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2009年2月

2009年2月24日 (火)

監獄内の「目隠し鬼ごっこ」で死亡

 ここのところ中国のネットや新聞を賑わせている言葉に「躱猫猫(ドゥォマォマォ)」という言葉があります。「目隠し鬼ごっこ」という意味です。この言葉がなぜネット上等で盛んに使われているかについては、2009年2月21日付けの「新京報」の記事が解説しています(この記事はなぜかネット上からは見ることができません。私は当日の紙面を持っているので、それを見ながらこの記事を書いています)。

 2009年2月21日付け「新京報」A04面に掲載されていた「重点・躱猫猫事件の調査~『躱猫猫』事件について警察は拷問により自供を強要した可能性を否定」と題する記事では、この事件についての詳細な調査結果を掲げています。評論欄に載っていた下記の熊培雲氏の評論はネットで見ることができます。この評論にもことのいきさつが簡単に書いてあります。

(参考1)「新京報」2009年2月21日付け記事
「真相は『目隠し鬼ごっこ』であるはずがない」(シニア評論員・熊培雲)
http://comment.thebeijingnews.com/1108/2009/02-21/008@030230.htm

 これらの記事や評論をもとにいきさつをまとめると以下のとおりです。

---「躱猫猫(目隠し鬼ごっこ)事件」のいきさつ(始まり)---

・雲南省玉渓北城鎮に住む李蕎明という24歳の男性が森林を伐採して木を盗んだ罪で雲南省晋寧県にある監獄に収監されていた。2月8日、看守が李蕎明が監獄内でケガをしていることを発見し、病院に搬送したが、李蕎明は2月12日に死亡した。死因は「頭部に負った重度の損傷」によるものだった。

・警察は、死因に関して、死亡した李蕎明は、負傷する前、同じ監獄内に収監されていた仲間たちと「躱猫猫」(目隠し鬼ごっこ)をやっていて、壁に頭をぶつけて負傷した、と発表した。

・この警察の発表を受けて、ネット上で「そんなはずはない」という意見が沸騰した。

・ネットワーカー及びメディアの代表者は「調査委員会」を結成し、警察に真相の究明を求めた。

・晋寧県公安局の閻国棟副局長の説明によると事件の経緯は以下のとおりである。事件の起きた監房には11人が収監されていた。彼らは2月8日17時50分頃、「目隠し鬼ごっこ」(「新京報」の記事による警察の説明では中国語は「瞎子摸魚」)をしていた。鬼が真っ先に李蕎明を捕まえたことにより、ケンカが始まった。このケンカの最中、李蕎明は鉄格子に頭を強く打ち付けて負傷した。

・警察の説明によると「瞎子摸魚」が誤って「躱猫猫」として伝えられたものである(注:日本語にすればどちらも「目隠し鬼ごっこ」である)。

・普寧県警察の調査に対し、普寧検察院も調査を行ったが、検察院による調査結果も警察による調査と同じであり、李蕎明の死亡に関して、体罰・虐待によって死に至った可能性はないし、看守あるいは警察側に重大な職務怠慢や汚職はなかった。また、李蕎明の死亡に関して疑いを持たれている同じ監獄に収監されていた二人の男は、不法に銃と弾薬を所持していたことが判明し、これら銃と弾薬は既に押収されている。

・「瞎子摸魚」(あるいは「躱猫猫」)という言葉は警察が言い出したのではなく、警察が対外的に説明した際に、李蕎明と同じ監獄に収監されていた男たちがそういう供述をしていた、と述べたものが広がったものである。

---「躱猫猫(目隠し鬼ごっこ)事件」のいきさつ(終わり)---

 この事件は、昨年の6月に貴州省甕安(おうあん)で起きた少女水死事件と比較されてネットで騒ぎになりました。貴州省甕安県の少女水死事件では、夜中に最後まで一緒にいた男友だちが「橋の上で腕立て伏せをしていたら、少女がいきなり川に飛び込んだ」と供述したと警察が説明したことに対し、ネットワーカーが「そんな供述は全く不自然だ。警察の説明は信用できない。」と騒ぎ出したのでした。

(参考2)このブログの2008年7月3日付け記事
「貴州省甕安県の暴動事件の真相」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/07/post_ef2a.html

