« 大気汚染と北京オリンピック | トップページ | 北京で自動車使用規制の「実験」 »

2007年8月 9日 (木)

なぜ8月8日に内モンゴル自治区成立60周年記念式典なのか

 昨日(8月8日)、北京でオリンピック1年前の記念行事が行われているまさに同じ日、内モンゴル自治区の首都フフホトでは、内モンゴル自治区成立60周年記念式典が開かれました。この60周年式典には、中国共産党政治局常務委員で国家副主席の曽慶紅氏(党内序列ナンバー5)を団長とする中央からの代表団が参加しました。

 内モンゴル自治区は、中華人民共和国が成立する2年前の1947年に成立しており、いわば中華人民共和国成立の先駆となった自治区ですので、その設立60周年をお祝いする式典が行われるのは別におかしくはありません。しかし、内モンゴル自治区が成立したのは1947年の5月1日です。

(参考)内モンゴル自治区人民政府ホームページ内「人文歴史」のページ
http://intonmg.nmg.gov.cn/rwls/index.htm

その成立60周年記念式典を、なぜわざわざ北京オリンピック1年前の式典をやる8月8日にぶつけてやる必要があったのか、私には非常に疑問に思えるのです。

 8月8日の夜7時からの中国中央電視台のニュース「新聞聯播」では、トップニュースがこの内モンゴル自治区成立60周年記念式典で、2番目が北京オリンピック1年前記念行事のニュースでした。8月9日付けの人民日報や経済日報の1面トップ(第1面の左側)はやはり「内モンゴル自治区記念式典」で、「オリンピック記念行事」は1面の右側半分の扱いでした。8月9日夜のニュース「新聞聯播」は、トップニュースで「中国共産党の省、市、県、郷の各地方レベルの党幹部が順調に決まった」というニュースを伝えた後、2番目に昨晩(8月8日)のオリンピック1年前記念行事、続いて3番目に今日(8月9日)行われた内モンゴル自治区民族団結表彰大会の様子を伝えていました。中央電視台の第一チャンネル(総合チャンネル)は、昨日はオリンピック1年前記念行事をずっと生中継していましたが、今日は夜8時からは内モンゴル自治区成立60周年記念特別番組を放送しています。どう考えても、全国ニュースのレベルでは、内モンゴル自治区のニュースでオリンピックのニュースを薄めようとしているように思えてなりません(なお、8月9日付けの北京晨報、新京報など北京の新聞は当然ながらオリンピックの話題が1面トップです)。

 私が4月に中国に来て感じたのは、日本にいたときには「きっと中国は来年へ向けてオリンピック・ムードで一色だろう」と思っていたのだけれども、実際に来てみると必ずしもそうでもない、ということです。上記のニュースの流し方を見ていると、中央政府は、むしろ北京だけが「オリンピック!オリンピック!」と盛り上がることがないようにして、中央政府は常に他の地方のことも考えていますよ、というメッセージを出したいと考えているように感じました。もしかすると、中国国内には、貧しい農民のことを後回しにして何が何でもオリンピックを成功させようとしている中央政府に対する不満があって、中央政府もそれを気にしていて、オリンピックが全てではない、というメッセージを全国の人民に出そうと努めているのかもしれません。

 昨日(8月8日)のオリンピック1年前行事は、一部はBBCワールドやCNNでも生中継をしていました。それだけ世界が注目している北京オリンピックなのに、中国国内では「内モンゴル自治区成立60周年記念式典」がトップニュースだったことに、私としては非常に奇異な感じを受けたのでした。

 内モンゴル自治区成立60周年記念式典とそれに関連する行事のニュースが続くので、これらに出席している曽慶紅国家副主席の顔が何回もテレビに登場しました。オリンピック1年前記念式典に出たのは、中国共産党中央委員会常務委員、国務院副総理、全国人民代表大会委員長の呉邦国氏(党内序列ナンバー2)でした。そのため、この二人の顔がここ二日のテレビのニュースを独占しています。

 一方、胡錦濤総書記・国家主席(党内序列ナンバー1)と温家宝国務院総理(党内序列ナンバー3)は、なぜか今週月曜日から全くテレビのニュースに出てきていません。それが何を意味するのか私にはよくわかりません。胡錦濤主席は、来週17日からロシア・キルギスタン訪問という外交日程を控えているので、今週は夏休みを取っているのかもしれません。あるいは秋の党大会へ向けていろいろ水面下で動いているのかもしれません。中国では国家指導者が夏休みを取ってもニュースとして流れないので、実際に夏休みを取っているのかどうか私には確かめるすべがないのです。

 私には「内モンゴル自治区成立60周年記念式典」をなぜわざわざオリンピック1年前行事と同じ時期にぶつけて開催したのか、それが何を意味するのか、結局はわかりませんでした。単に今の時期は内モンゴル自治区は緑の季節で気持ちがよいし、8月なので国家指導者のスケジュールも取りやすかっただけ、という単純な理由なのかもしれません(でも、それにしても、内モンゴル自治区成立60周年記念式典をオリンピック記念行事とドンピシャの同じ日にぶつける必要はなかったと思います)。

 いずれにせよ、正確な情報が正式には伝えられず、こういうふうにいろいろな周辺状況から「ウラを読む」という毎日が続くと疲れます。中国も、早くもっと率直にいろいろな情報が自由に流通する国になって欲しいと思います。

|

« 大気汚染と北京オリンピック | トップページ | 北京で自動車使用規制の「実験」 »

中国の報道機関」カテゴリの記事

北京オリンピック」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 大気汚染と北京オリンピック | トップページ | 北京で自動車使用規制の「実験」 »