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2008年7月12日 (土)

軍隊が警備するオリンピック

 日本でも報道されているので皆様御存じだと思いますが、北京オリンピックのテロ警戒等に対しては、人民解放軍の陸海空軍が前面に出て、万全の体制で警備するとのことです。オリンピック・スタジアムの周辺には地対空ミサイルが配置され、海での競技が行われれる場所の周辺では海軍の艦艇が警戒に当たるほか海中にもフロッグ・マンを配置して警戒に当たるとのことです。

 下記の「新京報」の記事では配備されている地対空ミサイルの写真も載っています。オリンピックの安全を確保するために軍隊が警戒に当たるのは国際慣例だ、という説明が付いています。

(参考1)「新京報」2008年7月11日付け記事
「オリンピック競技場にはNBCテロ監視設備も配置」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/07-11/018@072718.htm

 上記記事では、NBCテロ(核・生物・化学テロ)に対策もちゃんと整っている、といったことが書かれています。

 一方、オリンピックを安全にスムーズに実施するために、以下のような対策が講じられるとのことです。

○車のナンバープレート偶数・奇数による交通制限を実施(下記(参考2)参照)。

(参考2)このブログの2008年6月20日付け記事
「オリンピック期間前後の北京の交通規制」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/06/post_22aa.html

○北京に入ってくる長距離バスの乗客は北京に入るときに身分証明書で身分を確認される(7月20日以降)。

○北京空港においては出迎え・見送りのために空港建屋に入る人に対しても保安検査が行われる。従って、乗客は飛行機に乗るまでに2回保安検査を受けなければならない(7月20日以降)。

○オリンピックの開会式が行われる8月8日は夜19時~24時の間、北京首都空港の全ての発着陸が停止される。

○地下鉄に乗る乗客に対して、持ち物等をX線検査装置に通すなどの保安検査を実施する(7月1日から既に実施開始)。

○全国17の主要な空港とチベット自治区、新疆ウィグル自治区の全ての飛行場において特別な安全検査を実施する(7月20日以降)(安全検査のために乗り遅れないように乗客には早めに空港へ来るように呼び掛けが行われている)。

○オリンピックのための交通の妨害とならないようにするため、軽微な交通事故の場合は、そこに車を止めないで、直ちに現場を離れるよう呼びかけられている。

○北京市内の病院に対して、オリンピック期間中は、テロ等の不測の事態が生じて緊急に輸血用血液が必要になることを想定して、不要不急の手術は行わないよう要請がなされている。

○オリンピック期間中、テロ事件、国内外の不法組織による破壊活動、オリンピック関係者及び外国人に対する傷害事件、多数の死傷者が出るような重大事故や重大な刑事事件について公安当局に通報した市民については、最高50万元(約450万円)の賞金を出すことにしている(下記(参考3)の「新京報」の記事参照)。

(参考3)「新京報」2008年7月12日付け記事
「オリンピック妨害活動を通報した人には最高50万元の賞金」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/07-12/011@025528.htm

 とにかく「オリンピックを安全にスムーズにやるために考えられる全てのことをやる」という感じです。一生懸命に「オリンピックを成功させたい」と思っている気持ちはわかるし、「人民解放軍の陸海空軍がしっかり守っている」ことをことさらにアピールしているのは一種の「抑止効果」を狙っているからだと思いますが、何となく「戒厳令下のオリンピック」みたいに思えて、「オリンピックを楽しもう」という雰囲気になかなかなれません。

 本当は、オリンピックを機会に多くの外国人に中国に来てもらって、普段着の中国を見てもらって、中国を理解してもらおう、というのも北京オリンピックの目的の一つだったはずなのですが、これではオリンピック期間中は「普段とは全く違う中国」になってしまうので、オリンピック観戦のために中国に来た外国人は間違った印象を持って帰ってしまうのではないかと心配になります。

 先日報道されたところによると、JTBが行った今年の7月15日~8月31日の夏休み期間中に行く1泊以上の旅行についての調査によると、日本から中国本土への旅行者数は昨年同時期比36.6%減の24万人と見込まれる、とのことです。景気の後退や航空燃料チャージの高騰が大きく影響しているものと思われますが、オリンピックがある年に日本からの旅行者数が対前年比36.6%の減少、というのは、どう見るべきなのでしょうか。オリンピック期間中は、北京市内のホテルが異常に高くなると見込まれているので、それが影響しているのでしょうか。この減少分のうちのいくらかは「警備が厳しすぎて、オリンピックを楽しもうという気分にならない」という気分的な部分も入っているのではないか、と私は思っています。「安全に」「スムーズに」も大事ですけれども、北京オリンピックはやはり「楽しく、感動的に」終わって欲しいと切に願っています。

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