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2007年12月18日 (火)

都市住民の「小産権」購入は違法と確定判決

 小産権問題(村などの「集団所有制土地」の上に立てられた別荘、マンションなどの住宅物件(小産権)を村民ではない都市住民などが購入することが違法かどうか)について、小産権を都市住民が購入することは違法、と判断した初めての裁判所の確定判例が昨日(12月17日)北京市第二中級人民法院第三法廷で出されました。

 「小産権」に関しては、下記の私のブログの記事を御覧下さい。

(参考1)私のブログの2007年12月15日付け記事
「都市住民による農村の『小産権』購入は禁止」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/12/post_fcc8_1.html

 最近、政府が「『小産権』を都市住民が購入することは法律上認められない」との見解を出していることと、不動産ブームで「小産権」を含むマンションや別荘の価格が急激に上昇していることから、過去に都市住民にマンションや別荘(場合によっては古いままの農民住宅)を売った農民が「売った住宅を取り戻したいので売買契約は法律上無効だったと確認して欲しい」と訴える裁判が相次いでいます。上記の私の12月15日付けブログで紹介しているケースでは、第1審で農民側が勝訴(裁判所が11年前に交わされた住宅売買契約は違法であるので無効である、と判断した)し、都市住民側が上告する方針を示しています。

 こういった状況の中、昨日(12月17日)、初めての上告審のケースの判決が出ました(中国では裁判は二審制なので、上告審の判決が確定判決です)。

(参考2)「京華時報」2007年12月18日付け記事
「北京の農民が画家の李玉蘭氏を訴えていた小産権売買に関する裁判で改訂判決」
http://beijing.jinghua.cn/c/200712/18/n585511.shtml

(参考3)「北京晨報」2007年12月18日付け記事
「宋庄画家村、非合法の判決を受ける」
http://www.morningpost.com.cn/article.asp?articleid=141758

(参考4)「新京報」2007年12月18日付け記事
「初めての『宋庄住宅案件』村民の勝訴で終わる」
http://www.thebeijingnews.com/culture/2007/12-18/011@092037.htm

 これらの新聞記事によると、この事件の経緯は以下のとおりです。

○北京市内の農村部にある「宋庄」という場所で「中国北京新創意産業基地--宋庄」といううたい文句で画家などをターゲットとした住宅物件が売り出された。都市住民である画家のA氏は2002年、4.5万元(今のレートで約68万円)でこの物件を購入した。A氏は、その後、約10万元を掛けてこの家を改造し、ここに住んで芸術活動を行っている。

○2006年年末、この物件の売主である地元農民のB氏は、家の売買契約の無効を訴えて裁判を起こした。B氏は裁判を起こした理由を明確には説明していないが、この物件の現在の評価額は約30万元(約450万円)以上と見られており、そのためB氏が「『小産権』の都市住民への売却は違法」という政府の見解を盾に、この物件を取り戻したいと思っているためだろうと言われている。

○第1審は、この案件は、集団所有の土地の上に建てられた住宅を集団の構成員ではない都市住民であるA氏に売却したためものであるため、この住宅の売買契約は無効、ただし売主のB氏は、買主のA氏に対して、9.3万元の損害賠償を支払うように、という判決だった。買主のA氏が判決を不服として上告していた。

○第2審(最終審)は、土地売買契約については第1審と同様無効とし、買主のA氏には90日以内に家を受け渡すよう命じるものであった。ただ、第二審判決では、損害賠償額については、現在の家の評価額に比して9.3万元と認定した一審の賠償額については、買主のA氏に対して、別途損害賠償の裁判を起こして売主のB氏から適切な額の損害賠償請求をすることが可能であると述べている。

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 「小産権の都市住民への売却契約は法律的に無効」という判決が確定した影響は大きいと思われます。今まで、何回も政府が「停止するぞ」と宣言しても実際は停止されていなかった「小産権」の売買について、今後は買い手が警戒心を強め、実質的に売買が停止される可能性があるからです。「小産権」は北京地区においては、マンションの売買件数の2~3割を占めると報道されており、その影響は小さくないと思われます。今後、既に「小産権」を買った都市住民による損害賠償請求の裁判が多発することも予想されます。

 また、この法論理は、各地の地方政府が農地や農民住宅地などの「集団所有」の土地を勝手に開発して販売している土地の乱開発にブレーキを掛けることになる可能性があります(買い手が警戒して買わなくなるため)。従って、この昨日の判決は、今後の中国の不動産市場に大きな影響を与える可能性があると思われます。

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