 今回の事件も「監獄の中で男たちが『目隠し鬼ごっこ』をやって、頭をぶつけて死に至るほどのケガをした」という警察の説明に対して、ネットワーカーたちが「そんなことはあり得ない」と騒ぎ出したものです。

 騒ぎがあまりに大きくなり、新聞記者たちも警察の説明に納得しなかったため、今回はネットワーカーや新聞記者の代表が「調査委員会」を作って、警察に真相究明を求める、という事態にまで発展したのでした。

 昨年の貴州甕安県の「腕立て伏せ事件」といい、今回の雲南省晋寧県の「躱猫猫事件」といい、人々が警察の発表を全く信じていないことが騒ぎのそもそもの伏線です。「新京報」に本件記事が掲載されたのは2月21日ですが、被害者が死亡したのが2月12日ですから、それまでの間は全国ベースでの報道はなされていなかったと思います。ネットワークで騒ぎが大きくなり過ぎ、押さえ付けることが困難になったため、新聞での報道も認めざるを得なくなり、21日になってから新聞にも掲載されるようになったのでしょう。

 ネットワーク上での「炎上」は当局ももはや押さえ切れないことを如実に表す事件だと思います。それと新聞記者たちが「当局側」ではなく、ネットワーカーと一緒になって真相究明のために動いているのが今回の事件の大きな特徴です。当局は新聞に記事を掲載することを差し止めることはできますが、記者の動きを封じ込めるのはなかなか困難です(当局は記者証の発行権限を持っていますので、それにより意にそぐわない記者に記者としての活動をさせないようにすることは可能ですが)。

 ネットワークという道具を手にした以上、一般の人々の「真相を知りたい」という欲求をコントロールすることは、もはや不可能だと思います。この雲南省の躱猫猫事件もそういった中国の最近の動きを示すひとつの典型的な事件だと思います。

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2009年2月12日 (木)

中国中央電視台新社屋敷地内ビル火災組写真

 2月9日に起きた中国中央電視台新社屋建設現場の敷地内にある北配楼と呼ばれる建設中のビルが全焼した火災を、火災発生前から撮影していた一連(40枚)の連続写真が、「人民日報」のホームページ「人民網」に掲載されています。ビルに着火した様子がよくわかります。この写真は、現場の北西側のかなり離れた場所にあるビルの上などの高いところから望遠レンズで撮影したもののようです。

(参考)「人民日報」ホームページ「人民網」2009年2月12日アップ組写真
「中央電視台新社屋ビル火災発火の全過程」
http://pic.people.com.cn/GB/8229/145866/index.html

 最初の頃に掲載されている打ち上げ花火は、延焼したビルの向こう側(即ち西側)で打ち上げられていますが、延焼したビルの西側には第三環状路が通っており、この打ち上げ花火を上げた人たちは、延焼したビルと第三環状路の間の空き地(延焼したビルと第三環状路は100メートル程度しか離れていない)で花火を打ち上げていたことになり、かなり危険な状態で打ち上げ花火を上げていたことがわかると思います。

 こういった花火の打ち上げ方は、木造家屋が多い日本では考えられないことです。少々危険があっても面白いこと、儲かることはどんどんやろう、という考え方に基づくエネルギーが今の急速な中国の中国経済を支えているのですが、そういった気質が現れているようにも思えます。日本の場合は、危険がないように、安全に、無難に、とばかり考えるので、思い切ったことができない、というのが弱点なのかもしれません。でも、大きなことを思い切って決断してやることは苦手だけれども、小さなことをコツコツと着実に積み重ねていくことを得意とする日本のやり方も、それはそれで大事にすべきことなのだと思います。

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2009年2月 9日 (月)

中国中央電視台の新ビルの北隣のビルで火災

 今日(2月9日)、北京時間21時過ぎ、東第三環状路脇にある斜めになった四角柱を二つくっつけたような奇抜な形をした中国中央電視台の新しいビルのすぐ北隣のビルで火災が発生し、大きな炎を上げて燃えています。私の理解では、まだ建設中のビルのはずです。第三環状路のすぐそばにあるため、現在、東第三環状路には交通規制が敷かれています。

 本件については、既に新華社通信が写真入りの記事をホームページに掲げています。

(参考)「新華社」ホームページ2009年2月9日22:14アップ記事
「北京市の京広橋付近の中央電視台の新しいビルの北隣のビルで火災が発生」
http://news.xinhuanet.com/photo/2009-02/09/content_10790495.htm

