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2013年1月

2013年1月14日 (月)

「新京報」ホームページから「新聞検閲と『中国の夢』」へのリンク

 今日(2013年1月14日)、久し振りに下記の「新京報」のホームページを見てみたら、「熱門網事(ネットにおけるホット・トピック)」の欄にフィナンシャル・タイムズ中国語版に1月8日にアップされた中国語の社説「新聞検閲と『中国の夢』」へのリンクが張ってありました。

 このフィナンシャル・タイムズ中国語版の「新聞検閲と『中国の夢』」には、「南方周末」(日本語表記だと「南方週末」)が掲載しようとしてできなかった社説「中国の夢、憲政の夢」の一部が引用されています。フィナンシャル・タイムズは西側メディアですから、客観的にこの事件を論評してますけど、このページって、中国国内から閲覧できるのかなぁ。もし、中国国内からネットでこのフィナンシャル・タイムズ中国語版の記事が読めるのだとしたら、私の感覚からしたら「とんでもない大進歩」だと思います。

(参考URL1)「新京報」ホームページ
http://www.bjnews.com.cn/

(参考URL2)フィナンシャル・タイムズ中国語版2013年1月8日16:53アップ記事
「新聞検閲と『中国の夢』」
http://www.ftchinese.com/story/001048364

 「グレイト・ファイアーフォール・オブ・チャイナ」(「敏感なサイトを遮断する中国大陸部と外部を隔てるファイアーウォール」)によってこのフィナンシャル・タイムズ中国語版の記事が読めないのだとしたら、ホームページにおいて「読めないサイト」にリンクを張っている「新京報」の「勇気」は、それはそれで「すごい」と思います。

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2013年1月 9日 (水)

「南方周末」の「中国の夢、憲政の夢」の日本語訳

 中国広東省広州の週刊紙「南方周末」(日本語式に表記すれば「南方週末」)の2013年新年号(1月3日号)に掲載予定だった社説が、共産党宣伝部の指導で書き換えられた件については、日本でも報道されています。

 私が北京に駐在していた2007~2009年頃、「南方周末」は1部3元(約45円)で、北京の地元日刊紙「新京報」の1部1元に比べて高い感じでしたが、北京の新聞スタンドでも売っていました。広州で発行された新聞を北京に運賃を掛けて輸送して売っている、ということは、売れてるからでしょう。面白い記事が多かったので、私も愛読していました。私が北京にいた2007年4月~2009年7月の期間やその後の出張時に買った「南方周末」に載った記事には次のようなものがありました。

○対談記事:ロシアの改革に比べて中国は成功したと言えるのか(2008年7月10日号)

○民主法制を提唱し、封建主義に反対する~葉剣英の30年前の講話を再び考える~(2008年10月2日号1面トップ記事)

○「経済のため? 国防のため? それとも中華復興のため?」中国有人宇宙プロジェクトの意義(2008年9月25日号の評論)
※解説:中国の有人宇宙飛行成功に沸く中国国内にあって、冷静に「国際宇宙ステーション計画に参加するのもひとつの選択」と論じた論説

○三鹿(メラミン粉ミルク事件)発覚までの隠された10か月(2009年1月8日号1面トップ記事)
※解説:2008年に発生した河北省石家庄市に本社を置く三鹿乳業のメラミン入り粉ミルク事件は、2007年12月には消費者から疑義が出され、2008年8月2日に三鹿乳業が調査結果を河北省石家庄市政府に報告したものの、北京オリンピック開幕直前だったため、北京オリンピック終了後の9月13日まで公表が延ばされたいきさつについて書かれた記事

○記者会見がどうして一人芝居になってしまうのか(2009年3月19日号の評論)
※解説:地方政府が行う記者会見では、地方政府側が「官製メディア」ばかりを指名して、記者との問答が「用意されたもの」に見えることを批判した評論

○異なる意見に寛容になることこそ、揺れ動く状況を安定させることになる(2010年4月29日号の評論)

