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2008年7月13日 (日)

「オリンピックを機会に」と思う人々の願い

 昨日(7月12日)早朝、北京近郊で農薬を散布していたヘリコプターが墜落し、乗員1名が死亡したほか、墜落したヘリコプターが高圧電線を切断して約5,000戸が停電しました。また、昨日午前9時頃、北京市内の地下鉄2号線の朝陽門駅で一人の男が線路に転落し、地下鉄2号線が約10分間運行を停止しました。転落した男は軽傷で済んだそうですが、転落した原因は不明なのだそうです。これらのニュースは昨日の夕刊にも載ったし、今朝(7月13日朝)の「新京報」などの朝刊紙にも載っていました。

 午前中に起きた事件や事故のニュースがその日の夕刊に載り、翌日の朝刊に載るのは、日本(というか「普通の国」)ならば別に珍しくもない当たり前のことですが、今日の「新京報」の社説では「こういった『突発的に起きたマイナスのニュース』が1時間程度で新華社で報道され、多くの人々に知らされたことは、注目に値し、嬉しくてホットする」と評価しています。この手の「突発的なマイナスの事件」が迅速に新華社のページで報道されるのは、これが初めてではないし、「新京報」の社説が「注目に値し、嬉しくてホットする」とまで言って持ち上げるのは、やや大げさな感じはするのですが、今までの中国において「マイナスのニュース」が迅速に報道されにくかったのは事実です(社説を書いた人は「皮肉」のつもりで大げさに「伝え方が迅速だったのは良かった」と新華社を持ち上げたのかもしれません)。

(参考)「新京報」2008年7月13日付け社説
「オリンピックは情報公開された中国を試す一つの試験である」
http://www.thebeijingnews.com/comment/shelun/2008/07-13/011@082021.htm

 この「新京報」の社説では、オリンピックが開かれることにより、中国の一挙一動に対して世界が注目し、何万人もの外国の報道陣が中国を訪れて「非常に複雑な状況」になるので、情報公開をさらに進め、情報を秘匿することによるリスクを減らすようにすることが必然的に求められる、と指摘しています。ある外交官は、最近の中国の情報公開は、オリンピックを開催するという圧力によるものではなく、中国の改革開放30年の結果として得られたものなのだ、と主張しているとのことです。この社説では「その意味では、北京オリンピックは、中国が改革開放の過去30年で得てきた中国社会の開放性と情報公開が徐々に進んできたことを試す一種のテスト期間であると信じる」と指摘しています。例によって、この社説では今ひとつ「ズバリ」と本音をストレートに書いてはいない感じがしますが、要するに、この社説を書いた「新京報」の論説委員もオリンピックを機会に中国の情報公開が一歩前進することを願っているのだと思います。

 よく多くの外国人が「北京オリンピックを機会に中国がより新しい段階へ進むことを期待する」といったことを言いますが、実はそう思っているのは中国の人々自身なのです。ただ「新しい段階へ進むこと」に対する期待を強く述べることは、「今まではダメだった」と表明することの裏返しですから、余りストレートにはそれを言えないだけなのです。

 今まで何回も書いてきたように、オリンピックが近づくにつれ、日常生活に影響する様々な規制が強化されてきています。日々の暮らしを少し我慢するから、それならその分、オリンピックを機会にもうちょっと「マシ」になって欲しいなぁ、と思うのは、中国に住んでいる外国人も中国の人々自身も全く同じ気持ちだと思います。

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