« 2008年2月 | トップページ | 2008年4月 »

2008年3月

2008年3月31日 (月)

不動産や株のバブルの終わりが明確になった

 今日(3月31日)付けの「人民日報」の経済面に、不動産と株の状況に関する記事が掲載されていました。

 まず、不動産については13面に次の大きな見出しの記事が載っています。

(参考1)「人民日報」2008年3月31日付け記事
「不動産市場の需要と供給は逆転したのか」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-03/31/content_48327168.htm

 この記事では、2007年の第2、第3四半期において急騰した不動産価格が、2007年第4四半期以来、全国70の大中都市での値上がり幅が緩慢になり、広州、深センなどでは値下がり傾向が出始めていることに対して、これが長期的観点から見て不動産の需要と供給の関係が逆転したことを意味するのかどうか、についての専門家の分析を掲げています。

 それによると現状は以下のとおりです。

○2007年の通年の統計では、売りに出された住宅の面積が対前年10%増加したのに対し、実際に販売れて登記された住宅の面積は対前年24%増であり、住宅需要の底堅さを示した。これは、依然として供給が需要に比して不足していることを示している。

○2007年の40の重点都市について見ると、売買契約が成立して登記された新築住宅全体のうち40%(面積ベース)が「二番手住宅」(既に住宅を持っている人が購入する住宅:投機目的に購入するケースが多い)である。一方、低収入家庭や都市の外部から出稼ぎに出てきている人たち、大学を卒業して就職したばかりの人たちが入居したいと思っている賃貸住宅の市場の発展は停滞している。2部屋以上の比較的広い住宅がかなりの数売れないで残っており、40の重点都市では売りに出されている住宅のうち建築面積90平方メートル以下の標準的な広さの住宅の割合はわずか25%程度に過ぎない。即ち、発売される住宅の供給と住宅を欲しいと思っている人たちの実需要との間に矛盾が生じているのである。

○相次ぐ利上げなど政府の経済過熱防止政策が出されていることから、多くの人が「模様眺め」の状況に入っている。このため、北京、上海などでは、住宅販売量が減少している。

○専門家は、中国の不動産需要の源は次の4つであると分析している。
(1) 急速に都市化する人口増加による住宅需要の増加。
(2) 住民の収入の増加に伴う古い住宅から新しい住宅へ、狭い住宅から広い住宅への買い換え需要。
(3) 都市開発のため古い家屋を取り壊された人たちによる必然的な住宅需要。
(4) 過剰流動性、人民元相場上昇を期待する外資による投資需要。
こういった事情を踏まえ、中小型住宅の強化、外国資本による住宅への投資の抑制などを図るべき、と専門家は提案している。

 また、この日の「人民日報」の同じ紙面(13面)には次のような記事も出ています。

(参考2)「人民日報」2008年3月31日付け記事
「値下がりの声の中で不動産価格について語る」(経済ホット・トピックス)
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-03/31/content_48327167.htm

 この記事のポイントは以下のとおりです。

○北京市統計局の発表では、2月の北京の不動産価格指数は前月比0.7%下がった。市街地から遠い地域では価格が軟化しつつあるようだが、市街地近くの住宅に対する需要はまだ強く、値下げに応じない地域も多い。

○国家統計局の2007年第4四半期の全国70の大中都市の価格上昇率は10.2%であり、今年2月は10.9%である。

○しかし、上昇のスピードはゆるみ始めており、重慶、長沙、成都、杭州等の中堅の13都市においては住宅価格の値下がりも見られている(遵義(貴州省)は2.2%、重慶は1.7%、長沙(湖南省)と成都(四川省)は0.4%の下落である)。

 慎重な言い回しではあるけれども、これらの人民日報の記事は、不動産の価格上昇傾向に歯止めが掛かったことを明確に示していると思います。

 上記の不動産関係の記事の載っている次のページの14面には、株に関する次の記事が載っています。

(参考3)「人民日報」2008年3月31日付け記事
「資本市場に対する税制政策は完全なものにしなければならない」(ホットな焦点特集)
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-03/31/content_48327176.htm

 この記事では、株式取引税の制度の経緯を解説し、一定の程度の株式取引税の必要性を説明しています。この記事は、先週、最近の株式市場の低迷を受けて、「政府が株式取引税率を下げるのではないか」との期待感から若干株価が値上がりしたことを受けて書かれたものと思われます。中身を読めば「政府は当面、株式取引税の税率を下げるつもりはない」と読めるものです。こういった政府の姿勢に反応したためか、今日(3月31日)の上海株式市場の指数は先週に比べて約3%下げて引けました。

 株に関しては、今日(3月31日)午前10:01にホームページに掲載された新華社電では、インターネットによる調査によると、最近の株の値下がりを受けて、回答者の9割は「管理層」は株式市場を救う対策を取るべきだ、と考えている、とのことです。

(参考4)「新華社」ホームページ2008年3月31日10:01アップ記事
「インターネット調査:9割近いネットワーカーは『管理層』に対し速やかに市場を救済する措置を取ることを望んでいる」
http://news.xinhuanet.com/finance/2008-03/31/content_7888994.htm

 この記事のポイントは次のとおりです。

○2007年10月以来、上海株式市場指数が6100ポイントから3400ポイントに下がったことにより、多くの投資者が大きな損失を被っている現状に関し、3月31日10時までの時点で、5万人のネットワーカーに対して調査を行った。これによると回答者の89%が現在の株式市場を「不正常」だと認識しており、87.6%の人が「管理層」は直ちに市場救済の措置を取るべきだと主張している。

○新華社ネットのフォーラム上では、多くのネットワーカーが、株式市場において非理性的な下落が起こった時は、管理部門は適切な政策を打ち出して市場を安定させ、投資家の利益を保護することが必要で、それが管理部門の責任である、と認識している。

 この記事で言っている「管理層」とか「管理部門」とかいうのが「中央政府」を指すのかどうか明確ではありませんが、中国の株式市場には「株価が下がるのは『不正常』だ。誰かが何とかすべきだ。」と考えている投資家が多いことを伺わせます。

 中国政府は、昨年来、「経済の過熱化を防ぐ必要がある」と公言し、中国人民銀行による利上げも何回も行われて来ましたから、不動産や株の値上がりがいつか止まることは、ある程度予想されたことで、ある意味では現在の不動産や株式市場の状況は政府が思い描いていたとおり、と言っていいのかもしれません。中国政府は、北京オリンピックが終わるまで、不動産や株がバブル的に膨張を続けていって、オリンピックが終わった途端にいっぺんにそのバブルがはじけるのを最も懸念していたはずで、実態経済を超えた「バブル」の部分は、オリンピックの前にはじけさせておこう、と考えていると思います。政府が想定している通りに経済が動いているのならば、不動産や株の値上がりが止まった事態は、冷静に受け止めてよいと思います。

