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2007年12月 9日 (日)

中国では5月の連休がなくなる

 中国では、現在、春節(旧正月)、メーデー(5月初)、国慶節(10月初)の年間3つの一週間規模の連休があります。いずれも法定休日は3連休なのですが、多くの会社や機関では、前後の土日を振り替え出勤日にするなどして一週間ぶっ通して休むことが一般化しています。これは、2000年代初期、当時の江沢民・朱鎔基政権が国内消費の拡大のために大型連休を導入したためです。しかし、人口13億人を抱える中国で人々が一斉に休みを取るので観光地などはどこも大混雑で、中には「連休料金」と称して通常より高い入場料を取る観光地が出てきたりして最近問題となっています。

(参考1)このブログの2007年10月8日付け記事
「集中する連休を今後どうするのか」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/10/post_78de.html

 このため、現在、中国政府では、法定の休日を以下のように改正しよういう案が検討されています。

(現行)
1月1日の太陽暦の元旦(1日のみ)、春節(旧正月)の3連休、5月1~3日のメーデー(労働節)の3連休、10月1~3日の国慶節の3連休=合計10日間

(改正案)
1月1日の太陽暦の元旦(1日のみ)、春節(旧正月)の大晦日、旧暦1月1日、2日の3連休、清明節(太陽暦の4月上旬:1日のみ)、5月1日のメーデー(1日のみ)、端午節(旧暦の5月5日:1日のみ)、中秋節(旧暦の8月15日:1日のみ)、10月1~3日の国慶節の3連休=合計11日間

 その上、元旦、清明節、メーデー、端午節、中秋節の1日休みは、その日ズバリではなく、年によって近接する月曜日に設定することとし、日本や欧米の「ハッピーマンデー」と同じように土日と合わせて3連休にしよう、という計画です。こうすれば連休が分散されて、観光地の混雑なども緩和されるだろう、という発想です。

 これについては、最終的には法律マターなので、来年3月の全国人民代表大会全体会議で決まるのですが、それに先立ち、一昨日(12月7日)、国務院が上記の案を決定しました。

(参考2)「新京報」2007年12月8日付け記事
「国務院、休日調整草案を決定」
http://www.thebeijingnews.com/news/guonei/2007/12-08/018@041445.htm

 まだ、日本の国会にあたる全人代に提出するための政府(国務院)の原案に過ぎませんが、これが公表された以上、これが変更されることは考えにくいので、このままで決まることになると思います。

 この休日の変更案は、国民生活に大きな影響を与えるので、11月9日~15日の間、この案が発表された後、ネット上で国民の意向調査が行われました。その結果、8割の国民が賛成だったので、国務院はこの案を決定した、ということになっています。

(参考3)「新華社」のページにある休日ネットアンケート調査結果
http://202.123.110.196/govvote/vote/temp/surveyresult/vote1226_result.htm

 しかし、このアンケート調査については、設問自体がおかしい、といった声がアンケート実施時点からありました。

(参考4)「新京報」2007年11月10日付け記事
「法定休日調整案発表される」
http://www.thebeijingnews.com/hellobj/0990/2007/11-10/018@034519.htm

 この「新京報」の記事では「この設問では、最も国民の関心が高い『5月のメーデーの連休をやめることがいいと思うか』という問題に対する考えを述べることができない」とのネット上に寄せられた多くのコメントを紹介しています。

 実際、上記(参考3)の「新華社」の調査結果に掲げられているように、このアンケート調査の設問は以下のとおりになっています。

問1:国家の法定休日の総数が10日間から11日間になることに対して、あなたはどのように考えるか。

問2:メーデー休みを2日間減らす代わりに清明節、端午節、中秋節の3つの法定休日を新たに制定することに対して、あなたはどのように考えるか。

問3:国慶節と春節の連休をそのままにすることに対して、あなたはどのように考えるか。

問4:春節の休みの開始時期を旧暦の1月1日から旧暦の大晦日に変えることに対して、あなたはどのように考えるか。

問5:休日を調整した後、元旦、清明節、メーデー、端午節、中秋節の5つの休日を3連休にする案に対して、あなたはどのように考えるか。

問6:国が全面的に進めようとしている労働者の有給休暇制度に対して、あなたはどのように考えるか。

問7:あなたの職業を次の中から選んでください(選択肢は「国有企業従業員」「外資系企業従業員」「私営企業従業員」「公務員」「事業機関従業員」「その他」)

 これらは問7の回答者の職業を聞く設問以外は全て「支持する」と答えるのが当然のような設問になっており、多くの回答者が「支持する」を選ぶのは当然である、というような意見が出されているのです。

 中国政府は、最近、法律案を作成する時にパブリックコメントをするなど、一般国民の声を聞くようになっていますが、上記の休日改正案に対するアンケートを見ると、「結論先にありき」で、アンケートは単に国民の意見を聞く格好をしただけ、との批判を受けてもしかたがないと思います。

 ただ、「こういった設問の設定の仕方はおかしい」という声がネットの掲示板や一部の新聞に掲載されていることがひとつの「救い」で、今後は、政府としてももっときちんと一般国民の声が反映されるようにアンケートの仕方なども変えていくようになるのではないか、と私は期待しています。

 いずれにせよ、この休日変更案は来年3月の全人大で決定されれば来年5月のメーデーから実施されますので、メーデー連休を見込んで旅行の予約などを始めていた旅行会社などは対応におおわらわのようです。中国では、こういう変更が時間的余裕なしに急に決まるので、年間スケジュールが立てられなくて困ります。こういった政策の決め方が「中国の政策は今後どうなるかわからない」というイメージを多くの人に与えるので、もうちょっと影響を受ける側の身に立った政策決定をして欲しいと思います。

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