 今日(2月9日)は、旧暦の1月15日で、今日の24時で爆竹や花火は禁止になるので、あちこちで花火が上がったり、爆竹が鳴ったりしています。こういった花火や爆竹の火が引火して火事になったのかもしれませんが、詳細はまだわかりません。鉄筋コンクリート造りのビルがこれだけ燃えるものなのか、というほど炎を上げて燃えています。けが人がいるのかどうか、などについては、まだわかりません。人的被害のないことを祈りたいと思います。

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2009年2月 3日 (火)

温家宝総理に対する靴投げ事件

 ヨーロッパ各国を訪問中の温家宝総理が、2月2日、イギリスのケンブリッジ大学において講演を行いました。講演の最中、一人の男が「どうして皆さんは彼が言っているウソを聞くことができるんですか」などと叫んで温家宝総理に靴を投げつけたとのことです。靴は温家宝総理のところまで届かず、男はすぐに警備担当者に取り押さえられた、とのことです。

 私は見ていませんでしたが、このケンブリッジ大学での温家宝総理の講演は、中国中央テレビでも生中継をしていたそうです。で、中国のメディアがこの「事件」をどう扱うのか、と思って今朝からテレビやネットでの報道振りを注目していました。

 今朝(2月3日朝)の中国中央テレビの朝のニュース「朝聞天下」では、温家宝総理の通常の講演の部分を映像で伝えた後、アナウンサーが以下のような新華社の報道を読み上げました。

「温家宝総理の講演をある人が妨害したことについて記者が質問した時、外交部報道官は、中国側が強い不満を表明したこと、イギリス側が中国側に深く陳謝し妨害者は法に基づき適切にされると表明したこと、このような行為は人々の共感を得ることができないし中英両国の友好関係の潮流を妨害することもできないことは事実が証明している、と述べた。」

(参考1)「新華社」ホームページ2009年2月3日09:09アップ記事
「中国側は温家宝総理のイギリスでの公演現場で発生した妨害事件に強烈な不満の意を表した」
http://news.xinhuanet.com/world/2009-02/03/content_10754580.htm

 この朝のニュースでは、妨害者が講演を妨害した瞬間の映像は流しませんでした。

 中国のメディアはだいたいこのトーンで淡々と事実を述べるだけの簡単な報道をするのかなぁ、と思っていたのですが、夜7時からの中央電視台のニュース「新聞聯播」では、私の予想に反して、このニュースにかなりの時間を掛けて伝えていました。

 まず、温家宝総理がケンブリッジ大学で講演した、という形通りの報道をした後、妨害行為があったことを伝えました。そして、その瞬間の映像をそのまま流しました。温家宝総理が講演している途中で、誰かが英語で何か言っているのが聞こえ、温家宝総理がその声の方を見て演説を止めました。ややあって、画面に警備担当者が出てくるのが見え、しばらく間がありました。その間、カメラは温家宝総理を撮したままでした。しばらくして、妨害者が場外に出された後、温家総理は、落ち着いて講演を再開しました。再開の最初に、温家宝総理が「たとえこのような妨害行為があろうとも、中英人民の友好関係にいささかの影響も与えることはできない」と述べると、会場に集まった人々から大きな拍手が起きました。

 その後、靴を投げた男が警備員に連れ去られる様子が再び画面で放映されました。

 つづいて、中国外務省が強い不満を表明したこと、イギリス側が中国側に対して深く陳謝すると述べたことが伝えられました(これは上記新華社の報道と同じ)。

 さらに、テレビ画面で、ケンブリッジ大学のホームページの中の温家宝総理の講演を伝えるページが紹介されました。そこの中でアリソン・リチャード学長が言った下記の部分の英語の文章に中央電視台は赤いアンダーラインを加えて、ケンブリッジ大学の副学長がホームページでこう述べている、と強調していました。

「私は、ある一人の聴衆が今日の午後我々のスピーカーに敬意を表すること(それはケンブリッジの慣習である)ができなかったことを大変残念に思う(I deeply regret)。この大学は、熟慮された討論と議論をする場所であって、靴を投げる場所ではない。」

(参考2)ケンブリッジ大学ホームページ2009年2月2日アップ
「温家宝総理がケンブリッジで講演」
http://www.admin.cam.ac.uk/news/dp/2009020203