 問題は、不動産や株が下がった場合、それによって生じた損失について自分の責任だとは考えずに、被った被害は政府等の誰かがきちんと救済べきだ、と思っている投資家が中国には多い、ということです。中国が市場経済の道を歩む以上、不動産や株で損をした人を国が救済する、ということはあり得ません。多くの中国の投資家の認識と、冷徹な市場経済の原則とのギャップが、これからだんだんと表面化してくることになると思います。中国経済の安定的な成長にとって最も恐いのは、今まで一方的な不動産や株の価格の状況に慣れきっていた投資家たちが不動産や株の価格の下落に直面して極端に臆病になり、投資や消費活動を抑制してしまうことです。中国の現在の経済成長は、不動産や株に投資をしているような富裕層の消費意欲に支えられている面が大きいからです。

 マクロ経済コントロールの点では、現在の中国政府は、今のところはそれなりにうまくやっていると思います。問題は多くの中国の投資家の認識と市場原理とのギャップが社会的な不安感の高まりを招くようなことがないかどうかです。不動産と株におけるバブルの時期が終了した、ということは、経済運営の大きな節目を迎えたことを意味します。これからオリンピックが終わる9月末までの半年間は、政治的・社会的な面だけではなく、経済の面でも目の離せない時期になりそうです。

| | コメント (0)

2008年3月30日 (日)

フィードバック・システムが働かない社会

 チベット問題は、中国の国内問題だと思うので、私はチベット騒乱問題そのものに対するコメントは控えたいと思います。今回のチベットでの騒乱について、中国政府はダライ・ラマ14世側からの煽動があったと主張し、ダライ・ラマ14世は煽動していない、と言っています。煽動があったにしてもなかったにしても、かなり多数の人が参加した騒動があったのは事実ですから、騒動を起こそうと思うほど現状に不満を持った人たちがチベット自治区や周辺の地域にかなりの数いた、ということは隠しようのない事実だと思います。

 一方、解放後まもなく60年、改革開放政策により中国経済全体の急成長が始まって30年経つというのに、なぜそういう不満を持った人たちがまだいるのか、についての分析の評論が、残念ながら中国のマスコミ上には登場していません。中国のマスコミには「ダライ集団の煽動はけしからん」「西側の報道は事実を歪曲している」といった主張ばかりが載っています。

 事件・事故や何らかの社会的問題があった場合、その原因を分析し、今後そのようなことが起きないようにするにはどうしたらよいか、を分析し提言するのがマスコミの重要な使命であり、そういった各種の分析・提言に従って少しでもよい方向に向かうように政策決定をするのが政治の使命です。こういったマスコミや政治の役割は、社会のフィードバック・システムとして重要なものです。

 政府がマスコミに対してどのような政策を採るのか、政治が住民による直接選挙によって選ばれた議員によって運営されることにするのかどうか、など具体的な政治システムについては、それぞれの国にそれぞれの事情があり、どういった政治システムを採用するのが最もよいのかについては、各国の内政問題ですので、それについても、私はコメントは控えたいと思います。ただ、一般論として申し上げれば、フィードバック・システムが働かない社会は、どこかの時点で必ず行き詰まることは間違いない、と私は思っています。

| | コメント (0)

2008年3月28日 (金)

強烈な国内メディア戦略の展開

 従来、中国では、自国に都合のよくない事件等については、外国のメディアによる報道を制限するとともに、国内では全く何も伝えないか、伝えたとしてもごく簡単に政府の発表を伝えるだけ、といったスタイルの報道振りを示すことが多かったように思います。しかし、今回のチベット地域での騒乱については、外国メディアによる速報報道はブロックしつつ、国内向けには、当局側の立場に立った多種多様の情報を大量に流して、当局の正当性を主張する戦略を取っています。

 3月27日付けの人民日報では、全16面のうち4面、5面、8面の全部と3面の3分の1程の紙面を使って、「『中国はチベット文化を破壊してきた』という批判の不当性」「チベットで騒乱を起こした暴徒の凶暴さ」「西側が意図的に中国当局側が暴力を振るっているように事実をねじ曲げて報道していることの不当性」を大々的に伝えています。

(参考1)「人民日報」2008年3月27日付け紙面
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-03/27/node_17.htm

※左上の「選択版面」と書いてある部分の数字をクリックすると、見たい紙面が表示され、記事のところにマウスを置いてクリックすると、記事の中身を読むことができます。

 3月24日にギリシャで行われた北京オリンピックの聖火の点火式にチベット問題に抗議するグループの人が抗議のために乱入した事件に対しては、当初はほとんどの中国のメディアは報道せず、この件を報道する外国の衛星テレビ放送は検閲でブラックアウトされていました。しかし、3月28日の朝刊からは、中国の国内紙も「新華社電」として、このニュースを伝え始めました。この「新華社電」では、聖火の採火式での乱入事件について伝えるとともに、諸外国の多くの人がオリンピック行事を妨害することに対する批判の声を挙げているとか、国際オリンピック委員会が乱入者を批判したことなども併せて伝えられています。

(参考2)「新京報」2008年3月28日付け記事
「採火式への乱入者が3人拘束される」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/03-28/011@071558.htm

 「事実を隠す」のではなくて、今の中国では、「事実の一定の部分(例えば、ラサでは商店が焼き討ちを受けてひどい被害を受けている、一部の外国メディアではデモ隊を取り締まるネパールの警察の写真や映像を掲げてそれに『中国当局が暴力で取り締まった』と受け取られるような説明を付けていたなど)を取り出して、繰り返し繰り返しその部分を強調して大々的に伝える」という国内メディア戦略に出ています。

 このメディア戦略は中国国内ではかなりの効果を上げていると思います。新華社のホームページでは、チベットでの分裂行動を痛烈に攻撃したり、西側の報道を「事実を歪曲した報道にメディアの良心はどこにあるのか?」と批判したりする中国のネット・ユーザーの声が盛り上がっていることを伝えています。ネット・ユーザーの具体的な発言も掲示板から転載して掲載しています。

 もちろん中国のネットの掲示板は、中国共産党の指導を否定したり、国家の分裂を煽動したりするような意見は、「法律違反」としてそもそも掲載できませんし、掲載したとしても掲示板管理者に削除されてしまいます。そういった掲示板の議論の中に載った意見の中から新華社が「適当だ」と思われるものを選択して、新華社のホームページに集めているのですから、この新華社のホームページに載っている「ネット・ユーザーの声」というのが、中国のネット・ユーザーの声の全体像を表しているわけではありません。

 しかし、例えば、CNNの報道によると、CNNの報道の仕方に関して、CNN北京支局に中国市民からの抗議の電話が殺到した、とのことですので、ネットの世界でも「分裂を叫ぶ暴徒はけしからん」「事実を歪曲して伝えている西側メディアは間違っている」という声がかなりの割合で中国のネット・ユーザーの中に広がっていることはウソではないのだと思います。

 ただ、上記の「新京報」の記事に見られるように、こういった「焼き討ち暴徒は凶暴だ」「西側メディアは歪曲した報道をしている」という大合唱をしているのは、人民日報、中央電視台、新華社といった政府直結のメディアだけです。政府当局とは一定の距離を置いている記事の多い「新京報」は、自社の記者が書いた記事もたくさん載せますが、このチベット騒乱関係の記事については、新華社電を載せるだけで、目立った独自の取材記事はありません。いつもは鋭く政府を批判する社説を掲載する「経済観察報」は、3月24日号(3月22日発売)では社説を掲載しませんでした(いつも社説が載っている1面の下半分は、この号では広告になっていました)。

