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2007年10月 3日 (水)

重慶でバス火災27人死亡・放火か?

 昨日(10月2日)17時15分頃、中国の重慶市でバスの火災事故がありました。このバスは、ある会社の支社が持っているバスで、乗っていた乗客と運転手38名のうち27名が死亡しました。私がこのニュースを知ったのは今日(10月3日)の北京の大衆紙(朝刊紙)「新京報」に記事が載っていたからでした。

(参考1)「新京報」2007年10月3日付け記事
「重慶でバス火災、27人死亡」
http://www.thebeijingnews.com/news/guonei/2007/10-03/011@070418.htm

 本件については、国営通信社「新華社」が迅速に最新情報の報道を続けています。「新華社」の記事は下記のホームページで見ることができます。

(参考2)「新華社」(重慶地方版)2007年10月2日20:25アップ記事
「重慶でバスの火災事故、27人が遭難」
http://www.cq.xinhuanet.com/photonews/2007-10/02/content_11315340.htm

(参考3)「新華社」(重慶地方版)2007年10月3日17:26アップ記事
「重慶のバス火災事故は、関係者の故意による放火」
http://www.cq.xinhuanet.com/2007-10/03/content_11315324.htm

 これらの記事によると、運転手は、運転手のすぐ後ろに座っていたこの支社の元副支社長夫妻(夫妻は二人とも死亡)の荷物から火が出た、と証言している、とのことです。この元副支社長は、自分の家庭の事情と自分の家族を会社職員として働かせていたことについてトラブルがあり、2週間ほど前の9月20日に会社から停職処分を受けたばかりで、現在、会社に事情を調査されていたことから、これを不満に思って、故意に会社のバスで中に放火したのではないか、と警察は見ている、とのことでした。

 以上の報道を見る限り、このバス火災事故は、故意によるものではありますが、いわゆる「テロ」ではなさそうです。

 私がちょっと驚いたのは、本件の報道の速さです。事故が起きたのが昨日(10月2日)の17:15頃で、新華社は2時間40分後の19:55付けで現場からの報道をホームページにアップしています(しかも燃えているバスの写真付き)。日本やアメリカなど報道機関の活動が自由にできる国では普通のことですけれども、今回の事件のように、「テロ」である可能性のあるような事件については、中国では従来は一定の抑制が掛かり、「テロではない」ことがわかってから報道されるケースが多かったのです。

 この7月の遼寧省でのカラオケ店爆発事故(25人死亡:これも炭坑を経営するカラオケ店主がカラオケ店内にダイナマイトを保管していたことによる事故であり「テロ」ではなかった)の報道も迅速でした。

(参考4)このブログの2007年7月6日付け記事
「遼寧省のカラオケ店の爆発で25人死亡」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/07/25_07f6.html

 この8月の全国人民代表大会常務委員会で「国家突発事件応対法」という法律が可決成立しました(施行は2007年11月1日)。この法律の当初原案には、「報道機関は、突発事件の進展及びその対応措置業務に関する情報を規定に違反して勝手に報道してはならない。」という規定があったのですが、この規定は、地方政府に報道制限の口実を与えかねない、などといった批判が相次ぎ、結局は、法案の審議の過程で削除されました。

(参考5)このブログの2007年6月30日付け記事
「報道の自由は社会の安定的変化の重要な要素だ」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/post_544b.html

 成立した法律の規定では、報道に関連する部分は以下のとおりになっています。

中国国家突発事件応対法:第54条
「いかなる機関または個人も、突発事件の事態の進展及び緊急の対応措置業務に関する偽りの情報をねつ造し、流布してはならない。」

(参考6)全国人民代表大会ホームページ
「中華人民共和国国家突発事件応対法」(全文)
(2007年8月30日第10期全国人民代表大会常務委員会第29回会議通過)
http://www.npc.gov.cn/zgrdw/common/zw.jsp?label=WXZLK&id=371227&pdmc=110106

 こういった法律制定の過程にあった議論を通じて、事件・事故を迅速に伝える、という報道機関の使命が、中国においてもだんだん社会的に定着してきているのだと思います。

 ただし、今回の重慶でのバスの火災事故については、27名が死亡した、という事故の重大さのわりには、テレビでの報道はないし、人民日報などの全国紙も報道していません(ネット上の英字紙チャイナ・ディリーのホームページには10月3日夜の時点では載っているので、チャイナ・ディリーでは明日(10月4日)付けの紙面に載ると思います)。これは報道機関の姿勢の問題ではなく、炭坑事故で何十人死亡、などという事故は中国ではしょっちゅうあるので、多くの人数の人が亡くなっても、みんなあんまり驚かず、大きなニュースだと思わない、という感覚があるからなのかもしれません。でも、社会の安全意識の向上の観点から言ったら、こういった大きな事故は、報道機関は「社会への警鐘」という意味で、もっと大きく報道していいと思います。

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