カテゴリー「フォロミーの1200字エッセイ」の記事

2008年2月12日 (火)

中国は既に「新しき国」になっているのか

 私が、2007年11月3日に

http://folomy.jp/heart/

の「テレビフォーラム」にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

 folomyは、かつての@ニフティのフォーラムを運営していた人たちが集まって運営しているサイトで、メールアドレスを持っている方ならば誰でも無料で登録できます。私がfolomyに書いたものの再アップは、折りを見て時間のあるときに行います。従って、例えばfolomyに掲げた文章のアップは1か月以上遅れると思います。最新の文章を御覧になりたい方は、ぜひ、御自分で上記のアドレスからfolomyに登録して、御覧いただくよう御願いします。

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アップ場所:
http://folomy.jp/heart/
「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「北京の白い空の下で」

記載日時:2007年11月3日

【中国は既に「新しき国」になっているのか】

 今日、日本にいたときに録画しておいた2005年のNHK大河ドラマ「義経」の最終回を見終わりました。ドラマの義経は、最後に「新しき国」への夢を抱きながら自害しました。歴史的には、義経の死によって、朝廷から独立し、土着した武士集団から成り立つ「鎌倉幕府」という日本の歴史上全く新しいタイプの政治体制が磐石なものになったのであって、義経の死によって、日本が「新しき国」に生まれ変わったと見るべきだ、と私は思っています。私は、日本の歴史においてはこの「鎌倉幕府成立」と「明治維新」「第二次世界大戦の終了」が「新しき国」へ生まれ変わる転換点であり、現在の戦後の日本の体制は、基本的に長期間に渡って続くことになる「持続可能な体制」だと思っています。

 アメリカは19世紀半ばの南北戦争終了により持続可能な体制が形作られて今に至っていると私は思っています。SFテレビ・ドラマの名作「タイム・トンネル」では、現代の科学者ダグ・フィリップスが南北戦争の時代にタイム・スリップして大統領就任直前のリンカーンに会い「将来のアメリカはどうなっているのか」と問われたとき、ダグは「アメリカは、50年後、いや100年後も偉大な前進を続けています」と答えました。アメリカは様々な問題を内に抱えながら、それを何とか解決しつつ歴史を前に進めていく体制を南北戦争終了後に既に完成させていたことを、このドラマは示していました。

 日本の明治維新後の「富国強兵」の体制は残念ながら「持続可能なもの」ではなく、戦争への道を進んで崩壊してしまいました。戦後の体制は、いろいろ問題はあるものの、自らそれらの問題を解決する能力を持った「持続可能な体制」だと私は思っています。

 一方、中国の今の体制が「持続可能なもの」なのかどうか、は私にはわかりません。少なくとも、現在の中国の指導部自身、現在を「社会主義の初級段階」と定義しており、現在の体制が最終的なものではない、と認識しています。胡錦濤氏が提唱し、今回の第17回党大会での議論で中国共産党の規約に盛り込まれた「科学的発展観」も、その時々の中国の実情を科学的に分析して、それに対応した政策を採るべきだ、としている点で、現在の体制が「最終形」ではない、との認識に立脚していると思います。その意味では、1911年に始まった中国の革命は、1949年の中華人民共和国の成立でひとつの節目は迎えたものの、現在でもまだ終わっていない、という認識が正しいのだと思います。

 私は常々「時代を読む」ことが重要だと思っています。今、中国は世界の中で経済的にも政治的にも大きな力を持っています。従って、日本にとっても、中国の動きはとてつもなく大きな影響を持っています。だから、私は、今後とも「中国は既に『新しき国』になっているのか」という視点に立って、中国の動きを注視していこうと思っています。

(2007年11月3日、北京にて記す)

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2008年1月27日 (日)

「嫦娥1号」一色のテレビ

 私が、

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の「テレビフォーラム」に2007年10月28日にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「北京の白い空の下で」

記載日時:2007年10月28日

【「嫦娥1号」一色のテレビ】

 中国のテレビでは、先週まで「中国共産党第17回全国代表大会勝利開催!」一色でしたが、今週は中国初の月探査機「嫦娥(日本語読みでは「ジョウガ」)1号」の話一色、という感じでした。共産党大会が終わって、新しい指導者(中国共産党政治局常務委員など)が決まったのが10月22日(月)、「嫦娥1号」の打ち上げが10月24日(水)だったので、コロッとニュースの主人公が交代したイメージがありました。

 月探査機は、月と太陽と地球の位置関係によって打ち上げに最適なタイミングが決まります(例えば、撮影したい月の区域の上空に探査機が差し掛かった時、一番いい写真を撮るためには太陽がどの位置にあればいいか、などが重要な要素になるからです)。従って、共産党大会終了直後に打ち上げたのは偶然の一致、ということなのですが、中国の場合、「ほんとに『偶然の一致なのかなぁ』という疑問は常に付いて回ります。

 今回の「嫦娥1号」の打ち上げは、中央電視台が全国放送で生中継しました。生中継を見て「二十秒、十秒、・・三、二、一、点火!」というアナウンスを聞いていると、中国語では「秒」は「miao」、「点火!」は「dianhuo!」と発音することがイヤでも頭にこびりつきます。点火がコンピューター制御による自動シーケンスではなく、「点火!」の号令とともに担当者が赤い点火ボタンを押す、というところがいかにも中国的でした。

 今回の打ち上げに際しては、日本をはじめ外国の関係者も打ち上げサイトに招待されたり、一般市民に打ち上げを公開するなど、「公開性」を前面に打ち出したものになりました。中国のロケット打ち上げ場は内陸部にあるので、ロケット打ち上げ後の第1弾ロケットの残骸は、国内の内陸部に落下するのですが、通常はあまり報道されないロケット残骸が落下した地区の様子も新聞で報道されたりしました。ロケットの部品の一部が農家1件を壊したそうですが、住民は事前に避難していたので、けが人は出なかったそうです。ただし、ロケットの残骸落下の話は、あまり「楽しい話」でないので、非政府系の新聞には載っていますが、テレビでは報道されていないようです(テレビは全て「政府系」なので)。

 ともあれ、中国が宇宙の科学探査に関して、公開性を進め、外国と協力していくことはよいことだと思います。今回の「嫦娥1号」の打ち上げに関する中国のネットワーク上の掲示板を見ていると、「中国の宇宙開発は世界からちょっと孤立している感じがする。もっと国際的に協力して進めたらどうか。」といった意見をアップしている人もいました。今、中国では、いろいろな意見を言う人々の声をだんだん無視できなくなりつつあります。こういう人々の「自然な声」を受け入れて、中国も徐々に世界の国々と同じ土俵、同じルールで話をするようになって欲しいなぁ、と思います。

(参考1)このブログの2007年9月30日付け記事
「月探査ロケット打ち上げ見学費用が1000元?」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/09/1000_359e.html

(参考2)このブログの2007年10月25日付け記事
「中国の月探査機『嫦娥1号』の打ち上げ」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/10/post_0b23.html

(参考3)このブログの2007年10月27日付け記事
「『嫦娥1号』打ち上げロケットの残骸の行方」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/10/post_b91e_1.html

(2007年10月28日、北京にて記す)

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2008年1月24日 (木)

「中国共産党大会勝利開催」とハロウィーン

 私が、

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の「テレビフォーラム」に2007年10月20日にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「北京の白い空の下で」

記載日時:2007年10月20日

【「中国共産党大会勝利開催」とハロウィーン】

 今、北京の街には星巴克(スターバックス)、麦労当(マクドナルド)、肯徳基(ケンタッキー)、必勝客(ピザハット)のお店があちこちにあります。昨日「必勝客」に行ったら、三角帽にマントを着たウェイターがお客の注文を聞いていました。今、確かにハロウィーンの季節ですが、北京でハロウィーンはないだろう、と思いました。

 ハロウィーンは、元々はヨーロッパが起源のようですが、今は、アメリカの超ローカル行事です。他の国がまねをするのはおかしいと私は思います。私がアメリカにいた時、例えば、10月下旬にボウリング場に行くと、フロントの女性が黒い三角帽とマントを身に付けた「魔女姿」をしていて「Hello!」なんて声を掛けてくれたのですが、それは場所がアメリカだから「サマ」になっていたのであって、場所が北京では、雰囲気が合いません。

 今、北京の街は、10月15日~21日の予定で中国共産党第17回全国代表大会が開かれており、街中に「熱烈慶祝党的十七大勝利召開!」という紅地に白抜きの横断幕があふれかえっています。テレビのニュースでも、連日、党大会のニュースのオンパレードです。地下鉄の駅と駅との間にある地下鉄壁面広告でも、通常の商品の宣伝に代わって、この「熱烈慶祝党的十七大勝利召開!」という文字が躍っています。そういう街の雰囲気からすると、ピザハットのウェイターのハロウィーン姿は絶対に似合わないと思いました。

 今年、豚肉をはじめとする食料品の値上げがものすごかったので、低所得者(日本でいう生活保護対象者)に対して月20元(約300円)の食費援助をしようか、といった議論も行われていますが、必勝客では、スパゲティが38元(約570円)、500ml入りのエビアン(ミネラルウォーター)が20元(約300円)します。必勝客のお客は、ほとんどは中国人です。急速な経済発展の中で、「お金持ち」の中国人がどんどん増えているのです。今、中国の社会が相当にアンバランスな感じになっているのは否めません。

 2002年の第16回党大会で江沢民総書記(当時)が提唱した「三つの代表」論は、中国共産党は農民・労働者階層だけでなく企業家・弁護士・会計士等の無産階級でない階層をも含んだ広範な人々を代表する、と規定した点で画期的でした。今開催中の第17回党大会では、「三つの代表」論を基礎としつつ、農民・労働者階層と「お金持ち階層」との協調(和諧)が課題となっています。今、中国の社会では「農民・労働者のための社会主義」の理念と「持っているお金の額に応じて優遇されるのは当然」という現実主義とが共存しているので、何となく社会全体が落ち着かない感じがします。私としては、「共産党大会勝利開催!」の横断幕とハロウィーン姿のウェイターが同時に共存する社会よりも、多くの人民が納得できるひとつの社会の雰囲気に早く落ち着くように願いたいと思っています。

(2007年10月20日、北京にて記す)

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2008年1月 5日 (土)

映像ニュースの衝撃性

 私が、

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の「テレビフォーラム」に2007年10月13日にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

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記載日時:2007年10月13日

【映像ニュースの衝撃性】

 今週、短期間日本に出張したので、その機会に中国国内からだとアクセス制限が掛かっていて見られないネット上のテレビの映像ニュースのアーカイブを見たりしました。私としては、以前に見たことがあるものばかりで、新しいものは何もなかったのですが、久しぶりに見ると、やはり衝撃的です。映像ニュースは、文字のニュースと違って、感情に訴えるものがあります。それが映像ニュースの良いところでもあり、危険なところでもあるのだと改めて思いました。感情に訴えるようなものを含んだ映像ニュースをインターネット経由で若い人たちが見るのは「よくない」と中国当局は考えているのでしょう。

 最近、日本のテレビでも、2001年の9.11同時多発テロでニューヨークの双子の貿易センタービルが崩壊する映像を放送しなくなりました。あまりにショッキングな映像なので、視聴者の心を揺さぶるし、犠牲者の遺族も見るかもしれないと考えるととても放送できない、という配慮だと思います。その判断は間違いではないと思いますが、ショッキングな過去の映像ニュースを人の目に触れないようにすることをし続けると、9.11の「重大性」が時間とともに風化してしまうのではないか、という危惧も湧いてきます。たぶん、こういったショッキングな、しかし重要な映像ニュースは、テレビで無差別に流すのではなく、ネット上の動画資源として蓄積しておき、誰でも、見たいと思った時には、一定の心構えを持った上で見ることができるようにする「オン・デマンド」の映像記録としてネット上に保存しておく、というのが、正しい記録の仕方なのかもしれません。

 北京で18年前に起きた事件は、私が今この文章を書いている部屋から見えている街で起きました。18年前のニュース映像に登場する建物や道路の立体橋のところへは、私はいつでも歩いて行くことができます。それだけに私は18年前のテレビ・ニュースの映像を改めて見て、複雑な思いを新たにしました。今の中国の若い人は、この事件については、年長の人から話は聞いているとは思いますが、ニュース映像は見たことはないと思います。今、中国では、多くの人が外国旅行に行ったり、海外留学したりするようになりました。中国の外に出て、初めてその映像ニュースを見た中国の若い人はどう思うのでしょうか。

 私は、今回、改めて、テレビの持つ「映像ニュース」のパワーの大きさを痛感しました。そういった映像ニュースの力の大きさを知っているからこそ、ミャンマーで亡くなったジャーナリストの長井健司さんは、自らの危険も省みず、映像取材を敢行したのだと思いますし、ミャンマーの治安部隊もそれを阻止しようと考えたに違いありません。「テレビの映像ニュースは歴史を動かす力を持っている」。長井さんの事件をきっかけに、そのことをもう一度、私たちは心にきちんと刻み込む必要があると思います。

(2007年10月13日、北京にて記す)

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2008年1月 4日 (金)

スプートニク50周年テレビでやった?

