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2008年7月27日 (日)

北京で追加的な交通規制を実施

 今日(7月27日)、オリンピック村の開村式がありました。まず中国選手団が入村し、日本選手団の一部も既にオリンピック村へ入ったとのことです。といったふうに、そろそろ「オリンピック直前」になりつつあるのですが、今日(7月27日)も北京は白い「かすみ」が掛かったような状態で、曇ってはいないのですが空が白い状態です。視界は700~800メートルといったところでしょうか。国家環境保護部の発表によると、今日の北京の大気汚染指数は113で、これで4日連続で「軽微汚染」になってしましいました。

 一昨日、このブログに車の偶数・奇数制限が始まったのに、車の量はあまり減っていないし、大気汚染もあまり良くなっていない、と書きました。

(参考1)このブログの2008年7月25日付け記事
「変わっていない!車の数も大気汚染も」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/07/post_5363.html

 こういった私の印象は、北京の一般市民も持っているようで、今日(7月27日)付けの北京の大衆紙「新京報」には、当局関係者の「言い訳」のようなものが載っていました。特に「車の量があまり減っていない」ことに関しては、北京市当局もさらなる対策を講じるとのことです。北京市内の交通規制は、大気汚染対策と観光客が渋滞に巻き込まれないようにするための対策だったのですが、市内の幹線道路のひとつである第二環状路(片道3車線)では、1車線の「オリンピック関係者用専用レーン」を設けたところ、先週(7月21日(月)からの週)、ナンバープレート偶数奇数の規制を始めたのに、今までと同じような渋滞が起きてしまいました。このため、北京市交通管理局では、第二環状路については、偶数奇数制限に加えて、随時、入り口を閉鎖して、車を入れない措置を新たに講ずることになった、とのことです。

(参考2)「新京報」2008年7月27日付け記事(1面トップ記事)
「第二環状路、渋滞したときは入り口を閉鎖」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2008/07-27/011@072344.htm

 北京市交通管理局の当局者は、7月20日からナンバープレートの偶数・奇数の規制を始めたのに交通量があまり減らず第二環状路で相変わらず渋滞が起きていることについて、以下の4つの原因があるのではないか、と推測しています。

(1) オリンピック車両専用レーンを設けたことにより一車線少なくなったこと。

(2) 過去にも国際イベントで交通規制を行ったことがあるが、多くは週末であったが、今回は平日の通常勤務時間帯も規制を行っていること。

(3) 偶数・奇数制限の期間が長い(2か月間)ことから、普段は2日に分けて行う業務を1日で済ませてしまおうと考える人が多く、結果的に1台の車が街へ出る回数が通常より多くなってしまったと考えられること。

(4) 第二環状路は、沿線にいろいろな機能を持った機関が集まっていて便利なことから、規制を始める前よりもかえって、あまり移動せずにいろいろな用が足せる第二環状路周辺地区に車が集まってしまったこと。

 渋滞が発生しそうな時には第二環状路への乗り入れ制限が行われる、となると、今度は第三環状路など、別の場所で渋滞が発生しそうです。渋滞が発生すると、それだけ自動車の排ガスの量は増えますので、結局のところ、オリンピックのための大気汚染対策として実施した車の偶数・奇数制限は、予想していたほどには効果が上がらないのかもしれません。

 車の数が減らないことと直接的に関係しているのかどうかはわかりませんが、ここ数日間、大気汚染係数が101以上の「軽微汚染」の日が続いています。北京のビル群を遠くから眺めれば、大気がかすんで視界が悪くなっているのは誰の目にも明らかです。このブログの昨日の記事にも載せましたが、7月25日に撮影した下の写真などを見ていただければ、雰囲気がわかると思います。

(参考3)北京地下鉄空港線から見た空港高速道路料金所(2008年7月25日撮影)
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/HEX/kosokuryoukinjo.jpg

 これについて、北京市環境保護局副局長で同局スポークスマンの杜少中氏が説明をしています。

(参考4)「新京報」2008年7月27日付け記事
「景色がぼやけて見えるのは、大気汚染の状態が良くないことを表しているわけではない」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/07-27/011@075458.htm

 杜少中氏は「浴室の中では近くものでもよく見えないが、だからといって浴室の空気が汚染されているわけではない。」という例示を示して、視界を左右しているのは水蒸気であって、汚染物質そのものではないことを強調しています。核となる微粒子が空気中に存在し、そこで湿度が高くなると微粒子の回りに水分が凝集することによって視界が悪くなるのであって、大気汚染物質があっても湿度があまり高くなければ視界は悪くならないし、汚染物質が少なくても、湿度が過度に高いと視界が悪くなることは事実です(実際、大気中に汚染物質がなくても自然現象としての霧は発生します)。ただ、大気中に汚染物質がなければ、空気中の湿度が高くても水蒸気として凝集する可能性が少なくなるので、大気中の汚染物質の量が多い方が視界が悪くなる確率が高くなることは間違いないと思います。

 杜少中氏は、ここ数日の北京は、気温が高い、湿度が高い、風が弱くて汚染物質が拡散しにくい、という大気汚染にとって不利な気象条件が重なっているが、汚染の原因となる物質は明らかに減少してきている、と指摘しています。ただ、北京市環境保護局のスポークスマンが記者会見でこういう「言い訳」のような説明をしているということ自体、北京市民の間に「交通規制により自分たちは不便な思いをしているが、大気汚染は全然改善していないじゃないか。」という不満があることを示していると思います。

 この北京市環境保護局の杜少中副局長は、7月10日の記者会見で、過去の北京の大気汚染指数のデータをグラフにすると「軽微汚染」か「良」かの境目となる100より少し汚染指数が高い日の数が極端に少ないことについて質問された際、「汚染指数が基準をわずかに上回りそうな時は、観測点周辺で応急措置を取る」と答え、「軽微汚染」になる日を少なくするための「操作」をしていることを認めた人です。従って、私としては、杜少中副局長の説明を聞いても、素直には納得できない気持ちです。

(参考5)このブログの2008年7月11日付け記事
「2008年上半期の北京の大気汚染指数」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2008/07/2008_d352.html

 なお、北京の大気汚染指数を減らすために「操作」が行われていることを杜少中副局長が認めた、という件については、日本では報道されていましたが、中国の新聞等で報道されているのは、少なくとも私は見ていません。

 今日(7月27日)、一部の日本選手団が北京へ来てオリンピック村に入りましたので、その日本選手団が今日の北京の空気を見てどのような感想を言うのか、については、日本でも報道されると思います。「視界が悪いのは水蒸気のせいであって必ずしも大気汚染がひどいことを表しているわけではない」というのは、間違いではないと思うのですが、日本では、この北京のような「晴れているけれども視界が悪い」という天候はあまりないので、日本選手団は、おそらくは「やはり空気が悪いなぁ」という印象を持ったと思います(今日、北京入りした競泳選手団は29日に韓国へ移動して最後の調整を行うとのことです)。

 天気予報では、明日(7月28日)夕方には雷雨が降るかもしれない、と言っていますので、雷雨によって汚染物質が流されて、北京でもスッキリとした青空が広がることを期待したいと思います。

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