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2009年3月18日 (水)

中南海の向かいの住宅群の撤去工事開始

 今日(3月18日)付けの北京の新聞「新京報」の記事によると、北京の中心部、天安門前を東西に走る長安街の南側の国家大劇院から中国共産党中央組織部のある交差点の間とに残されていた古い住宅がある地区(対象面積約4万平方メートル、約700戸が住んでいる)の住宅の撤去作業が一昨日(3月16日)から始まった、とのことです。この撤去作業により、また古い北京の胡同(フートン:横町のようなもの)がいくつか消えることになります。

(参考)「新京報」2009年3月18日付け記事
「西長安街の拡張のための撤去作業が開始」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2009/03-18/008@022312.htm

 この場所は、中国共産党本部や共産党幹部の住居のある「中南海」の正面入り口に当たる「新華門」の長安街を挟んでちょうど真向かいのあたるあたりです。北京を東西に貫く大通りである長安街は、天安門から西へ歩くと、南側は、天安門前広場、人民大会堂、国家大劇院と巨大な建造物が続きますが、国家大劇院の西側は、まだ一般の住居が残っており、古い胡同もいくつか残されています。長安街沿いは、もうほとんど近代的なビル群として再開発されてしまっていますが、この一帯だけは開発されないで残っている数少ない貴重な部分でした。しかし、ついにここも取り壊されることになったようです。取り壊しの目的は「長安街の道路拡張と特殊用地にするため」とのことです。「特殊用地」とは何に使うための土地なのか、私は知りません。今年10月1日の中華人民共和国成立60周年の式典の際に、何らかのイベントをやるために使う用地なのかもしれません。

 中国の場合、土地の私有は認められておらず、都市部の土地は全て国有なので、国家が何かに使うために住んでいる人の立ち退きを決めたら、住民に拒否権はありません。一定の合理的な補償金が支払われた上で、住民は立ち退かなければなりません。今回の撤去作業が行われることになった場所は、北京市のど真ん中もど真ん中ですし、目の前の長安街の下には地下鉄も通っているので、場所的には最高の場所です。そのため、「新京報」の記事によれば、補償金も50万元(約700万円)程度と、かなり高い金額が出されるようです。ただ、この一帯は、住宅を売りに出すとすると評価額は1平米あたり25,095元(約35万円)程度する(北京の普通のマンションの価格の2倍以上)そうですから、50万元程度の補償金では、全然足りない、と考えている人もいるようです。しかも、代替地として提供されるのは、北京市内の昌平区東小口、朝陽区常営、海淀区上地といった郊外の土地で、都心に住み慣れた人には相当の不満があるようです。

 撤去予定地の住人たちに対して、どれくらい以前から話がなされていたのかは不明ですが、上記の「新京報」の記事によると、「表向き」の話としては、計画が公示されたのが2月20日、住居の撤去が公告されたのが3月6日で、実際の撤去作業の開始が3月16日ですから、相当に急な話のように見えます。10月1日の国慶節のイベントのために急に決まった話なのかもしれません。移転に合意して、実際に撤去工事が始まったのはまだ一部で、移転に合意していない人もいるようです。

 しかし、ここは場所的には中国共産党本部の真ん前ですから、ここで揉め事が起こったら、中国共産党のメンツに係わると党の幹部は考えるのではないかと思います。だから、住民と揉めないように、あまり無理をすることはないだろうし、必要とあれば補償金の額も上乗せすると思うので、揉め事になることはないと思いますが、もし10月1日の国慶節のイベントに使うため、という理由だとすると、時間的に期限が限られているので、かなり強硬な手段を採る可能性も否定できません。ここは、天安門前広場のすぐ近くですし、観光客や外国人もよく行く場所なので、何か動きがあったら、相当に目立つ場所です。

 今ある国家大劇院も、同じようにもともとあった古い住居の住人にどいてもらって作った建物ですし、この種の住居移転話は北京市内のどこででもやっている話だし、それに、長安街の両脇は全てビル群に変わるのは時代の流れでしょうから、この住宅撤去話自体はそう不自然ではないのですが、私の感覚からすると、何も建国60周年という「敏感な年」にこんな目立つところで揉める可能性のあることをわざわざやらなくてもいいのになぁ、と思います。

 北京オリンピックが終わってしまったので、次は「中華人民共和国建国60周年記念式典」を何が何でも成功裏に終わらせる、というのを「絶対目標」にして、引き締めを図ろうという意図があるのかもしれません。もしそうなのだとしたら、建国60周年は慶祝すべき話だと私も思いますけど、常に「これだけは絶対やるんだ」という「絶対目標」を常に掲げていないとまとめられない社会というは、やはりおかしいと思います。

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