 リチャード学長の言葉は、聞きようによっては、相当にイギリス風の機知に飛んだユーモアを含むコメントだと思いますが、それを赤いアンダーライン付きでわざわざ紹介した中央電視台も中国のテレビとしてはかなり画期的な反応だったと思います。ヘタをすると去年のオリンピック聖火リレーの時と同じように反イギリス感情が若い人たちの間で高まったと思いますが、中央電視台の7時のニュースがこれだけ長々と実情を報道し、イギリス側も「deeply regret」と言っている、と強調すれば、今回の件ではそんなに大きな騒ぎにはならないでしょう。

 中央電視台のニュースでは、投げられた「靴」の映像は出しませんでしたが、それも若い人たちを刺激したくない、という意志の表れでしょう。

 私としては、今回の騒ぎはそんなに「大きな話」だとは思わないし、中国のメディアは無視するか、「中国外務省は抗議した。イギリス側は陳謝した。」といった事実を淡々と伝えるだけで終わると思っていただけに、夜7時のニュース「新聞聯播」での大きな扱いにむしろびっくりしました。どういう報道の仕方をしたら騒ぎにならないで収められるのかについて、中国のメディア関係者も相当に「学習」してきたのだと思います。

 昨年のチベット争乱やオリンピック聖火リレーの際の外国テレビに対する検閲ブラックアウト措置については、CNNに出ていたあるアメリカのメディア対応専門家は「都合の悪いことはカットして伝えない、というのは、メディア戦略としては最も下手なやり方だ」と批判していました。チベット争乱、聖火リレー妨害、四川大地震、北京オリンピックなどを通じて、中国のメディア関係者のメディア戦略もだいぶ進歩してきたのではないかと思います。

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2009年2月 1日 (日)

中国で各地で鳥インフルエンザにより死者

(御注意)以下の文章は2009年2月1日16:00(北京時間)時点で書いたものであり、中国における鳥インフルエンザに関する情報については、例えば、在北京日本大使館のホームページなどで、常に最新のものを確認するようにしてください。

(参考)在中国日本大使館ホームページ
http://www.cn.emb-japan.go.jp/index_j.htm

 今年(2009年)に入ってから、中国の各地で鳥から人への感染と思われる鳥インフルエンザによって患者が数多く発生しており、死者も出ています。在北京日本大使館のホームページ上の情報、その他の報道された情報をまとめると現時点での状況は以下のとおりです。

(事例1)河北省で生きた鳥を買って自分で加工した北京市朝陽区在住の19歳の女性が2008年12月24日に発病、2009年1月5日に死亡。同日、患者のサンプルから鳥インフルエンザウイルス(H5N1)陽性を確認。密接接触者に対する医学観察が行われたが、異常は発見されなかったため、1月12日に密接接触者に対する医学観察を全て解除。

(事例2)山西省呂梁市孝義市在住の2歳の女児が1月7日に湖南省で発病し11日に祖父母とともに山西省に移動。14日に病状が悪化し入院。女児は一時重体。17日に患者のサンプルから鳥インフルエンザウイルス(H5N1)陽性を確認。密接接触者に対する医学観察が行われたが、異常は発見されなかったため、1月24日に感染者との密接接触者に対する医学観察を全て解除。この女児はその後危篤状態を脱して病状は安定。
※この案件については、在中国日本大使館のホームページでは「山西省における事例」と表現しています。
※※1月20日北京発の時事通信が第一財経日報が報じているところとして報じているところによれば、この女児の母親が1月上旬肺炎で死亡したが、この母親が鳥インフルエンザに感染していたかどうかは確認できなかった、とのことです。

(事例3)山東省済南市在住の27歳の女性が1月5日に発病し17日に死亡。18日、患者のサンプルから鳥インフルエンザウイルス(H5N1)陽性を確認。密接接触者に対する医学観察が行われたが、異常は発見されなかったため、1月24日に感染者との密接接触者に対する医学観察を全て解除。

(事例4)貴州省黔東南州在住の16歳の男性が1月8日に発病。16日に湖南省懐化市に移動して入院。患者は20日に死亡。19日、患者のサンプルから鳥インフルエンザウイルス(H5N1)陽性を確認。密接接触者に対する医学観察が行われたが、異常は発見されなかったため、1月24日に感染者との密接接触者に対する医学観察を全て解除。疫学調査によれば患者は発病前に死んだ家禽との接触歴がある。
※この案件については、在中国日本大使館のホームページでは「湖南省における事例」と表現しています。

