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2007年7月27日 (金)

中国経済の実態:携帯電話契約件数は5億件超

 下記の中央電視台の報道によると、中国での今年上半期の自動車販売台数は229万台で、前年同期比25.9%の増加、とのことです。

(参考1)中央電視台ホームページ経済欄2007年7月25日記事
「中国経済は良好な状況を維持して進んでいる。産業構造は絶え間なく発展している。」
http://finance.cctv.com/20070725/102258.shtml

 また、7月25日に発表された中国情報産業部の統計(2007年6月末現在)の数字によれば、中国の携帯電話の契約件数は5億件に達した、とのことです。

(参考2)中国情報産業部ホームページ2007年7月25日発表
「2007年6月通信事業統計月報」
http://www.mii.gov.cn/art/2007/07/25/art_166_32599.html

 よく中国の国内総生産の統計データなどは、地方政府が中央に対して「いいかっこ」を見せるためにかさ上げして報告しているのではないか、など、その信憑性については、いろいろ議論がありますが、自動車の販売台数とか携帯電話の契約件数などは、実際にビジネスをやっていれば手応えはわかるので、上記の数字には、そんなにごまかしはないと思います。

 中国の自動車の新車の販売台数は、既に昨年の時点で日本における新車の販売台数を追い抜いた、と言われています。今の中国経済は「バブルかどうか」という点はよく議論になるところですが、上記の数字を見ればわかるとおり、手堅い内需があることは紛れもない事実だと思います。問題は株や不動産などの取引のどの程度の部分がバブルで、それがハジけた場合に手堅い実質経済にどの程度のショックを与えるのか、という点です。

 携帯電話の契約件数の総計が5億件を超えたという数字はハンパな数ではありません。1人で複数の携帯電話を持っている人もいますが、中国の場合、かなり所得の低い層の人々の間にも携帯電話はかなり普及しています(そうでなければ、5億などという数字にはならない)。よく農村部から都市部に出稼ぎに来て建設業などに従事している農民工の厳しい労働条件が話題になりますが、先日、次のようなニュースがありました。「ある建設工事の工事主が、農民工に何ヶ月も給料を払わなかった。農民工はその日その日の食事にありつくこともできなくなり、ついには携帯電話を売って、ようやくその日の饅頭(マントウ)を買った。問題を重視した行政当局がこの建設工事主に対して立ち入り調査に入った。」といったニュースです。低所得に喘いでいる農民工の人たちも携帯電話は持っているのです。街のゴミ箱をあさってペットボトルを集めたりしている人たちも携帯電話は持っていたりするのだそうです(こういう人たちが持っている携帯電話は中古品が多いらしいですが)。こういう人たちにとっては、日々の職探しのために、携帯電話は、ほとんど必需品に近いものなのだそうです。

 中国は、時々自らの国のことを「中国はまだ発展途上国で、貧しい人々がたくさんいるのです。」などと言いますが、中国にいる「貧しい人々」とは、アジア・アフリカの最貧国にいる「貧しい人々」とは全く性質が違います。確かに所得は低いのですが、しっかりとした義務教育を終えた一定の教育レベルを持ち、新聞を読み、携帯電話で情報交換をする人たちです(解放後(1949年以降)に教育を受けた人たちの識字率はほとんど100%に近いと言われています)。これらの中国の「貧しい人々」は、もし本当に生活が立ち行かなくなったら、お互いに情報交換をし、きちんとした形で、一定の意志表示をすることになるでしょう。

 20年前、前回私が北京に駐在していた頃は、北京などの都市部でさえ、自宅に固定電話を持っている人はほとんどいませんでした。上記の情報産業部の月報によれば、携帯電話5億件のほかに固定電話契約が3.7億件あるとのことで、この20年間の急激な変化は尋常ではありません。しかし、この電話の数の増加は事実であって「バブル」ではありません。自動車の新車販売台数においても、中国は日本より大きな市場になった、という事実を見ても、世界経済の中において、中国が占める比重は確実に大きくなりました。つまり、今、現在、既に中国の政治経済が急激に変動することは、世界経済に大きなインパクトを与えることになるのです。それにしては、中国の内部に存在する深刻な都市部と農村との格差問題、環境問題、株や不動産のバブル的な動き、中央政府が地方政府をコントロールできていない実態などの様々な矛盾や不安定要因について、世界の人々はまだあまり知らな過ぎるように思います。それは、中国自身が情報をコントロールしているせいでもありますが、これは世界にとっても中国自身にとってもよくないことだと思います。

 中国の問題は、今や世界の問題でもあります。北京オリンピックを機会に、世界の多くの人々が中国の抱える様々な問題点を知り、ともに協力してその解決に当たれるようになればいいなぁ、と私は願っています。(その意味では、私は、中国政府には、北京オリンピックの期間中だけ工場の操業を停止したり自動車の使用制限をしたりして、大気汚染をなくそう、などというその場を取り繕うような手法は採って欲しくないと思っています)。

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