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2010年1月20日 (水)

2-1-2:【コラム:新興宗教に基づく民衆運動に対する評価の変化】

※「中国現代史概説」の目次全体及び参考資料については、下記の2010年1月4日付けの発言を御覧下さい。

「中国現代史概説~中国の新しい動きを理解するために~」目次
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2010/01/post-a953.html

【中国現代史概説】

第2章:辛亥革命から抗日戦争、中国共産党による革命へ

-第1部:日本の大陸への進出から辛亥革命の勃発へ

--第2節:義和団事件

【コラム:新興宗教に基づく民衆運動に対する評価の変化】

 1980年代までは、中国では、清末の太平天国(1851~1864年:キリスト教系)や義和団事件(1900年:白蓮教(仏教の分派)系)における大衆運動は、「民衆の決起による支配階級に対する革命的抵抗運動」として、高く評価されていた。しかし、本稿本節執筆時(2009年)の中国においては、太平天国についてはその過程で内部分裂が繰り返されたこと、義和団運動については一時期清朝政府の側に立っていたこと、などを踏まえて、一方的に高く評価することは行われなくなってきている。最近20年間におけるこのような太平天国や義和団事件に対する評価の変化は、「支配階級打倒のための民衆による抵抗運動は、全て革命的であり善である」といった画一的な歴史観から、歴史はより客観的に見るべきだ、との考え方が強まったことを示すものである。また、現在の中国において「新興宗教」の名において現在の支配体制に反対する勢力(「法輪功」)が存在していることも、太平天国や義和団に対する歴史的評価を冷たいものにしている原因と思われる。

 現在の中国の指導部が「宗教に基づく民衆の支配体制に対する反抗」をいかに嫌っているかは、チベット仏教の僧侶が中心となっている最近のチベット騒乱に対する対応を見ても伺い知ることができる。

 こういうふうに「宗教に基づく民衆運動」を過度に警戒すること自体、中国の支配体制が既に過去の中国の各王朝の末期的の状態に近くなっていることを示しているのではないか、と見る人もいる。人民の不満を吸い上げる政治システムがうまく機能しているのであれば、一部の宗教グループの人々の動きなど気にする必要はないからである。

以上

※次回「2-1-2:【コラム:義和団事件の賠償と清華大学】」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2010/01/post-0245.html
へ続く。

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