 2013年1月3日号に掲載予定だったという社説「中国の夢、憲政の夢」は、書いた記者たちがネットに掲載した、とのことですが、既に当局によって削除されているようです。ただし、次から次へと転載されているので、検索サイトで「南方周末」で検索すると、多くは削除されたものですが、削除されていないものも見ることができます(1月8日夜現在)。転載なので、「本物」かどうかは私には確認できないのですが、複数のサイトに同一文章が載っていたので、「たぶん本物だろう」と思われる文章を私は入手しました。下記にポイントとなる一部分を和訳してみましょう。

 内容は、非常に文学的な(つまり婉曲な)表現になっており、日本で報道されているような「憲政を求める」「民主化を求める」といったストレートな表現にはなっていません。

 例えば、次のような表現になっています。

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「今日では、既に夢をみることができるようになった中国は、既に夢を実現できる時代になっている。憲政が失われていた『文革』の悪夢の時代を経て、我々は三十数年の時間を費やして、徐々に常識的な物の見方、一般的な人情を回復してきている。」

「我々は、ついに厚く積もった歴史の塵の中から顔を上げ、煩わしい日常生活の中から頭を上げ、先輩たちが歩んだ憲政の長い道のりを再び歩み、先輩たちの抱いた偉大な夢を再び温めよう。」

「今日、我々は断じて物質的な豊かさのみを夢見ることに留まってはならず、精神的な豊かさを希望する。我々は、国力の増強のみを夢見ることに留まってはならず、国民が自尊心を持つことを希望する。新しい国民と新しい国を滅亡から救い啓蒙することについては、誰とても誰からも離れては考えられない、誰とても誰をも圧倒することもできない。憲政こそ、これらいっさいの美しい夢の根本なのだ。」

「憲政を実現することによってこそ、権力を限定し、権力を分散させ、国民は大声を出して公権力を批判することができ、各個々人は心の中の信ずるところに従って自由な生活を送ることができ、我々は自由で強大な国家を建設することができるのだ。」

「傑出した者だけが夢を見られるのではない。夢を見る者だけが傑出するのだ。」

「あなたは天から与えられた権利として、夢を見ることができ、その夢を実現することができるのだ!」

「(アヘン戦争から)170年の縷々転々、美しい夢は何と難しいことか。170年後、人は依然として良識の新しい芽が出ることを渇望し、天命がいわんとするところを反芻(はんすう)している。人は依然として、ひとつひとつ落ちてしまった権利を要求し続けており、政治を正しく復活させ、公の正義が自在に流れることを要求している。」

「憲政の夢を実現するためには、当然ながら、世界の経験を吸収しなければならない。即ち、ギリシャの民主主義を考え、ローマの法治主義を検討し、イギリス・アメリカの憲政を借りて、現代の科学技術文明を追わなければならない。しかし、これは、西洋文明が優等生であると言っているのではなく、西洋人には西洋人がたどってきた軌跡があるのだから、我々はこれらのいっさいを直接我々に適用させる必要はない。」

「我々は、我々がいる大地の上に立脚して、各国人民とともに、古きものと新しいものを融合させた新しい生活を見いだし、一種の中国と西洋が融合した新文明を導き出さなければならない。古今東西の激動の中において、人類共通の価値を尊重し、はばかることなく自らの新しい夢を作らなければならない。」

「中国人は、もともと自由人である。であるから、中国の夢は、もとから憲政の夢でなければならない。」

「万物は速く朽ちてしまう。しかし、夢は永遠である。万物は生まれる。なぜなら夢は不滅だからである。夢は生き続ける。もし、あなたが100回失敗しても、101回目にはあなたの心の中にある決して死なない希望が実現されるだろう。」

「ひとつの真実の話は、世界よりも重い。ひとつの夢は、生命から光を発散させるだろう!」

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 上は全文訳ではなく一部のポイントの訳だし、私が持っている中国語の文章も「本物」かどうかの確信はありません。しかも、表現自体がものすごく難解な「文学的表現」なので、誤訳している部分もあるかもしれません。だけど、おそらくは、上の表現からも、書いた人の「熱意」が感じられるのではないかと思います。まぁ、私の感覚から言っても、今の中国共産党宣伝部ならば上の表現を新聞に載せようとすればならば削除するだろうなぁ、という表現だと思いますが、こういった「文学的表現」ですら許されない、という中国の現状を示す意味で、ポイントを紹介してみました。

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