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2007年11月18日 (日)

中国経済はバブルか:2008年は転換点?

 2007年11月19日号(11月17日発売)の経済週刊紙「経済観察報」では、1面トップに「注意!王志浩氏が財政政策に転向」という見出しで、スタンダードチャータード銀行のイギリス人エコノミスト Stephen Green (王志浩)氏が財政政策について研究を始めたことを報じて、読者に「注意信号」を発信しています。この記事によると、王志浩氏は、来年下半期以降、中国経済の増加スピードはピークを過ぎてブレーキが掛かり始める可能性があるので、財政政策がさらに重要になる、と認識している、とのことです。

 一方、同じ号の「経済観察報」の「観察家」(オブザーバー)という欄には、「金融の不均衡に対する政策の調整が急がれる」と題するエール大学管理学院金融経済学教授で長江商学院客員教授の陳志武氏の論文が掲載されていました。陳志武氏は、この論文で、株のバブルが今後数年間の最も大きな経済的・社会的リスクである、と指摘しています。彼は、また、政府による社会保障、保険や公共的な年金制度、医療保障制度が整っていないという点で、今の中国は、1990年頃のバブルがはじける直前の日本というよりは、むしろ1929年(大恐慌直前)のアメリカの状況に似ている、とも指摘しています。

 今の中国経済の状況が「バブル」であるのかどうかは、人によって見方は異なると思います。経済の成長のスピードや投資、銀行の貸し出し量があまりにも大き過ぎて心配だと言う人がいる一方、自動車やその他の消費財の販売量は底固く、全体的に内需は増加傾向にあり、「バブル」的な部分は一部に過ぎない、と楽観視する人もいます。

 私は、来年(2008年)1月1日から施行される労働契約法(中国語で「労働合同法」)がボディーブローのように中国経済に効いてくるのではないかと思っています。労働契約法は、労働者の保護のための法律ですが、一定の条件を満たした期限付き労働者に対しては、本人が希望する場合は定年まで継続される期限なしの契約を締結することを使用者に義務付けているので、中国における労働コストがアップするひとつの大きなきっかけになる可能性があるからです。労働コストのアップは、安くて大量にある労働力に頼ってきた中国の産業構造に質的変化をもたらす可能性があります。

 また、世界的な原油高により、北京でもこの11月からガソリン代が値上げされていますが、石油の半分近くを輸入している中国は、今後とも世界的な原油高に大きく影響を受けていくことになると思います。そのような周辺状況を考えると、2008年は、単に北京オリンピック景気に区切りがつく、というだけではなく、もっと大きな意味で中国経済にとって大きな節目の年になる、と私は思っています。

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