 中国では、メディアは「党の喉と舌」と呼ばれ、新聞やテレビは中国共産党の宣伝機関である、と位置付けられています。最近は、「メディアによる権力機構の監視の役割も重要である」と言われるようになってきていますが、メディアが批判の対象としているのは地方政府だけで、メディアが党中央や中央政府自体を批判することはありません。

 中国メディアの位置付けは、第11期全国人民代表大会第1回全体会議の最終日の3月18日に行われた温家宝総理に対する記者会見で明確に現れています。この総理記者会見での質問した記者の所属する会社と質問内容は以下のとおりです。

○フェニックス衛星テレビ局(香港):雪害に対する温家宝総理のコメント
○人民日報:物価問題
○CNN(米国):チベット争乱問題、大陸と台湾との関係
○フィナンシャル・タイムス(英国):インフレ懸念、チベット争乱問題
○中国中央電視台:新しい総理の任期中(今後5年間)の経済社会発展の目標
○DPA(ドイツプレス):チベット争乱とオリンピックとの関係
○台湾工商時報:大陸と台湾との経済関係の今後
○ロイター通信社:人権活動家が「国家転覆罪」で起訴されている件、死刑を今後どうするのか、「国民の権利・政治的権利に関する国際条約」の批准をどうするのか
○中国中央電視台:政治機構改革(国務院の省庁再編)について
○AFP通信社(フランス):チベット争乱問題(ダライ・ラマと直接対話しないのか)
○ブルーグバーグ・ニュース(米国):株安、ドル安について
○新華社通信:新しい総理の任期中(今後5年間)の政治体制改革をどう進めるのか
○インディアン・タイムス(インド):チベット争乱が今後の中国とインドとの関係に及ぼす影響

(参考3)「新華社」ホームページ「全人代現場中継」
2008年3月18日:温家宝国務院総理内外記者会見
http://www.xinhuanet.com/2008lh/zb/0318b/

 上を見ればわかるように、中国系以外のメディアはほとんどの社がチベット問題や人権問題について質問しているのに対し、人民日報、中央電視台、新華社通信は、本来は温家宝総理が記者会見で言いたかったであろう事項を引き出すような質問をしています。上記の質問の状況は、中国ではメディアの役割は「政府を批判するもの」ではなく「政府の考えを人民に伝えるもの」であることを明確に表しています。

 チベット問題に関する今回の人民日報、中央電視台、新華社の「大合唱」を「政府によるメディア戦略だ」と捉えるのか、「これらメディアは政府の主張を正しく伝えている」と評価するのか、は、中国人民が決めることですが、少なくとも言えることは、こういった現在の中国のメディアの状況は、多くの世界がこれからの社会として目指す方向とは合致しない、ということです。中国が世界の中で、本当の意味で力を発揮していくためには、こういった部分を「世界標準」に合わせようとする努力をする必要があると思います。 

| | コメント (0)

2008年3月26日 (水)

聖火の点火式のニュースのカットは悲しい

 3月24日にギリシャで行われた北京オリンピックの聖火の点火式やその後の聖火リレーで、チベット情勢に対する中国政府の対応を批判する人たちによる抗議行動が行われました。25日付けの中国のほとんどの新聞などでは、このような抗議行動については、一切報道されず、点火式や聖火リレーが成功裏に行われた、ということが報道されています。

(参考)「新京報」2008年3月25日付け記事
「聖火リレー、スタート」
http://www.thebeijingnews.com/news/olympic/2008/03-25/011@073754.htm

 外国の衛星テレビ放送では、抗議行動について報道しているものがほとんどでしたが、抗議行動を報道していた24日夜のBBC、CNN、NHKワールド・プレミアムのニュースでは、その部分については、検閲ブラックアウトになり、北京では見ることができませんでした。インターネット上では、BBCではニュース映像を見ることができましたが、CNNはそのニュースの記事の映像をクリックしても映像が出てきませんでした。NHKは、ニュース映像をインターネット上には掲載しなかったようです。

 いずれにせよ、晴れがましい聖火の点火式や聖火リレーといったイベントがブラックアウトで見られない、というのは悲しいです。中国国内では、中央電視台のテレビが点火式のイベントは生中継で放送していたようですが、日本の報道機関のネット上の記事によると、この「生中継」はリアルタイムより十数秒遅れで放送され、抗議行動の部分の映像は、別の映像に差し替えられていたのだそうです。

 これから聖火は世界各国を回ります。また、オリンピック競技自体、世界各国から観客が北京に集まります。これからどうなるのか、ちょっと心配です。

 私が天安門前広場を歩いたりする時には、警備担当の人から持ち物検査を受けます。危険物を持ち込んでいないかどうか、というよりは、スローガンが書かれた横断幕やビラを持っていないかを点検されるのです。オリンピックの試合を観戦する観客に対しても、同じような点検が行われることになるのでしょうか。

 いずれにしても、検閲によってテレビが真っ黒になるのは悲しいです。その抗議が正しくない、というのならば、ニュースを伝えた上で、「正しくないのだ」と主張して欲しいと思います。

 3月25日(火)も21:00から放送されたNHK総合テレビと同時放送された「ニュース・ウォッチ」をNHKワールド・プレミアムで見ていましたが、一部がスッポリとブラックアウトしていました。何がブラックアウトされたのかよくはわからないのですが、四川省でまだ暴動が続いている、というニュースがカットされたようです。オリンピックの開催期間中まで、この検閲ブラックアウトは続くのでしょうか。こういったブラックアウトは、中国に対するイメージが悪くなるだけで、ほとんど意味がないので、私は早く止めた方がよいと思います。

| | コメント (0)

2008年3月22日 (土)

情報統制批判に中国当局が強烈な反撃を開始

 「チベット騒乱に関連して、中国は情報統制をしている」との西側メディアの批判に対して、中国当局は大反撃を開始したようです。今日(3月22日)付けの英字紙「チャイナ・ディリー」の1面トップでは、「西側の暴動報道ではメディアが偏向していることを示している」という実例入りの記事を大きく掲げています。

(参考1)"China Daily" 2008年3月22日付け1面トップ記事
"Riot reports show media bias in West"
http://www.chinadaily.com.cn/cndy/2008-03/22/content_6557325.htm

 この記事では、下記のように、ホームページ上で見られる西側の記事を具体的に挙げて、意図的な情報の選択や誤った印象を与える解説がなされていると指摘しています。

○CNNのホームページに掲げられている "Reports: 100 dead in Tibet violence" と題する記事に掲載されている写真では、群衆が街の中を走ってくる取り締まり当局のものと思われるトラックに対して投石している場面の写真のうち、群衆が投石している部分をカットし、街の中を取り締まり当局のトラックが走っている場面だけを切り取って掲載している。

○ワシントン・ポストのホームページに掲載されている3月18日付けA06面の記事によると、ネパールのカトマンズでデモ参加者をネパール警察官が警棒で殴打している写真を掲載し、その写真のすぐ下に「中国政府は、中国によるチベットの支配に抗議するチベット族の抗議者を打ち倒している。警察は、チベット自治区の首都ラサにおいて、暴力行為に参加した数百人の容疑者を検挙している。」との解説が付いている(写真の内容と解説が一致していない)。

