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2007年7月28日 (土)

「なんでもかんでも罰金」の功罪

 中国に来て感じるのは、いろんな規則や行政命令に対する違反に対する懲罰として、やたらと「罰金」が多いことです。

 先日も、私が住んでいるアパートメントの大家さんから、公安局に届け出る資料にするためパスポートの写真の部分とビザの部分のコピーを提出するように求められました。外国人はビザの有効期限が切れた後も中国に滞在していたら「不法滞在」になるわけですが、この大家さんからの要請のメモには「ビザの期限が切れていた場合には、毎日500元(約8,000円)の罰金が課せられますので御注意ください。」と書いてありました。毎日8,000円の罰金は確かに痛いですが、逆に言うと、もし仮にビザの延長手続きが終了するまでこの金額の罰金を払い続けていれば「不法滞在」も大目に見てくれるのだとすると、「『不法滞在』ってその程度のものか」と思えてしまうし、何となく釈然としていないものを私は感じました。

 先日の「新京報」では、相次ぐ炭鉱事故に業を煮やした山西省では、炭坑で死亡事故が起きた場合には、一人あたり20万元の賠償金のほかに死亡者一人あたり100万元(1,600万円)の罰金を徴収する、という法律案が検討されているそうです。

(参考1)「新京報」2007年7月26日記事
「山西省、不法炭坑には死者1人に対して罰金100万元を課す規定を起草」
http://news.thebeijingnews.com/0565/2007/07-26/034@030301.htm

 さすがにこの規定は、国の他の法令との整合性が取れないことから成立しない可能性が大きい、とこの記事では伝えています。私などは、死者が1人出るたびに膨大な罰金が地方政府に入るような制度にしてしまったのでは、地方政府は死者が出ないよう努力するのをサボるようになるのではないか、と思ってしまいます。

 この日の「新京報」では、2006年の財政収入が966.2億元の北京市で、罰金及び没収した物品の価額が年間20億元(約320億円)近くに達していることから、罰金や没収した物品の処理制度を透明性のあるものにすべき、との議論がなされていることが報じられています。

(参考2)「新京報」2007年7月26日記事
「罰金・没収品の統一的な管理方法を確立へ」
http://news.thebeijingnews.com/0554/2007/07-26/021@278900.htm

 環境汚染に対する行政罰も罰金形式のものが多く、悪質な企業の中には、罰金を払っても排水を垂れ流していた方が儲かるから、として、罰金を払って汚染物質の垂れ流しを続けるところもある、と聞いています。一人っ子政策も違反者に対する罰則は罰金なので、最近のお金持ちの中には罰金を払って二人目、三人目のこどもを産む人もいる、というような話も聞きます。

 ちょっとした法令違反ですぐに逮捕・懲役といったことになる強圧的な政策よりも「罰金」の方がソフトだとは思うのですが、何となくこれが「金を払えばいいんでしょ」みたいな風潮を産んでいるのではないか、ちょっと心配です。根本的には中国の人たちが「法令や規則は『おかみ』が決めるもので、自分たちの代表が作っているわけではない」と思っていることが問題なんですが、いろんなところにある「罰金制度」も、中国において遵法意識がなかなか定着しないひとつの原因ではないか、と私は思っています。

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