 私が、

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の「テレビフォーラム」に2007年10月6日にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

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フォロ「テレビフォーラム(ftv)」-会議室「喫茶室『エフ』」-トピック「北京の白い空の下で」

記載日時:2007年10月6日

【スプートニク50周年テレビでやった?】

 今年の10月4日は、旧ソ連が人類初の人工衛星「スプートニク」を打ち上げてから50周年の記念日でした。今、私は日本のテレビを全て見られる環境にはないのですが、少なくとも私は気が付いた範囲では、日本のテレビのニュースでは「スプートニク50周年」に関する話は伝えていませんでした。私は中国のテレビを見て初めて、今年がスプートニク50周年に当たることを思い出したのでした。

 1957年当時、旧ソ連がアメリカより先に人工衛星の打ち上げに成功したという事実は、世界中に「スプートニク・ショック」を与えました。今はソ連という国もなくなってしまったし、人工衛星を打ち上げること自体「普通のこと」になったしまったので、「スプートニク」50周年の記念日は、日本ではあまり人々の関心事項にはならなかったのだと思います。それは放送衛星・通信衛星、気象衛星、カーナビなど人工衛星を使った測位システムなどが既に日常的なものになったことの証拠でしょう。

 くしくも同じ10月4日、日本の月探査機「かぐや」が月周回軌道に入りました。科学探査のひとつ、ということで、テレビを含め、報道振りは地味なものでした。1960年代の米ソ宇宙競争時代のように、宇宙における科学探査を「国家の威信を賭けて」といった形で仰々しく宣伝に使うのは時代錯誤だと思いますが、もう少し大きく取り扱ってもよいのではないか、というのが私の率直な感想でした。

 中国では、宇宙開発に関する報道機関の関心は高く、日本の「かぐや」に関する最新情報も逐次報道しています。中国の場合は、有人宇宙計画については、内外に対して「国家の威信を示す」目的も持っていることは明らかですので、報道機関が宇宙開発関連のニュースを取り上げる頻度も高くなるのは、ある意味では当然なのですが、別の見方として、急速に成長を続ける中国経済の中で、中国では宇宙開発が今でも「未来を開く象徴的存在」であることを示していると言えるでしょう。

 映画「アポロ13」の中で、月へ向かうアポロ宇宙船の中の宇宙飛行士の様子をアメリカの4大テレビ・ネットワークが生放送では中継しないことになった、という場面が出てきました。アポロ13号は3回目の月着陸を目指していたのですが、テレビにとっては月着陸も「3回目」では新味に欠けている、と判断されたからでしょう。テレビは常に「新鮮味やハデさ」を求めますが、既に普通になってしまったこと、地味なことでもきちんと伝えることも重要だと思います。日本のテレビにとっては、人類初の人工衛星「スプートニク」は、過去のものだったのかもしれませんが、少なくとも歴史の一コマとしてきちんと伝えてほしかったと思います。

(2007年10月6日、北京にて記す)

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2007年12月25日 (火)

テレビニュースには国境を作らないで欲しい

 私が、

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年9月29日

【テレビニュースには国境を作らないで欲しい】

 今日、9月29日は日中国交正常化35周年の記念日です。昨日の28日(金)、北京の日本大使公邸では、二人の元総理(森喜朗氏、村山富市氏)も出席して記念祝賀会が開かれました。中国側要人や北京に駐在する日本人も含めて大勢が参加しました。私も参加させていただきました。日本のテレビ局も取材に来ていたので、日本でどのように報道されたのだろう、とインターネットでYahooの動画ニュースで見ようとしたら「Yahoo!動画は日本国内でのみ視聴できます。」との表示が出て見ることができませんでした。以前は中国からもYahoo!動画ニュースは見られたので、たぶん最近新たに掛かった規制だと思います。

 中国関係のニュースを中国から見られない、というのは理不尽です。ドラマや音楽番組、スポーツ中継などは著作権の関係で、インターネット上も国内のIPアドレスしか見られないように規制を掛けることはわらなくはないのですが、ニュースは多くの人に見てもらいたいからこそネット上にアップしているはずで、国外から見られないのだったら、ネットに載せる意味が半減してしまいます。ちなみにNHKについては、中国からでもインターネット上でニュースの動画を見ることができます。

 今、中国では、外国のサイトに際して様々なアクセス制限を掛けており、例えば、中国(大陸部)からは、ウィキペディアの日本語版やイギリスBBCのホームページの内容を見ることができません。インターネットという国境を越えることのできる技術ができているのに、わざわざそれを制限するのはケシカランと私は日頃から思っています。ところが、上記のYahoo!動画上の日本のテレビニュースの動画の配信制限は日本側が掛けているものです。もし日本が「報道の自由」を標榜する国ならば、インターネット上のテレビニュースの配信に国境を作ることはやめて欲しいと思います。中国にも日本語のできる人はたくさんいます。日本のテレビニュースがインターネット経由で見られる、ということは、日本語のできる中国人にとっては貴重な情報源のはずです。

 ドラマや音楽、スポーツ中継など、著作権の関係で配信を国別にコントロールする必要のあるコンテンツとテレビニュースとを区別することは、技術的には簡単なはずです。

 知的財産権は、本来、コンテンツ制作者の権利を守り、よりよいコンテンツを作り出すことによって、社会の進歩に資するために守られるべきものです。私は、以前から、その知的財産権が、むしろ社会の進歩の足を引っ張る役割も果たしていることに対して危惧を抱いています。Yahoo!動画が設けた規制のように、インターネット上でのテレビニュースの国境を越えた配信を制限することは、私は、グローバル化が進む現代にあっては「社会の進歩の足を引っ張る」行為だと思います。関係者に再考を御願いしたいと思います。

(2007年9月29日、北京にて記す)

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(以下、2007年12月28日追記)

 上記の文章を書いた後、事情の変更があったようで、今はYahoo!動画ニュースは私のいる北京からも見ることができるようになっています。今日、日中首脳会談を行った福田総理関連の日本で放映されたニュースも北京からこのYahoo!動画ニュースで見ることができます。

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2007年12月20日 (木)

テレビの天気予報の教育効果

 私が、

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年9月22日

【テレビの天気予報の教育効果】

 中国のテレビの天気予報では天気図は出てこないし、「高気圧」「低気圧」「前線」といった言葉も登場しません。従って、夏の暖かい空気と秋の冷たい空気がぶつかって秋雨前線が停滞して雨が続く、といった表現は出てきません。こういった言葉がテレビに出てこない理由は、気象情報は国家秘密を含むので細かい気象情報はあまり公表していないからだ、という考え方もあるのですが、よくはわかりません。しかし、毎日の天気予報にこういった言葉が出てこないと、こどもたちが気象現象を科学的に理解するための基礎知識が頭に入らないのではないか、とちょっと心配になります。

 中国以外の普通の国では、暖かい空気と冷たい空気がぶつかる前線のところでは雨が降る、低気圧には風が吹き込み雲を集めるので雨が降りやすい、といったことは、毎日の天気予報を見ていれば自然に頭に入ります。日本では、冬の間は、大陸から吹いてくる乾いた冷たい風が、対馬暖流の流れる日本海を渡る間に水蒸気を吸収して、それが日本列島の山脈にぶつかって、日本海側に雪をたくさん降らせる、といった話は、テレビの天気予報を見ていれば自然に覚えてしまいます。さらに、夏の間に、南の太平洋から暖かい湿った風が日本列島の山脈にぶつかると、山を越えるときに雲ができ、その際に水蒸気が凝結熱を放出し、その熱エネルギーを得た風が山脈を越えて日本海側に吹き下ろすと、最初に太平洋から吹き込んだ時より温度が上がって非常に高温をもたらす、これをフェーン現象という、といったことまで、覚えてしまいます。

 このように何気なくテレビで流れている情報でも、天気予報のように、毎日毎日繰り返して放送され、しかも毎年同じ季節には同じような話を繰り返して画面と音声で頭に入力されると、こういった知識は、自然に身に付いてしまいます。

 私の場合ですが、中国の中央電視台の全国放送の天気予報では、必ず毎日、各直轄市・省・自治区の人民政府(地方政府)所在地の天気予報をやるので、チャンシャー(長沙)はフーナン(湖南)省で、ナンチャン(南昌)はジャンシー(江西)省にある、といったことは、毎日天気予報を見ていると自然に頭に入ってしまいます。日本にいる方は、湖南省と江西省とがどういう位置関係にあるかすらわからない方が多いと思いますけど。

 中国の天気予報で天気図を使わないのは、何か理由があるのだと思いますが、その代わりに、他の国ではこどもたちが自然に身につけている気象に関する基礎知識を、別途わざわざ学校で教え込まなければならないのはもったいないと思います。中国では、何かを守ろうとするために、多くの別のものを失っていることが多いような気がしてなりません。天気予報など小さな話ですが、テレビの持つ教育効果はもっと活用していいと思います。

(2007年9月22日、北京にて記す)

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2007年12月14日 (金)

世界の中の日本の比重

 私が、

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記載日時:2007年9月16日

【世界の中の日本の比重】

 昨日(9月15日)午前、NHK-BS1では、大リーグのボストン・レッドソックス対ニューヨーク・ヤンキースの試合を生中継していました。松坂大輔と松井秀喜の直接対決がある、ということでNHKは中継したいたのだと思います。実は、この試合は、香港に拠点があるスポーツ専門衛星テレビのESPN-StarSportsも生中継をやっていました。私が住んでいるアパートメントでは、NHK-BS1とESPN-StarSportsは隣のチャンネルなので、両方を切り替えながら見ていました。

 ESPN-StarSportsの方は日本人向けのチャンネルではないので、特に松坂と松井が出るから中継をしていたわけではなく、レッドソックス対ヤンキーズの試合が大リーグの中でも黄金カードだから放送していたのです。そういう黄金カードのゲームで、先発ピッチャー、主力打者として活躍している松坂、松井はやはりすごいと思います。

 国際政治の面では、日本はあんまり主導的な役割を果たしていないので目立たないのですが、国際政治以外の面では、日本は、世界の中では結構重要な役割を果たしています。GDPの大きさなどから、経済の面で世界の中で日本の比重はかなり大きいという自覚を持っている人は多いと思いますが、経済の面だけではなく、日本は意外にかなり幅広い分野で世界に影響を与えていると思います。

 私が今いる中国においても、改革開放後の中国の経済発展の背景として日本企業のバックアップがあったことはもちろんですが、そのほかの面においても日本は中国に対していろいろな影響を与えています。「スターバックスは故宮から出て行くべき」と主張して注目を集めた中央電視台のテレビ司会者、ルイ成鋼氏のブログの2006年9月30日の記事で、ルイ氏は、「組織」「政治」「革命」「政策」「経済」「科学」「社会主義」「共和」など重要な単語は日本人が発明した単語だ、として、中国人は、もっと日本のことをよく知らなければならない、と主張しています。

 日本が中心となってアジアや世界をリードすべきだ、とする戦前的考え方は一種の妄想だと思いますが、かと言って、日本は極東の小国で世界を動かせる力はない、と考えるのも卑下しすぎで日本の存在を過小評価し過ぎています。昔、野球マンガの「巨人の星」では、「大リーグ・ボール」というのが登場し、アメリカの大リーグは日本の野球にとっては及びも付かない遠い存在として描いていましたが、野茂を皮切りにしたイチロー、松井、松坂らの活躍は、日本人でも大リーグで活躍できることを証明しました。日本は、自らを過大評価することも過小評価することもなく、等身大の比重を担っているとの自覚を持って、世界の中で活躍する必要があると思います。

(参考)中国中央電視台のテレビ司会者・ルイ成鋼(ルイは「くさかんむり」に「内」)氏のブログの2006年9月30日付け記事
「中国人ひとりひとりが読むべき日本に関する文章」
http://blog.sina.com.cn/s/blog_4adabe2701000797.html

(2007年9月16日、北京にて記す)

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2007年11月30日 (金)

テレビの視聴者は意外に保守的?

