« 中国で放送された政策ディベート番組 | トップページ | 6つの「なぜ」 »

2009年4月 5日 (日)

20年目の「四五」天安門前広場にて

 今日(4月5日)、昼間、天安門前広場へ行ってきました。タイトルに「20年目の」と書きましたが、「第一次天安門事件」は1976年4月5日であり、今年は20年目ではありません。20年前の1989年の4月5日の清明節には何も起きませんでした。「こと」が始まったのは4月15日に胡耀邦氏が亡くなったことがきっかけでした。「清明節」(今年は4月4日)なので「清明節」が亡くなった方々への哀悼の気持ちを表す日、ということで、私も行ってみようと思ったのでした。

 今日は、非常に暖かく、適度に風も吹いていてスモッグもなく、北京の空は気持ちよく青く晴れ上がっていました。そうした陽気に誘われてか、いつもより多くの観光客が天安門前広場にはいたように思います。広場の真ん中にある人民英雄記念碑の回りには、普段はいない私服の(背広を着た)警備隊員らしきひとが回りにそれとなく目を配っていました。人民英雄記念碑の脇には武装警察のバスが2台止まっており、中には不測の事態に備えて武装警察官が待機していました。

 しかし、雰囲気は陽気と同じように非常にのどかであり、緊迫感はありませんでした。

 今の天安門前広場は、回りに柵がしてあって、入るときに必ず地下道を通る必要があり、地下道を通る際には手荷物検査や金属探知器による検査があるので、花輪など人民英雄記念碑に何か供えようとしても、持ち込みはできないと思います。それに、今は人民英雄記念碑の周囲30メートルほどのところにも柵があって、それより内側へは立ち入り禁止になっていて、四方を武装警察の衛兵が監視していますので、人民英雄記念碑の下に花輪などを捧げることはできないようになっています。従って、1976年4月5日の「第一次」や1989年4月15日の「第二次」のような「事件」のきっかけになるような人々による気持ちの表現はできないようになっているのです。

 私は人民英雄記念碑の回りをゆっくり回りながら心の中でいろいろなことを考えました。1989年9月頃に北京に来た人の話を聞くと、当時の天安門前広場やその前の長安街の大通りには、まだ戦車のキャタピラが傷つけた跡が見られたそうです。今はそういった「跡」は完全に修復されているので、当時を思い出させるようなものは全くありません。天安門前の毛主席の肖像の真向かいには国旗掲揚のためのポールがあります。20年前の5月末、ここに「張りぼて」の「民主の女神」が持ち込まれ、数日後、無惨にも押し倒されてしまったわけですが、今は国旗掲揚用のポールの回りにも柵がしてあって、数人の衛兵が国旗を守っており、そういった面影を思い出す術はありません。

 おそらく私が心の中で思っていることをプラカードに書いて掲げたり、大声で口に出して話したりすれば、中国の法律に抵触して処罰を受けるのかもしれませんが、心の中で思っていることについてまでは、さすがに中国の法律でも罰することはできません。今年は、6月4日は平日なので、天安門前広場に行くことはできないので、清明節の三連休みの中日の今日4月5日に天安門前広場へ行こうと思ったのでした。広場にはざっと見で1万人くらいの人がいましたが、私と同じような気持ちの人がどれくらいいたのかはわかりません。見た感じでは、普通の日と同じように、ほとんどの人たちは地方から来た観光客のように見えました。今の中国では報道機関への統制やインターネット規制が徹底しているので、20年前のことを知らない人も多いのではないかと思います。

 20年前、中国の明るい未来へ向けて、私自身、期待をしているところがありました。それがあの事件により打ち砕かれ、裏切られ、挫折したのでした。今日、私が天安門前広場へ行ったのは、亡くなった多くの人々に哀悼の意を捧げるのと同時に、打ち砕かれた当時はまだ若かった私自身の気持ちに対して哀悼の気持ちを捧げたかったからです。

 天安門前広場の回りの柵や「人民英雄記念碑」の回りの柵があるのは、人民英雄を慕って数多くの人民が集まることを恐れているからなのでしょうか。人民英雄記念碑のすぐ下のところに人民が入れない、花輪を捧げることもできない、という現在の状況が変わり、1980年代までと同じように人民が人民英雄記念碑の下まで近付いて、中国の未来のために倒れた様々な人々に対する気持ちを率直に表現できる日が早く来ることを私は祈っています。

|

« 中国で放送された政策ディベート番組 | トップページ | 6つの「なぜ」 »

中国の民主化」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 中国で放送された政策ディベート番組 | トップページ | 6つの「なぜ」 »