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2008年7月 9日 (水)

やっぱり生放送じゃなかった「生放送」

 7月9日付けの北京の大衆紙「新京報」によると、中国中央電視台(中国中央テレビ局)では、オリンピックの生中継においては、これまで30秒遅れで放送していた「現場直播」を国際映像と同様に本当の「生放送」で放送することにした、とのことです。

(参考)「新京報」2008年7月9日付け記事
「中央電視台、オリンピックの生中継時に初めて時間遅れのない放送を実施」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/07-09/018@081345.htm

 この記事によると、中国中央電視台では、今まで生中継(中国語で「現場直播」)で何かのイベントを中継する場合は、「放送における安全を保証するため」、30秒間の技術的な遅れを入れていた、とのことです。つまり視聴者は、イベントをリアルタイムで見ているのではなく、30秒前のイベントを見ていた、というわけです。それをオリンピックの生中継からは、この30秒の「技術的な遅れ」を入れずに、国際映像信号と同時のタイミングで放送することにした、とのことです。

 前にも書いたことがありますが、衛星を使ったNHKの国際放送ワールドプレミアムは、ニュースなどは総合テレビやBS-2で放送しているものと同じものを流しているのですが、タイミングは総合テレビ等から20秒~30秒遅れて放送されています。このタイミングのズレを利用して、当局が「不適切な画像」のカットの操作をやっているのです。3月~4月頃にチベット騒乱が起きたり、各国で聖火リレーに対する妨害活動があった時には、この「30秒遅れ」を利用して、NHKでも何回も検閲カット(ブラックアウト)をやられました。中国の国内放送でも、3月の聖火点火式では30秒遅れで放送しており、人権活動家が妨害活動をした場面は、中国国内での放送では別のアングルのカメラに切り替えたために、人権活動家の映像は放送されなかったと聞いています。

 上記の「新京報」の記事を見ると、今回の聖火リレー関連の中継だけではなく、中国では基本的に全てのイベントの生中継は全て30秒遅れで放送され、本当の「生中継」はされていなかったのですね。そういったことを堂々と発表するようになった、というだけで大進歩だと思うべきなのでしょうか。

 私は前から中国のテレビのニュース番組は生放送ではないのではないか、と疑っています(アナウンサーが突然「不適切な発言」をした時に適切に対処するためです)。イベントの生中継が「生中継」ではなかった、というところから見ると、案外、私の「疑い」も間違いではないかもしれません。

 なお、前にも書いたことがありますが、「30秒遅れがなくなった」ということをいいことに、外国人がオリンピックの観戦にかこつけて、政治的なスローガンをテレビカメラに撮させようというような試みは、中国ではやらないで欲しいと思います。中国は政治的なスローガンを許可なく公の場で掲げることは、それだけで「違法」です。オリンピックというスポーツの場で、違法な行為はして欲しくないからです。また、そういう法律があることを承知で中国に入国した外国人は、中国の法律を尊重するのが国際法上の義務だからです(政治スローガンを掲げることを「違法」にする法律自体がおかしいのだ、というのは、また別の議論です)。

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