○ベルリン・モーニングポスト(ドイツ語)のホームページにおいて、警察に保護される漢族の男性の写真を掲載し、その解説に「警察に拘束される暴徒」と書いてある。

 同様の「西側の報道は偏向している」との報道は、中国語メディアでも、例えば、人民日報のホームページに掲載されている「環球時報」の記事で見ることができます。

(参考2)「人民日報」のホームページに転載されている「環球時報」2008年3月22日付け記事
「西側メディアは事実に反するチベット報道により世界の民衆をだましている」
http://world.people.com.cn/GB/14549/7032010.html

 こういった西側メディアに対する反撃は、3月20日に行われた外交部報道官の定例記者会見でも示されています。

(参考3)日本語版「人民日報」2008年3月21日付け記事
「ダライはあらゆる祖国分裂活動を完全に停止せよ」
http://www.people.ne.jp/a/331777a923f4422dbd50059019cdd064

 この中で外交部の秦剛報道官は、「(外国メディアの報道について)比較的客観的な報道もあれば、事実と著しく異なる報道もある。私たちはメディアに、責任ある態度で、客観的事実を尊重し、報道のルールに従い、客観的で公正的な報道を行うことを望む。」と述べています。この記者会見においては、外国メディアの記者が「ラサが既に安定を取り戻している、というのなら、なぜ我々外国人記者の質問に対して、秦剛報道官は「社会安定のために特別な措置を講じているので外国メディアの方々には御理解をいただきたい」と応えています。

(参考4)中国外交部ホームページ
「2008年3月20日の外交部スポークスマン定例記者会見記録」
http://www.fmprc.gov.cn/chn/xwfw/fyrth/1032/t416737.htm

※この記者会見の応答を読むと、チベット問題に対する矢継ぎ早の質問に対して「どこの国でも暴力行為が発生したら、警察を出動させるでしょ?」と報道陣に逆質問するなど、いつもは冷静な秦剛報道官のいらついた気持ちを感じることができます。

 一方、中国国内では、チベット自治区やその周辺地区における騒乱では、凶暴な暴徒が商店などを襲い、一般市民を殺害している、という趣旨の報道が盛んに行われています。3月20日に中国中央電視台が放送した「ドキュメンタリー『ラサ3・14打ち壊し・焼き討ち暴力事件の記録』」という15分間のドキュメンタリー番組はインターネットでも見ることができます。

(参考5)「中国中央電視台」のホームページ
「ドキュメンタリー『ラサ3・14暴力事件の記録』」
http://space.tv.cctv.com/podcast/lasa314jishi

※このページの「視頻播放」という部分をクリックすると(通信状態が良ければ)番組を動画で見ることができます。

 また、今日(3月22日)付けの北京の大衆紙「新京報」の1面トップには、3月14日、ラサで中国国旗を焼く暴徒の写真が大きく掲載されています。

(参考6)「新京報」2008年3月22日付け記事
「チベットの不法分子、国旗を焼く」
http://www.thebeijingnews.com/news/guonei/2008/03-22/021@073410.htm

 ラサでの騒乱では、実際、漢民族が経営する商店などが焼き討ちを受けたものと思われます。これらの中国国内でのテレビ報道では、「このような暴力行為は良くない」と発言するチベット族の人に対するインタビューも放映されていますが、全国の中国の人々(特に大多数を占める漢民族の人々)に対して、騒動を起こしたチベット族の人々に対する憎悪の念をかき立てるのに十分だと思います。こういった中国国内での報道を見れば、中国の人々の中には、西側の報道の方が偏向している、中国をおとしめようとしている、と思う人が多いとしても、不思議ではないと思います。

 昨日(3月21日)夜の時点では、外国の衛星テレビに対する検閲ブラックアウトはだいぶ減りました。私が見た限りではCNNの日本時間22日01:00~のニュースでは一部検閲ブラックアウトがありましたが、21日夜のBBCニュースやNHKのニュースではブラックアウトはありませんでした。CNNのニュースでも米国のペロシ下院議長がダライ・ラマ14世のところを訪問したニュースについてはブラックアウトになっていませんでした。

 CNNについては、テレビ放送ではブラックアウトになった映像もインターネット経由では見ることができるケースが多いのです。3月20日を過ぎた時点で、外国テレビの検閲やアクセス制限は、一部が緩和されてきている可能性があります。3月22日現在、今までは各記事を閲覧することができなかったBBCのニュースのページ

(参考7)BBCのニュース・ページのトップ
http://news.bbc.co.uk/

に掲げられた一般の記事は北京からもアクセス可能になっています。

 しかし一部の記事、例えば

(参考8)BBCのニュース・ページの記事
"Tibet's unsettled borders"
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/asia-pacific/7304825.stm

には3月22日の時点では北京からはアクセスできません。また、BBCニュース・ページにある中国語版のページ

(参考9)BBCのニュース・中国語版のページ
http://www.bbc.co.uk/chinese

には3月22日の時点では従来通り北京からは全くアクセスできません。

(注)こういった一部のサイトへのアクセス制限や、一部のキーワードを使った検索の結果出てきたページを見ることができない、ということについては、CNNがリポートして放送しています。そのCNNのレポート自体は、インターネットで北京でも見ることができます。

 数多くある外国メディアのサイトを全てチェックしてアクセス制限を掛けることは事実上不可能です。今、中国のネット人口は2.1億人と言われています。中国人民がインターネットで外国メディアのページから情報を得ることを中国当局が阻止することはもはやできない時代になっているのです。そのため、中国当局としては、衛星テレビの検閲ブラックアウトやインターネットのアクセス制限を強化するよりは、中国国内向けに対して「暴徒はひどいことをしている」「外国のメディアは偏向しているので信用できない」というメッセージを大量に発出することによって、中国政府の措置に対する中国人民の支持を取り付けよう、という作戦に転換してきているものと思われます。

 これを補助する情報として、中国中央電視台のニュースでは「国際的には多くの国々から中国政府に対する支持の表明がなされている」として、支持を表明した国々の名前を多数並べて伝えていました。中国中央電視台が3月21日夜に放送したニュース番組「新聞聯播」によれば、中国の措置に支持を表明した国々とは以下の国々です。

「ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、グルジア、パキスタン、朝鮮(北朝鮮)、モンゴル、ネパール、ベトナム、フィジー、シリア、セルビア、ザンビア、ブルネイ、バングラディシュ、セラルレオーネ、レソト、モーリタニア、コートジボワール、コンゴ及びいくつかのアラブ国家」

(参考10)中国中央電視台のホームページ
「新聞聯播」2008年3月21日放送分
「チベット自治区ラサでの打ち壊し・焼き討ち暴力犯罪事件に対する我が国の法に則った措置は国際社会から広範な支持を集めている」
http://news.cctv.com/xwlb/20080321/104636.shtml