 私が、9月8日に

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年9月8日

【テレビの視聴者は意外に保守的?】

 今週、アメリカン・フットボールNFLが開幕しました。私は、今、北京にいるんですが、なぜかNHKのBS-1で、開幕戦インディアナポリス・コルツ対ニューオーリンズ・セインツの試合(録画)を音声を英語にして見ていました。今年の開幕戦の中継はNBCで、実況アル・ミッチェル、解説ジョン・マデンという、かつてABCの「マンデー・ナイト・フットボール」で組んでいた名コンビが今年も放送していました。

 何も北京に来てまで、以前に見ていたのと同じ実況アナと解説者によるアメリカン・フットボール中継を見なくたってよさそうなものですが、見るテレビの番組というのは、意外に「習慣化」してしまっており、いつもと同じ番組で、いつもと同じ出演者を見ると安心する、というようなところがあります。「水戸黄門」などはその典型例でしょう。NHKの朝の連続テレビドラマも、多くの視聴者にとってはほとんど「習慣化」してしまっているので、仮にNHKが「今年からやめる」と言い出したら、猛反対に会うのではないかと思います。こういった保守的な視聴者に対して、斬新な企画の番組をぶつける、というのは勇気がいるし、今のテレビ界ではなかなかできないことなのだろうと思います。

 私も北京では毎朝7時からの中央電視台第一チャンネル「新聞天下」を見るのが習慣化してしまいました。ニュース番組なのですが国際ニュースと天気予報以外はニュース(情報)がほとんどないので、ハッキリ言ってつまらないのですけど、いつも通りに番組がスタートすると「あぁ、今日も普通の一日で何事もないのだ」と安心して朝食を食べることができるのです(私が4月末に北京に来て以降、「新聞天下」の始まりが「普通じゃなかった」のは、6月に黄菊副総理が亡くなった時にアナウンサーが沈痛な面持ちで「訃報」を伝えた時と、先日、共産党大会の日程が10月15日からに決まった、という「布告」があった時だけでした)。

 共産党大会を1か月後に控えて、今、中央電視台第一チャンネル夜8時からの連続ドラマは、革命時代を題材にしたドラマ・シリーズが続いています。革命時代が背景となると、どのシリーズでも毛沢東主席が出てくるのですが、私は「確かに毛主席は偉大だけれども、ドラマの視聴者は『またか』と思わないのかなぁ。」と思ってしまいます。でも、中央電視台第一チャンネルのドラマを見ている人は、だいたいが結構年輩の保守的な人たちなので、こういうドラマを続けて放映しても、不満は出ないのでしょう。 

 昔はテレビが「時代の最先端」を行っていたのだと思いますが、今は、時代の最先端を感じたい人はインターネットにアクセスし、いつもと変わらないものに接して安心感を得たい人がテレビを見る、という時代になっているのかもしれません。
す。

(2007年9月8日、北京にて記す)

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2007年10月20日 (土)

歴史ドラマに見る文化的背景

 私が、

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の「テレビフォーラム」に9月1日にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

 folomyは、かつての@ニフティのフォーラムを運営していた人たちが集まって運営しているサイトで、メールアドレスを持っている方ならば誰でも無料で登録できます。私がfolomyに書いたものの再アップは、折りを見て時間のあるときに行います。従って、例えばfolomyに掲げた文章のアップは1か月程度遅れると思います。最新の文章を御覧になりたい方は、ぜひ、御自分で上記のアドレスからfolomyに登録して、御覧いただくよう御願いします。

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アップ場所: http://folomy.jp/heart/

「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年9月1日

【歴史ドラマに見る文化的背景】

 2005年にNHKで放送された大河ドラマ「義経」は、全部録画してあったので、今、北京に持ってきて、こちらでも見ています。一方、同じ「歴史物」ということで、中国中央電視台が1994年に制作した大作「三国志演義」(約45分間のものが全84集:全部で64時間)のDVDを買って見始めています。とてつもなく長い話だし、登場人物が多過ぎて話がややこしく、全編見終わるまで気力が続くかどうかわかりません。中国で買ったDVDは字幕がないので、この間、日本に帰った時に秋葉原で日本語字幕入りの14時間にまとめた「総集編」的なDVDも買ってきて、かわるがわるに見ています。

 「三国志演義」は、日本で買ったDVDのパッケージの解説によれば、制作費100億円、出演者10万人、使った馬10万頭、制作年数4年間というまさに大陸的なスケールの作品です。戦いの場面はほとんどロケで、テレビドラマというよりは映画に近い感じです。「義経」では、戦いの場面もスタジオ収録が多く、日本のテレビドラマとしては制作費は高い方だったのでしょうが、「三国志演義」に比べたら足下にも及ばない金額だと思います。ただ、セットや小道具の「緻密さ」という点では「義経」の方に軍配が上がります。「三国志演義」は、スケールは大きいのですが、ちょっと「大味」なイメージがあります。

 話の中身は、テレビ・ドラマというより原作の問題なんですけど、「三国志演義」の方は、宮廷内の陰湿な勢力争いや宦官によるだまし討ち、有力な武将が地位や財物目当てにコロコロと主君を裏切って相手方に寝返る、といった話の連続で、見ていて爽快感はありません。「人を信じたものがバカを見る」というような話が続くのです。たぶん、数千年にわたって異民族が入り乱れて覇権を争った中国の、ぞれが現実であり、中国ではそういった中で生き抜く図太さが求められてきたのだと思います。ただ、これは中国の人が「他人は信じられなくて当然」と思っていることを意味しているのではありません。例えば、どんなことがあろうと裏切らない固い契りを結んだ劉備、関羽、張飛の三人の義兄弟、三顧の礼で迎えられた劉備にその死後まで忠誠を尽くす諸葛孔明が「三国志演義」の中心人物であることに見られるように、中国の人たちも「絶対に裏切られない信義」を尊いものとして憧れているのです。ただ、そういった「信義」に頼っていただけでは生き残れない現実に対する認識、それが昔も今も中国の人々の中を貫いている基本的考え方なのです。

 身分は低くても戦いに勝って権勢を得たものが皇帝となって人民大衆を支配することになる過程を描いた「三国志演義」と、朝廷の権威を表面上は敬いながら実際は地方豪族の集合体を束ねて全国支配に成功する源頼朝を描いた「義経」との違いは、中国と日本との政治的バックボーンの違いも象徴的に表しているなぁ、と私は思いました。

(注)テレビドラマ「三国志演義」の中国語の原題は「三国演義」です。

(2007年9月1日、北京にて記す)

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2007年10月13日 (土)

「安全」を作り上げるシステム

 私が、

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の「テレビフォーラム」に8月25日にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年8月25日

【「安全」を作り上げるシステム】

 今週、日本では2つの飛行機に関する事件がありました。ひとつは8月20日(月)沖縄那覇空港で台湾の中華航空機が着陸後、駐機場に止まったところで燃料漏れから火災・爆発を起こした事故で、もうひとつは8月25日(土)松本発福岡行きの日本コミューター機が2つのプロペラエンジンのうち1つが停止したため、ひとつのエンジンだけで大阪空港に緊急着陸した事件でした。幸いにして、この二つの事故とも死傷者は出ませんでした。

 旅客機では、機体のどこかで火災が発生した場合、火災が起きている付近の非常口は使えないと仮定した上で、緊急脱出の指示が出てから90秒以内に満員の乗客と乗員の全員が脱出できるように設計されているのだそうです。中華航空機の事故では、実際に緊急脱出の指示が出てから約90秒で全員が脱出しました。また、双発のプロペラ機では、片方のエンジンが完全に停止した場合でも、もうひとつのエンジンだけで飛行を続け、着陸できるように設計されているのだそうで、日本コミューター機の件では、実際に片方のエンジンだけで飛行し無事に着陸しました。この二つの事件は、航空機には、過去、何回も起きた事故を教訓として、一定の安全対策がなされていることを改めて示しました。安全対策は、過去の苦い経験を元に「事故を繰り返してはならない」という意志と「事故原因の徹底的な解明とその結果の情報展開」の二つがあって初めてなされるものです。

 航空会社や航空機製造会社は一回事故を起こすと顧客離れが起きるので死活問題です。従って、航空会社や航空機製造会社には、市場原理に基づき「安全対策への意志」が強く働くのです。また、各国の関係当局は、航空機事故の原因を徹底的に調べて公表しますので、事故原因は世界中の航空関係者で共有されることになります。こういったシステムの下で、航空機では、過去の事故の教訓が様々な安全対策に活かされて来ているのです。

 一方、過去の教訓が全く活かされていないと思われるのが中国における炭坑事故です。中国の炭坑では2007年は1月~7月だけで102件の事故が起き680人が死んでいます。中国で炭坑事故が多いのは昔からですが、一向に改善されません。事故を起こせば死んだ従業員への補償金の支払いが必要になりますが、石炭を買うお客は減りませんから、炭坑会社には市場原理に基づく『安全への意志』の力が弱くしか働かないのです。また、事故原因については、会社や政府の責任が追求されるのを恐れてからか、詳細はほとんどテレビや新聞では報道されません。だから、事後原因についての知識や教訓を関係者の間で共有することができず、いつまでたっても中国での炭坑事故は減らないのです。

 今週の二つの航空機を巡る事件のニュースを聞いて、中国を巡る様々な「安全」の問題は技術の問題ではなく社会システム上の問題なのだ、ということを、改めて感じました。

(参考)中国国家安全生産監督管理総局
「政府ネット事故検索システム」
http://media.chinasafety.gov.cn:8090/iSystem/shigumain.jsp

※上記の検索システムで、期間と炭坑事故の場合は類型として「煤鉱」(中国語で炭坑の意味)を選んで検索すると、各事故の概要と死亡者数が表示されます。最新の事故も含めて、全ての事故がこうやってインターネットで検索できる、というのは、昔に比べると「情報の公開」という点では大進歩だと思います。でも、炭坑事故は一向に減りません。

(2007年8月25日、北京にて記す)

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2007年10月11日 (木)

