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2008年1月 3日 (木)

2007年の北京の大気汚染指数

 今年2008年は北京オリンピックがあるので、北京の大気汚染については、世界中の関心を集めると思います。中国国家環境保護総局は、毎日、主要な都市の大気汚染を指数として測定して発表しています。大気汚染指数(API:Air Pollution Index)は、100以下が「優」「良」、101を超えるとレベルによって「軽微汚染」「軽度汚染」「中度汚染」「中度重汚染」「重汚染」というふうに分類されます。大気汚染指数の定義及び大気汚染指数による汚染度合いの分類の仕方は、下記のこのブログの2007年6月19日付け記事を御覧下さい。

(参考1)このブログの2007年6月19日付け記事
「北京の今日の大気汚染度はIII(1)級(軽微汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/iii1_5bc5.html

 2006年1年間の北京の大気汚染指数の度数分布は、このブログの2007年8月22日付けの記事に書きました。

(参考2)このブログの2007年8月22日付け記事
「北京の自動車交通制限と大気汚染指数」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/08/post_284f.html

 年が明けましたので、これと同じ方法で2007年1年間の北京の大気汚染指数の度数分布をグラフにしてみました。

※データの出典:中国国家環境保護総局の重点都市大気汚染日報のページ
http://www.sepa.gov.cn/quality/air.php3
の下の方にある検索機能を使って「北京」の「2007年1月1日~2007年12月31日」の大気汚染指数を表示させて大気汚染指数を10ごとに分類してその指数を示した日数が何日あったかを数えたものが下記のグラフです。なお、車のナンバーの偶数・奇数による市内への乗り入れ制限を行った試験期間(4日間)の最終日の8月20日は「欠測」となっておりデータがありません。自動車の乗り入れ規制の最終日、という「最も大気汚染の状況が知りたい日」が「欠測」になっている理由は不明ですが、いずれにせよこの日だけデータがないので、2007年1年間のデータがある日は364日間となっています。

【2007年の北京の大気汚染指数の度数分布】(■=3日)

000-020:■1
021-030:■■■7
031-040:■■■9
041-050:■■■■■15
051-060:■■■■■■■■■■■31
061-070:■■■■■■■21
071-080:■■■■■■■■■■■■■■■■48
081-090:■■■■■■■■■■■■36
091-100:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■77
101-110:■■■■■14
111-120:■■■■■■■■24
121-130:■■■■10
131-140:■■■■■14
141-150:■■■■12
151-160:■■■■12
161-170:■■■7
171-180:■■■7
181-190:■■4
191-200:■■4
201-210:■2
211-220:0
221-230:0
231-240:■1
241-250:■1
251-260:■1
261-270:■2
271-280:■1
281-290:0
291-300:0
301以上:■3
合計=364日(欠測1日)

 2008年1月1日付けの「新京報」では、北京市環境保護局の副局長は、2007年の北京の「青空」(大気汚染指数が100以下の日)は、目標の245日を1日オーバーした246日となり、目標を達成した、と述べた、と伝えています(上記のグラフでは「欠測」扱いにしている8月20日を大気汚染指数100以下として数えると100以下の日は246日になります)。

 確かに数字の上では大気汚染指数が100以下の日は246日間で目標を達成していますが、上記のグラフを見れば、90-100の日数が異様に多く、101-110の日数が異様に少ないことがわかります。この傾向は上記(参考2)に掲げた2006年のデータでも同じです。統計学的に言えば、大気汚染指数が100を超えるか超えないか境界線にある日の測定値に関して、何らかのデータの操作が行われた疑いが大きい、と言って差し支えないと思います(もちろん「何らかのデータの操作が行われた」と言い切ることはできませんが)。

 全体的に見れば、2007年は2006年より汚染指数が明らかに下がっているので、当局の大気汚染対策の努力はそれなりに効いているのだと思います。また、私の感覚的な感じから言っても、20年前に比べれば、冬の間、スモッグのない青空の日数は増えたような気がします(夏の間の汚染はひどくなったように感じましたが)。このように全体的には改善の傾向があるのですから、「目標を達成できた」ことを強調するために測定データをいじくるような姑息なことはせずに、正々堂々と正しいデータを発表すべきだと思います。

 中国国家環境保護総局は、測定されたデータをそのまま公表しているだけであり、「データの操作が行われた疑いが大きい」などと言うのはケシカラン、と言うかもしれません。しかし、上記のような度数分布グラフを見れば明らかです((参考2)に掲げた2006年のデータの方がさらに顕著です))。これらのグラフを見れば「このデータはそのまま信用することはできないな」と思う人の方が多いと思います。

 どうも中国では、「鉄鋼生産量○○トン、自動車生産台数△△台」という国家計画のノルマを達成したかどうか、で業績が評価される古い社会主義体制のトラウマが今でも消えていないようです。古い社会主義体制下では、粗悪な鉄鋼でも、すぐ故障するような車でも、とにかく目標のトン数や台数をクリアすれば、それでOKだったので、昔は無理をして鉄鋼の生産トン数や車の生産台数を上げる努力が行われました。今でも、無理をしてでも「目標達成!」と言いたい、という風潮はまだ残っているのだと思います。

 国民の目を意識すると数字をいじりたくなるのでしょうが、最も恐いのは、政策決定者が操作された統計数字を基にしてい政策判断をしているのではないか、と思われることです。

 中国の新聞は、地方政府の問題点はかなり厳しく指摘するようになっていますが、中央政府に対する厳しい指摘は全くと言ってよいほどありません。こういった環境測定データについては、公表データをグラフ化すれば誰でもわかることなのですから、中国の新聞はもっとしっかり書くべきだと私は思います。

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