 欧米各国や日本、韓国といった主要国が全く入っていない国々の名前を並べて「国際社会の広範な支持を集めている」と主張するニュースに対して、中国人民がどのように判断するのかはわかりません。ただ、私が見る限り、中国当局によるこういった世論誘導は、中国国内においては、少なくとも当面は、騒乱を治め、騒乱の拡大を防ぐためには一定の効果を上げていると思います。

 「少なくとも当面は」と書いたのは、今回の中国国内向け報道は、多くの中国の人々(特に漢民族の人々)に対して、チベット人に対する憎悪や恐怖感を植え付けたと思われ、長期的な観点から見れば、中国にとって極めて重要な各民族の融和という課題に対しては、むじろマイナスに作用しているのではないか、と思われるからです。

 これから、中国政府は、国内の騒ぎや不安定さの拡大を何としても抑え、国際的にはオリンピックに対するボイコットの声が広がらないようにし、とにもかくにも北京オリンピックを無事に乗り切ることにがむしゃらに邁進していくことになるのだろうと思います。

| | コメント (0)

2008年3月21日 (金)

情報統制とデマ

 3月14日に起きたチベット自治区ラサでの騒乱をきっかけにして、チベット自治区以外の四川省、甘粛省などチベット族の多い地区で騒ぎが起きていることについて、3月20日、新華社通信が中国側メディアとして初めて伝えている、とNHKのテレビで言っていました。でも、新華社のホームページを見てみましたが、私は、その手のニュースはまだ見付けることができていません。また「新華社は外国のメディアには情報を提供しているけれども、中国人民には情報を提供していない」という状況のようです。

 新華社が外国メディアに提供している情報は、1日程度経ってから国内でも伝えられることが多いのですが、いずれにせよ、国内向けの情報は完全にコントロールされています。国内向けの情報がコントロールされていること自体は、中国の人々自身、よく知っているので、多くの中国の人々は中国のテレビを見たり、新華社のホームページを見たりしても、「実はもっとウラがあるんじゃないか。」「実際はこういうことが起きるのではないか。」と相当に疑心暗鬼になっているようです。

 それを象徴するような出来事が20日朝の北京の大衆紙「京華時報」に載っていました。四川省の成都で18日、バスのドアが壊される、という事件がありました。これに対してインターネット上で「バスが爆破された」とか「何人かの死傷者が出ている」といったデマが流れたため、成都市の公安局は18日の夜10時半に緊急に記者会見し、「これは普通の刑事事件である」とデマを打ち消すための説明を行ったとのことです。

(参考)「京華時報」2008年3月20日付け記事
「成都公安局が、爆発事件が起きて銃撃戦が行われている、とのデマを打ち消し」
http://china.jinghua.cn/c/200803/19/n868738.shtml

 この記事によると、事情は以下のとおりです。

○3月18日午前10時半頃、成都市内で、通常に運行していたバスを成都市の外から来た一人の男が停めようとした。

○バスの運転手は、停留所ではない場所だったので、バスを止めなかった。このため、この男は持っていた刃物類でバスを叩き、ドアを壊した。その後、この男は怒って近くに停めてあった2台の車を持っていた刃物類で打ち壊した。

○その過程で、近くでタクシーを待っていた群衆の一人の腰の部分を傷つけた。被害者は、貴州省から成都に出張で来ていた人で、軽傷だった。

○公安機関のこれまでの調べによると、事件を起こしたのは四川省アバ・チベット族理県の男だった。詳細は現在調査中。

 記事に載っている事実はこれだけなので、勝手に想像してはいけないと思いますが、昨今の状況を踏まえれば、これは単に酒に酔った男がうっぷん晴らしのためにバスのドアを壊した、といった類の「普通の刑事事件」とは違うのだろう、ということは容易に想像できます。当局がこういった事件に対して、情報を発表しないので、事件を目撃した人がインターネットなどで他人に情報を伝えていくうちに、「尾ひれ」がどんどんついて「爆破事件が起きた」とか「死傷者が出ている」とかいう「デマ」に成長していくのでしょう。上記の記事の見出しを見ると「銃撃戦が起きた」といったデマまで飛び交っていたようです。成都は、四川省の省都で、外国企業も多く進出しており、外国人もたくさんいますから、本当に成都で銃撃戦が起きているのだとしたら、どこかの外国メディアが必ず伝えるはずです。

 多くの中国の人は「テレビや当局の発表は事実を全て伝えていない」と知っていますから、少ない情報の中で自分でいろいろと友だち同士で情報交換をしあうのです。今は、携帯メールやインターネットといった情報ツールをみんな持っているので、それを通じてデマが拡大・拡散してしまうのです。

 この手の事件に対して、当局の発表やテレビでの報道は、20年前に比べれば、情報量は多くなったし、スピードも速くなったとは思いますが、今でも、通常、当局に都合の悪い部分は除いて発表されますし、発表されるのはだいたい事態が沈静化した後(従って、発表されるのは事態が起きてから何日か経ってから、ということが多い)になります。特に今回のチベットでの騒乱のような極めて微妙な問題に関するものについては、マスコミに載るのは当局の「正式発表」だけであり、記者が自分で取材して得た情報、というのはまず掲載されません。中国の「マスコミ」と呼ばれるメディアは、多くの人民の「知りたい」という要求には応えることができていないのです。それが、携帯メールやインターネットでデマ情報が広がる原因になっています。

 外国の衛星テレビの各チャンネルは、時々検閲によるブラックアウトを受けますが、衛星テレビを配信しているどこかの段階にいる検閲担当者のその場での判断で遮断スイッチを操作しているものと思われますので、同じ映像でもブラックアウトになったり、そのまま放送されたりします。また、テレビでは検閲ブラックアウトを受けていたのに、インターネット経由では、同じ映像が見られる場合もあり、情報検閲の判断基準はあまり統一的ではありません。これだけ情報流通ルートが多様化している現代においては、数多くの人手が掛かる検閲を完全に統一的に実施することは実際は不可能だと思います。そうした中で、こういった検閲をやる意味がどこまであるのか、大いに疑問です。

 ギョーザ事件については、多くの中国の人は「あの事件は日本で毒物が混入された、ということで決着した事件だ」と思っていますが、それは巧みな中国側のメディア統制のおかげです。その意味で、メディア統制、情報統制は、統治する側からすると、一定の成果が上がることは事実ですが、国内では不要なデマを発生させたり、外国に対しては中国のイメージを著しく損なったり、という点で、総合的に見れば中国にとってよいことではないと思います。

 多くの中国の人民が知りたいことを、知りたいタイミングできちんと流すことが、変なデマが流れないようにするための最良の方法だと思います。

| | コメント (0)

2008年3月15日 (土)

NHKでも検閲によるブラックアウト

 3月14日(金)午後に中国のチベット自治区の首都ラサで発生した暴動については、日本でも報道されているので、このブログをお読みになっている方はよく御存じだと思います。というより、北京にいる私より日本にいてこのブログをお読みになっている方々の方がよく御存じだと思います。というのは、ここ北京にいては、この件に関する情報の入手に関して制限がいろいろあるからです。

