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2008年9月10日 (水)

鉱山の違法操業が原因で土石流:34名が死亡

 既に日本でも報道されていますが、9月8日、山西省臨汾市襄汾県で、大雨により土石流が発生して、大きな被害が出ました。9月9日の時点では34人の死亡が確認されています。この土石流について、9月9日、新華社は、初動調査によれば、この土石流は、違法に操業していた鉱山で蓄積していた鉱滓(こうさい)堆積場の土砂が大雨によって土石流となって一気に人々のいる地域に押し寄せたことが原因だった、と伝えています。

(参考1)「新華社」山西省ニュースのページ2008年9月9日11:30アップ記事
「山西省襄汾県土石流事故、違法な事業主による違法な生産が原因だったことが判明」
http://www.sx.xinhuanet.com/jrtt/2008-09/09/content_14353261.htm

 なお多くの人が行方不明になっている、とのことで、犠牲者の数は今後の捜索で多くなる可能性があります。9月9日夜7:00から放送された中国中央電視台のニュース「新聞聯播」の報道によれば、ダム状に作られていた幅120m、奥行き100m、高さ15mの鉱滓堆積場に大雨によって土砂が溜まり、それが一気に決壊して発生した土石流が下流にあった農場や民家を襲ったとのことです。現在、行方不明者の捜索が行われるとともに、鉱山主を始め関係者が当局に拘束されて、その責任追求のための調査が行われているとのことです。

(参考2)「中央電視台(CCTV)」ニュースのページ
「新聞聯播」2008年9月9日放送分
「山西省襄汾県の新塔鉱業有限公司の鉱滓堆積上の崩壊事故で34名が死亡」
http://news.cctv.com/xwlb/20080909/109385.shtml

※「視頻」のボタンを押すと通信状態がよければ動画が再生できます。

 山西省臨汾市と言えば、昨年6月、こども1000人以上を含む多くの人々を奴隷のように強制労働させていた悪徳レンガ工場の事件が発覚し、中国全土にショックを与えたところです。

(参考3)このブログの2007年6月15日付け記事
「山西省の悪徳レンガ工場での強制労働事件」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/post_54d1.html

 去年の悪徳レンガ工場事件は臨汾市の中の洪洞県、今回の土石流事件は臨汾市の中の襄汾県(中国の「県」は「市」より小さな行政単位)ですので、場所は別の場所ですし、これら2つの事件は全く関連性はありませんが、同じ山西省の臨汾市の中でこういった事件・事故が続くと、この地方では、工場や鉱山の違法な操業が広く行われているのではないか(別の言い方をすると、行政当局が取り締まっていないのではないか)と思いたくなってしまいます。去年の悪徳レンガ工場事件は、中央でもかなり問題にされたので、この地方でも工場などの違法操業の取り締まりは厳しくなっていたはずなのですが、今回、土石流の原因を作った鉱山のような違法操業は見逃されてきたようです。

 中国の炭坑では、事故で年間4,000人近くの労働者が亡くなっていますが、その多くは違法操業している炭坑で起きた事故によるものです。

 国家安全生産監督管理総局・国家炭坑安全観察局のホームページの「事故リスト」を見ると過去の炭坑や炭坑以外の労働災害事故の一覧を見ることができますが、その中にも違法なもの(中国語では「非法」などと表記します)が数多く出てきます。

(参考4)国家安全生産監督管理総局・国家炭坑安全観察局のホームページ
「事故検索」のページ
http://media.chinasafety.gov.cn:8090/iSystem/shigumain.jsp

 少しでも安く、少しでも多くの量を生産しよう、という方針の下、働く労働者に対する安全管理の部分で「手抜き」を行っている違法な工場や鉱山、炭坑が中国にはまだまだ多いのだと思われます。多くの場合、そういった違法行為を取り締まる側の地方政府と工場や鉱山、炭坑を経営する会社側とが結託していて、違法行為を見逃している、というケースが多いと言われています。

 中国の製品はコストが安い、そのために中国製品は国際マーケットでよく売れる、と言われますが、その背景には、こういった労働者に対する安全対策や環境汚染対策にコストを掛けないので安くできている(中国側に立った言い方をすれば、国際競争に勝ち残るためには、安全対策や環境対策に対するコストを削減せざるを得ない)という状況があります。中国が世界をリードする責任ある国になっていくためには、こういった労働者や地元住民の犠牲の上に立脚した「国際競争力の強さ」から脱却していかなければならないと思います。

 一方、日本などの先進国は「国際分業」の名の下に労働者に対するリスクが高かったり、環境負荷の大きかったりする分野からは手を引き、それらを中国等の諸国がやるようになってきている、という事情も考える必要があります。低価格だけが優先されるような経済構造は、低コストで労働者の安全リスクや環境負荷を引き受けてくれるところに負担を掛けることで成り立ってしまうことになります。もし、今後、中国が労働者の安全環境保護やにコストを掛けるようになったら、そういった分野は今度は中国以外の環境リスクや労働安全リスクを低コストで引き受けてくれる別の国で行われることになるのでしょう。

 中国国内における違法操業の問題は、まずは中国自身が自分で解決する必要がありますが、長期的には、弱い者にしわ寄せが行かないような形の経済構造を世界的に構築していく必要があると思います。

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