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2007年12月16日 (日)

炭鉱事故の裁判は「敏感な案件」

 昨日(12月15日)、黒竜江省七台河市中級人民裁判所で2005年11月27日に起きた炭鉱事故について会社側担当者の責任を問う裁判が始まりました。この炭鉱事故は、死者171人、ケガをした人が48人という大事故でした。

(参考1)「新京報」2007年12月16日記事
「死傷者219人を出した七台河炭坑事故、二年たって裁判開始」
http://www.thebeijingnews.com/news/guonei/2007/12-16/011@010623.htm

 上記の「新京報」の記事によると、事故が起きてから裁判が開始されるまで二年以上掛かったことに対しては、被害者の家族の多くが疑問に思っているとのことですが、七台河市中級人民裁判所のある副院長は「この案件は大変敏感な案件ですから」と言っていたことを伝えています。

 「新京報」の記事によると、被告側の弁護士は、裁判開始の数日前になって裁判期日の連絡があったそうで、準備が十分にできなかった、とのことでした。この案件の裁判開始まで2年以上掛かったことについて、この弁護士は「背景として地方の保護主義があると言わざるを得ない。(時間が掛かったのは地方政府がこの裁判について)承認するのを嫌がっていただけにすぎない。」と述べていた、とのことです。

 基本的に、中国では、裁判所は行政からの独立が十分になされていません。大きな炭坑は、多くの場合、その地方の基幹産業であり、炭坑を経営する会社は地方政府と近い関係にあるケースが多いのです。捜査を行う地元の警察や会社を監督する地方政府自体が会社と近い関係にあるので、会社側の責任を明確化するための捜査がなかなか進まないことが多いようです。中国で大きな炭坑事故がなくならない背景には、こういった地方政府と炭坑会社との密接な関係があるものと思われます。

 本件については、新華社通信が伝える以下の評論でも「なぜ地方の警察と検察の反応がこんなに遅いのか」という疑問の声を上げています。

(参考2)「新華社」2007年12月16日にアップされた艾琳という人の評論
「『七台河事件』は本当はこのような形では終わらない」
http://news.xinhuanet.com/comments/2007-12/16/content_7254374.htm

 この評論では、これだけの大事故で、中央も重要視していたこの七台河事件でさえこんなに時間が掛かったのだから、中央がそれほど重要視していない普通の事件はどういう扱いになっているのだろうか、と疑問を呈しています。

 地方政府と地元企業との癒着は、環境問題などにおいても、取り締まる側の地方政府と取り締まられる側の地元企業とが癒着しているのだから、実効的な取り締まりができるはずがない、などと以前から指摘されています。中央は「地方政府の執政能力を高めなければならない」などというスローガンは山ほど流すのですが、全然、実効が上がっていません。また、現在何か有効な手立てを検討中であるようにも思えません。スローガンばかりで、実態的には何も事態が改善しない状態が続いていると、そのうちに「中央政府の執政能力」に対して多くの人が疑問を持つようになるのではないか、と心配になります。

 こういった前近代的な政治体制のままで、中国は、今後も急速な経済成長を続けていくのでしょうか。私には、政治と経済とのアンバランスがそのうち危機的な場面をもたらすことになるような気がしてなりません。

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