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2008年11月30日 (日)

どうする中国の司法制度改革

 11月28日、中国共産党政治局の会議及び中国共産党と党外有力者との座談会において、司法体制改革のあり方についての議論が行われました。私は具体的な中身は不勉強でよくわからないのですが、人民の要求と経済社会の発展に合わせた司法制度改革を行うようにとの議論が行われたのだそうです。

 党外有力者との座談会において党中央政治局常務委員(序列4位)で政治協商会議主席の賈慶林氏は、次のように述べたとのことです。

「改革は、絶対に中国の特色のある社会主義政治の発展の路線を踏み外すものであってはならず、党の指導を堅持し、人民の問題を処理することを主とすることと法により国を治めることを統一したものにしなければならない。人類の法治文明の優秀な成果を用いることが必要だが、絶対に西側の政治制度や司法制度のモデルをそのまま持ち込んだりしてはならない。」

(参考1)「人民日報」2008年11月29日付け記事
「中国共産党中央が党外有力者との座談会を開催」
~司法体制改革の進め方について意見を聴取~
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-11/29/content_148049.htm

 私は社会主義というのは、基本的に経済に関する制度であり、かつ司法は政治から独立しなければならないと思っているので、司法体制の改革についてなぜ「社会主義政治の発展の路線を踏み外すものであってはならない」とか「党の指導を堅持しなくてはならない」のかを理解することができません。また、なぜ西側の政治制度や司法制度のモデルをそのまま持ち込んではならいないのか、の理由もわかりません。要するに司法は中国共産党と独立した判断をしてはならない、ということを言いたいのかなぁ、と想像しています。(それが「改革」の名に値するのかどうか、私にはわかりません)。

 一方、先日の「新京報」では、北京の弁護士協会の幹部選定についての記事を載せています。中国では、法律によって、弁護士はそれぞれの地区の弁護士協会に所属しなければならないことになっているのですが、北京の弁護士協会は、会費が高い割にその会費に見合ったサービスを提供していない、と不満に思っている所属弁護士がいるのだそうです。

(参考2)「新京報」2008年11月25日付け記事
「北京司法局、弁護士協会幹部の選定に直接選挙を用いるのは状況がまだ成熟していないとの考えを示す」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2008/11-25/008@021141.htm

 この記事によると、ある弁護士が北京の4人の弁護士と山東省のある刑事事件について処理している最中、そのうちの3人が現地の警察に違法に拘禁されてしまったため、北京の弁護士協会に電話で助けを求めたけれども何もしてくれなかったのだそうです。記者が北京弁護士協会に取材したところ、北京弁護士協会の担当者は、北京弁護士協会の管轄地域は北京市内であり、問題となっている弁護士が北京に帰ってくれば対処することは可能だ、と説明したのだそうです(助けを求めている弁護士は山東省の警察に拘禁されてしまっているのですから、この北京弁護士協会の説明では、所属弁護士が不満を持つのも無理はないと思います)。

 こういった不満があるので、一部の弁護士が、弁護士協会の幹部を所属弁護士の直接選挙で選ぶべきだ、という主張をし始めたのですが、北京弁護士協会の所管機関である北京司法局の董春江副局長は次のように述べている、とのことです。

「直接選挙を行うためには弁護士業界をまとめるシステムが成熟している必要がある。個々の弁護士が持っている情報が不均一であり、相互理解が不十分であるので、直接選挙を行うことによって最終的結果が全ての弁護士の満足を得られることになるとは限らない。」

 中国の国内制度について外国人がとやかくいうのは差し控えるべきだと思いますが、弁護士協会に所属する弁護士が自分たちの協会の幹部を自分たち自身による選挙で選ぶことができない、というような状況で、「司法制度改革」などというものを本当にできるのだろうか、というのが私の率直な感想です(それよりも、中国の弁護士には非常に優秀な人たちが多いので、「上の方」がこういった態度を取り続けていると、弁護士たちは法的に認められている最大限のやり方で、自分たちの主張をするようになるのではないか、と想像しています)。

(以下、2008年11月30日夕方追記)

 上記の書き出しで「11月28日、中国共産党政治局の会議及び中国共産党と党外有力者との座談会において、司法体制改革のあり方についての議論が行われました。」と書きましたが、「人民日報」の記事をよく見ると、党外有力者との座談会は「先日行われた」とのことで、政治局の会議と同じ日に行われたわけではないので、訂正します。「党外有力者との座談会」を主宰した賈慶林氏は現在外国訪問中なので「おかしいな」と思って確認したら、「人民日報」の記事は前日の会議についての記事ではなかったのです。「人民日報」は、一応「新聞」なんですけど、随分前の「旧聞」を載せることもあるので、要注意なのでした。

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