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2007年6月 2日 (土)

中国における地上波テレビの威力

 私が

http://folomy.jp/

の「テレビフォーラム」に5月6日にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。
folomyは、かつての@ニフティのフォーラムを運営していた人たちが集まって運営しているサイトで、メールアドレスを持っている方ならば誰でも無料で登録できます。私がfolomyに書いたものの再アップは、折りを見て時間のあるときに行います。従って、例えばfolomyに掲げた文章のアップは1か月程度遅れると思います。最新の文章を御覧になりたい方は、ぜひ、御自分で上記のアドレスからfolomyに登録して、御覧いただくよう御願いします。

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アップ場所:
http://folomy.jp/
「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年5月6日

【地上波テレビの威力】

 ここ2、3日、中国の中央電視台のニュースを見ていて、中国国内のニュースが非常に少ないことに気付きました。国際関係のニュースでは、フランスの大統領選挙の決選投票の話とか、日中韓財務大臣会談の話とか、普通に流しているのですが、中国国内のニュースとしては、「なんとか祭りが開催された」とか「最近の中国の○○技術は国際的にも高い評価を受けるようになった」とか、そういうニュースばかりでした。日本と同じようにメーデーの「黄金週」の連休中なので、政府関係の動きもお休みで、ニュース・ネタがなかったからだと思います。

 日本的感覚からすると、連休中でも事件・事故の類はたくさんあったので、それらがニュースに登場するはずなのですが、中国のテレビの国内ニュースでは、あまりそういうのは登場しません。中央電視台第1チャンネルのニュースでは、国際ニュースとしては、カメルーンでの飛行機墜落、アメリカでの竜巻、日本のジェットコースターの事故などは伝えていましたが、中国国内の事件・事故のニュースは報道されないか、されたとしても極めて簡潔なものでした。5月4日8時半に雲南省で起きた交通事故(トラックが衝突したはずみにバスを待っていた人々のところに突っ込み、16名が死亡、約45名が重軽傷を負った事故)のニュースは、私はまだテレビでは見ていません。5月5日に山西省で起きた炭鉱事故(15名が死亡)はテレビではアナウンサーが口頭で伝えただけ(映像なし)でした。いずれのニュースも、人民日報や中央電視台のホームページには載っており、報道が禁止されているわけではありません。おそらくは、これらのニュースはテレビで伝えると影響が大きいことから、その扱いについていろいろ議論がなされているためと思われます。

 中国は国土が広大なので、まだテレビが見られない地区があるのですが、2005年版の中国経済年鑑によると、そういう地区は既にほとんど解消され、2004年末現在で、テレビが見られる地区の人口は、は中国の全人口の95.29%にあたる12.38億人、テレビの台数は3.7億台なのだそうです。上記の4日に起きた雲南省の自動車事故のニュースは、ネット上では、公式報道として、きちんと流れているのですが、中国国内では、やはりテレビの影響力はネットなどに比べると格段に大きい、というふうに考えられているので、ネットとテレビとではニュースの流し方を変えているのだと思います。

 中国では、衛星放送のテレビを受信するためには許可が必要です。従って、ほとんどの一般大衆は地上波を見ているので、地上波テレビの影響力は、まだまだ絶大なものを持っていると考えられているようです。中国でのニュースの扱い方を見て、他のメディアとは比べ物にならないほどのテレビの持つ威力の絶大さを改めて感じました。

(2007年5月6日、北京にて記す)
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(6月2日記載の追記1)

 上記の記載にある5月5日に起きた山西省の炭鉱事故は、1日程度立ってから画像付きで中国のテレビでも報道されました。雲南省の16人死亡の交通事故がその後テレビで報道されたかどうかは確認していません。いずれにせよ、この手の大きな事件・事故がその日のうちにテレビで報道されるのは中国では「まれ」です。外国の事件・事故のニュースは、日本における報道と同じようにほとんどタイムラグなく報道されるので、中国の人々も「テレビの国内報道は遅い」または「ものによっては報道されないこともある」ということはよく知っています。

 ちなみに確認はしていませんが、中国のニュース番組は「生放送」ではない可能性があります(下記注)。ニュースの中で「現場から生中継」をやっているのは、「今日、○○○会議が開催」という日の朝に会議の準備で慌ただしい現場からの中継をやっているのを見たことがありますが、事故・事件現場からの生中継は見たことがありません。外国の事件・事故だと、外国特派員からの電話レポートはしょっちゅうやっていますので、これを見ても、国際ニュースと国内ニュースで取り扱いの仕方を分けているのは明らかだと思います。

(注)先日、ニュースの始まる直前に、ニュースの中で放送される「予定」の天気予報の場面が一瞬放映されてしまったのを見たことがあります。放送事故のようでした。たぶん担当者がVTRの操作を間違ったのでしょう。ということは、ニュース本体もたぶん録画されたものだろうと思います(ただし国際ニュースの内容は新しいので、直前に録画されたものだと思います)。生放送でなく、録画して放送するのは、放送される内容が「まずいもの」でないかどうか、しかるべき者がチェックしているためと思われます。

 ただし、朝のニュースでは冒頭で「今日は、○○について皆さんからのメールを募集」と携帯メールアドレスを紹介し、番組の後半で「こんな御意見が来ています」などと紹介しているので、番組自体は本当に生放送かもしれません。ただ、中国にいると「ホントに一般視聴者から寄せられたメールを読んでいるのだろうか」と疑り深くなってしまいます(たぶんほんとに一般視聴者から寄せられものを選択して放送しているのは間違いないと思いますが)

(6月2日記載の追記2)

 上記記事に「ほとんどの一般庶民は地上波を見ている」と書きましたが、中国は山間部などが多いので、衛星放送はかなり普及しています。地上波テレビ放送を衛星経由で再送信しているのです。従って、北京の住民が湖南省の地元テレビ局の番組が見られたりします。ただし、中国で普及している衛星放送受信装置は、画面の右上(あるいは左上)にある放送局のロゴマークを関知して、中国の放送局以外はカットする装置がついているそうで、「善良な一般庶民」は、CNN、BBCなどの外国の衛星放送は見ることはできません。

(注)携帯電話のショートメールに「衛星放送、映画、成人番組が見られます。詳しくは○○○○まで御連絡を」という無差別広告メールが頻繁に入りますので、かなりの数の「善良でない一般庶民」は、外国の衛星放送を見ているのではないかと想像されます(もちろん、中国ではこれは違法なことです)。

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