 日本時間3月14日(金)夜のBBCワールドやCNNのニュースが伝えたトップニュースは、このラサでの騒乱事件についてですが、私が見ている北京のアパートメントのテレビでは、このチベットでの事件になると一部が信号が途切れて画面が真っ黒になり、音声も何も聞こえなくなります。このブラックアウト状態が終わると別のニュースをやっていたりするので、当局による検閲によってこのブラックアウトが起こっていることは明らかです。

 私がいるアパートメントでは、テレビのNHK国際放送である「NHKワールド・プレミアム」とNHK-BS1、BS2、BSハイビジョンを見ることができます。「NHKワールド・プレミアム」とBS2は、正午や夜7時のニュースは、総合テレビで放送しているものと全く同じものを同時放送しています。その時に「ワールド・プレミアム」とBS2を見比べるとわかるのですが、「ワールド・プレミアム」の方が30秒ほど遅れて放送されます。中国当局は、この30秒間に中国当局にとって問題であると思われる場面があった場合はカットを入れるのだと思います。

 中国では、外国の衛星テレビが見られる衛星放送受信設備を設置する際には許可が要ります。中国に何千とあるホテルや外国人が入っているアパートメントでは、こういった外国の衛星放送が視られる設備が入っているのですが、おそらくはこの認められた衛星放送受信設備には、当局がカットしたい場面はカットできるような装置が組み込まれているものと推測されます。

 今日(3月15日(金))になっても、このチベットでの事件に関するニュースの検閲ブラックアウトは続いています。私のアパートメントでは、BBCワールド、CNN、NHKワールド・プレミアムのほか、フランスのテレビも入っているのですが、今日(15日)は、BBCやCNNのほか、NHKワールド・プレミアムやフランスのテレビについても検閲ブラックアウトが入りました。ということは、検閲担当部局には、英語、日本語、フランス語がわかる担当者がそれぞれ付いていて、衛星から受信した信号を見て、各家庭に配信されるまでの間の30秒間にカットするかどうかの判断をしているものと思われます。相当なコストだと思うのですが、中国当局は、それだけのコストを払う必要があると思って、こういった検閲をやっているのでしょう。

 ニュースは生放送ですから、英語、日本語、フランス語がわかる担当者がそれぞれの担当者の判断でリアルタイムでその場でカットするかどうか判断しているものと思われます。いろいろなチャンネルを見ていると、カットしている場面が微妙に異なります。チベット関連のニュースが最初から完全に全部カットされているケースもあるし、最初は普通に見られていたのに、途中からカットになる場合もあります。検閲の担当者は、どこでカットするのか、判断するのに相当に苦労しているだろうということが窺えます。

 中国の沿岸部では、NHKが国際放送として放送している「NHKワールド・プレミアム」のほかに、日本国内向けに配信しているBS1、BS2、BSハイビジョンが直接受信できます。日本国内向け放送に対しては中国当局は検閲を入れることができませんので、北京でもBS2で放送するニュースでは検閲カットなしで見ることができます。

 そもそもこういった外国の衛星テレビ放送が見られるホテルやアパートメントに入れるのは、それなりの「お金持ち」であって、多くの一般人民は見ることはできません。従って、こういった検閲カットをする意味がどれだけあるのか、私には理解できません。逆に中国当局がニュースに対してこうした検閲をやっていることが外国人に明確にわかってしまい、それが世界に伝わる方が、私は中国にとってはマイナスだと思います。

 このチベットにおける騒乱については、外国メディア向けには14日(金)夕方頃から国営新華社通信が配信していましたが、14日の時点では中国国内では報道されませんでした。北京時間15日(土)午前1時22分に新華社の中国語ホームページに下記の記事が配信されて以降、中国国内でも報道されるようになりました。

(参考1)「新華社」のホームページ2008年3月15日01:22(北京時間)
「チベット自治区の責任者、破壊、略奪、焼き討ち行為に対する新華社記者の質問に答える」
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-03/15/content_7792268.htm

 この記事では、新華社の記者の質問に答えて、チベット自治区の責任者がポイントとして以下のようなことを述べたことを伝えています。

○最近、ラサでごく少数の人々が破壊、略奪、放火など社会秩序を乱し大衆の生命と財産に危害を加える行為をしている。

○これはダライ・ラマの勢力が綿密に計画したものだという十分な証拠を我々は持ってる。

○当局は法に基づき適切な対処をしている。

○社会の安定と和諧を破壊しようとする試みは、必ず失敗するだろう。

 新聞では、例えば3月15日付けの「人民日報」「新京報」は、上記の新華社の報道をそのまま記事にしています。

 テレビでは、中国中央電視台3月15日第1チャンネル朝7時からの「新聞天下」(朝のニュース)の時間の国内ニュースの中で、また第4チャンネル(アジア向け衛星チャンネル)のニュースの中で、アナウンサーが上記の新華社の記事と全く同じ文章を読み上げていました。

 上記の中国国内向けテレビ・ニュースではラサで撮影された映像も放映されましたが、群衆が石を投げたり、商店を壊したり、警察の車をひっくり返したりしている様子や、道路の真ん中で車が燃えている様子、市内の数カ所から黒い煙が上がっている様子が放送されました。ただし、映っているのは投石、破壊行為等を行っている群衆だけで、取り締まり当局側は映像には全く登場しません。中国国内で放映されている画面は新華社の以下のページで見ることができます。

(参考2)「新華社」2008年3月15日アップの動画ページ
http://news.xinhuanet.com/video/2008-03/15/content_7793348.htm

※中国国内のサイトにアップされている動画は、日本で見る場合には、通信回線の状況により、うまく見られない場合があります。

 現在、北京では、全国人民代表大会が開催されており、今日(3月15日)午前の会議で、次期(2008年からの5年間)の国家主席として胡錦濤氏が再任されました。北京の街の状況は、いつもと全く変わりません。外国テレビ放送の検閲ブラックアウトは、検閲担当者が過剰に反応した結果かもしれませんが、諸外国に対して、かなりマイナスのメッセージを発したと思います。

 今まで、昨年4月に北京に来て以来、NHKワールド・プレミアムの放送で検閲によるブラックアウトを見たことはありませんでした(CNNでは2回、BBCでは1回見たことがありましたが)。今日(3月15日)のNHKワールド・プレミアムの検閲ブラックアウトは私にとって初めての経験でした。外国の衛星放送を見る機会のある「お金持ち層」の中国人も非常に多くなっている現在、中国の人々は、こういったテレビ放送の検閲カットに対して、どう思っているのでしょうか。

 このお正月、2008年には、「北京オリンピックがあるほかにもいろいろありそうだ」と書いた私ですが、実際、これからもいろいろなことが起こりそうな気がしています。 

| | コメント (0)

2008年3月 8日 (土)

なぜ農民工代表が全国人民代表になれるのか

 3月5日から第11期全国人民代表大会が開かれています。全国人民代表大会の議員(全国人民代表)は任期5年間で、第11期の任期は今年2008年から5年間ということになります。今年の全国人民代表の「目玉」として、農民工の代表が3人、代表になっている、ということが新聞などで取り上げられています。彼らは3月6日、記者会見に登場して、記者の質問を受けました。

(参考)「京華時報」2008年3月7日付け記事
「10人の社会を支える層(基層)から選ばれた全国人民代表がまとまって記者のインタビューを受けた」
http://beijing.jinghua.cn/c/200803/07/n771513.shtml