明るさと安心の心理的影響

 私が、8月18日、夏休み期間中に日本に帰国している間に

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年8月18日

【明るさと安心の心理的影響】

 今、夏休みのため駐在先の北京から日本に一時帰国しています。正直に言うと、今、北京に駐在している間は、「チャンスがあれば短期間でもいいから日本に帰りたい」といつも思っています。日本は、東京でも晴れれば青空になるので気持ちがいいからです。

 私は、20年前にも北京に駐在していましたが、あの頃はあんまり「日本に帰りたい」とは思いませんでした。20年前の北京は、冬は暖房用石炭の煙によるスモッグがひどかったのですが、夏は乾燥した青空の気持ちのよい日が多くありました。食べ物は、衛生管理が悪くてお腹を壊すことはあったし、残留農薬には気を付ける必要もありましたが、口に入れる物に有害な化学物質が入っているかもしれない、などとは心配しませんでした。

 20年前は、改革開放政策が軌道に乗り始めたばかりの頃で、「これからだんだんに良くなっていくんだ」という期待感を多くの人が持っていて、世の中に何となく明るさがあったように思います。今の中国は、経済発展が速いのはいいのですが、その経済発展のスピードについて多くの人がバブル的だと感じていて、「いつかはハジける」という何とはない不安感があって、世の中に「安心できる明るさ」がないのです。

 私の場合は、それに加えて「何を食わされているのかわからない」という心理的プレッシャーがあります。実際にはそれほど心配することはないのだろうと思いますが、日本の場合、何かあったら内部告発によってすぐに表沙汰になりテレビや新聞で大騒ぎになるので、「騒ぎになっていないから大丈夫だろう」と変な形で安心できるのに比べて、中国では、食品に問題があっても表沙汰にならないケースが多いので、消費者側に「これだから安心だろう」と判断できる材料がなく、それが心理的には負担になっているのです。

 今、中国では、留学のために外国に出国した学生のうち4分の1しか帰国していない、という現状が問題になっています。最近は、中国国内も経済発展し、中国で起業してお金持ちになることも可能になったので、帰国する人も増えていますが、根本的な原因は、海外留学組にとって魅力的な就職口が中国国内にはまだ数としては少ないからのようです。帰国する海外留学組が少ない問題と、大気汚染や食品の安全の問題は、基本的には別の問題ですが、心理的影響としてはある程度関係しているのではないかと私は思っています。

 私の個人的感触としては、中国は、経済発展はしましたが、この20年間で「住みたいと思う魅力」を失ったように思います。中国人の中にも私と同じような感覚を持っている人がいるのではないでしょうか。夏のきれいな青空と「今はまだ苦しいけれども、これからどんどんよくなっていくはずだ」という期待感から来る明るさ、そういった20年前にあったものを、中国にはぜひ取り戻して欲しいと思います。

(2007年8月18日、日本にて記す)

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2007年10月 4日 (木)

マナーの問題

 私が、

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記載日時:2007年8月11日

【マナーの問題】

 8月8日に行われた北京オリンピック1年前の記念行事については、日本のテレビや新聞でもかなり大きく報道されたようです。日本での報道で「懸念される課題」として取り上げられたのは、「大気汚染」「交通渋滞」「食品の安全問題」「マナーの問題」などでした。来年のオリンピック期間中には、かなり大々的な交通規制や工場の操業休止などが行われると思うので、「大気汚染」と「交通渋滞」については何とかなるのじゃないか、と私は思っています。「マナーの問題」も、街を歩く観光客などの中には一部不愉快に思う人が出るかもしれませんが、オリンピック競技自体については、さすがに競技の実施の妨げになるようなひどい問題は起こらないだろうと私は思っています。

 中国では「マナーがなってなくてケシカラン」といちいち頭に来ているようでは暮らしていけません。中国は国土は広いですが、西部の砂漠や山岳地帯などの人が住めない部分が多く、人が住める東部のごく限られた地域を中心にして13億人が住んでいるのですから、他人に「どうぞ」と譲っていたのでは中国では生きていけないのです。親戚・知人同士で固く結束して「よそ者」を押しのける気力がないといけません。そういった中国の社会には「マナー」などという甘っちょろい発想が存在する余地はないのです。赤信号で立ち止まり、車の途切れるのを待つのではなく、信号が赤だろうが、車がこちらへ向かって来ようが、堂々と道路を横断する胆力がないと、目的地へはたどり着けないのです。

 ということで、経済的に苦しい立場にある多くの人民がマナーを守らなくても、私は仕方がないなぁ、と思うのですが、最近気になっているのは、経済的に豊かになった一部の人達にもマナーの悪い人が多いということです。私は北京でもよくボウリング場へ行きますが、ボウリングでは、隣のレーンの人がアプローチに立ったら、その投球が終わるまで待つのがマナーです。初心者はこういったマナーを知らないことも多いのでしかたがないのですが、中国ではマイ・ボールを持っている人もこのマナーを守らない人が多いのです。東洋系の顔立ちでマイ・ボールを持っている人が隣のレーンで投げている場合、日本人や韓国人だとすぐにわかります。こちらが先にアプローチに立つと「お先にどうぞ」と譲ってくれるからです。日本や韓国と違って、中国では、ボウリングは、かなりのお金持ちにしかできないスポーツなので、マイ・ボールを持っているような中国人ボウラーは、一種の「特権意識」のようなものを持っているのかもしれません。

 北京オリンピックで、一般の観客がブーイングをしたりするのは、まぁ、ある程度大目に見てやって欲しいなぁ、と私は思います。むしろ経済的に豊かになった一部の人たちがマナーの点でも中国全体をリードするようになって欲しいと思います。

(2007年8月11日、北京にて記す)

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2007年9月16日 (日)

テレビ画面の臨時ニュース・テロップの意義

 私が、

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記載日時:2007年8月4日

【テレビ画面の臨時ニュース・テロップの意義】

 日本では、テレビを見ていて、大きなニュースが入った時や地震が起きたとき、気象警報が出たときなど、画面にテロップが流れることがしょっちゅうあります。ドラマなどを見ているとき、特に保存版として録っておこうと思って録画している時にこういったテロップが流れると「うぁ~、せっかくいい場面なのにぃ。」と頭に来る人も多いと思います。NHKでは、知事選挙の当確情報は情報がわかった時点で直ちに全国に向けてテロップで流す方針のようですが、私はこれは不必要だと思います。知事選挙の当確情報のテロップは、その地元地域限定で流すか、次のニュースの時間に放送すれば十分だと思います。

 ただ、地震情報や台風情報、気象警報などは、地上波の場合、やはりテロップで流すのは当然だと思います。全国放送のBSや専門性の高いCSチャンネルでこういう臨時情報のテロップを流すことには議論があると思いますが、例えば津波警報など人の生命に係わる臨時情報の場合はBS/CSでもテロップを流すべきだ、と私は個人的には思っています。

 アメリカでも地上波の放送の場合、その地域の気象警報が出た場合には、必ず画面の下にテロップが流れます。アメリカは大陸性の気候で、雷雨に伴う豪雨や竜巻などは日本よりも強烈なので、こういった短時間気象情報は防災の観点で非常に重要だからです。

 一方、中国のテレビでは、私は気象警報や臨時ニュースのテロップがテレビの画面上に流れたのを見たことがありません。北京に来て、まだ3か月ちょっとしか経っていませんので、たまたま私が見ていなかっただけなのかもしれませんが、日本に比べて気象警報が一般市民に伝わりにくいシステムなのは事実のようです。昨日(8月3日)付けの北京の大衆紙「新京報」の記事によれば、8月1日夜に北京で発生した雷を伴う集中豪雨に関し、気象局は、雷雨警報、大雨警報を出していたのにもかかわらず、多くの市民はそれを知らず、翌日の新聞を見て「あぁ、やっぱり気象局は警報を出していたのだ」と初めて知った、というのが実態のようです。これはテレビだけの責任ではないと思いますが、中国では、スポーツ中継や政治的イベントの生中継をすること以外には、テレビが持つ「リアルタイムで情報を伝えることができる」という利点を十分に活かしていないと思います。

 気象情報や臨時ニュースのテロップは邪魔だ、と思っているドラマ好きの人も多いと思いますが、住んでいる地域に気象警報が出たのに迅速にそれを知る手段がない北京に住んでいると、そういうのは一種の「ぜいたくな悩み」のように思えてしまいます。確かに日本の場合、それほど緊急性のない情報までテロップで流しすぎる傾向があると思うので、その辺は、視聴者の意見を聞きながら、津波警報、気象警報など本当にリアルタイムで流すべき情報を厳選した上で、きちんとテロップで流すようにすべきだと思います。

(2007年8月4日、北京にて記す)

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2007年9月 9日 (日)

場所と時間を超えるテレビ

 私が、

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記載日時:2007年7月28日

【場所と時間を超えるテレビ】

 北京に駐在するようになって3か月が過ぎました。日本からビデオ・デッキは持ってきたのですが、もっぱら日本にいたときに録画したものを再生するのに使うだけで、テレビからテープへの録画はしていません。中国のテレビ番組の中にあんまり録画してまで見たいようなものがないからだ、と言えばそれまでですが、見損なったニュースなどはインターネットで見られるので、あえて録画しようとは思わないからというのが最も大きな理由です。中央電視台の夜7時のニュース「新聞聯播」や報道番組「焦点訪談」は、放送の後、中央電視台のホームページで見ることができます。

 一方、日本のニュースもNHKや民放各社のニュースはインターネットで動画で見られるので、北京にいて「日本のニュースが見られない」というフラストレーションが溜まるということはありません。先日の中越沖地震のような大きなニュースの場合は、NHKのBSが見られるので困りません。私のいるアパートメントでは、アメリカのスポーツ専門チャンネルESPNを見ることができますが、私が見たいと思っているアメリカ・プロボウリング(PBA)の中継は、週末のアメリカ時間の昼間、即ち北京時間の夜中なのでナマでは見ることは難しいのですが、これもPBAのホームページ上からインターネットで見ることができるので困りません(ただし、これは有料のサービスです)。

 このように、今は、いろんな国のテレビ番組がインターネット上で見られるので、あえてテレビ放送を録画して見ようとは思わなくて済むのです。日本のドラマを見るのが好きな人は、外国へ行くと日本のドラマが見られないので欲求不満になるかもしれませんが、私は「ドラマ見」の人ではないので苦にはなりません。

 放送エリアと放送時間に縛られるリアルタイムのテレビは、今、多くの人が「不便なもの」と感じていると思います。日本では外出先でワンセグでテレビを見ている人も多いと思いますが、今後、インターネット上の動画コンテンツがどんどん充実していけば、場所や時間を気にせずに見られるオン・デマンド方式のインターネットの動画コンテンツを見る人が増え、反面、テレビをリアルタイムで見る人はどんどん減ると思います。

 1988年、中国の固定電話は472.7万件、移動電話は3000件しかありませんでした。中国情報産業部の数字によると、2007年6月末現在で、中国の固定電話は3.7億件、携帯電話は5億件を超えました。この手の時代の流れのスピードはとんでもなく速いものです。私が北京に来て、日本にいたときとテレビの環境がだいぶ変わったのに、そんなに不便に感じていないのは、テレビを巡る状況の変化も、実は思ったより速く進んでいるからなのかもしれません。

(中国の電話の数の出典)
1988年の数字:中国経済年鑑2005(中国経済年鑑社)
2007年6月末の数字:中国情報産業部「2007年6月通信事業統計月報」
http://www.mii.gov.cn/art/2007/07/25/art_166_32599.html

(2007年7月28日、北京にて記す)

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2007年9月 3日 (月)

