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2007年10月 6日 (土)

北京地下鉄:5号線開通と運賃値下げ

 現在、北京には、天安門前の長安街の下を東西に走る1号線、第二環状路(昔の城壁の跡)の下を走る環状の2号線、1号線の東の端から東郊外へ延びる八通線、2号線の北東・北西の部分から、北の郊外を逆U字型に結ぶ13号線の4つの地下鉄があります。明日(10月7日)、それに加えて、環状の2号線の東3分の1くらいのところを南北に貫く地下鉄5号線が開通します。それにあわせるように、北京地下鉄の値段は、今は1号線、2号線内は3元(約45円)、13号線に乗り換えると乗り換え料金が必要だったものを、どの路線にどれだけ乗っても一律2元(約30円)に値下げになります。

(参考1)「新京報」2007年10月1日付け記事
「地下鉄10月7日から、一律料金2元に」
http://www.thebeijingnews.com/news/beijing/2007/10-01/021@075111.htm

 当初、地下鉄5号線の開業は、9月20日に、とアナウンスされていたのですが、国慶節連休の最終日である10月7日(日)に延期になりました。開業延期の理由はよくわかりません。また、5号線は、開業するけれども1年間は試運転期間なのだそうで、その間、不具合が生じた場合には、必要に応じて改善していくので、その点、利用者の皆様の御理解を御願いします、と北京市当局は言っています。

 料金値下げの理由もよくわかりません。9月後半頃から、地下鉄料金を値下げする、という案が出され、公聴会なども開かれていました(注)。その結果、9月30日に急きょ、5号線を10月7日に開業すると同時に、料金の値下げを実施する、との発表がなされました。今回は、新路線の開通と料金の値下げの発表なので誰も文句は言っていませんが、中国の場合、こういった市民生活に大きな影響のある事項が、1週間くらい前に急に発表になることがあるので要注意です(8月に行われたナンバープレートの奇数・偶数による自動車の北京市内での通行制限も、実施の1週間前に実施が発表されたのでした)。

(注)この地下鉄料金に関する公聴会については、市当局からは「一律2元にする案」「初乗り料金を2元とし、距離によって料金を加算していく案」が提示されて議論がなされました。「新京報」の10月1日付け2面の「観察家」という欄で、北京大学社会学教授の鄭也夫氏は、この二つの案は不均衡であり、誰でも「一律2元の案」を指示するはずだから議論になるはずがない、これは最初から「1律2元にする案」ありきで公聴会が行われたのではないか、と、市当局の案の提示の仕方を批判する意見を書いていました。

(参考2)「新京報」2007年10月1日付け論評欄「観察家」
北京大学社会学教授鄭也夫氏の評論
「地下鉄運賃制度と公聴会」
http://www.thebeijingnews.com/comment/guanchajia/2007/10-01/021@080146.htm

 北京のバスや地下鉄は北京市の財政的支援の下で運営されていますので、赤字になったら市から財政的に補填すればよいので、料金はいかようにも設定できるのですが、今回の料金の値下げは、原油価格の高騰をはじめとする諸物価上昇という周辺状況を考えれば、かなり思い切った措置だと思います。値下げの理由は発表になっていないので、よくわかりませんが、ひとつはバス料金(原則1元、ICカード割引を使うと0.4元)との価格差を小さくして、地下鉄を使える人にはできるだけ地下鉄を利用してもらおう、という方針から来ているのだと思います。また、最近のいろいろな物価上昇に対する市民の不満を少しでも和らげるため、という考えもあるのかもしれません。今回の値下げで、北京の地下鉄料金は、中国全土の中でも地下鉄料金としては最低水準になる、とのことです。

 明日開通する5号線に加えて、現在、北京では、環状線の西側3分の1くらいのところを南北に走る4号線、第三環状路の下付近を北京市の東側から北西部まで走る10号線、10号線から乗り換えてオリンピック・メインスタジアムへ行けるようにする8号線、飛行場と現在運転中の2号線を繋げる飛行場線、の4つの路線で建設が進められています。飛行場線やオリンピック・メインスタジアムへ直結する8号線など主要なところは、来年のオリンピックの前までに開通することになるでしょう(公式な開通予定日時は伝えられていないし、今回の5号線のように、開通日時が一度アナウンスされた後で変更される可能性もあるので、いつ開通するのか、ということについては断定的なことは言えません)。地下鉄の開通は、バスの利用者が地下鉄に回るだけで、マイカー族は地下鉄は使わないので、交通渋滞の改善にはあまり効果はないのではないかと言われています。

 北京の地下鉄は、1971年に1号線が開通し、1987年に2号線が環状線としてつながった後、この20年間で、1号線の東側への延長、八通線の開通、13号線の開通があっただけですので、地上部分でのビル群の建設ラッシュに比べると、かなり整備のペースは遅いと言わざるを得ません。私が19年前の1988年7月に書いた文章に以下のような部分があります。

「・・・新聞報道によれば、現在、東西線を東へ延長して天安門前を横断して東郊外まで伸ばす線と、西北の頤和園付近から環状線の北半分を串差しにして東へ抜けて東北郊外にある北京空港までを結ぶ線、天安門を中心に北京を南北に縦断する線の3つの新しい地下鉄路線が計画されているという。新聞には『1990年代内の完成を目指す』と書いてあった。中国の人に言わせると『つまり完成は20年後でしょうね』ということになるが、・・・」

(参考3)このブログの筆者のホームページ「北京よもやま話」にある
「地下鉄に乗って」(1988年7月8日)
http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/beijing/chikatet.html

 新聞に載っていた公式の見通しを無視して「完成は20年後でしょうね」と言っていた、当時の中国人の達見には恐れ入ります。地下鉄の路線計画も20年前にされたものと今とではだいぶ違っていることがわかります。オリンピックがなければ、多くの地下鉄の開業時期はもっと先に延びたでしょう。北京オリンピックが、少なくとも北京の公共施設に関して言えば、大きな促進要因になっていることは間違いないと言えると思います。北京オリンピックに対しては、いろいろな意見がありますが、オリンピックを契機に、こういった市民生活を支えるインフラが整備されていることは、よいことだと思います。

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