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2007年8月30日 (木)

この秋の中国の食糧生産は減収か?

 8月30日の中国での新聞報道によれば、発展改革委員会の馬凱主任が、29日、開会中の第10期全国人民代表大会第29回会議(日本の国会にあたる)で、一部の地域の洪水や干ばつ、病害やイナゴの害の影響で、今年の秋の中国の食糧生産は減収となる見通しであることを示しました。

(参考1)「新京報」2007年8月30日付け記事
「発展改革委員会によれば、秋の食糧生産の情勢は厳しい見通し」
http://news.thebeijingnews.com/0546/2007/0830/011@287236.htm

(参考2)チャイナ・ディリー2007年8月30日付け記事
"Autumn harvest under severe threat"
http://www.chinadaily.com.cn/china/2007-08/30/content_6066944.htm

 中国では6月頃収穫となる冬小麦と秋に収穫される稲などが主な食糧作物です。今年夏期の食糧の収穫は比較的順調だったのですが、秋期に収穫される食糧作物については、中部から南部地域に掛けての洪水や大雨、北西部地域の干ばつ、それに病害やイナゴの害が加わって減収の見通しなのだそうです。チャイナ・ディリーの記事によれば、1年を通じた食糧生産の約70%が秋期に収穫されるものなので、夏期の生産が順調だったことを考えても、今年1年をトータルすれば、減収になる見込み、とのことです。上記の記事によれば、食糧の減産は、秋へ向けての物価の上昇に懸念材料とされる、とのことです。

 チャイナ・ディリーの記事によれば、今年、洪水の被害にあった地域の面積は非常に広範囲にわたっており、被害にあった面積は中国の全耕地面積の6分の1以上に相当する、と伝えています。中国では、大躍進時代(1958年~60年頃)には、農村地区の急激な人民公社化に自然災害が重なって食糧生産が激減し、数千万人の餓死者が出たと言われています。今の中国は、その頃とは全く違って大きな経済力を持っていますので(例えば、現在、中国の外貨準備高は1兆3,000億ドル以上ある)、中国人民が飢えに苦しむことになるようなことはない、と多くの人は思っているようで、基本的に中国の新聞の論調は落ち着いています。例えば、「新京報」の記事では、この時期に発展改革委員会が秋の食糧生産の減収の見通しを発表したことは、むしろ物価の上昇に対して各方面に警告を発したものと捉えるべきだ、との見方を示しています。

 中国では、いつの時代でも、どこかの地域で毎年何がしかの洪水や干ばつに見舞われ、食糧生産は増えたり減ったりしていますが、現在の中国の全体的な経済力を持ってすれば、私も少々食糧の生産が減ったからと言ってすぐに人民が飢えに苦しむような事態にはなることはないと思います。しかし、中国の食糧生産が極端に落ちると、13億人の食糧のうち足りない分を国際市場から購入することになりますので、国際穀物市場での価格の高騰を招く可能性があります。その意味では、中国の国会でのこういった報告は、日本など外国のメディアでももっと重要視して報道して欲しいものだと、私は思います。

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