けは、改革を求める中国の人々にとっては、ひとつの「希望」を与えるものだ、というふうに前向きに捉えられればいいなぁ、と個人的には思っています。

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