チームワークの力

 私が、7月16日に起きた中越沖地震に関する日本のニュースを見ていて書いて

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【チームワークの力】

 今回の中越沖地震で被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げます。

 北京でもBSの放送が見られるので、今回の地震のニュースはテレビで随分見ましたが、今回の地震のニュースでひとつ印象に残ったのは、ある自動車部品の工場が地震の被害に遭ったために、部品の供給がストップし、大手自動車メーカーのほとんどが生産ラインのストップを余儀なくされた、という話でした。しかも、普段はライバル同士の各自動車メーカーや他の部品ーメーカーがこの部品工場の復旧へ向けて協力している、とのことでした。私は、このニュースを見て、日本の持つ底力の一端を見たような気がしました。

 一般消費者にはほとんど会社の名前すら知られていないが、ある特定の分野の部品に関しては、世界のシェアの6割、7割を占めている、というような部品メーカーが実は日本にはたくさんあります。最近、韓国や中国などのアジア諸国の工業力の発展がめざましく、これらの国々からの輸出製品が欧米の産業に脅威を与え、貿易摩擦として議論されることがよくありますが、これら「Madi in Korea」「Made in China」など製品のキーとなる部品は実は日本から輸出されたものだ、というケースが数多くあります。

 改革開放前の中国の国営企業では、それぞれの工場の中に工作機械やその部品を製作する作業所があり、いわゆる「自給自足」で生産を行っているところが数多くありました。他の企業と関係なく独自の計画で生産できる、というメリットはあるのですが、全ての段階の生産設備を持っているので、非常に非効率的でした。それに対して、日本の場合は、各部品について、分業化・専門化が進んでおり、最も品質がよく、最もコストが低い専門メーカーが作った部品を複数のメーカーが利用するので、全体として品質のよい最終製品を低いコストで生産することができます。「日本株式会社」と言われるゆえんですが、これは、ある意味で、日本という社会の中の「チームワークの力」によるものです。

 野球で、ホームラン・バッターばかりのチームは決して優勝できず、犠牲バントを確実にできる選手、盗塁の得意な選手、短いイニングをぴしゃりと抑えるストッパーなど各専門のスペシャリストが集まってチームワークで勝てるチームが強いのと同じです。

 今回の中越沖地震をはじめ、最近、日本では大きな被害をもたらす地震が相次いでいます。しかし、その都度、チームワークの力で復旧する日本の姿は、あまり日本にいる皆様は感じていないかもしれませんが、私は世界に誇れるものだと思っています。日本では、一人の優秀な人がいてもその力を十分に発揮できず、チームの中に埋没してしまう、という批判もよく聞きますが、日本の持っているこの「チームワークの力」は、これからも大切にして欲しいと私は思っています。

(2007年7月22日、北京にて記す)

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2007年8月28日 (火)

テレビで報道されることの損得

 私が、日本のテレビでの中国に関するニュースの伝えられ方について、

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記載日時:2007年7月15日

【テレビで報道されることの損得】

 この週末、日本は台風4号の直撃を受けて被害が出ていると聞いています。被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。この台風4号の日本での被害については、中国のテレビでも報道されています。

 ところで、日本でも報道されていると思いますが、今年は中国の南部や重慶市、河南省・安徽省などの淮河流域など中国各地でかなりの洪水の被害が出ています。特に淮河流域の洪水は、1954年以来の大規模なものなのだそうです。7月14日付けの新聞によると、中国全土での洪水による被害は、死者403人、行方不明105人、耕地の被害面積5万5000平方km(北海道の面積の約3分の2に相当)、被災者は8,205万人に上る、とのことです。

 新華社が配信する写真や中国のテレビ局が撮影した映像は日本でも伝えられていると思いますが、日本の報道機関が直接現地で取材した映像は、日本のテレビでは伝えられていないのではないでしょうか。少なくとも、私は日本にいたとき、「ここが淮河の洪水の現場です。」などと伝える日本のレポーターの姿を見た記憶はありません。

 例えば、日本の阪神・淡路大震災の時には、世界各国の報道陣が神戸などに来て取材をして行ったし、アメリカ・ニューオーリンズでのハリケーンの被害の時は、日本をはじめとする外国の報道機関がいろいろ取材して行ったと思います。これらの外国の報道機関の災害報道は、各国の関心を呼び起こし、国際的な支援の和が広げたと思います。

 ところが中国の場合、外国の報道機関は基本的に自由には取材ができません。そのため、災害の深刻さが外国に伝わりにくいのではないかと思います。自然災害の実情については、外国に報道されて中国にとってまずいことは何もないと思います。洪水のような自然災害をあまり外国の報道機関に取材させない理由として考えられるのは、治水工事などが不十分だったことを指摘されるのを嫌がる地方政府が、外国の報道機関の取材を妨害する可能性があり、そういった実情が外国に伝えられるのが嫌だ、ということなのかもしれません。しかし、そういったマイナスより、大自然の猛威の前に中国政府も相当に苦労していることを世界に知ってもらうことの方が中国政府にとってはプラスだと私は思います。

 テレビのニュースで報道されるかされないかを「損得」で考えるのはよいことではないかもしれませんが、今の中国は、報道をコントロールすることによって、逆に自分が損をしているような気がしてならないのです。今、中国は、広い国土と膨大な人口と内に抱えた経済格差の中で苦闘しています。今、中国が倒れたら世界全体が困るのです。ですから、苦闘している現状をそのまま世界の人々に知ってもらえるようにすることが、中国にとっても結局はプラスになると私は思っています。

(2007年7月15日、北京にて記す)

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2007年8月18日 (土)

現場生中継の意義

 中国におけるテレビのあり方に関連して、私が、香港返還10周年の今年7月1日に

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年7月1日

【現場生中継の意義】

 今日(2007年7月1日)の中国中央電視台第一チャンネルは、朝から特別編成で、香港返還10周年として行われた行事を香港から生中継で放映していました。

 実は、中央電視台のチャンネルでは、ニュース系の番組では、生中継の映像は非常に少ないのです。夜7時からの「新聞聯播」では、ニュースの中で現場からの生中継の映像をやっているのを見たことがありません。朝7時からの「新聞天下」では、時々生中継の映像がありますが、それは「今日、○○の会議を開催予定。その会議の現場からの生中継」というもので、会議を準備している場所からの中継です。事故・事件の現場からの生中継は見たことがないし、事故・事件の現場でなくても、街角からの生中継の映像も見たことがありません。従って、ニュース自体、「このニュースのアナウンサーは、生放送でニュースを読んでいるのだろうか」と思うことが多々あります。

 昨日の夜(7月1日午前0時)、ちょうど香港返還10周年の瞬間の香港の様子を生中継で見られるのかなぁ、と思って、中央電視台第一チャンネルを見ていたのですが、「香港返還10周年記念特別番組」として、香港の野外ステージからの歌番組をやっていただけでした。午前0時の瞬間も歌手が歌っていましたので、生中継ではなかったようです。

 一方、その時、ちょっとチャンネルを回してBBCやCNNを見てみたら、ちょうどイギリスのグラスゴー空港に車が突っ込んで炎上した事件の直後だったので、現場にいるタクシーの運転手に電話して様子を聞くなど、緊迫した生放送をやっていました。

 中国中央電視台の今日(7月1日)午前中の香港返還10周年記念の行事の生中継は、特別行政区長官の宣誓式や演説、胡錦濤国家主席の演説など、当然のことながら、式次第は前から決まっているセレモニーでした。偉い人たちの演説をナマで聴くのも悪くはないのですが、要するに中国のテレビ局の場合、「予定外」のことが起こる可能性のある場面からは、生中継はしないのだと思います。要人の記者会見などは生中継でやることもあります。街頭からの生中継などをやらないのは、街頭からの生中継では、やはり「好ましくない予定外のこと」が起こる可能性があるので、それが怖いのでしょうか。

 私は20年前北京に住んでいて、今また北京にいますが、中国の場合、新聞はかなり自由になったと思いますが(下記参考参照)、テレビのニュースは20年前とほとんど変わっていません。来年のオリンピック期間中は、たぶん、朝から晩までオリンピック関係の生中継が続くことになると思います。中国のテレビでも、スポーツは普通に生中継をやりますので、ニュースも「予定外のこと」が起こることを怖れずに、もっと生中継場面を取り入れてもよいと思います。

(参考)このブログの2007年6月30日付け記事
「報道の自由は社会の安定的変化の重要な要素だ」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/post_544b.html

(2007年7月1日、北京にて記す)

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2007年8月 8日 (水)

大気汚染と北京オリンピック

 今日(2007年8月8日)は、北京オリンピック開会式1年前の日です。今日は、北京ではオリンピック開始1年前の様々なイベントが行われました。テレビでその関連のニュースを御覧になった方は気が付いたかもしれませんが、今日も北京は晴れていたのですが、白くもやっていて何となく空気がかすんだ感じのする1日でした。もやのきつい時間帯では晴れているのに影ができなていないのがテレビの画面でもわかったと思います。私は8月8日は工場などを休みにして大気汚染をその日だけでもよくするのかなぁ、と思っていましたが、だいたいいつもと同じでしたね。今日の中国国家環境保護総局の「各都市の空気汚染日報」によると、空気汚染指数は88で、汚染等級はIIでした(101以上が「軽微汚染」なので、88だと「良」になります)。

 オリンピックの開会式は2008年8月8日夜8時8分からなのだそうで、これは「末広がり」の8が並んで縁起がいいからなのだそうです。でも、私のような「ひねくれ人間」は、8月8日の夜8時過ぎだと、周りはもう暗くなっているので、大気汚染が目立たなくて済むのでそれを狙ったのかなぁ、などと思ってしまいます。私には1964年10月10日の東京オリンピック開会式の時の青空が印象に残っているので、やっぱりオリンピックは青空の下でやって欲しいなぁ、と思っています。

 最近、中国国家環境保護総局の「各都市の空気汚染日報」のページ

http://www.sepa.gov.cn/quality/air.php3

では、の下の方に都市名と期間を入れると任意の都市のこれまでの任意の時期の大気汚染の状況が見られるようになりました。北京は8月に入って毎日のように雷雨が降っているのですが、大気汚染はあまりよくなっていないことがわかります。この環境保護総局のページは、中国の大気汚染をモニターするのには非常に便利だと思います(こういうふうにインターネット上で情報が公開されるようになってきていることは評価すべきなんでしょうね)。

 私はオリンピックをやる8月には少しは大気汚染は改善すると思ったのですが、あまり改善されていないようです。そういった意味もあり、北京の大気汚染に関連して、私が、

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の「テレビフォーラム」に6月25日にアップした文章を今日のこちらのココログにも掲載します。

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年6月25日

【大気汚染と北京オリンピック】

 日本のテレビではあまり紹介されていないと思いますが、先週の北京に青空はありませんでした。空を見上げると太陽がまるで満月のように透けて見えます。雲はないのですが、空がうっすら茶色がかった白い色をしているのです。国家環境保護総局の発表によると、先週の北京の大気汚染の主要原因は「可吸入顆粒物」だ、とのことです。

 私は20年前にも北京に住んでいたことがありましたが、その当時も冬や早春にはそういう日も結構ありました。原因は、暖房用の石炭を焚く煙と黄砂でした。でも、20年前は、5月、6月は、基本的にスカッと晴れてきれいな青空が広がっていた日が多かったと記憶しています。四合院風の昔のお屋敷を改造したホテルなどでは、昼間は、中庭の庭園にテーブルを出して、太陽の光に輝く新緑の下で食事を楽しんだりしたものでした。

 大気汚染の原因は、暖房や火力発電で石炭を焚いた煙、工場のばい煙、自動車の排ガス、工事現場で巻上がるほこり、などが考えられています。日本の高度経済成長期の公害もひどかったですが、今の中国ほどひどくはなかったと思います。三井物産戦略研究所中国経済センター長の瀋才彬氏は、今の中国の経済を「爆食経済」と形容しています。エネルギーや自然環境をばくばく食べて、経済成長している、という意味です。自然環境も食い尽くして行ったら、どこかで限界が来ます。先週火曜日のような視界500mの汚染度IV(1)(中度汚染)の日を経験すると、その限界が結構近くまで来ているような気がします。

