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2007年9月30日 (日)

月探査ロケット打ち上げ見学費用が1000元?

 日本の月探査機「かぐや」は、今、月へ向かって飛行中ですが、中国の月探査機「嫦娥1号」も順調に行けば年内にも打ち上げられる予定なので、中国では、月探査計画についての関心が高まっています。

(参考1)このブログの9月15日付け記事
「『新京報』1面トップ写真は日本の月探査機」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/09/post_7cb6.html

 その関連で、9月28日、「西昌嫦娥奔月旅遊開発公司」という旅行会社が「嫦娥1号」の打ち上げが見られる場所の入場料を800元~1,100元(12,000円~16,500円)にすると発表しました(「西昌」はロケット発射場がある場所の地名)。この値段について「高すぎる」「高すぎない」とけんけんがくがく議論になっています。2006年の都市部の給与所得者の平均年収が21,000元(約315,000円)、北京のタクシーの初乗り料金が10元(約150円)ですから、800元~1,100元という額は相当に高い値段です。

(参考2)新華社のホームページに2007年9月30日にアップされた掲示板
「衛星発射場の入場料として1,000元は必要なのだろうか」
http://news.xinhuanet.com/forum/2007-09/30/content_6810886.htm

 上記の新華社のネットの掲示板では、「これだけの国家プロジェクトが現場で見られるのだから800元は高くない」という賛成論、「そもそもなんで『西昌嫦娥奔月旅遊開発公司』なんていう会社が設立されているわけ? これって『不当な独占』(中国語で「壟断」)じゃないの?」という反対論、「もし入場料収入が中国の宇宙開発に使われるのなら800元は寄付だと思えば払ってもいいと思うけど、入場料収入がどこへ行くのかわからない。」という疑問、などが交わされています。

 中国では明日(10月1日)から国慶節の連休です。最近は、中国の人々の中にもかなり経済的に豊かな人が多くなったので、この連休中、大勢の人々が国内旅行を楽しみます。そうした中で、最近、有名な観光地の入場料が高すぎる、という不満の声が上がるようになってきています。例えば、北京の故宮博物館の入場料は60元します。故宮は、明・清時代の皇帝の宮殿で、明や清の時代には一般の人々はとても入れるところではなかったので「紫禁城」とも呼ばれています。それが20世紀の革命を通じて、今は、一般の人民でも自由に見学できるようになりました。そういった歴史的意味を考えれば、「入場料が高くて、やっぱり一般人民は入れない」というのではまずいと思います。企業や財団などの寄付によって運営されていて入場料をタダにしているアメリカ・ワシントンD.C.のスミソニアン博物館やロンドンの大英博物館などのことを考えると、「人民の国」中国の故宮博物館の入場料が「人民」にとっては高すぎるというのも、おかしな話です。

 北京にいる農民工の人たちなどは、初乗り10元のタクシーなどには絶対乗りません。彼らは市内の移動には、自転車か、そうでなければ、ICカードを使うと割引料金の0.4元で乗れるバスを利用します。そういった感覚からすれば故宮博物館の入場料の60元はかなり高いし、ましてやロケット打ち上げ現場の800元~1,100元などという入場料は別世界の話のように見えると思います。

 故宮博物館などは、施設や展示品の保管管理や補修にお金が掛かるので、ある程度の入場料を徴収することは理解はできます。しかし、ロケット打ち上げ現場の見学コースは、維持管理にそんなにコストが掛かるとは思えません。ロケット打ち上げ現場の入場料を取ろうという「西昌嫦娥奔月旅遊開発公司」という会社がどういう会社なのか、どういう経緯で国が管理している打ち上げ現場にお客を入れる許可を得たのか、入場料収入のうちどのくらいの額がこの会社にいくのか、などはよくわかりません。今の中国では、なんでもかんでも「お金儲け」の道具にしよう、という空気が蔓延(まんえん)しています。また、「からくりはよくわからないけど、うまくやってお金を儲けている会社」もたくさんあります。この「ロケット打ち上げ見学場所」の入場料の話も、そういった現在の中国の雰囲気を表すひとつのエピソードだと思います。 

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