 このニュースを見て「へぇ~、苦労している農民工の中からも全国人民代表(国会議員)が選ばれるんだ。中国の民主化もかなり進んだんだなぁ。」と感心する人もいると思います。しかし、注意深い人はすぐに気が付くはずです。というのは、農民工は、農村戸籍を持つ人が都市部に働きに出てきているけれども都市部の戸籍を持っていない労働者のことを指すわけで、都市部の戸籍を持っていない人が、どうやってその地区の国会議員になれるのか、という疑問が湧くからです。農民工は、都市部の戸籍を持っていないために、都市部で医療保険などの福利政策の対象になっていないし、その子女は都市部の公立学校に入れない、などが大きな問題になっているのです。

 農民工が都市部の戸籍を持っていないのならば、彼らには都市部で「全国人民代表」に選出される法律的根拠があるのでしょうか。戸籍がないならば、被選挙権もないはずで、それならば「人民代表」に立候補できないはずだからです。

 もし仮に中国の選挙法では、その地区の戸籍がなくても立候補できるのだ、と仮定して、都市部で農民工が「全国人民代表の候補」に立候補できたとして、この農民工の候補者に投票する者(都市部の地方レベルの人民代表)は農民工の代表と言えるのでしょうか。

 中国の全国人民代表は、有権者による直接選挙ではなく、地方レベルの人民代表による間接選挙で選ばれます。一番下のレベルの地方の人民代表は人民の直接選挙で選ばれますが、立候補に当たっては中国共産党による推薦が必要、などの一定の制限があります。都市部で働く農民工には戸籍がないわけですから、最も下のレベルの都市部の人民代表を選ぶ選挙権もないはずです(農民工が持っているのは故郷の農村部の人民代表を選ぶための選挙権です)。であれば、都市部の地方レベルの人民代表は、都市部で働く農民工から選ばれた農民工の代表とは言えません。そういった都市部の地方レベル人民代表によって間接的に選ばれた候補者は、例えその人自身が農民工だったとしても「農民工の代表」と言えるでしょうか。

 以上の2重の意味で、今回「目玉」と言われている「農民工の代表としての全国人民代表」は、「農民工の代表とは言えない」と私は思っています。逆に「被選挙権があろうがなかろうが、全国人民代表になれる」という意味では、中国の全国人民代表を選ぶ制度のいい加減さ(=全国人民代表は、選出地域の人民を代表してない、ということ)を表していると思います。

 全国人民代表大会は、よくマスコミでは「日本で言えば国会に当たる」と紹介されます。しかし、上記の事情を見れば、全国人民代表大会が「普通の民主主義国」の国会に相当するものではないことは明らかです。今回の「農民工の代表が全国人民代表に選ばれた」というニュースは、中国当局の意図とは裏腹に、むしろ中国の全国人民代表大会というのはどういう性質の会議であるのか、を世界に示すニュースになったと私は思っています。

| | コメント (0)

2008年3月 3日 (月)

中高年の農民工の苦悩

 昨日(3月2日)付の人民日報に「民工の『不足』は、民工の『狼狽』」と題する評論が載っていました。

(参考)2008年3月2日付け人民日報(評論)
「民工の『不足』は、民工の『狼狽』」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-03/02/content_46247199.htm

 この評論の見出しは「欠乏」「不足」を意味する中国語の[荒]と、「狼狽する、あわてる」を意味する中国語の[慌]を掛けた、一種の「かけことばを使った見出し」です。この評論のポイントは以下のとおりです。

○最近の統計によれば、中国の農民工は、総数1.3億人であるが、農民工は、40歳以上であるか、それより若いかで状況が大きく異なる。

○2006年、農民工の平均年齢は28.6歳、16歳~40歳が84%を占め、41歳以上は16%しかいない。

○40歳を超えた農民工たちは、どこへ行ったのか。「故郷へ帰る」というのが、彼らの大部分の避けられない選択肢なのである。

○彼らのうち一部は、故郷に対する愛着が深く、出稼ぎで生活が改善したら、故郷に帰ってゆっくり暮らそうと思っている人もいるし、一部の人は、都会で一定のお金を貯めて手に職を付けた後、故郷で起業しよう、という人もいる。しかし、何らの職業能力も得られず、年を取ったために若い人との競争に勝てなくなった多くの人は、都市に留まっていても生活を保障することができないので、やむを得ず故郷に帰るのである。

○「農民工の労働力が不足している(中国語で[荒])」とは「若手労働力が不足している」という意味であり、中年農民工にとっては「不足」ではなく「狼狽」(中国語で[慌])なのである。40歳を超えると、養老保険の給付が始まる60歳までの間、20年間の失業リスクの年代に入ることになる。

○若い農民工が都市部に流入し、中年農民工が失業して故郷に帰る、という問題は、長期的に見れば、大量の雇用を生み出す労働集約型の産業を適切に発展させ、同時に職業教育を充実させて農村部で生み出される中高年の労働者に都市部で引退するまで働ける能力を取得させることによって解決する必要がある。

----------------

 中国は、一人っ子政策により、若い世代が減り、中高年齢層の割合が増える、という事態に直面しつつあります。中国は、そろそろ安い労働力に頼った労働集約型産業から脱却しなければならない、とよく言われますが、農村部の労働者の年齢別人口構成を考えると、上記の評論で述べられているように、まだまだ都市部での労働集約型産業に頼らざるを得ない、という実情があります。

 「人口の急速な高齢化」「高齢者の社会保障の問題」は、日本を含めて各国が抱える大きな問題ですが、中国では人口規模が大きいだけに、より深刻な問題として解決を迫られます。上記の評論では、若い農民工も、中高年の農民工も、結局は都市部で引き受けるべき、という結論になっていますが、それでは農村部では誰が農業を支えるのでしょうか。農民工の問題は、農村コミュニティーの崩壊、農業生産力の減退、という中国の国家存立の観点から見て重大な問題を抱えています。農民、農村、農業の問題は「三農問題」と呼ばれ、中国の持つ重要な課題であると認識されていますが、どちらの方向に向かうべきか、明確なビジョンを示すことに、今のところ、誰も成功していません。

 現在の中国の指導部も、問題の所在を認識し、問題解決に努力していると思います。しかし、どういう方法で解決しようとしているのか、議論の過程が全く見えて来ていません。今日(3月3日)から政治協商会議が始まり、明後日(3月5日)からは全国人民代表大会(日本の国会に当たる)が始まります。これらは、すぐには解決できない難しい問題だと思いますが、「私はこうすべきと思う」「いや、もっとこうすべきだ」という政策論議をオープンに行って、多くの人の知恵を結集して欲しいと私は思います。

| | コメント (0)

2008年3月 1日 (土)

周恩来生誕110周年記念講話の意味

 今日(3月1日)付けの「人民日報」など中国の主要紙に昨日(2月29日)に行われた中国共産党の周恩来生誕110周年記念座談会で胡錦濤党総書記・国家主席が行った「講話」が掲載されています。

(参考1)「人民日報」2008年3月1日付け1面記事
「周恩来同志生誕110周年記念座談会における講話-胡錦濤」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-03/01/content_46084689.htm

