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2007年6月17日 (日)

重慶と成都が農村・非農村統合試験区に指定される

 6月9日付けの新華社電によると、国家改革発展委員会は、重慶市(直轄市)と四川省成都市を、農村・非農村の区別をなくす統合試験区に指定する、と決定したとのことです。

(参考1)「新華社」2007年6月9日付け記事
「重慶と成都が全国統合農村・非農村総合配当改革試験区に」
http://news.xinhuanet.com/fortune/2007-06/09/content_6220759.htm

 このうち、重慶市は6月15日、正式にインターネットを通じて農村・非農村統合改革計画に関する意見募集を開始したとのことです。

(参考2)「新華社」2007年6月17日付け記事
「重慶市、『試験区』建設について、全世界から優れたアイデアを募集」
http://news.xinhuanet.com/politics/2007-06/17/content_6251881.htm

 現在、中国では、農村戸籍と非農村戸籍の区別が明確になっており、農村戸籍の人は都市部に永住することはできません。重慶市、成都市のような「市」でも、行政区域は非常に広く、市街部と周辺の農村部に分かれており、市の内部で農村・非農村の区別が存在しています。

 現在、中国の都市部での建設ラッシュの建設作業は、農村から出稼ぎに来ている人々、いわゆる「農民工」によって行われていますが、「農民工」は、都市部で働いていても、都市部の戸籍を得ることはできず、都市戸籍を持っている人が受けている住宅、医療、教育、社会保障などの行政上の保護を受けることができません。このため、多くの「農民工」は、家族は故郷の農村においたまま、単身で「出稼ぎ」に来ています。

 6月16日付けの「新京報」の社説によれば、現在、中国には1億2000万人の「農民工」が働いているが、このうち家族を帯同して都市部に住んでいるのは3000万人に過ぎず、残りは単身で出稼ぎに来ていると言われている、と指摘しています。1億人近い単身出稼ぎ者の存在、というのは、尋常な数ではないと思います。

(参考3)「新京報」2007年6月16日付け社説
「農村・非農村が同権の都市においても貧民窟はできない」
http://comment.thebeijingnews.com/0728/2007/06-16/021@005719.htm

 農村・非農村の区別をなくす、ということは、大量の「農民工」が家族を帯同して都市部に移住することを認めることであり、そのための医療、教育、社会保障などの行政負担を都市の政府が担うことを意味します。今、いっぺんに全中国において農村・非農村の区別をなくして人口の自由な流動を認めると、膨大な数の農民が都市部に流入し、都市部の行政上の受け入れ能力を超え、都市部に貧民窟(スラム街)が発生する、と考えられています。一方、生まれた場所によって農村戸籍、非農村戸籍の区別を固定化し、それぞれに対する行政対応を異にする制度は、いわば一種の身分制度のようなものであり、社会的不公平感を醸成し、社会的問題である、という認識が中国国内ではかなり以前からあります。だからこそ「和諧社会」という言葉が重要な政治課題として声高に叫ばれているのです。

 農村・非農村の区別をどうするのか、という問題については改革開放が進んで経済発展が急速に進んだ1990年代から議論されていますが、今だに解決の方向が見えていません。重慶市、成都市における農村・非農村の区別をなくす「試験区」の試みは、今後の中国全体での農村・非農村の区別の撤廃へ向けて、重要な試金石になるので、今後の動きが注目を集めることになると思います。

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