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2007年7月16日 (月)

中国で豚肉の価格が高騰

 最近、中国では豚肉の価格が高騰しています。商務部による中国全国主要36都市における物価調査によれば、豚肉の価格は、5月下旬には5月11日に比べて16%上昇して1kgあたり16.53元(約265円)になり、その後しばらくは落ち着いていたが、6月末頃からまた急騰し、7月4日には17.83元(約285円)(6月20日の時点と比較して7.2%上昇)、7月11日には18.57元(約297円)になった、とのことです。この価格は1kgあたりの値段ですから、日本に比べると安い感じがするかもしれませんが、北京では地下鉄が3元、タクシーの初乗り(2kmまで)が10元という物価水準ですので、この豚肉の値段は、やはりかなり割高な感じがします。また、中国の食生活において、豚肉は基本中の基本の食材ですから、その価格の急騰は庶民生活を結構直撃しているようです。

(参考1)「新華社」2007年7月14日22:57アップ
「商務部:中国政府は、豚肉市場への供給能力を保障すると述べた」
http://news.xinhuanet.com/fortune/2007-07/14/content_6376293.htm

 豚肉価格の急騰の原因としては、は国際的な飼料価格の高騰などの豚肉生産コストの上昇、豚肉生産地域での豚の疫病(中国語で「猪藍耳病」)の蔓延などが挙げられています。「猪藍耳病」は人間には感染しない豚だけの病気とのことです。農業部が7月14日に出した「『猪藍耳病』に関する緊急通知」によれば、「猪藍耳病」は今年に入って25の省で発生しており、7月10日の時点では、586個所で143,221頭が発病し、39,455頭が死んだ、とのことです。

(参考2)中国農業部のホームページ2007年7月14日発表
「農業部の再度の緊急通知:流行性の『猪藍耳病』に関し、疫病の情勢を正確に把握し、防疫措置を全力を挙げて実施し、継続して防疫能力を強化するよう要請する」
http://www.agri.gov.cn/xxlb/t20070714_852724.htm

 実際、私の個人的な感覚としても、この豚肉価格の上昇は感じます。職場のオフィスビルの一般職員用食堂では、最近、鶏肉や魚、豆腐が多く出てくるように感じています(中国の庶民的な料理では、魚ももちろん食べますが、あまりメインの食材というイメージではありません)。先日は、久しぶりで餃子がたっぷり出たので「おぉ、豚肉がたっぷり食べられる」と思ったら野菜餃子だった、ということもありました。別の場所で「餃子麺」を頼んだら、出てきた餃子はエビ餃子でがっかりした、ということも経験しています。やはり餃子は、豚肉のものがメインじゃないと物足りないと感じてしまいます。

 豚肉がなくても、鶏肉や牛肉、魚、豆腐、羊肉など中国には食材は多種多様なものが豊富にありますから、食事に困る、などということはないのですが、やはり豚肉は中華料理にとって「王道」の食材ですので、豚肉がないと、何となく食べた気がしない、という感じになります。

 毎年の気候の状況などによって、中国では「大豆が高くて豆腐が買えない!」「今年は鶏肉が高い!」などということはしょっちゅうあるので、今回の豚肉の高騰も「いつものこと」と言えば「いつものこと」なのですが、過剰流動性に基づくバブルの心配もあり、党と政府は消費者物価の高騰にかなり神経を使っているようです。今年に入ってからの一連の豚肉の価格の高騰に対しても、5月末には温家宝総理自らセン西省の豚肉生産現場を視察して、状況把握に努めたりしています。

(参考3)ネット版人民日報「人民網」2007年5月27日(情報源は新華社)
温家宝、セン西省で、豚肉生産と豚肉供給の状況を視察
http://politics.people.com.cn/GB/1024/5784789.html

※「セン西省」の「セン」は「『こざとへん』に「狭」の右側」

 これは5年に一度の秋の中国共産党大会へ向けて、党・政府が世論の動きをかなり気にしていることの表れであり、その意味で、私は、今年の中国の経済、政治を見る際には、豚肉の値段にも着目すべきだ、と思っています。

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