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2007年8月31日 (金)

中国製品の品質問題は外国バイヤーのせい?

 今日(8月31日)付けの中国の英字紙「チャイナ・ディリー」の意見欄に「中国製品の品質問題は、無理難題を言ってくる外国顧客のせいだ」という署名入りの意見評論が載っていました。

(参考)「チャイナ・ディリー」2007年8月31日付け記事
"Unrealistic foreign buyers created Chinese product 'quality problem'"
http://www.chinadaily.com.cn/opinion/2007-08/31/content_6070860.htm

 英語が読めなくても、ひ弱な中国企業の上でふんぞり返る外国人バイヤーが描かれたマンガを見れば、この意見評論の言いたいことはわかると思います。

 この意見評論を書いたのは、John Goss というイギリス人で、「自分は中国人女性と結婚して5年以上香港に住んでいるので、半分は中国人だ。」と自分でこの評論の中で言っています。彼の意見のポイントは、外国のバイヤーが「もっと安くしろ」「もっと納期を短くしろ」と無理難題を押しつけてくるので、お客を失いたくない中国の製造メーカーは品質を維持することができなくなってしまっているのだ、ということです。

 私は、こういった主張は現実の一端を表していると思います。外国のバイヤーが中国に求めているのは「とにかく安く、とにかく早く作ること」です。「少々値段が高くても時間が掛かってもよいから、品質の高い製品を作ってください」と中国に頼む外国のバイヤーなど今はいないのです。従って、そういう「安値買いたたき」のプレッシャーの連続が中国製品を「安いけれども品質がよくない」ままに留めている、という面は否定できないと思います。

 しかし、中国が「自分は市場経済の原理を利用して発展していくのだ」という方向性を定めた以上、市場経済社会においては、顧客が要求する無理難題の中で、品質を維持・向上させた上で値段を安くする努力を続けられる企業だけが生き残り、そうでない企業は生き残れないのだ、という市場経済の「オキテ」がある、ということは覚悟しなければなりません。日本や韓国の企業だって、そういう厳しい国際競争の中を生き抜いて来たのです。「品質が向上しないのは無理難題を言うバイヤーのせいだ」という論理は、厳しい市場経済の世界の中では通用しないのです。

 「ひ弱な中国企業に無理難題を押しつけて、もしかして自分は19世紀の大英帝国と同じことをしているのではないか」と常に自問していると思われるこの意見評論の筆者のイギリス人には、私はむしろ敬意を表しますが、だからといってこういうイギリス人の論評を掲載して「言い訳」めいたことをしているチャイナ・ディリー紙の意図には賛成しません。「中国製品の品質問題は、外国のバイヤーのせいだ」という論理は、世界中どこへ行っても通用しません。そういった考え方から脱しなかったら、いつまでたっても「中国製品」の名誉回復はできないと思います。

 今、中国製品がどんどん売れているのは大部分の中国製品が安くて品質がそれなりだからです。粗悪品が中国製品の中の一部にしか過ぎないことは誰でも知っています。あるCNNの番組でアメリカの広報の専門家が言っていましたが、そういう状況の中で中国政府が「粗悪品は一部にしか過ぎない」と声高に強調するのは、広報戦略上は全くヘタなやり方で、むしろ逆効果なのです。粗悪品しか作れない企業には市場から退場していただく、という最も基本的な市場経済の「オキテ」に従って、現実的に「粗悪な中国製品を市場から追放する」ことが「中国製品」の名誉回復の最も確実な方法なのです。

 もし、「中国は社会主義国であり、多くの労働者を抱えていながら技術力が低い国有企業が多いので、簡単に『よい品質の製品を作れない企業は市場から退場していただく』などというわけにはいかないのだ。」と言うのだったら、残念ながら激しい競争を続ける国際マーケットでプレーすることは考え直してもらわなければならないと思います。国内に貧しい地方や膨大な農民人口を抱えているのはわかりますが、2001年にWTOに加盟して国際マーケットに打って出てプレーするのだ、と決めた以上、結局は、中国も、相手プレーヤーの少々強い当たりにも対処できる基礎体力を付けていくしかないと思います。 

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