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2007年10月11日 (木)

明るさと安心の心理的影響

 私が、8月18日、夏休み期間中に日本に帰国している間に

http://folomy.jp/heart/

の「テレビフォーラム」にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

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アップ場所:
http://folomy.jp/heart/
「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年8月18日

【明るさと安心の心理的影響】

 今、夏休みのため駐在先の北京から日本に一時帰国しています。正直に言うと、今、北京に駐在している間は、「チャンスがあれば短期間でもいいから日本に帰りたい」といつも思っています。日本は、東京でも晴れれば青空になるので気持ちがいいからです。

 私は、20年前にも北京に駐在していましたが、あの頃はあんまり「日本に帰りたい」とは思いませんでした。20年前の北京は、冬は暖房用石炭の煙によるスモッグがひどかったのですが、夏は乾燥した青空の気持ちのよい日が多くありました。食べ物は、衛生管理が悪くてお腹を壊すことはあったし、残留農薬には気を付ける必要もありましたが、口に入れる物に有害な化学物質が入っているかもしれない、などとは心配しませんでした。

 20年前は、改革開放政策が軌道に乗り始めたばかりの頃で、「これからだんだんに良くなっていくんだ」という期待感を多くの人が持っていて、世の中に何となく明るさがあったように思います。今の中国は、経済発展が速いのはいいのですが、その経済発展のスピードについて多くの人がバブル的だと感じていて、「いつかはハジける」という何とはない不安感があって、世の中に「安心できる明るさ」がないのです。

 私の場合は、それに加えて「何を食わされているのかわからない」という心理的プレッシャーがあります。実際にはそれほど心配することはないのだろうと思いますが、日本の場合、何かあったら内部告発によってすぐに表沙汰になりテレビや新聞で大騒ぎになるので、「騒ぎになっていないから大丈夫だろう」と変な形で安心できるのに比べて、中国では、食品に問題があっても表沙汰にならないケースが多いので、消費者側に「これだから安心だろう」と判断できる材料がなく、それが心理的には負担になっているのです。

 今、中国では、留学のために外国に出国した学生のうち4分の1しか帰国していない、という現状が問題になっています。最近は、中国国内も経済発展し、中国で起業してお金持ちになることも可能になったので、帰国する人も増えていますが、根本的な原因は、海外留学組にとって魅力的な就職口が中国国内にはまだ数としては少ないからのようです。帰国する海外留学組が少ない問題と、大気汚染や食品の安全の問題は、基本的には別の問題ですが、心理的影響としてはある程度関係しているのではないかと私は思っています。

 私の個人的感触としては、中国は、経済発展はしましたが、この20年間で「住みたいと思う魅力」を失ったように思います。中国人の中にも私と同じような感覚を持っている人がいるのではないでしょうか。夏のきれいな青空と「今はまだ苦しいけれども、これからどんどんよくなっていくはずだ」という期待感から来る明るさ、そういった20年前にあったものを、中国にはぜひ取り戻して欲しいと思います。

(2007年8月18日、日本にて記す)

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