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2007年6月21日 (木)

中国のマンション・バブルはいつまで続くのか

 タイトルに「バブル」という言葉を使いましたが、そもそも急速に成長する中国経済を表現する言葉として「バブル」という言葉が適切であるのかどうかは、議論のあるところです。近年、中国の工業生産力が力強くなってきていることは事実ですし、13億人の巨大な市場があり、内需拡大の余地はまだまだあることから、中国の経済成長は、経済の実態を背景としたものであって「バブル」ではない、という根強い見方があります。

 現在、中国の経済成長は、GDPの成長率が10%を超えるレベルで成長していますが、これについては、いろいろな見方があります。

A:2010年の上海万博の後も、ずっと継続してこのレベル(10%超)の高度成長は持続される。

B:2010年の上海万博までは、このレベルの高度成長は維持されるが、上海万博の後、一定の調整局面に入る。

C:2008年の北京オリンピックまではこのレベルの高度成長は続くが、その後、2010年の上海万博の前に経済は調整局面に入る。

D:現在が経済成長のピークで、2008年の北京オリンピックの前に経済は調整局面に入る。

 上記のそれぞれの見方も、見る対象が「中国経済全体」なのか「中国の株価」なのか「中国のマンションなどの都市部の不動産投資」といった個別分野の話なのか、によって異なると思います。「中国経済全体」を見る場合には「経済の実態に沿った手堅い部分」があるが、ある一部の特定の分野については、経済の実態を超えた「バブル」の部分がある、という見方が正しいのかもしれません。どこかの時点で、ある特定の部分の「バブル」がはじけた時、その「バブル」の部分の経済全体に占める比重がどのくらいで、その特定の部分のバブル崩壊が、経済全体にどの程度の影響を与えるのか、が「中国の高度経済成長はバブルなのか」を考える上での重要なポイントだと思います。

 上記の4つの見方のうち、Dの見方をする人はほとんどおらず、多くの人が「少なくともオリンピックまでは、現在のレベルの高度成長は続く」と思っていますが、その後、どの時点で「調整局面」に入るのか、あるいはずっと高度成長が続くのか、については、議論の分かれるところです。

 中国に来た人が建設ラッシュに湧く街並みを見て率直に感じるのは、「こんなにビルをたくさん建設して、オフィスやマンションの供給過剰にならないのだろうか。」ということだと思います。「こんな急速な建設ラッシュがいつまでも続くはずがない」と思いつつ、こういった建設ラッシュがここ20年以上ずっと続いていることから、やっぱりまだまだ建設ラッシュは続くのかもしれない、と考える人も多いと思います。

 現実的に言うと、政府は経済の過熱を防ぐため調整のための様々な手段(基準金利の引き上げなど)を採っていますが、少なくとも不動産市場は、現実にはまだ拡大が続いています。

(参考1)新華社2007年6月20日付け記事
「統計データは、中国の不動産市場が調整状況の中においてもまだホットであることを示している」
http://news.xinhuanet.com/house/2007-06/20/content_6263875.htm

この記事によると、今年1月~5月の中国の不動産投資は、依然として急速に伸びているとのことです。

 一方で、6月20日付けの「北京晨報」によると、高い価格帯(例えば1平米あたり12000元(192,000円)以上の2部屋の物件)の供給量が増えている中、これまでこれらのマンションを所有して賃貸ししていた持ち主の中には、年内にまた金利の引き上げがあるのではないか、との予測の下、これを売りに出して現金化する動きが見られる、と伝えています。
※先日発表された「2006年度労働社会保障事業発展統計公報」によると、中国の給与所得者の2006年の平均月収は約1,750元です。

(参考2)北京晨報2007年6月20日付け記事
「投資型マンション持ち主、価格を下げて現金化」
http://www.morningpost.com.cn/article.asp?articleid=110001

 この記事では、一方で、買い方の方では、マンション価格が今後も上昇するとの見方は変わっておらず、金利利上げ予測は需要の面では影響はまだ出ていない、と分析しています。

 現在、多くのマンションなどの建設現場では、全国で億を超える数の農村出身のいわゆる「農民工」が働いています。この人たちが住む場所が足りない、という意味では、住宅の供給量は数の上ではいくらあっても足りない、と言えます。しかし、現在のマンションの価格は、これら「農民工」の人々にはとても手が出せるような値段ではありません。しかも、「農民工」は農村戸籍ですので、いずれは故郷の農村に帰らなければならず、制度的にも都市部のマンションを買えるような状況にはなっていません。一方で、投資目的ではなく、実際にマンションを買ってそこに住める「実需」がどれくらいあるのか(実際にマンションを買ってそこに定住できる「小金持ち」がどのくらいの数いるのか)がポイントなのですが、その点については、私はよくわかりません。

 しかし、もし、仮に、現在のマンション建設ラッシュが経済の実態と掛け離れた「バブル」であって、どこかの時点でその「バブル」がはじけるのだとすると、マンション・バブルがはじけた途端、マンションの建設がストップしますから、建設工事に携わっている「農民工」の人たちが職を失うことになります。だからこそ、投資の過熱を防ぎ、経済が実態と離れた「バブル化」することを避けることが、政府による現在の経済運営の重要なカギなのです。

 中国の経済がバブル化し、そのバブルがはじけることは、誰も望んでいません。日本としてもそうなっては困ります。日本でも、中国の高度経済成長に注目している人は多いと思いますが、長期的な視点で、中国の安定的な経済成長を見守る目が、日本にとっては重要だと私は思っています。

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