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2013年7月17日 (水)

「人民日報」が連日マクロ経済について解説

 一昨日(2013年7月15日)、中国国家統計局は2013年4-6月期の中国のGDP成長率を発表しました。物価上昇分を除いた実質成長率で対前年同期比7.5%増でした。1-3月期は7.7%増で、二期連続して増加率が減少したことになります。先週発表された貿易統計では、6月の中国の貿易は輸出入とも対前年同月比マイナスでした。これらのデータは、中国経済の成長スピードにブレーキが掛かっていることを明確に示しています。

 こういった最近の経済状況に関連して、中国共産党機関紙の「人民日報」は、連日、関連する複数のニュースや解説を掲載しています。

○2013年7月16日付け

(解説)「転換期には陣痛は避けられない(データを読む:年間経済情勢の焦点)」

(報道)「小規模企業に対する金融サービス水準の向上のための諸施策」(馬凱副総理が主催した全国小規模企業金融サービス経験交流テレビ会議の内容を伝えたもの)

※この報道は、経済成長率の鈍化や「影の銀行行為」の取り締まりによって、小規模企業に対する融資が滞ることが予想され、それに対する対策を検討していることを国内に示したかったものと思われます。上記の報道にあるテレビ会議には、中国人民銀行の周小川総裁も参加しています。

○2013年7月17日付け

「当面の中国経済情勢をどう見るか(「マクロ経済情勢をどうみるか」と政策措置)」
(国家発展改革委員会マクロ経済研究院王一鳴常務副院長に対するインタービュー記事)

(「人民日報」評論部による解説)「スピードを上げることだけが発展の全てではない(人民の観点)~経済社会発展を正確に認識することが重要事項の第一である」

※この「解説」においては、「多くの国が中国経済のことを『ハード・ランディング(中国語で「硬着陸」)』するのではないかと憶測し議論している」と指摘した上で、経済成長のスピードが適度に落ちることは、経済成長モデルの転換、経済システムの高度化、体制改革の改善に伴うものだ、として、高いGDPだけを追い求めるべきではない、としています。

(報道)「就業を優先する戦略を実施し、社会保障体系の建設を推進しよう(『中国の特色のある社会主義』及び『中国の夢』宣伝教育シリーズ報告会)」

※この「報道」は、中国共産党中央宣伝部、中央直属の機関や国家機関の委員会、教育部、人民解放軍総政治部、中国共産党北京市委員会が共同開催した「『中国の特色のある社会主義』と『中国の夢』宣伝教育シリーズ報告会」の内容を伝えたもの。こういった会議が報道されることは、経済成長スピードの減速により、失業問題や労働者の社会保障の問題に対する懸念が広がっていることを示していると思われます。また、この会議の中で「公平な就業を実現する」ことが主張されていることから、公平ではない(コネによる)就職が人々の間で問題になっていることが伺えます。

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 こういった多くの報道や解説が「人民日報」上に連日のように掲載されているのは、当面の経済成長スピードの減速に対して党内や中国人民の中に不満や不安があり、また「景気刺激策を採るべきではないのか」といった声が多いことを推測させます。

 「小規模企業への融資を滞らせない」「就業を確保し、社会保障を充実させる」というのは重要な課題ですが、問題は「いかにしてそれを実現するか」です。上記の記事では「具体的にどうするか」が見えてきていません。どういう具体策を講じていくのか、中国政府の苦慮は当面続きそうです。

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