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2008年9月16日 (火)

有害物質入り粉ミルクで乳児に腎臓結石

 日本でも報道されていますが、中国の河北省石家庄にある三鹿集団有限公司が製造した粉ミルクに有害物質のメラミンが含まれており、この粉ミルクを飲んだ多数の乳児が腎臓結石になり、一部は死亡した例も出ていることがこのほど明らかになりました。メラミンの化学的性質は私もよく知らないのですが、メラミンは食品に入れると分量が増えるが、タンパク質と同じ窒素有機化合物なので、タンパク質含有量検査ではタンパク質として判定されることがあり、過去にも食品の「水増し」に使われて問題になったことがあったそうです。メラミンを含んだ食品を食べると、体内で化学反応が起き、腎臓結石が生じることがあるのだそうです。昨年、メラミンが含まれているペットフードが中国からアメリカ等に輸出されて、多くの犬や猫が死ぬ事件がありました。

 今日(9月16日)付けの北京の新聞「新京報」の記事によると、昨日(9月15日)衛生部が発表したところによると、昨日午前8時の時点で、この会社の粉ミルクを飲んだことにより病院で検診を受けた乳児は1万人近くに上り、腎臓結石と診断された乳児は1,253名、そのうち53名は重症で、今までに2名が死亡している、とのことです。

(参考1)「新京報」2008年9月16日付け記事
「全国の診察により『三鹿による結石の赤ちゃん』は1,253名に上った」
http://www.thebeijingnews.com/news/guonei/2008/09-16/008@021544.htm

 今日の「新京報」の1面トップは、昨日の記者会見で頭を下げる三鹿有限公司の幹部の写真が載っていました。

(参考2)「新京報」2008年9月16日付け1面トップ写真の記事
「三鹿集団が消費者に対して謝罪」
http://www.thebeijingnews.com/news/guonei/2008/09-16/008@021535.htm

 こういった事件の記者会見で会社の幹部が深々と頭を下げて謝罪するのは、日本では見飽きるほど見ていますが、中国では、こういったふうに「日本式」に頭を下げて謝罪するというのは今までなかったことです(少なくともこうした写真は私は初めて見ました)。こういった「異例の謝罪」があったのも、この有害物質粉ミルク事件が中国社会に大きな衝撃を与え、社会的に大きな反響を呼んでいる証拠だと思います。

 さらに今日(9月16日)夜7時から中国中央電視台で放送されたニュース「新聞聯播」では、このメラミン入り粉ミルク事件に関する最新情報を伝えた際に、アナウンサーが「たった今入ってきた情報です」と言った後、国家品質監督検査検疫総局が行った全国調査の結果、ほかの多数の会社のメーカーの粉ミルクからもメラミンが検出された、として、製品名と企業名のリストを放送しました。メラミンが検出されたのは三鹿集団も含めて22社、とのことです。おそらくこのニュースが「突っ込み」で入ってきたために、通常は7時30分で終わる「新聞聯播」が、今日は7時35分まで延長して放送していました。

 中央電視台の「新聞聯播」は、放送後1時間くらいすると、その放送内容がネット上にアップされてネット上でも見られるようになっています。今日放送の分を見ると、今までのところの調査では109社の491品目について調査を行い、その結果、今回問題となった三鹿集団の製品も含めて、22社、69品目の製品からメラミンが検出された、とのことです。22社のリストは下記の中央電視台「新聞聯播」のページに載っています。

(参考3)中国中央電視台「新聞聯播」2008年9月16日放送分
「中国国家品質監督検査検疫総局、乳児用粉ミルクにメラミンが含まれているかどうかについての検査の現段階での検査結果を発表」
http://news.cctv.com/xwlb/20080916/107382.shtml

 これだけ多くのメーカーの粉ミルクに有毒物質メラミンが含まれていた、ということは、今後、中国の国内における食品安全に関する大問題に発展する可能性があります。輸出されたペットフードの事件や日本のメタミドホス(農薬)入りギョーザ事件の場合には、中国の人々の中には「また外国が中国の悪口を言っている」というふうに捉えた人も多かったと思いますが、今回の粉ミルク事件は自分たちの問題として、真剣に取り組む(取り組まざるを得ない)と思います。有害物質入り粉ミルクが販売され、乳児に犠牲者が出る事件は過去にもありましたので、今回の事件は、有害物質入り粉ミルクを製造したメーカーが批判されるのは当然として、その上に、それを防げなかった政府に対する批判も高まるのではないかと思います。

 たまたま9月16日は、アメリカの金融大手リーマン・ブラザーズの経営破綻で、世界同時株安現象がおき、中国でも上海総合指数が終値で2000ポイントの大台を割り込んだ(昨年(2007年)10月の最高値6000ポイントの3分の1以下になった)、という別の大きな経済ニュースもありました。この世界同時株安は、中国に原因があるわけではなく、中国も一種の「被害者」なのですが、それと有害物質入り粉ミルク事件が重なって起こったことは、タイミング的に中国にとっては不運なことだと思います。

 ちょうど明日、北京パラリンピックが終わり、北京はオリンピックから続いていた「お祭り」の期間が終わって、現実の世界へ引き戻されることになります。アメリカの金融危機も大きな問題であり、アメリカにしっかり対応して欲しいと思いますが、いろいろな問題が悪い方向に重ならないように、粉ミルク事件のように中国国内で対処できる問題については、中国の関係当局には適切に対応して欲しいと思います。

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