 問題は、来年のオリンピックの時に、この大気汚染がどうなっているか、です。オリンピックが開催されるのは8月ですので、少しは湿度が高いので、大気汚染も少しはマシになるだろう、とか、交通渋滞緩和のため、政府がオリンピック開催期間中は工場などの操業を休止させるだろうから大丈夫だ、という楽観論もありますが、どうなるかよくわかりません。もし、先週のような大気の状態の中でオリンピックをやったとしたら、マラソンはかなりキツイと思うし、激しい運動を伴うサッカーなども大変だと思います。

 日本の国立環境研究所が中国側と共同で実施した研究によると、中国の大気汚染は、ごく小さな浮遊微粒子が原因なので、室外も室内もそれほど違いがない、という結果が出ています。従って、この大気汚染は、水泳やバスケットボールなどのなどの激しい呼吸を伴う室内競技にも影響が出る可能性があります。

 瀋才彬氏が言う「爆食経済」、即ち、自然環境が持っている余裕を食いつぶしながら成長していく経済は、タコが自分の足を食べているようなものです。韓国や日本への越境汚染も問題になっていますが、オリンピックを契機にして、この汚染を本気で何とかしないと、中国は結局は自分でそのツケを払わされることになると思います。

※瀋才彬氏の名前は、時折誤って「沈才彬」と表記されることがあります。「沈」は「瀋」という字の中国式の簡体字です。従って、日本語の表記の中で書く場合には「瀋才彬氏」と書くのが正しいのです。「瀋」氏は、英語表記は Shen であり、日本式に発音するとすると「シン」であって「チン」ではありません。

(参考1)イヴァン・ウィルのブログ(ココログ)
2007年6月19日付け記事
「北京の今日の大気汚染度はIII(1)級(軽微汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/iii1_5bc5.html
「6月19日の大気汚染度はIV(1)級(中度汚染)」
http://ivanwil.cocolog-nifty.com/ivan/2007/06/619iv1_d1e6.html

(参考2)国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」No.21:2006年7月号
「中国の都市大気汚染と健康影響」
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/21/21.pdf

(注)6月25日にfolomyに掲載したときは以下の2つの新聞記事も参考としてリンク先を掲げたのですが、既にリンクが切れているので、ここでは見出しだけを記載しておきます。

○スポーツニッポン2007年6月7日付け記事
「前が見えない! 浦和 敵は大気汚染」

○スポーツニッポン2007年6月8日付け記事
「辰也奮闘も・・・浦和 大気汚染に負けた」

(2007年6月25日、北京にて記す)

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2007年7月30日 (月)

値切りの感覚

 私が、

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記載日時:2007年6月16日

【値切りの感覚】

 日本人の中には、現在の中国人に対して「商売上手」「経済的利益にめざとい」「ずるがしこい」というイメージを持っている人が多いかもしれません。13億人も人がいるのですから、中には悪賢い人がいるのは事実ですが、私の印象では、大多数の中国人は、驚くほど純朴な人たちです。日本にいたときには、タクシーに乗ってお金を払うときは、100元札(約1600円)を渡すと、さっと偽札にすり替えられるから注意しろ、などと言われたのですが、少なくとも北京に関する限り、タクシーの運転手さんの質は悪くないです(オリンピックを控えて、北京のタクシー業界は、相当強力に指導されているらしい)。私の中国語の発音がいい加減だったために、目的地の前を行き過ぎてしまった時、「あ、ここで降りるんですけど」と叫んだら、運転手さんは「あ、そうだったの」と言って、すぐにメーターを止めて500メートルくらい先の交差点まで行って引き返してくれました。ごくたまにホテルのボーイさんとつるんでいて、ボーイさんが呼んだタクシーがメーターを倒さないでいつもより割高な料金を請求されることもありますけど、それはごく少数です。

 ただ、お土産物売り場などの「値切り交渉」には日本人には慣れていない人もいるかもしれません。最初、値段を聞くと「100元」と言うので「そんな値段じゃ買えない。」と立ち去ろうとすると「じゃ70元にまけとく。」と言って来ます。「ダメダメ。30元でも高いくらいだ。」と言い返すと「そんじゃ2個で50元ならどうだ。」と言ってくるので、結局2個50元で買ったりします。たいていの日本人は「じゃ、最初に言った1個100元って値段は何なんだ。もし1個100元で買ったらだまされたことになるじゃないか!」と怒るわけです。中国人的感覚からすれば、値段は交渉で決まるのであって、最初の言い値をそのまま受け入れるのは商売を知らないだけ、と思われるだけです。日本人的感覚だと仕入れ値の何倍もの価格を最初の言い値にするのは誠実ではない、と感じるのですが、これは「商売」をどう考えるかの問題であって、だます、だまさない、の問題ではないと思います。

 「値切り交渉」は時と場合によります。例えば「ミエ」の場である中国のスターバックスで値切ったりしたら笑われます。要するに「値切り交渉」は、時と場合をわきまえた一種のゲームなのであって、客も売る方もそのゲームを楽しむ感覚が必要です。こういったことを理解しないと、「中国人はずるがしこい」といった誤ったイメージができあがってしまうのです。アメリカとは違って、中国ではホテルやタクシー、レストランでのチップは全く不要でし、おつりも1分(100分の1元)の単位まで間違いなくきちんと渡してくれます。これらの点は日本人と同じ感覚です。まずは「習慣のちがい」を理解することが、誤ったイメージを抱かないことの出発点だと思います。

(2007年6月16日、北京にて記す)

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2007年7月23日 (月)

「忌まわしい悪しき記憶」が教えるもの

 私が、出張で日本に一時帰国していた際の6月10日に

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記載日時:2007年6月10日

【「忌まわしい悪しき記憶」が教えるもの】

 この一週間、中国の北京から一時帰国で日本にいます。北京から成田空港に来たとき、晴れた日の青空の美しさ、太陽の光に輝く緑の美しさに心を打たれました。北京は、日本に比べてかなり乾燥した気候で緑が育ちにくいし、黄砂現象の影響も強いのですが、そういった要素を除いたとしても、日本の環境は、「公害」が社会問題した1960年代頃以降の様々な人々の努力により、かなりの程度改善してきていると思います。

 環境問題に限らず、日本は明治維新以降、いろいろな社会的矛盾や問題を経験してきました。米騒動、銀行取り付け騒ぎ、経済恐慌。台風、地震などの自然災害、交通機関の事故、産業災害。薬害、公害、環境汚染。これらの様々な「忌まわしい悪しき記憶」は、昔は新聞、今はテレビなども含めた各種報道機関によって多くの人々に伝えられることによって、日本にいる人々の「共通の記憶」として社会の中に根付いてきました。こうした「共通の記憶」は、例えば、大地震が起きたときには「デマ」に気を付けなければならない、などという認識を一人一人に持たせることになり、パニックを防ぐ役割を果たし、社会の問題を解決する修復力の出発点になります。

 1978年以降の改革開放の時代の中国は、急激な経済成長を続けていますが、銀行取り付け騒ぎも恐慌も経験していないので、一般の人々は市場経済の「怖さ」をまだ知りません。中国では、報道機関が管理されているため、災害、事故、公害、環境汚染などについても、一部は報道されるものの、問題点がどこにあるかなどについて、複数の視点から検証する報道はなされません。広く社会の中で「忌まわしい悪しき記憶」が共有されていないのです。確かに政府や企業の幹部は、外国の苦い経験などについてよく勉強していますが、一般サラリーマンやタクシーの運転手さん、さらには大学生までもが株取引をやるようになっている現在の中国で、参加しているプレーヤーが全て「忌まわしい悪しき記憶」を共有しているのかどうか、は、はなはだ疑問です。こういうような状態で、何か今まで経験していなかった事態が起きたとき、パニックになることなく、事態の修復が図れる復元力が現在の中国にあるのか、というのが私が今一番懸念しているところです。

 介護保険問題、年金問題など、今、日本では、社会のいろいろな問題が吹き出ていますが、日本には、社会の問題点に関する情報を、社会の参加者全員が共有するシステムができています。テレビなどのマスコミがその役割の一端を担っているのですが、今の中国では、このようなシステムはできていません。従って、今の中国の社会にはパニックに対する耐性がなく、事態の修復力が弱いのではないか、と思えてしまうのです。この現代中国社会の「もろさ」が、今回の一時帰国で日本と比較して最も強く感じたことでした。

(2007年6月10日、東京にて記す)

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2007年7月17日 (火)

中国にいる日本の特派員の苦労

 私が、

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記載日時:2007年6月2日

【中国にいる日本の特派員の苦労】

 北京に駐在するようになって、まだ日本のマスコミ特派員の方と話をする機会がないので詳しくはわからないのですが、中国にいるマスコミ特派員の方々は相当に御苦労されているのではないかと思います。私がワシントンにいたときに特派員の方に聞いたところでは、昔は「ワシントン・ポストの記事によれば」などとアメリカの新聞で伝えられたことを東京に伝える(彼らの業界用語でいう「横のものを縦にする」)だけで事足りたのが、インターネットが発達した現在、今、そういうことをすると、東京のデスクから「そんなこと東京からインターネットを見れば誰でもわかる。バカモン!」と怒鳴られるのだそうです。従って、情報を自分の足で集めて記事にしなければならないので、特派員稼業はしんどい、と言っていました。「足で情報を集めてこそ本当の記者」と言われればそれまでですが、言葉の問題もあり、外国でたった一人で取材するのは、相当大変な仕事です。

 それに加えて、中国に駐在するマスコミ特派員の方々は、もっと御苦労されているのではないかと思います。そもそも記者として活動すること自体、当局の許可が必要ですし、取材相手についても許可が必要だったりします(許可なく取材すると当局から拘束されることもあるらしいです)。先日放送されたNHKの番組「激流中国」では、中国の新聞には「いいニュースと悪いニュースはバランスして掲載せよ」といった類の党宣伝部からの「御指導」がある、と伝えていました。外国のメディアに対してそういう「御指導」があるのかどうか私は知りませんが、日本で伝えられている中国関連のニュースは中国の社会的問題を伝えるニュースと「野生に復帰したパンダが死亡」などという軽いニュースがあり、中国から日本に伝えられているニュースは「いいニュースと悪いニュースがちょうどうどよくバランスされている」との印象を私は受けています。これが関係筋からの「御指導」のせいなのかどうかはわかりません。最近、日本で報道された一人っ子政策に反対する村民の暴動事件やアモイの化学工場で住民の反対のデモが計画されている、といった類のニュースは香港の新聞の報道を引用した香港発のもので、北京にいては、これらのニュースについては、そういうことがあったこと自体がわかりません。

 この手の「制限」は、マスコミ関係者に限らず、一般の企業の場合でも感じます。日本の企業が、マーケティング調査のため、一般市民を対象にするアンケート調査をやる場合には、許可を受けたコンサルタント会社に頼まなければなりません。この手の調査は、事前に当局の許可が必要で、質問項目によっては許可されない場合もある、とのことです。

 日本で、中国に関係するニュースを新聞やテレビで御覧になる際には、そういった日本のマスコミの中国特派員の御苦労を想像しながら御覧いただけるとよいと思います。

(2007年6月2日、北京にて記す)

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2007年7月 7日 (土)

70回目の7月7日に寄せて

 私が、廬溝橋事件70周年にちなんで、

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記載日時:2007年7月7日

【70回目の7月7日に寄せて】

 70年目の7月7日が巡ってきました。思い起こせば私は50年目の7月7日にも北京にいたなぁ、と思い出しました。

 日本では何のことかわからない方も多いと思いますが、「七七事変」は中国では重要な歴史上の日です。この7月、20歳になったばかりの甥と姪に私が廬溝橋(ろこうきょう)に行ったことを話した時、「『廬溝橋事件』って、聞いたことはあるんだけど、何だったかは忘れちゃった。」と言っていました。今の日本ではそういうものかもしれません。

