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2008年1月22日 (火)

中国の不動産を巡る報道に「崩壊」の文字

 中国の不動産ブームについては、かなり前から「あまりにもスピードが速すぎる。バブル気味なのではないか。」との声が聞こえていました。そうした中、2007年の末頃から、政府による引き締め政策の影響もあり、さすがの中国の不動産ブームにも「かげり」のようなものが見え始めて来たように感じていました。

(参考1)このブログの2007年12月22日付け記事
「中国の不動産ブームはピークを越えたのか?」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/12/post_7322.html

 2008年に入り、深セン、上海、北京などではいくつかの不動産仲介業者が店を閉める、という報道がなされるようになりました。

(参考2)「新京報」2008年1月10日付け記事
「中大恒基、近く50店を閉店へ」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2008/01-10/021@073510.htm

 これらの動きに関する新華社などの報道の中には「崩壊」の文字を使うものも出てきました。

(参考3)中国経済ネットの記事を転載している新華社のページに2008年1月16日にアップされた記事
「中国最大規模の不動産仲介業者『創輝』が『崩壊』に瀕している」
http://news.xinhuanet.com/house/2008-01/16/content_7428402.htm

 これらの動きについては、人民日報もこの二日間、連続の特集記事として報じています。

(参考4)「人民日報」2008年1月21日付け記事
「創輝の暗然たる収縮(経済の焦点:関心を集める不動産仲介業(上))」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-01/21/content_39584201.htm

(参考5)「人民日報」2008年1月22日付け記事
「不動産仲介業界はなぜ揺れ動くのか(経済の焦点:関心を集める不動産仲介業(下))」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2008-01/21/content_39584201.htm

 この「人民日報」の記事の中では、マンション等を買おうとしている消費者が、現在のマンション価格の動向を見て「模様眺め」の状況に入ったために、ここに来て成約量が急減し、そのために不動産仲介業が店を閉めざるを得なくなった、という専門家の見方を伝えています。また、不動産仲介業は、パソコンと机さえあれば簡単に店を開けることから、これまで安易に店舗数を増やしてきた業者も多かったが、今回の事態はそういった「バブル気味の」仲介業者に市場から退場してもらうという「洗牌」(シーパイ:麻雀やトランプでゲームを始める前にパイやカードをかき混ぜること)の局面に入ったということだ、という冷めた見方も示しています。こういった「人民日報」の報道の仕方を見ていると、北京オリンピックまで異常な不動産ブームが続き、オリンピックが終わった後に一気にバブルが崩壊するよりも、オリンピックまで後200日ほどある今の時点で、つぶれるべき小さな「バブル」はむしろつぶれてもらった方がよい、という党中央の考え方が透けて見えるような気がします。

 ただ、上記の「急に店を閉め始める業者も出始めた」というのは、あくまで「仲介業者」の話であって、現時点ではマンションやオフィスビルを建設している不動産開発会社自身がバタバタ倒れているわけではありません。マンション等の販売には、新しくできた建物の販売と中古物件の販売とがありますが、成約数が極端に減少しているのは中古物件の方です。新規物件の方は、成約数は減少傾向にありますが、「激減」というところまでは行っていないようです。実際に住む家が欲しくてマンションを買おうと思っている消費者が買い控えをしているからなのか、投機対象でマンションを買おうとしている人たちが買い控えをしているからなのか、詳細は不明ですが、いずれにせよ全体として販売量が低下していることが、契約の成立を「日々のメシの種」にしている不動産仲介業者を直撃し、いくつかの業者で閉店に追い込まざるを得なくなったというのが実情だと思います。この傾向が長期的に続くようだと、やがては開発業者の中にも、投下した資金を回収できなくなるところも出てくる可能性があります。

 いずれにせよ、北京において、夜になると立ち並ぶマンションの多くの部屋に電灯が点らないことについて、私は前から気になっていました。実際に住んでいない投機目的のマンション所有者の数は、かなりの数いるのではないかと思います。

(参考6)このブログの2007年10月17日付け記事
「夜8時半過ぎの北京のビルの稼働率」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/10/post_7335.html

 気になるのは、投資対象としてマンションを購入している富裕層が今の事態にどういうふうに対応するかです。今日(2008年1月22日)、世界的株安の流れを受けて、中国の株式市場もかなり値を下げました。現在の中国経済成長は、低賃金労働の基盤の上に立った製品の輸出、土地開発とマンション・オフィスビル等の建設等に対する投資、富裕層による商品・サービスの購入等の内需、の3つが大きな柱です。為替レートと労働契約法の施行により安い労働力に頼った製品の輸出の比重は、今後は下がるでしょう。そうした中で、不動産による資産の目減りがありそうだ、株がどんどん上がるという状況でもない、という事態になって、不動産に対する投資が減る一方、将来を不安視した富裕層が全体的な買い控え傾向に走ると、中国経済全体が不活性な方向へシフトするおそれもあります。

 こういったことを考えると、これから北京オリンピックのある8月へ向けて、いろいろ予測できない状況が出てくる可能性もある、と私は思っています。

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