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2007年12月17日 (月)

中国の法定休日変更は国務院が決定

 昨日(12月16日)、中国の法定休日の変更を定めた条例を国務院が発表しました。「法定」というからには、法律で決めることになるので、てっきり日本の国会にあたる全国人民代表大会が決めるのかと思っていたら、法律によって国務院(行政府:日本の内閣にあたる)に決定権が委任されているようで、12月16日に国務院が新しい休日の条例を発表して、これが「最終決定」ということなのだそうです。この休日の変更は来年1月1日から施行されます。即断、即決なのはいいのですが、こういった国民生活に密接に関連する事項が議会(全人代)で全く議論されずに、あっという間に決まってしまうことに、中国のこの手の「決定」には慣れている私としても、またまた驚かされました。

 このブログの12月9日の記事に「元旦、清明節、メーデー、端午節、中秋節の1日休みは、その日ズバリではなく、年によって近接する月曜日に設定することとし、日本や欧米の『ハッピーマンデー』と同じように土日と合わせて3連休にしよう、という計画」と書きましたが、これは正しくありませんでした。上記の休日が土日に重なった場合は「振り替え休日を作る」というのが条例の内容なので、土日に重ならない年は「ハッピーマンデー」にはなりません。

(参考1)「人民日報」2007年12月17日付け記事
「全国季節休日及び記念日休日に関する規則」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2007-12/17/content_34030768.htm

 具体的には、2008年の中国の法定休日は以下のとおりとなります。

新暦の元旦:1月1日(火)
旧暦の大晦日と正月1日、2日:2月6日(水)、7日(木)、8日(金)
清明節:4月4日(金)
メーデー:5月1日(木)
端午節:端午節の6月8日は日曜日なので、たぶん6月9日(月)が振り替え休日
中秋節:中秋節の9月14日は日曜日なので、たぶん9月15日(月)が振り替え休日
国慶節:10月1日(水)、2日(木)、3日(金)
合計11日

※この他に「婦女節」(3月8日)、青年節(5月4日)、児童節(6月1日)、中国人民解放軍建軍記念日(8月1日)のある特定のグループの人が取る半日休みや少数民族の習慣に基づく祭日などがありますが、これらは普通の政府機関や会社は休みにはなりません。

 今年は春節を大晦日からの休みにすると5連休になり、清明節、端午節、中秋節ともに土日に重なった場合に月曜日を休みにすると全て3連休になるのでこの方式でよいのですが、来年以降も同じ方式を続けるとすると、清明節、端午節、中秋節などが火、水、木にあたる年は3連休にはなりません。ですから、来年以降、必要に応じてまたこの「規則」を微調整して3連休になるように規則の方を変えるのではないかと思います(国務院決定なので、全人大での審議が不要なので、いつでも変えられますから)。

(注)日本の場合、「国民の権利や義務に直接関係する規定」は、基本的に内閣が勝手に決めてはならず、国会で議決して決めることになっています。従って、休日を変えたりするためには、国会で審議するのでそれなりに時間が掛かります。その方が、カレンダー業界に限らず、仕事や旅行の予定を前もって決められるので、国民の側からすると助かります。中国のように、突然「こう決めました」と発表されると、仕事や旅行の予定が立てられなくて困ります。

 私の場合、個人的な好き嫌いを言わせてもらうと、今年、5月のメーデー連休から10月の国慶節休みまで、全く休日がなかったので、ちょっと疲れが溜まるなぁ、と思っていたので、4月から9月まで休日が分散して3連休になる方が好きです。

 ちょっと深読みが過ぎるかもしれませんが、この休日の変更については、私は、胡錦濤政権による「江沢民・朱鎔基政権が決めた方針からの離脱」というひとつの政治的メッセージだと思っています。というのは、もともと5月のメーデーを1週間ぶっ通しの連休にしたのは、江沢民・朱鎔基政権が国内消費拡大のために導入した制度だからです。江沢民・朱鎔基政権は、大型プロジェクトをどんどん始めたり、国内消費拡大政策をどんどん進めて急速な経済成長を遂げましたが、胡錦濤政権は「経済成長は、速ければいいというものではない」という態度を取っているからです。

 12月3~5日行われた中央経済工作会議について解説した12月6日付けの人民日報の社説では、「国民経済を『うまく』かつ『速く』(中国語では「又好又快」)推進する」ことについて「うまく」(中国語では「好」)の方を優先させるべきである、と解説しています。この社説は「速いだけではダメで、調和ある発展が重要」という「科学的発展観」を掲げる胡錦濤政権の方針が江沢民・朱鎔基政権とは異なることを別の言葉で表したものだと思います。メーデーの連休をやめて、清明節、端午節、中秋節の3つの小連休に分散させた今回の休日改革は、この延長線上にあって、胡錦濤政権が江沢民・朱鎔基政権から脱皮する象徴的な決定だったのだと思います。

(参考2)「人民日報」2007年12月6日付け社説
「『うまく』(中国語で「好」)の字を優先させて科学的発展を推進しよう」
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2007-12/06/content_33672764.htm

 ただの休日の変更だったら、これほどあわてて変更する必要はなかったと思います。一向に冷却する兆しの見えないバブル気味の経済に対して、胡錦濤政権が「我々の政策運営は江沢民・朱鎔基時代とは違うんだぞ」ということを現実のものとして見せるために、いそいで休日改革をやったのではないか、と私は思っています。

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