 中国中央テレビ局の夜7時のニュース「新聞聯播」では、毎日「紅色記憶」というコーナーをやっています。中国共産党の歴史を紹介するコーナーです。20年前にはこういうコーナーはありませんでした。今中国でも、中国共産党ってそもそも何なの、ということ自体知らない若い人が多いので、こういうコーナーを放送する必要があるのだと思います。

 中国共産党の歴史は、中国の学校では学習しなければならない必須の事項です。中国共産党は、抗日戦争の中を生き抜いてきた党ですから、抗日戦争中に日本が何をしたかを必ず習います。日本ではこれを称して「反日教育」と呼ぶ人もいるようですが、私は、これは日本の軍国主義が何をしたかを教えているのであって、今の日本に反発することを教えているのではないと思っています。中国の人は、今の日本に反発は感じていませんが、日本人が軍国主義の時代にやったことは正しい、と言った場合には反発します。それは、アメリカ人が「原爆投下は正しかった」と言うと日本人が反発するのと同じことです。

 私は宮城県仙台市の出身ですが、仙台のことは中国の人は、皆、知っています。中国の文豪・魯迅が仙台に行って勉強していた話が中学校の教科書に載っているので、仙台のことは皆知っているからだそうです。

 2005年の中国での反日運動は、小泉総理の靖国参拝問題もありましたが、この時期は日本が国連常任理事国入りの運動を展開している時期であり、「中国としては、国民が反対しているので、日本の常任理事国入りには賛成できない。」という口実にするために、意図的に仕組まれた「反日運動」だったのだ、と見る人もいます。私が今年4月末から20年振りに北京に駐在していますが、今の中国が20年前に比べて「反日的になった」という感じは全くありません(一部の分野で経済的ライバルになった、とは思いますが)。

 なお、2005年の反日運動の一部に「作られた」という性質の面があったのだとしても、その背景として、日本人が日本の軍国主義時代のことを肯定すれば、それに反発を起こす気持ちが中国の人たちの中にはある、ということは忘れてはならないと思います。ここのところは、私は日中関係の「出発点」だと今でも思っています。

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2007年7月 3日 (火)

中国でのカラオケを巡る著作権料論争

 私が、中国におけるカラオケからの著作権料徴収の問題に関連して、

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記載日時:2007年5月26日

【カラオケを巡る著作権料論争】

 ここのところ、中国では、カラオケからの著作権料徴収の方法について、ちょっとした論争が起きています。発端は、昨年11月、国家著作権局が「カラオケの著作権料徴収は、、1日・1部屋あたり12元(=約192円)を標準とする、というガイドラインを発表したことにあります。これに対して、カラオケ業者らが「高すぎる。このガイドラインに法的根拠はあるのか。使われていない部屋も含めて一律に1日・1部屋あたり12元徴収とは不合理だ。」と一斉に反発しました。カラオケ業者の中には「著作権料は、曲の使用回数に応じて支払うべきだ。」と主張する人たちもいます。中には「著作権料収入の一部が国家著作権局に入っているのではないか。」との疑いを差し挟む人も出てきました。

 これに対し、5月18日、国家著作権局の局長は「著作権料の徴収は著作権法に基づくもので、著作権料の一部が国家著作権局の収入にあてられているなんてとんでもない。」と反論しました。この反論の中で、局長は「12元という金額は、100個所以上の都市を調査し、カラオケの営業収入の1%に当たる額として算出したものであり不合理ではない。」と主張しました。また、合わせて「曲の使用回数に応じた著作権料の徴収は、カラオケ店がその費用を利用者に転嫁する可能性があるので反対である。」との意向を示しました。

 この発言に対して「著作権料をきちんと徴収するために1日・1部屋あたりの金額の基準を作るのは悪くはない」「いや、一律に1日・1部屋あたりで決めるのはおかしい。使用回数に応じて徴収すべきだ。」などの意見が、けんけんがくがく、人民日報も含めて、いろんな新聞紙上で議論されています。

 カラオケからの著作権料徴収については、1990年代に日本でも相当議論がありましたので、日本人もこの中国での論争を笑うことはできません。ただ、著作権使用料は、本来、最終利用者が支払うべきものですので、国家著作権局長が言っている「店が利用者に転嫁する可能性があるから、曲の使用回数に応じた徴収には反対」という論理は、私はおかしいと思っています。たぶん、この著作権局長の発言は、カラオケ利用者からの反発を招かないようにするための、政治的な配慮によるものだろうなぁ、と私は推測しています。

 一般の利用者の間には「カラオケ店に料金を払っているのに、なぜ自分が著作権料を払う必要があるのか。」という気分が根強いようです。日本でも1990年代までは「テレビ番組を見損なったので、録画した人はダビングして送って下さい。」といった御願いの投書が有名雑誌に平気で掲載されたりしていました。著作権意識は時代とともに変わっていくものだと思います。本当に世界経済の仲間入りをするためには、中国人民の皆さんも、早く世界標準の著作権感覚を持たなければならないと思います。

(参考URL)

 人民日報の紙上で政府担当者の意向とそれに反対する意見とが記事の中で客観的に並列されて記載されているのは、ちょっとした「みもの」です。中国語の読める方は以下のネット上の記事を御覧下さい。

ネット版人民日報「人民網」2007年5月21日付け記事
「カラオケの著作権徴収~『部屋ごと』か『使用回数ごと』か~」
http://politics.people.com.cn/GB/1026/5754185.html

 なお、ネット版人民日報「人民網」では、このカラオケ著作権徴収について「ネット世論調査」も実施しています。
http://culture.people.com.cn/GB/22226/68575/index.html

 ただし、「看査」というボタンを押すと調査結果が見られるのですが、例えば「調査1」では、5月21日(月)に見ても、今(5月26日(土))に見ても、「調査への参加者は252人」で投票した人数は全く変わっていません。これが何を意味するかは、皆様の御判断におまかせします(^^;)。

(2007年5月26日、北京にて記す)

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2007年6月25日 (月)

当たり前の緑の価値

 私が、

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「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年5月21日

【当たり前の緑の価値】

 先日の土曜日、北京市郊外にある自然公園へ行ってきました。「北京市内」なんですけど、私が住んでるところとから車で30分のところにある集合場所に集まって、そこから更にバスで2時間半行ったところにあります。新緑に包まれた山があり、大きな岩がごろごろしている沢には、きれいな湧き水が流れていました。

 このイベントを企画した方には大変申し訳ないのですが、これが、週末に「みんなで行くぞ!」と募集を掛けて集まって、バスを仕立てて、高速道路を2時間半も掛けて行くほどの価値のある「素晴らしい大自然」なのかなぁ、というのが、私の正直な印象でした。山があって、緑があって、そこに川が流れている、という風景が日本人の私にとっては「当たり前の風景のひとつ」と映ったからだと思います。

 北京は基本的に乾燥地帯です。年間降雨量は日本よりかなり少なく、周囲の山々もごつごつした岩山ばかりで、草木はあまり生えていません。やわらかい緑に囲まれた山々がすぐ身近にある日本に比べると、北京周辺の自然条件にはずっと厳しいものがあります。

 話は変わりますが、翌日の日曜日、街の新聞スタンドで「新京報」という新聞を買ったら、日本の戸籍制度について解説した記事が載っていました。その記事では、日本では、江戸時代は、農民も都市部の町人も「寺請制度」という戸籍制度に基づき、身分と住む場所が固定されていたが、明治維新の改革で、「四民平等」の考え方に基づき、「士農工商」の身分制度が撤廃され、誰でも好きな場所に住めるようになった、と記されていました。この記事では、これが日本の資本主義発展の基礎になったのだ、と肯定的に説明されていました。この記事の中では、在北京日本大使館の人が、具体的な自分の経験に基づいて、本籍地を移動させたり、本籍地と別なところに住んでそこの住民票を取ったりすることなどが自由にできる日本の戸籍制度について説明をしていました。

 今、中国では、人民は、生まれた場所により、農業戸籍と非農業戸籍の色分けがなされ、戸籍を自分の意志では自由に変えられない制度が採用されています。都市部への人口の集中と農村部の過疎化を防ぐための政策のひとつです。農業戸籍の人と都市部の戸籍の人とでは、社会保障など行政から受けることのできる支援の内容が違っているため、この二重戸籍制度は、実質的な身分制度ではないか、と批判され、中国国内の新聞等でも、最近たびたびその問題点が指摘されて、議論になっています。

 近くに緑に囲まれた山があり、川が流れていて、自分の好きな場所に行って住める、という、日本では「当たり前」のことが、ここ中国では、「当たり前」ではないのです。私にとっては、当たり前だと思っていたことの大事さを、もう一度かみしめた週末でした。

(参考URL)ネット版「新京報」2007年5月20日
「日本:更改『戸籍』無限制」
http://news.thebeijingnews.com/0582/2007/05-20/015@263388.htm

(2007年5月21日、北京にて記す)

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2007年6月 9日 (土)

スローライフというぜいたく

 私が、

http://folomy.jp/heart/

の「テレビフォーラム」に5月12日にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。

 folomyは、かつての@ニフティのフォーラムを運営していた人たちが集まって運営しているサイトで、メールアドレスを持っている方ならば誰でも無料で登録できます。私がfolomyに書いたものの再アップは、折りを見て時間のあるときに行います。従って、例えばfolomyに掲げた文章のアップは1か月程度遅れると思います。最新の文章を御覧になりたい方は、ぜひ、御自分で上記のアドレスからfolomyに登録して、御覧いただくよう御願いします。

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アップ場所:
http://folomy.jp/heart/
「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年5月12日

【スローライフというぜいたく】

 今日(5月12日)のNHK総合テレビの夜7時のニュースで「ロハス」について報道していました。「ロハス」とは、地球や環境のことを考えて、健康と持続可能なライフスタイルを考えよう、という主張のことです。あくせく働くことをせず、スローライフで行こう、という考え方もこれに含まれていると思います。

 今、私は中国にいますが、今の中国では、みんながセカセカしています。20年前の中国では、経済発展は始まりつつありましたが、まだだいぶのんびりしていたところがありました。今は、朝の出勤時間帯には、オフィス・ビルのエレベーターに乗ると、せっかちに「閉」のボタンを押す人が多くなりました。他人より少しでも早くやらないと儲け損なう、という一種の殺気立った雰囲気が街中にあります。ほんとうは「活気がある」と言うべきなのでしょうが、13億人の中国の人々がみんなこんな感じなのかなぁ、と考えると、「活気がある」を通り越して、やっぱり「殺気立っている」と感じてしまいます。

 高度成長期や「24時間戦えますか」が流行したバブル時代の日本に来た外国人も「殺気立っている」と感じていたのでしょうか。今の日本で「ロハス」とか「スローライフ」とか言われるようになったのは、「余裕が出てきた」のでしょうか、それとも「頑張っても勝てないから、ゆっくり行こうや。」という「あきらめの心境」なのでしょうか。

 「ちょっとでも多く儲けよう」と思ってセカセカすることや、「ゆっくり行こうや」とのんびりすることは、いずれも「少なくとも食べることには不自由はしない」ということが前提ですので、飢え死にすることはまず心配しなくてよい中国や日本は恵まれている方だと思います。中国では、多くの人が自分の国のことを「いやいやまだまだ中国は発展途上国です」と謙遜半分・交渉の手段として半分で言いますが、少なくとも都市部では食べ物や物資はあふれるほどあります。昨日の中国のテレビでは、あるレストランでは、金額にして年間に使われる金額の10%が「残飯」として廃棄されている、これはもったいない(中国語で「可惜」)、省エネ・省資源の方針に反する、と伝えていました。