(事例5)新彊ウィグル自治区ウルムチ市トウ屯河区在住の31歳の女性が1月10日に発病し、23日死亡した。24日、患者のサンプルから鳥インフルエンザウイルス(H5N1)陽性を確認。疫学調査によれば患者は発病前に家禽市場との接触歴がある。

(事例6)貴州省貴陽市雲岩区在住の29歳の男性が1月15日に発病、病状は重篤。1月25日、患者のサンプルから鳥インフルエンザウイルス(H5N1)陽性を確認。疫学調査によれば患者は発病前に家禽市場で鳥との接触歴がある。

(事例7)広西チュワン族自治区北流市在住の18歳の男性が1月19日に発病し、26日に死亡。同日、患者のサンプルから鳥インフルエンザウイルス(H5N1)陽性を確認。疫学調査によれば患者は発病前に死んだ家禽との接触歴がある。

(事例8)湖南省ジョ浦県(「ジョ」はさんずいに「叙」)在住の21歳の女性が1月23日に発病。26日にジョ浦県の病院に入院、29日には長沙市の病院に転院。現在、患者の病状は基本的に安定。1月30日、患者のサンプルから鳥インフルエンザウイルス(H5N1)陽性を確認。疫学調査によれば患者は発病前に死んだ家禽との接触歴がある。
※在北京日本大使館のホームページ上では「湖南省での二例目の事例」と表現。上記の「事例4」とは感染場所が別。

 上の文中に書いてあるように「事例1」~「事例4」は、発見された感染例以外への感染のないことが確認されているため、密接接触者に対する医療観察は既に解除されています。上記の事例の多くで鳥との接触歴があることがわかっており、これらの事例は今のところ鳥から人への感染によるものと思われ、人から人への感染を疑わせるような事例は、今のところ出ていません。現在確認されている毒性の強い鳥インフルエンザ・ウィルスは、鳥から人へ感染することはあっても、基本的に人から人へは感染することはありません。ただし、ウィルスの突然変異により鳥インフルエンザ・ウィルスが人から人へ感染しやすい性質を獲得する可能性は常に存在します。このため、人から人への感染が起こっていないかどうか、医学観察が行われるのです

 毒性の強い鳥インフルエンザ・ウィルスが突然変異により人から人へ感染する性質を獲得した場合、そのウィルスは「新型インフルエンザ・ウィルス」と呼ばれます。「新型インフルエンザ・ウィルス」は、未知のウィルスであるため、誰も免疫を持っていないので、もし人から人への感染が始まった場合には、爆発的に流行する可能性があります(爆発的な流行を「パンデミック」と言います)。

 1月26日は春節(旧正月)元旦だったので、お祝いに家禽類を絞めて料理した人が多かったことが、鳥から人への感染例が多くなった理由である可能性があります。鳥から人への感染例(及びその結果患者が死亡した例)は、今までもインドネシアなど各国で事例があり、中国各地でもこれまでも散発的に報告されてきました。しかし、これだけまとまった数の感染例が報告されたのは中国では初めてです。昨年の春節時には、このようなまとまった数の感染例の報告はありませんでした。

 本当に発生事例が増えたのか、昨年は発生はしていたけれどもオリンピック前だったので公表されなかったのか、そのあたりは定かではありません。ただ、中国の少なくとも中央政府は、SARSの時の痛い経験があるので、事例が発生したら迅速に公表するとともに、WHO(世界保健機関)への通報などを行うようにしています。今年、これだけ多くの事例が報道されているということは、むしろ地方政府も含めて鳥インフルエンザに対する関心が高まり、透明性が高まったことの表れなのかもしれません。(ただし、上記の事例を見てもわかるように、病状が重篤にならないと病院に掛からない例もみられる(中国では医療保険制度が整備されておらず、貧しい人はなかなか病院に行こうとしない)のが心配です)。

 いずれにせよ、春節の連休は昨日(1月31日)で終わりなので、これから春節後の「Uターン・ラッシュ」による人の移動がまた大規模に始まります(すでに「Uターン・ラッシュ」は始まっている)。春節後の人の移動が落ち着くまで、これから数週間は要注意の状態が続きます。

 中国在住の方、またはこれから中国を訪問される御予定の方は、上の方に書いた在中国日本大使館のホームページ等で現状と注意事項をよく御覧になることをお勧め致します。

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