 周恩来は、革命第一世代の政治家で、毛沢東の盟友でした。26年間国務院総理を務めて、1976年1月に亡くなりました。情熱的に理想主義に突っ走る毛沢東の傍らにあって、常に現実を見つめ、「行き過ぎ」に走りがちな毛沢東の手綱をうまくさばいていたと言われています。そういった周恩来に対して、毛沢東も全幅の信頼を置いて、常にそばに置いていました。たぶん周恩来という優秀な「副官」がいなければ、毛沢東の偉業はなかったでしょう(そのことは毛沢東自身も、よくわかっていたと思います)。超カリスマ的存在で、手の届かない人、というイメージのある毛沢東に対して、多くの人民は、周恩来には親しみを感じていた、と言われています。まだ周恩来総理の記憶が人々の脳裏にあった1980年代の頃には、中国の人々に、歴史上最も尊敬する人は誰か、というアンケートを取ると、毛沢東よりも周恩来の方を選ぶ人が多い、とも言われていました。

 そういった周恩来の功績を讃えて、この時期に中国共産党が生誕110周年座談会を開催し(周恩来は1898年3月5日生まれ)、胡錦濤党総書記・国家主席が「講話」を発表することには何の不思議もありません。ただ、私としては、ここに胡錦濤党総書記・国家主席のひとつの「意志」を感じたのです。

 というのは、上に書いたように、周恩来は、毛沢東の情熱的で極端に理想主義的な行動を現実的立場からコントロールをしていた人=文化大革命の行き過ぎにブレーキを掛けた人、というイメージが強いからです。

 文化大革命時代、毛沢東に威光を背景にして、極端な理想主義的路線を強力に推し進めた江青(毛沢東夫人)をはじめとする「四人組」(江青、張春橋、姚文元、王洪文)にとっては、現実的な立場から「行き過ぎ」を戒める周恩来は「目の上のタンコブ」的存在だったのです。文化大革命路線に反対していたトウ小平らを排斥する運動の中で、1973年頃、「四人組」は「批林批孔」運動を展開しました。

 「林」は、1971年、毛沢東からの奪権計画に失敗し、国外へ亡命しようとして乗っていた飛行機が墜落して死亡した国家副主席だった林彪のことです。「孔」は「孔子」のことです。「孔子」の思想は、復古主義、男尊女卑など近代化に反する部分については批判すべきだ、として、辛亥革命など中国の近代化革命において常に批判の対象とされてきました。その意味では、「孔子」を批判することは、1970年代の時点では「いまさら」の感があるのですが、実はこの時の「批林批孔」運動の「批孔」の部分は、「四人組」が孔子批判に当てつけて周恩来を批判しようとしたのだ、と言われています。孔子は、国が乱れ、春秋戦国時代に入る前の昔の周の政治を理想としていました。つまり孔子は「周」を賞賛したので、孔子を批判することは「周」を批判することを意味する、つまり周恩来批判に通じる、というわけです。

 文化大革命当時、中国の多くの人民は、「四人組」のあまりに理想主義的で極端な平等主義的なやり方に辟易(へきえき)していました。そのため、「四人組」の暴走を抑える役割を果たしていた、周恩来総理に大きな敬愛の情を抱いていました。

 1976年1月、周恩来総理はガンで亡くなりましたが、その年の4月の清明節(亡くなった人を祀る日とされています)をきっかけにして、周恩来総理を偲ぶ多くの人民が天安門広場の革命英雄記念碑の周りに花輪を捧げました。これら多くの人民の行動は「四人組」には、自分たちに対する反対の意思表示だと思えたのです。そこで「四人組」は、天安門前広場の花輪などを撤去し、この動きを扇動したとしてトウ小平を失脚させました。これが1976年の第一次天安門事件です。

 2008年2月29日の時点で、胡錦濤党総書記・国家主席が周恩来総理の功績を讃える長文の「講話」を発表した、ということは、自らも周恩来総理を敬愛している、1976年の第一次天安門事件の時に花輪を捧げた多くの人民と同じ気持ちである、ということを強く表明したことを意味します。第一次天安門事件が「四人組」の言っているようにトウ小平が扇動した、というのが事実かどうかはともかく、天安門広場に花輪を飾った人民とトウ小平が「四人組」=「文化大革命」に反対していた点で、同じ考えであったのは間違いありません。その意味では、胡錦濤党総書記・国家主席もトウ小平の改革開放路線を継承しているのですから、トウ小平と同じ立場であり、周恩来総理を讃える立場を取ることは当然のことであって、新しいことでもなんでもありません。

 ただ、3月5日に次期(=第11期(2008年からの5年間))の全国人民代表大会が始まるこの時期に改めて胡錦濤党総書記・国家主席が周恩来総理を讃える「講話」を発表したことは、胡錦濤氏は、自分は「四人組」=「文化大革命」の路線には絶対に戻らないぞ、という固い意思表示をしたかったのだ、と私には思えました。急激な経済成長に伴う様々な矛盾が噴出している現在の中国において、こういった諸矛盾は改革開放政策を進めたせいだ、だから文化大革命時代の理想的精神に戻るべきだ、と主張する「新左派」勢力が党内にはまだいて、胡錦濤党総書記は、そういった「新左派」の考え方には与(くみ)しないことを明確に示すために、改めて周恩来総理を讃える「講話」を発表したのだと思います。

(参考2)このブログの2007年8月11日付け記事
「『新左派』と『新自由主義派』」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/08/post_102b.html

 私は、昨年4月に北京に再び駐在するようになってから今まで、新聞などでは、1976年の第一次天安門事件を讃えるような論調を全然見かけませんでした。1986~1988年に北京にいた私にとって、これは非常に奇妙な感覚でした。第一次天安門事件は、「四人組」に反対する多くの人民の意志表示であり、「文化大革命」に終わりを告げ、トウ小平が進めた現在へと続く改革開放路線のスタートとなる事件であり、讃えられて当然だと思うからです。

 おそらく、第一次天安門事件を讃えることは、即座に、それでは1989年の第二次天安門事件をどう考えるのか、という議論を呼び込むので、現在の政権内では「第一次天安門事件は讃えたいのだけれども、あまり触れたくない」というのが実情なのでしょう。ところが、私は、今回の胡錦濤総書記・国家主席の周恩来を賞賛する「講話」からは、明示はしていないものの、第一次天安門事件を評価し、改革開放の出発点に戻ろう、という意志を感じました。その点で、私は、今回の胡錦濤氏の周恩来賞賛講話に強い「新鮮味」を感じたのです。

 正しいことは正しいと評価しつつ、誤ったことは誤りだったと率直に認め、改めるべきところはきちんと改める、というのが、1978年に始まった改革開放路線の原点のはずです。胡錦濤党総書記・国家主席は、その原点にようやく戻ろうとしているように思います。そのことは、2008年を、私が以前に北京にいた1988年(=1989年以前)に戻して、歴史の流れをようやく元の路線に戻す動きのスタートになればよいなぁ、と私は思っています。

| | コメント (0)

« 2008年2月 | トップページ | 2008年4月 »