 「もっと儲けよう」とセカセカできることは幸せですが、「もっと儲けよう」と思わなくて「ロハス」や「スローライフ」を目指そうとしてもそこそこ暮らしていくことができる状況にいることはもっと幸せだ、と思った方がよいと思います。日本でも「格差社会」が問題になっていますが、中国の農村と都市の格差の問題に比べれば、日本の格差問題は小さく見えてしまいます。「ロハス」や「スローライフ」は、地球のことを考えている、というのは確かだと思うのですが、それは一種の相当な「ぜいたく」なのだ、ということにも思いを巡らせる必要があると思います。

(2007年5月12日、北京にて記す)

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2007年6月 2日 (土)

中国における地上波テレビの威力

 私が

http://folomy.jp/

の「テレビフォーラム」に5月6日にアップした文章をこちらのココログにも掲載します。
folomyは、かつての@ニフティのフォーラムを運営していた人たちが集まって運営しているサイトで、メールアドレスを持っている方ならば誰でも無料で登録できます。私がfolomyに書いたものの再アップは、折りを見て時間のあるときに行います。従って、例えばfolomyに掲げた文章のアップは1か月程度遅れると思います。最新の文章を御覧になりたい方は、ぜひ、御自分で上記のアドレスからfolomyに登録して、御覧いただくよう御願いします。

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アップ場所:
http://folomy.jp/
「テレビフォーラム(ftv)」-「喫茶室『エフ』」-「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年5月6日

【地上波テレビの威力】

 ここ2、3日、中国の中央電視台のニュースを見ていて、中国国内のニュースが非常に少ないことに気付きました。国際関係のニュースでは、フランスの大統領選挙の決選投票の話とか、日中韓財務大臣会談の話とか、普通に流しているのですが、中国国内のニュースとしては、「なんとか祭りが開催された」とか「最近の中国の○○技術は国際的にも高い評価を受けるようになった」とか、そういうニュースばかりでした。日本と同じようにメーデーの「黄金週」の連休中なので、政府関係の動きもお休みで、ニュース・ネタがなかったからだと思います。

 日本的感覚からすると、連休中でも事件・事故の類はたくさんあったので、それらがニュースに登場するはずなのですが、中国のテレビの国内ニュースでは、あまりそういうのは登場しません。中央電視台第1チャンネルのニュースでは、国際ニュースとしては、カメルーンでの飛行機墜落、アメリカでの竜巻、日本のジェットコースターの事故などは伝えていましたが、中国国内の事件・事故のニュースは報道されないか、されたとしても極めて簡潔なものでした。5月4日8時半に雲南省で起きた交通事故(トラックが衝突したはずみにバスを待っていた人々のところに突っ込み、16名が死亡、約45名が重軽傷を負った事故)のニュースは、私はまだテレビでは見ていません。5月5日に山西省で起きた炭鉱事故(15名が死亡)はテレビではアナウンサーが口頭で伝えただけ(映像なし)でした。いずれのニュースも、人民日報や中央電視台のホームページには載っており、報道が禁止されているわけではありません。おそらくは、これらのニュースはテレビで伝えると影響が大きいことから、その扱いについていろいろ議論がなされているためと思われます。

 中国は国土が広大なので、まだテレビが見られない地区があるのですが、2005年版の中国経済年鑑によると、そういう地区は既にほとんど解消され、2004年末現在で、テレビが見られる地区の人口は、は中国の全人口の95.29%にあたる12.38億人、テレビの台数は3.7億台なのだそうです。上記の4日に起きた雲南省の自動車事故のニュースは、ネット上では、公式報道として、きちんと流れているのですが、中国国内では、やはりテレビの影響力はネットなどに比べると格段に大きい、というふうに考えられているので、ネットとテレビとではニュースの流し方を変えているのだと思います。

 中国では、衛星放送のテレビを受信するためには許可が必要です。従って、ほとんどの一般大衆は地上波を見ているので、地上波テレビの影響力は、まだまだ絶大なものを持っていると考えられているようです。中国でのニュースの扱い方を見て、他のメディアとは比べ物にならないほどのテレビの持つ威力の絶大さを改めて感じました。

(2007年5月6日、北京にて記す)
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(6月2日記載の追記1)

 上記の記載にある5月5日に起きた山西省の炭鉱事故は、1日程度立ってから画像付きで中国のテレビでも報道されました。雲南省の16人死亡の交通事故がその後テレビで報道されたかどうかは確認していません。いずれにせよ、この手の大きな事件・事故がその日のうちにテレビで報道されるのは中国では「まれ」です。外国の事件・事故のニュースは、日本における報道と同じようにほとんどタイムラグなく報道されるので、中国の人々も「テレビの国内報道は遅い」または「ものによっては報道されないこともある」ということはよく知っています。

 ちなみに確認はしていませんが、中国のニュース番組は「生放送」ではない可能性があります(下記注)。ニュースの中で「現場から生中継」をやっているのは、「今日、○○○会議が開催」という日の朝に会議の準備で慌ただしい現場からの中継をやっているのを見たことがありますが、事故・事件現場からの生中継は見たことがありません。外国の事件・事故だと、外国特派員からの電話レポートはしょっちゅうやっていますので、これを見ても、国際ニュースと国内ニュースで取り扱いの仕方を分けているのは明らかだと思います。

(注)先日、ニュースの始まる直前に、ニュースの中で放送される「予定」の天気予報の場面が一瞬放映されてしまったのを見たことがあります。放送事故のようでした。たぶん担当者がVTRの操作を間違ったのでしょう。ということは、ニュース本体もたぶん録画されたものだろうと思います(ただし国際ニュースの内容は新しいので、直前に録画されたものだと思います)。生放送でなく、録画して放送するのは、放送される内容が「まずいもの」でないかどうか、しかるべき者がチェックしているためと思われます。

 ただし、朝のニュースでは冒頭で「今日は、○○について皆さんからのメールを募集」と携帯メールアドレスを紹介し、番組の後半で「こんな御意見が来ています」などと紹介しているので、番組自体は本当に生放送かもしれません。ただ、中国にいると「ホントに一般視聴者から寄せられたメールを読んでいるのだろうか」と疑り深くなってしまいます(たぶんほんとに一般視聴者から寄せられものを選択して放送しているのは間違いないと思いますが)

(6月2日記載の追記2)

 上記記事に「ほとんどの一般庶民は地上波を見ている」と書きましたが、中国は山間部などが多いので、衛星放送はかなり普及しています。地上波テレビ放送を衛星経由で再送信しているのです。従って、北京の住民が湖南省の地元テレビ局の番組が見られたりします。ただし、中国で普及している衛星放送受信装置は、画面の右上(あるいは左上)にある放送局のロゴマークを関知して、中国の放送局以外はカットする装置がついているそうで、「善良な一般庶民」は、CNN、BBCなどの外国の衛星放送は見ることはできません。

(注)携帯電話のショートメールに「衛星放送、映画、成人番組が見られます。詳しくは○○○○まで御連絡を」という無差別広告メールが頻繁に入りますので、かなりの数の「善良でない一般庶民」は、外国の衛星放送を見ているのではないかと想像されます(もちろん、中国ではこれは違法なことです)。

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2007年5月26日 (土)

パプア・ニューギニアのコーヒー

 私は1986年10月~1988年9月まで北京に駐在していました。そして、今、2007年4月24日から再び北京での駐在員生活を始めています。

 20年前の北京駐在員時代にもエッセイ風の書き物を書いていました。それらについては、私のホームページ

http://homepage3.nifty.com/itaru_watanabe/

の「エッセイ集『北京よもやま話』」に記載されていますので、御興味のある方は御覧下さい。

 私は今、北京にいていろいろ考えることを、folomy

http://folomy.jp/

の「テレビフォーラム」や「ドラマフォーラム」に書いています。folomyは、かつての@ニフティのフォーラムを運営していた人たちが集まって運営しているサイトで、メールアドレスを持っている方ならば誰でも無料で登録でき、閲覧したり書き込んだりできますので、ぜひそちらの方を御覧下さい。

 folomyに書いたものや、その他、いろいろな方面に向けて私が現在の中国に関して感じたことを書いた文章を、このココログにもアップしていきたいと思います。ココログへのアップは、時間のあるときに行います。従って、例えばfolomyに掲げた文章のアップは1か月程度遅れると思います。最新の文章を御覧になりたい方は、ぜひ、御自分で上記のアドレスからfolomyに登録して、御覧いただくよう御願いします。

 それでは手始めに、2007年4月29日にfolomyの「テレビフォーラム(ftv)」の「喫茶室『エフ』」に「『ドナウ川の蚊柱』の続き」というトピック(多くの掲示板で言うスレッドに相当する)に書いた文章からアップしていきます。

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アップ場所:
http://folomy.jp/
フォロ「テレビフォーラム(ftv)」-会議室「喫茶室『エフ』」-トピック「『ドナウ川の蚊柱』の続き」

記載日時:2007年4月29日

【パプア・ニューギニアのコーヒー】

 先週から北京に来ています。最近は、中国にもスターバック・コーヒーの店(中国語では「星巴克」)がたくさんあります。昨日行ったお店では「今日のお勧め」として、パプア・ニューギニアのコーヒー豆を売っていました。東京にいたときは、「最近、売り出しを始めた」として、ルワンダのコーヒーを売っていました。

 例えば、今まであまり輸出産業のなかったルワンダで、外国へ輸出できるコーヒー豆が作れるようになり、外貨が稼げるようになったのは、非常に重要なことなんだろうと思います。コーヒーの木は、かなり乾燥した気候でも育つので、穀物がなかなか育たない地域でも、コーヒーならば栽培できるところがたくさんあって、コーヒーを作ってそれを輸出して外貨を稼ぎ、そのお金で穀物などの食料品を輸入している、という国はたくさんあると思います。ただ、コーヒー農場を切り開くためには、焼き畑農業のようにして原始林を焼いて、その跡地にコーヒーの木を植えることも多いようで、そういうコーヒー農場を大々的に開発することが地球全体にとっていいことなのかどうか私にはわかりません。原始林を焼いたあとに、コーヒーという木を植えるわけなので、緑がなくなるわけではないので、地球温暖化の観点では、問題となるわけではない、という考え方もあると思います。

 このようなコーヒー依存型の経済を進める方針は、乾燥して土地が痩せていて、十分な穀物が作れない自然条件しかない国にとっては、選択せざるを得ない政策なのかもしれません。ただ、前にも書いたことがありますが、コーヒーは嗜好品(なければ生活できないという性質のものではない)であるために、その価格は、消費国の景気動向に大きく左右されます。消費国で景気が悪くなったりすると、極端に価格が暴落します。コーヒーの価格が暴落すると、コーヒー依存型経済の国では、食料が輸入できなくなり、国民に生きるか死ぬか、の重大な問題が発生する可能性があります。

 今の世界は、遊びや嗜好品に多額の金額を使う人たちと、食べるものがなくて生きるか死ぬかの瀬戸際にいる人たちとが存在して、それを経済が結びつけています。その意味では、経済は非常に冷徹で残酷なものです。中国は、地域が広くて人口も多いので、その両方に属する人たちがいて、その間の関係をどうするかが重要な政策課題になっています。日本の場合でも最近は「格差」が重要な政治課題になっています。ルワンダやパプア・ニューギニアにとっては、コーヒーのような商品に依存する経済をもっと進めるのか、効率はよくないけれども穀物などの自国の食糧生産を増強するようにすべきなのか、は難しい選択です。北京の高層ビルが林立する巨大商業コンプレックスにあるスターバック・コーヒーでパプア・ニューギニアのコーヒー豆を見て、そんなことを考えてしまいました。

(2007年4月29日:北京にて記す)

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