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2007年9月 1日 (土)

肉まん事件以降、牙を抜かれた「焦点訪談」

 中央電視台第一チャンネル(総合チャンネル)で、毎日、「新聞聯播」(夜7時のニュース)、天気予報に続いて19:38から放送される報道番組「焦点訪談」は、中国社会が抱える問題を鋭く指摘する番組として、私としても楽しみにしている番組のひとつでした。地方政府の窓口で法令に基づかない違法な手数料を徴収しているとか、水の供給設備の補助金を受け取りながら動かない設備を備え付けただけでほったらかしにしてある地方政府の実態とか、許可を得ないで勝手に農地に別荘を建てて儲けている村の政府とか、そういうところに直撃取材を試み、時として隠し撮りで不正の実態を暴く番組でした。

(参考1)このブログの2007年7月13日付け記事
「中国の地方政府による無秩序な土地開発」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/07/post_1c55.html

 ところが、7月に北京電視台による「段ボール肉まんやらせ事件」が起こって以降、この「焦点訪談」が全然つまらなくなってしまいました。

(参考2)このブログの2007年7月13日付け記事
「『段ボール肉まん』報道は『やらせ』だった」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/07/post_10f1.html

 最近の「焦点訪談」は、「洪水に苦しむ住民とそれを助ける地方政府」とか「身体障害者を援助する地域住民」とか、確かに社会問題は扱っているし、間違ったことは放送していないし、扱っている問題は社会的に重要な問題ばかりですので、番組制作者に対しては、大変失礼なんですけど、「つまらなくなった」というのは私の素直な感想です。「隠し撮り」の手法を使うことがなくなっただけでなく、「不正を暴く」という姿勢もなくなってしまったように思えるのです。そんなふうなので、最近は、私も「焦点訪談」を見なくなってしまいました。発表はされていませんが、たぶん、視聴率も落ちていると思います。

 「段ボール肉まんやらせ事件」のようなことは再発させてはならん、という「その筋」からの「お達し」があったのでしょうし、番組制作の現場もかなり萎縮しているからなのだろうと思います。でもこれでは「ヘタなことをやって、住民から中央電視台に投書でもされて、『焦点訪談』で取り上げられたらヤバイ」と思って緊張していた地方政府の「タガ」がゆるんでしまうのではないかと心配です。こんなに「焦点訪談」の牙が抜かれたような状態を見ると、あの北京電視台の「段ボール肉まんやらせ事件」自体が、実は「不正暴露報道をやめさせたい」と思っていた勢力による「やらせ」だったのではないか、などと勘ぐりたくなってしまいます。

 もう「段ボール肉まんやらせ事件」から1か月半たって「ほとぼり」も冷めた頃だと思いますので、「焦点訪談」には、以前のような「鋭さ」を取り戻して欲しいと思います(10月15日から開幕する共産党大会が終わるまでは無理かな)。

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